注意事項です
時系列がおかしいです。雪兎さん冬なのに大学通ってます。バイト続けてます。闇の書覚醒してません。
でも、気にしないでください。
ぶっちゃけ、『こまけーことは良いんだよ!』でいきましょう!

−括弧一覧−
「」 一般会話
『』 擬音、強調、特殊会話など
【】 念話
≪≫ デバイス
── 思い出した言葉
にしてみました。

「ふんふふん〜」

いつもの朝。いつもの日常。ちょっとだけ寒くなってきた、そんな朝。
今日の朝ごはんは、スクランブルエッグとソーセージにベーコン。沢山のレタスとプチトマトに玉ねぎドレッシング。
ふっくらパンケーキに甘いシロップを付けて出来あがり。

ソーセージを摘もうとするヴィータに出来た朝ごはんを先に持っていってもらいつつ、湯煎した牛乳でミルクココアとカフェラテを作る。
エスプレッソコーヒーは作るのが大変だけど、この世界には安く簡単に作れる機械があるから簡単にラテが出来て良いよね。

シグナムとシャマルに飲み物を持っていって貰って、デザートのヨーグルトの準備。
でもヨーグルトって食べる前に食べた方が消化に良いらしい。食前デザートなのだ。
ハチミツとジャムを準備しつつ、冷蔵庫からヨーグルトを…減ってる。

ついっと姉の方に目をやれば、さっと目を逸らされた。
姉さんがヨーグルトを好きなのは知ってる。けど、勝手に食べるのはよして欲しい、かな。
これはマスターである雪兎さんから作り方を教わって、私が作ったものだから。
食べてくれるのは嬉しいけど…沢山作れるわけじゃないから、食べたら教えてくれないと足りなくなってしまう。

「また作らなきゃ…」

一回に10リットル位作るのに、早ければ3日持たない。安く作れる事が幸いだ。
マスターはいっぱいお金持ってるわけじゃないらしいから。

『らしい』というのは、シグナムさんから聞いたから。多分間違ってない、と思う。だから、安く。そして美味しく作らないといけない。
限られたお金と限られた材料で、最高の料理を作るマスターは凄いと思う。
翠屋で出してたけど、学生ランチ300円とか…きっとマスターで無いと作れない気がするんだ。

「っと、早くしなきゃ…」

そんなことを考えてる間も無く、テーブルの方から声がかかる。
ヴィータの『腹減ったコール』だ。

お腹が空けば、皆苛々する。
お腹が痛いと、皆不機嫌だ。
美味しいご飯でお腹がいっぱいなら、皆幸せ。
美味しいご飯を作れる料理って、凄いよね。

そういえば姉さんの話では、今日は…あ、おととい?…は、クリスマス…だった?…らしい。
マスターは翠屋の『クリスマスキャンペーン』とかいうので忙しかったから、数日遅れでやることになった…とか?…言ってた気がする。

でも、クリスマスってなんだろう…?
たしか、いっぱいご馳走を作らないといけないらしいけど…



2011クリスマスアンケート企画 第二位「雪兎 x テスタロッサ(大人フェイト)」
「もっと素直に、もっとわがままに」



「姉さん、クリスマスの料理って…何を作るといいのかな?」

私の妹はよく出来た妹で、ある。そんなのはよくある話だ。でも私の妹は少しそれが過ぎている。
『クリスマス料理特集』と銘打たれた書物を見ながら昼食の支度をする我が妹を見ながら、私が『はぁ…』と小さくため息をついた。

「普通、クリスマスってのは…」

そう前置きを置きながら我が良妹にレクチャーしていく。
まぁその情報はシャマルの持っていた書物だけれど、案外間違いは無いと思う。

私は少しだけ普通ではない。本当は『少し』ではないのだけれど。
この特異な私たちの中からすれば、私の人生など『少し変』で済んでしまうのが凄いところだ。

「で、でも…うちってそんなにお金ない、よね?」
「まーねー。でも憧れるだけはタダよ?」

デートして、食事して。夜景を見ながら良い雰囲気になって…
そんな有り溢れた話。そんなものすらこの妹は望もうとしないのだ。

「ほ、ほらっ!…えと…そう、海鳴温泉!…そんな高そうな所で食べたりするより、皆であそこに行った方が絶対良いよ。ほら、値段もそんなに変わらないし、ね?」
「皆で、ねぇ…」

