新世紀エヴァンゲリオン 外伝
シンジ、18歳の誕生日 −エピローグ−
「お〜い、ただいま〜。」 物凄い修羅場になっているとも知らず、加持さんが陽気に帰って来た。 「おっ、どうしたんだみんな。」 加持さんも雰囲気がおかしいって分かったらしい。でも、アタシは加持さんのことを見る ことが出来ず、俯いていた。 「そうだ、シンジ君に謝らないとな。本当に悪い。済まない。申し訳ない。」 「ど、どうしたんですか、加持さん。」 だが、加持さんはそれには答えなかった。レイとシンジがくっついていたからだろう。 「ん、駄目だぞ、シンジ君。レイちゃんと一緒にいたら。アスカと一緒にいなきゃ。」 「加持さん。実は、僕は綾波と結婚したんです。」 「何馬鹿なことを言ってるんだ。シンジ君は、惣流シンジになったんだ。はっはっは。俺 が間違えて書類を書いたせいでな。いやあ、悪いなあ。」 「えっ!!!」 シンジは驚いたようだ。えっ、惣流シンジって、一体何なの? 「どういうこと。碇君は、私と結婚したはず。」 レイの声がした。 「いやあ、昨日役所の友人の所に行ったら、婚姻届は18歳の誕生日の前の日から受理さ れるっていうんで、昨日届けたんだ。その時名字を間違えて惣流にしちゃったんだよ。」 えっ。そ、それって。ま、まさか…。 「ほら、戸籍謄本もある。」 「見せてください。」 シンジの声だ。 「あっ、本当だ。」 「一体何故。何故碇君が惣流君になるの。」 アタシも涙を拭き、顔を上げて戸籍謄本を見た。確かにアタシとシンジが結婚したことに なっている。し、信じられない。夢じゃないかしら。アタシは頬をつねったが痛かった。 あっ、これは夢じゃないんだ。 やった!やった!やった!奇跡が起きた!起死回生の大逆転だ!アタシは加持さんに抱き ついて、何度も何度も何度も礼を言った。そして、嬉しくて嬉しくて嬉しくて、もう涸れ 果てたと思っていた涙が再び滝のように流れたのだった。 後で分かったことだが、法律上は誕生日の前日に年齢が一つ上がるらしい。4月1日生ま れの人が上の学年に上がるのもそのせいらしいのだ。だから、昨日婚姻届を出すことが出 来たということだ。 こうして、見事アタシとシンジは結婚した。シンジも観念してアタシとの結婚を認めた。 その晩、レイが青ざめ落ち込んだ顔で帰って行ったのは言うまでも無い。そして、加持さ んは気をきかせて、私とシンジを市内で一番高級なホテルへと連れて行ってくれた。おか げで、翌朝二人は美味しい朝食を、幸せ一杯の気分で味合う事が出来た。ちょっと遅めの 朝食だったけどね。アタシ達はとてもステキな思い出を作ることが出来たのだ。 もちろん、その成果は約10カ月後に現れた。碇司令は、おじいちゃんになったのだ。 おしまい 目次(目次へ)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき 「アタシの人生に碇シンジという名の男が絡むことは、この日を境にして無くなったのだ。」 というアスカの言葉は本当でした。なぜなら、シンジは惣流シンジとなったからです。 2005/6/6 written by red-x