厚い雲に覆われた闇夜に舞う雪が私の身体から体温を奪っていく。
右手に持つ、近所で買ったクリスマスケーキがやけに重く感じる。

私は、何をやっているのだろう

真友君の誘いを断り
シロの誘いも断り


居るかも判らないアイツの家へと歩を進めていく


アンケート企画 第一位 「狐の聖夜」


何かを期待した訳ではない、そう自分に言い聞かせるも
アイツの家のドアから漏れる電気の明かりに『ほぅっ』と安堵の息が漏れる。

芯まで冷えた、動かすのすら億劫になる身体が暖かくなっていく。

いや、身体じゃない
心が温かいのだ


真友君と居れば楽しい
シロと居れば楽しい

でも、アイツと居ると…


「何やってんだよ、お前?」

自分で叩いたのに、音が鳴ったかすら疑問になるほど小さなノックの音を聞きつけたのか
アイツ…横島はドアを開け、不思議そうな顔で私を見遣る。

横島の疑問も最もだ。私はシロに連れ立ってシロの里へ行くと横島に伝えたのだから。
でも、結局当日になって止めてしまった。

理由は判らない。
身体が向かう横島の家に着けば何か判るかと思ったけれど…

「うぉ…お前滅茶苦茶冷たいじゃないか!」
「あっ…」

『くしゃり』と頭を撫でた瞬間、横島はまるで怒鳴るかのような大声に『びくり』と震える私の手を取り
半ば無理矢理部屋の中へと引き入れる。

暖房の無い小さな部屋
寒いはずの部屋が、私には凄く温かく感じてしまう

「ケー…」
「取り敢えず喋るのは後! えーっと、何か温まるものは…」

口がまともに動いてくれず、それでも私が言いたい事を分かってくれたのか
横島はケーキをそっとテーブルの上に置き、ケトルを火にかけていた。


「…ぐは、毛布しかねぇ」
「んっ…」

頭がくらくらする。
身体に力が入らずへたり込む瞬間、視界が闇に包まれた。

一瞬、意識を失ったのかと思ったけど
包み込む柔らかい温もりと、匂いに


「あ…よ、よこひ…」
「喋るのは後だって言ってんだろうが。ったく、こんなに身体冷やして」

私は、横島にこういう事をされたかったのかもしれない
横島はミカミの事が好きだって分かってた。でも、私は横島の事が好き。

真友君に対する好きとは違う、好き。


無遠慮に、横島の手が私の身体を弄ってくる。
やっぱり横島は童貞なのだろうか、感じる部分とかそういうのを関係無しに
触りたい所を触っている感じがする。

「ん…はぁ…」

それでも、私の身体を触ってくれるのがとても嬉しくて
稚拙な愛撫でも、身体が火照って…


「ん、大分温まったみたいだな。まだ毛布被ってろよ、今ココア入れてやるから」
「…へ?」

何とか動くようになってきた腕で、『ぎゅう』と横島を抱きしめようとしたのに
『するり』と抜けるように横島は離れてしまう。

間の抜けた声が出てしまった。


つまり、私とそういうことがしたくて愛撫してたんじゃなくて

「暖めるために摩擦してただけ!?」
「おっ、少しは元気が出たみたいだな」

破顔一笑とばかりの笑みを浮かべた横島が、淹れたてのココアを渡してくる。
手にはっきりと感じるココアの温もり。

それよりも…私は横島の温もりが…

「ん? 俺の顔に何かついてるか?」
「な、何でもな…あづっ!」

まるで横島に心を見透かされた様で、それを誤魔化すようにココアを口にするのだが
熱いなんてものじゃなかった。

まるで焼けた鉄に口をつけたような、一瞬で火傷してしまった気がしてコップを取り落としてしまう
自由落下するココアの入ったコップが、ひっくり返りながら私の膝へと向かうのを視線だけが冷静に追っていた。

でも、ココアが膝に掛かる事は無く
ココアが、横島に変わって…

「おい、火傷はしてないか!」
「火傷したから、痛いから…舐めて」

…そんな訳は無いか。
ココアが膝にかかる寸前に、横島に抱き寄せられたのだ。

吐息が混じるほどの距離。
心臓の鼓動が、痛いほどに激しくて


「っはぁ…おいタマモ、何の冗だ…んむっ」
「アンタがココアを熱くしすぎたから、唇と舌を火傷したのよ、舐めてよ…んっ…ちゅ…」

横島の唇を奪うのに、時間など必要無かった。





「…で、何だよこの台本は」
「ずび…勿論、私が考えた究極のほ…ずずっ…ホワイトラヴよ」

私が3日寝ずに考えた最高の台本を手に持つ横島は、引き攣ったままに問うてくる。
流石に身体を冷やすためにとはいえ1時間も外に居た所為か、さっきから鼻水が止まらない。