『皆で』

何とか言い繕う時の毎回の言葉。
ますたーこと有馬雪兎が好きなのは、誰が見ても分かる話なのに。
この家に住む者全員がますたーに好意を寄せている。どうもそれが妹の行動にブレーキをかけているようなのだ。

「もう少しわがままになっても良いのにさ…」

9歳である我が妹には『甘え』というものがないのだ。
ますたーや私だけではなく、今はあの糞ババアの介護をしている元使い魔のアルフに対してもそうだった。
いくら姉である私と23も年齢差があるとし…そういえばもう私って32なんだ。
…いやいや、寝ていた分は引いていいだろう。
とすれば、6歳。うん。妹より年下になるけれど、見た目もそんな感じだし問題ない。

それなら3歳差だ。もっと甘えてもいいだろうに。
本音を言うなら、マスターに甘えれば良いと思うのだ。

私のように。

「なーアリシア、そろそろ代われよー」
「やだ。じゃんけんで1時間って決めたじゃん」

私が座っているのは、ますたーの膝の上なのだ。
今日はますたーのバイトも無く、大学も無い。
一日暇人たるますたーの膝の上争奪戦(主に私とヴィータの一騎打ち)で勝利した私は、悠々と膝の上に座っているわけだ。

まぁ優しいますたーは、羨ましそうにしているヴィータを隣に座らせて頭を撫でていたりする。

「なら、マスターは何が食べたいです?」
「うーん…ローストチキンが定番かなぁ…」

うん、我が妹とますたーが喋りだした今がチャンス!
と、ばかりに私はヴィータの懐柔を始めるのだ。





「ごめんね、姉さん。手伝ってもらって」
【別に気にしなくて良いわよ。にしても、大きいわね…】

ますたーの希望である『ローストチキン』を作るためにローストチキン用の雛鳥をまるごと一羽購入したわけなのだが…
地味に重いのだ。
香辛料や香草に野菜類も併せると、いくら魔法が使える私たちとはいえ6歳と9歳が持てる域を超えてしまっていた。

そこで、私の能力を使ったわけだ。
私は『元人間』であり『現デバイス』だ。もちろんただのデバイスではない。
古代ベルカでは『融合騎士』と呼ばれたデバイス。そう、『ユニゾンデバイス』だ。

元の姿こそ6歳の美幼女たる私だけれど、フェイトを筆頭とする騎士とユニゾンすることで20歳前後の姿になる事が出来る。
当然姿だけではなく、能力も爆発的にあがるわけだ。
お陰で20キロ近い食材の数々も楽に持ち帰る事が出来ている。

本当なら『重いからユニゾンして持って帰ろう』と妹から言って欲しかったのだが…
この妹(おバカ)は『重い』の一言も漏らさぬまま。10度下回る寒空の下で、汗を噴出させながら持ち帰ろうとしていたのだ。
お陰で私の方から誘うことになってしまっていた。

『やっぱりユニゾンすると楽だね』とか『早くユニゾンすればよかった』とか言ってくれるなら良いものの…

「あ、そだ…お礼に…」
【はぁぁ…】

これだ。
思わず私がため息をついてしまっても仕方の無い話のはずだ。
しかも私のため息を悪い方に取ったのか、おろおろと挙動不審になり始めている。

【じゃ、フェイト。これは貸し。だから返しなさい。今日の夕方、ますたーを外に誘うこと】
「え、えぇっ!? で、でも今日は…」

私の言葉にもう…管理局が居たら職務質問されてもおかしくない状態にまで酷くなってしまっていた。
しかし、ここで止めるわけにはいかない。
もう少し…良い意味で素直に。悪い…ううん、普通の意味で年相応のわがままを。
この子に教えなければ。

【夕方までに料理の準備は終わらせなさい。そして今言ったことを実行すること。い・い・わ・ねっ!!】
「は、はいっ!!」

直立不動、大声で返事する可愛い妹に満足しつつ頷く。
まぁ今は妹の身体の中に居るわけだから、そういう感じにしているだけだけどね。





【で、肝心のますたーは外出中、と】
「う、うん。何か電話があって…用事とかで…」

それから数時間後、ますたーを外に呼び出そうとしたのだが…
どうやら私たちがクリスマスの料理を作っている間に出かけてしまったようだ。
料理と言っても、ますたーご所望のローストチキンとケーキ。それにミネフストローネスープだけだけどね。

【シグナムー? ますたーどこ行ったか知らない?】
「えっと…確か…公園に行くと言っていたと思うが…すぐ帰るとも言っていたな」

ユニゾン中の一番の欠点は、ユニゾンしている方は全く動かせないということ。
声すら出せないので、専(もっぱ)ら会話は念話のみ。
目の前に居る私たちのリーダーである騎士シグナムと喋る時すら念話になってしまう。

【おし、フェイト。公園へゴー!】
「えぇっ! で、でもすぐ帰るって…わ、分かりましたっ!!」

妹のクセに姉の言葉に従わない子には魔力を込めた圧力をかけてやる。
内側から直接くるので、された方は結構辛かったりするのだ。
お陰でフェイトは、嫌そうな顔を引っ込めて直立で返事をしていた。





姉さんって、時々強引だと思う。時々だけど。
誰かから電話があって、用事で出たのだ。だから、無理に迎えに行くのはダメなんじゃないかって思うのに。

【ほら、さっさと歩く!】
「は、はい!」

姉さんはそんな私の思いなんて知らないとばかりに私を囃し立てる。
足を速めなければいけなくなってしまう。

本当のことをいうならば、少しだけ怖い。
『用事』をしている時のマスターは少しだけ怖い顔をするから。
ジュエルシードの時もそうだった。ほんの少し。ほんのちょっぴり。

また、あのときみたいな顔をしているんじゃないかって思うから。

クレムさん、シグナムさんに、ヴィータ。シャマルさんもザフィーラさんも。もちろん私や姉さんも。
みんな、マスターに辛い思いはさせたくないって…

【はいはいはいはい、ヘンな事を考えてないでさっさと歩く!】
「へ、ヘンな事なんて考えてないよ…」

考え事に気を取られる暇すら与えてくれない姉さんは、さらに早く歩けとばかりに私を急かしていく。
そこまで急いでどうするのだろうか。もう少しゆっくり歩いて、帰り道のマスターと会う方が良いのではないか。そう思うのに。

歩いて数分。公園が見えてきた。
マスターは…いた。なのはと一緒のようだ。

少しだけ寂しそうななのはの顔が私の胸を締め付ける。
そんななのはをマスターが…



キス…してた…



なのはの話では、なのははマスターのお嫁さんになる予定らしい。
私たちはマスターの騎士だからお嫁さんにはなれない。
その代わりずっと一緒にはいられる。私はそれで良い。マスターのそばに居させてくれるなら。

「む、むぐぐぐぐゅ…んむーっ!?」
「んーっ…………っぷはー! 今日はアリシアちゃんとユニゾンしてるんだね」

いつの間にこっちに来たのだろう。いつの間に気付いたのだろう。
目の前に大きくなったはなのはが居て。そして、私の唇を…キスしてきていた。

「なのは、凄い大胆だよ…」
「フェイトちゃんたちとは親友だもん。女の子同士の親友は、ちゅーしてもヘンじゃないんだよっ」

少しだけ顔が熱い。そんな私の顔を満面の笑みでなのはは見つめて来る。
本当に、幸せそうな顔で。
いつもの9歳の姿に戻ったなのはは、『へにゃ』っと顔を崩して笑う。
『またね』と手を振りながら。