「ったく…ずずっ…ん…アンタがちゃんとやってくれるなら、こんな事をしなくて済んだのに…『縛』!」
「それ俺の文珠…って、俺は無理矢理すんのもされるのも嫌やー!!」

全く、初心(ウブ)なネンネじゃあるまいし。
半泣きになる横島のズボンとパンツを一緒に脱がしてっと…
早く大きくしないと…さっきからむらむらして、もう下着履いてるのか分からない位濡れてきてるのに…

「最初からこうすれば…は…ぶぁっくしょん!!」
「汚(きたね)ぇっ!?」

狙ったわけでもないのだけれど、私の鼻水はピンポイントに横島のアレを直撃していた。
『つつっ』と鼻から伸びて繋がる鼻水がとてもシュールに見える。

「え、えーっと…ほら、ぬるぬるしてるし…結構気持ち良いかもよ?」
「お前、それ咥えたり入れたり出来るのか? いや、大丈夫だよな。自分のだし」

『あはは』と乾いた笑みを上げる私に、横島の冷静なツッコミが入る。
確かに1分前には私の鼻の中にあったものなのだが、流石にこれは咥えるどころか触れることすら躊躇してしまいそうになる。

無言でティッシュを取り、いそいそとティッシュで…
あ…いま『ぴくっ』て震えた…

「やっぱり気持ち良いんじゃない」
「そ、そりゃ…タマモにやってもらったら気持ち良いからな…」

横島は時々、意識しないでいきなり心を掴んでくる。
『かぁっ』と頬が熱くなって、恥しくて視線を落とし…落とし…


「あの…さ、そんな凝視されながらねちっこく扱かれたら、いい加減…」
「あ、ごめん気持ち良くないよね…ん…ちゅるっ…んぶっ!?」

私が咥えたのと、横島の『出そう』というのが重なった瞬間だった。
私は気持ちよくなれず、焦らすなという意味で取ったのだが
横島としては、我慢の限界に来ていたらしい。
ぼうっと見つめている間に、そんなにねちっこく扱いてしまっていたのだろうか

口に咥えた瞬間…亀頭が膨らんで、私の口内に夥(おびただ)しい程の量の精液が噴出していた。

「ぐっ…かっ…けほっ…けっ…ーーーーーーっ!!!!!」

精液が気管に入り、咽(むせ)てしまうが
流石に横島にぶっ掛けるわけにはいかず、後ろを向いて吐き出して

息を吸う間も無く、貫かれる快感に全身が震えた。


「なっ…なんっ…横しっ…くぁっ!!」
「文珠は俺が作ったんだから、解除するのも簡単だっての。おーおー、こんなにぐちゃぐちゃに濡らして一気に奥まで咥え込んじまったじゃないか…全く、悪戯娘にはお仕置きしないとなっ!」

先程の咳で酸素が足りず、頭がくらくらしてる私の腕を掴み『ぐいっ』と引き起こしてくる。
私は必然的に横島の上に座る形になって…

何時もの私ならこの体勢でも良かったけど、今は身体に力が入らなくて…


「ふかっ…深いよぉっ!…よこっ…んぁっ…おくっ…ぐりぐりしちゃ…ぁ…ーーーーっっっ!!!…っは…や…絶頂(イ)ってる! 絶頂ってるから、止まってぇっ!!」

もう苦しくは無い。けれど、絶頂で『がくがく』と震えているのか
それとも、横島に揺らされているのか
そんな事すら判らないほどに頭の中はぐちゃぐちゃになっていた。

「何言ってるんだよ、俺の動きに併せて…腰っ…振ってるクセに!」
「よっ…横島も…射精(イ)ってるんでしょ…おくっ…でっ…『びゅくびゅく』出て…なのに…私の…んぁっ…お尻…はぁっ…掴んで…やっ…ん…何度もっ…ぉ…」

今視界の端に泣いてるミカミの姿が映った気がするけど、恐らく気のせいだろう。
私は身体を返し、横島の身体を抱きしめながら
全身を翻弄する悦楽に身を委ねる。

「よこしっ…ま…好き…好きぃっ!!」

二度目の精を膣奥で感じ、恥しくて…こんな時にしか言えない言葉を叫びながら…



はしがき

スイーツ(笑)風味なのを書こうとしたら、途中で面倒くさくなったゆめりあんでござります。
結局何時ものSSに…

まぁそれはそれで、私の持ち味として…良いのかなぁ…

さ、お次はひのめSSですね。
これを書いてる途中で某エロ絵師様よりネタを頂きまして…感謝感謝です。

シロSSでも送りましょうか…んむ。

では、また次回に。
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