その姿に、さっきの寂しそうな顔は無い。
まるで幻だったのか、と錯覚してしまうほどに。

「なのはって、凄いよね」
【色々な意味でね〜】

なのはが何を考えているのかは知らない。
何でマスターの目の前で寂しそうな顔をしたのか。何で私とキスをして幸せそうな顔をしたのか。
どれがなのはの本当の顔なのだろうか。全部だったら、本当に凄いと思う。

「おぉ、テスタロッサ。迎えに来てくれたのか?」
「う、うん…でも、その『テスタロッサ』は慣れない…かな。わ、悪いってわけじゃないけどっ!」

マスターは私と姉さんがユニゾンをしている時は『テスタロッサ』と呼んでいる。
『フェイト』と呼んだら私の中にいる姉さんが困るし、『アリシア』と呼んだら私はどうしたら良いのか分からない。
だから、私たちの姓である『テスタロッサ』と呼ぶらしい。

そういえば、ヴィータと姉さんがユニゾンしたときは『アリタ』って呼んでたような。
その名前が余程面白かったのか、いつも冷静なクレムさんが鼻水やら唾やら噴出しながら爆笑していたっけ…




「あ、あれ…?」

ヴィータの言葉を借りるなら『今起こった事を話すぜぇ…』っていうのが起きていた。
恐らく姉さんの仕業だと思う。

気付いた時には既に私たちは公園に居なくて、指先で押しているのは何かのボタン。
どうやら『クリスマスルームご休憩3時間コース』と書いてあるようだ。

…3時間?
えと、今…20時だから…わ、下手すると日付変わっちゃう!?

「いこう、マスター」
「ん、今日は大胆だな、フェイト」

もうご飯作ったのに。あとはマスターと一緒に帰ってご飯食べないといけないのに。
それをマスターに言おうとしても、私の口から出る言葉は私の考えとかけ離れたものばかり。

マスターの腕に私は手を回している。
胸にマスターの腕の感触が伝わってくる。
頭が混乱してしまっていた。

【据え膳食わぬは女の恥。後は頑張りなさい】
【やっぱり姉さんの仕業だったの!?】

気付いた時は既に遅い。
沢山ある部屋の一つに入った時には何とか身体のコントロールが戻ったけど、もう遅い。

「あ…あぁ…マスター…」

そう、この目。この雰囲気。ちょっとだけ怖いマスターだ。
ちょっと怖くて、立ち竦(すく)んでしまう。

何より、私がこの人のモノなんだって。
それが凄く嬉しいって、身体に教え込まれたあの最初の日。
私が私でなくなりそうになるのに、とても満たされた夜伽の日が。
否が応にも私の脳裏に呼び出される。身体が…熱くなってしまう。

「ふぁっ!!」

抱きしめられただけ。ただ、『ぎゅう』って抱きしめられただけ。
それだけで私は、普段なら絶対に出さない声を上げていた。

『かくかく』と小刻みに身体が震える。お腹の奥から熱いモノが降りてくる。
鼓動が強くなって、頭がくらくらしてくる。

「あっ!…ん、んんっ!!…ましゅ…んむ…ちゅ…」

マスターの手が、ユニゾンで大きくなった身体…主に胸の部分に振れてくる。
痺れるような甘い快感が走り、口を開けたその一瞬に私はマスターに唇を奪われていた。
素早く舌が私の口の中に割り込んで来る。
変形するほどに強く胸を揉まれて少し痛いけれど、それ以上に気持ちが良い。

「ん…ますた…ますたぁ…」

背中に感じるやわらかい感触。
マスターが覆い被さってくる。
ベッドに寝かされたんだと気付く間に、私は裸になっていた。

「やっ…ぁ…はずかし…ですっ…」

普段とは違う身体。大きくなったこの身体をマスターに見られたのはそう多くない。裸なんて2,3度だったはずだ。
夜伽の時はユニゾンしていないから、本当に恥ずかしく感じてしまう。

まるで姉さんの分の恥ずかしさも一緒に重なっているような気もしてくる。
それに、普段よりずっと感度が上がってるような気も…

「ますっ…ゆびっ…ゆびぃっ!!…あぁっ!…いきっ…いきなりっ…さんっ…くるっ…しっ…んぃぃっ!!」

もうかなり濡れていたのだろうか。マスターの指を私のあそこは簡単に飲み込んでしまっていた。それも貪欲に3本も。
元の身体なら二本でもかなり苦しいのに。やはり大きくなったからかもしれない。

「ひっ…ぃ…いぃっ…ますっ…ますたっ…つよっ…つよひっ…もっろ…やさっ…んぁぁっ!!」

普段の優しい愛撫とは違い、私の感じる部分を押し、掻き、擦り上げてくる。
逃げるように腰を上げるけれど、マスターの指の動きは激しさを増すばかり。
『ぷしゅっ』とか『びちゃびちゃ』とか、凄い水音が耳に響いてくる。
でも、私が見えるのは天井だけ。マスターすら見えない。

マスターが見えない。ちょっと…怖い。
怖いのに、気持ち良いのが止まらない。

「ひぅっ!?…ぁ…ぁくっ…んぁぁぁぁっ!!!」

突然指が引き抜かれる。
無限に続くと思っていた快楽地獄が終わり、身体から力が抜けてベッドに沈み込んでしまう。
一気に視界一杯にマスターの顔が映って、凄く恥ずかしい。と、思うと同時だった。

一気に置くまで貫かれたのだ。
マスターの熱いモノに。

全身がびりびりと痺れて、頭の中が真っ白に弾けてしまう。
普段ならここで終わりなのに。まだ入れたばかりなんて…

「ますっ…まっ…はげっ…ひっ…きゃうっ!…とまっ…やぁぁっ!!」

とりあえず一息入れて、それから再開して欲しかった。
でも口から出るのは嬌声ばかり。必死のお願いも言葉にならない。
『ぐちゅぐちゅ』とあそこをかき回される水音と、『ぱんぱんっ』と打ち付ける音がまざって耳に届いてくる。私の嬌声と一緒に。

私じゃない私の喘ぎ声はとてもいやらしくて耳にこびり付いてくる。
それが余計に私を興奮させてくる。
もう絶頂したのに。マスターに入れられた瞬間、思い切り達してしまったのに。
さらに高い所に連れて行かれているのだ。

「あぁっ…まひゅっ…いっひぇっ…りゅっ…かりゃっ…もっ…りゃめっ…りぇっ!…もひっ…んぃっ!…こわりぇっ…りゃっ…まひゅっ…たぁっ!!」

私が私でなくなるのが怖くて。
ただ、マスターに抱きつく事しか私には出来なかった。
でも本当は、そのせいで余計に深く繋がってしまうことになって
そのせいで、余計に快感が増している…なんていうこと、今の私に分かるはずも無かったのだけれど。

だから…どうやら私はさらに快感を求めていると勘違いされたみたいで…

「よしよし、全力っ…全開っ…でっ…絶頂(イ)かせて…やるっ!!」
「りゃめっ…りゃめぇぇっ…も、絶頂(イ)っれ…まっ…んっ…やぁっ…っき…ながらっ…まら…絶頂(イ)…〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」

時間いっぱいまでずっと…絶頂させられ続けることになった…みたい。






「ん…んぅ?」
「お、起きたか、フェイト?」
「ねぼすけ〜」

どうやら途中で気を失ったらしい私が起きた時には、既に家の近くまで来ていた。
頬に感じるぬくもりと匂い。どうやらマスターに背負われているようだ。
少し強めに当てれば、『とくん…とくん』というマスターの心音が心地良く聞こえてくる。
ユニゾンは既に切れているようで、姉さんはマスターの隣を歩いていた。

「通りで随分積極的だと思ったよ」
「私としては、普段からあんな感じで良いと思うけどねぇ」
「あ、あんなの毎日なんて無理だよっ!!」

絶頂しすぎて腰の抜けた私はマスターの背中に背負われたまま、姉さんの策略の顛末を聞いていた。
やはり、色々と姉さんが画策していたらしい。
マスターも半分気付きつつも、乗っていたらしい。

「ほほぅ…可愛い妹ちゃんは何を想像しながら『毎日』なんて言ったのか、お姉ちゃんに言ってみなさい?」
「あぁ、俺も聞きたいな」
「あ、あぅぅ…」

2人して意地悪だと思う。
別に私は…マスターの…あれ…とか…考えたわけじゃ、なくて…
こう、強引にするのはあまり良くないと、思う…わけで…

「いじわる…」

笑う二人に恨めしさを込めて言う。
胸が温かくなって、幸せを感じてしまっているのを隠しながら。





「ハァッ!? 全部食べたですって! 何人前あったと思ってるのよ!!」
「ンな事言ったってさ、待っても待っても帰ってこねーんだもん。冷えちまったら勿体ねーだろ!!」

お腹空いたと帰ってみれば、あるのは空になった皿、皿、皿。
軽く10人前以上は作ったはずなのに、ケーキの一欠けらどころかスープの滓(かす)すら残ってない始末。
可愛い妹の話では、明日の朝の分もあったはずなのに。この食欲魔人は。

「あ、あの姉さん…その…ま、また…」

ヴィータとの言い合いが取っ組み合いになろうとした時だった。
フェイトが意見を言い始めたのだ。
素早く察知したであろうシグナムが立ち上がったが『乗っ取って』やる。

【おいアリシア! 何をする!!】
【黙って聞いてなさい、この貧乏性】

最近のシグナムはお金にうるさいのだ。ここで茶々を入れられたら、折角の一歩が台無しになってしまう。

「また明日…つく…」

段々フェイトの声が小さくなっていく。ますたーの顔色を伺っている。
心配するなよ我が妹。我らがますたーのエアリーディング能力は凄いぞ?

「そうだな、折角フェイトがクリスマス料理作ってくれたのになぁ…」
「あ、あしっ…あした…明日、また作りますっ!!」

よし、ナイスますたー!
シグナムの身体を乗っ取ったまま小さくガッツポーズをすると、フェイトに見えないようにますたーが親指を立てている。
うん、流石は私のますたーだ。

「大変だけど、大丈夫かな?」
「はいっ! 任せてくださいっ!! こんどは、もっと一杯作りますからっ!!」

そう言うフェイトの顔は、姉の贔屓を抜いても輝いていた。
それはそうだ。何せ、初めてだ。
初めて、自分で意見を通したのだから。

わがままというには程遠い。
でも、それで良い。

もっと自分に素直に、もっとわがままに。
とりあえず、ヴィータに粛清を。

「あ、アタシは3人分しか食ってねー! ローストチキンを一番食ったのはシグナムだぞ!!」
【なっ!? 沢山余ってるから良いと言ったのはヴィータではないかっ!!】
「因みに、ホールケーキの大半を一人で食べた者が居る。な、シャマル?」
「そ、それを言うならザフィー…あの、牙を剥くのはどうかと思うけど…」
「グルルルルル…」

もとい、アホ騎士共に粛清をしなければ。



はしがき


遅れてお送りします夢璃杏でござります…
誰だ25日なんて言ったのはーっ!?

…私だよorz

気付けば日付変わって27日。
いや、翠屋だってクリスマスセールしてたはず! 27日でもオカシクナイ!
なんて言い訳しつつ書いてました。

本当なら新年のアンケもやりたかったのですが、無理っぽい…
何か書けると良いなぁ…

それと、3位のTSサイトの話は『誰も要望送ってくれなかった』ので、なしになりました。
まぢなんです…誰も送ってくれなかったんです…

寂しいですねぇ…
意外に得票数は多かったのですが…

とりあえず、今年の更新はこれで最後になります。
皆様、良いお年をぅ…

↓ウェブ拍手です。

↑読まれた方は押してくれると嬉しいかもっ!!
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