新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第75話

シンジが海に飛び込んで、アタシは一瞬頭の中が空白になったわ。でも、すぐに思い出し たのよ。シンジが泳げないっていうことを。 「うっ、まずいっ!」 アタシはすぐに海の中に飛び込んだわ。そして、ゆっくりと沈んでいくシンジを発見した の。まずいわ、早く助けないと。アタシは急いで潜っていったわ。 *** 「う、う〜ん。」 「シンジ、気がついた?」 「あっ。アスカ…。僕は助かったの?」 「まったく、この大馬鹿ヤロー!危うく死ぬところだったじゃないのよっ!」 本当よね、この大バカヤローは。一体、何を考えているのかしら。 「ごめん…。」 「ごめんじゃないわよっ!何であんな危ないことをしたのよっ!」 アタシは、怒りに震えて言ったの。そしたらね、シンジったら悲しそうな声で言ったのよ。 「だって、アスカを傷つけたから…。一生憎んでやるって言われたから…。だから、どう していいか分からなくなっちゃって…。それで、ふっと、死んでお詫びしようかなって思 って…。」 「もうっ!シンジって、本当に馬鹿ね。目の前でシンジに死なれたら、アタシに一生消え ない心の傷が残るじゃない。それくらいのことが分からないの?」 「あっ。」 「あっ、じゃないでしょ。あっ、じゃ。本当に、シンジったら大馬鹿ねっ!」 でも、そう言いながらも、アタシの中では2つの感情が同時に生じたの。シンジに呆れる 気持ちと、理由はともかく、アタシのために命を捨てようとまでしてくれたことを喜ぶ気 持ちがね。 「あはははっ、僕ったら本当に情けないや。そうだね、そんなことも分からないなんて、 僕は大馬鹿だよ。」 「本当にそうよね。」 情けないわね。でも、本当にそれだけなの? 「それじゃあ、僕のこと許してくれないよね…。」 「もちろんっ!」 でも、どうしようかなあ。 「そうか…。やっぱり駄目か…。」 「何よ、やっぱりって。」 「僕って馬鹿だから、命を懸ければ、もしかしたらアスカが許してくれるかも、なんて 思っちゃったんだ。信じられない馬鹿だよね。」 「はあっ?もしかしたら、本当に死んでたかもしれないのよ。死んだらどうするのよ?」 「アスカに嫌われたら、生きててもしょうがないと思ったんだ。だから、僕にしてみれば 一か八かの賭だったんだ。アスカが僕のことを本当に嫌いになってなかったら、僕を助け てくれる。そうしたら、もしかしたらアスカが僕のことを許してくれるかもしれないって、 そう思ったんだ。」 「アタシが助けなかったら、どうしたのよ?」 「死んでただろうね。でも、アスカに嫌われたなら、死んでもいいやって、本当にそう思 ったんだ。」 「バチーン!」 アタシは、シンジの頬を引っぱたいたわ。 「アンタって、何でそう勝手なのよ。勝手に思い込んで、勝手に行動して、人に迷惑をか けて、人に嫌な思いをさせて。本当にサイテーね。」 「そうだね、サイテーだよね。」 そう言うシンジの目から、涙がこぼれ出したわ。 「アンタなんか、生きる価値はないわね。」 「そうだね。ははっ、本当だね。」 「じゃあ、シンジ。もう、この世に未練はないわね?」 「うん…。もうないよ。」 「じゃあ、シンジの命は、アタシがもらうわよ。いいわね?」 「ああ、いいよ。もう、好きにしてよ。」 「あっ、そう。じゃあ、好きにするわね。シンジ、今からアンタの命はアタシのものよ。 だから、シンジ。アンタは、アタシの命令に絶対服従するのよ、いいわね。」 「えっ、どういうこと?」 「アンタは、アタシを傷つけたわ。それも、一生ものの心の傷をね。アンタはアタシに償 う義務があるわ。だから、アンタの命をアタシにちょうだい。そして、アンタは命懸けで アタシに償うのよ。アンタは、アタシが死ねと言ったら死ぬの。でも、アタシが死ねと言 うまでは、絶対に死んじゃ駄目よ。だって、死んだらアタシに償えないじゃない。アンタ は、楽には死なせないわ。生きて、どんなことがあっても生きて、一生かけてアタシに償 うのよ。」 「ア、アスカ…。」 「いいわね、絶対によ。それから、アタシの言うことは、絶対に信用すること。仮に、ア タシがカラスが白いって言っても、太陽が西から昇るって言っても、絶対に信じること、 いいわね。」 「アスカ…。じゃあ、僕は生きていてもいいの?」 「はあっ?一体何を聞いてるのよ。生きて、アタシに償うのよ。アタシの言うことを何で も聞いてね。」 「そうか、僕は生きててもいいんだ。」 「違うわよ。アンタは、生きなくちゃいけないのよ。アタシだけのためにね。」 「アスカだけのために…。」 「そうよ、分かった?」 「うん、分かったよ。僕は、アスカのために生きる。アスカの言うことを何でも聞く。そ うすればいいんだね。」 「ええ、そうよ。」 「そうすれば、いつかは許してくれるの?」 アタシは、なんて言おうか迷ったわ。いつもの調子で、『そんなの、分かんないわよ。』 って言おうと思ったけど、また海に飛び込まれても困るから、こう言ったの。 「シンジがアタシの言うことを、何でも聞いてくれたらね。そうしたら、きっと許してあ げると思うわ。」 そうしたらね、シンジの顔が少し明るくなったのよ。 「じゃあ、もう一度僕のことを好きになってくれる?」 そうして、不安そうな顔でアタシの顔を覗き込んだの。そんな顔で言われたら、冗談でも 駄目とは言えないじゃない。 「それはシンジ次第よ。シンジは、アタシがシンジのことを好きだって言ったら、信じて くれるの?もう、アタシを二度と裏切らないって誓えるの?」 「うん、誓うよ。僕は、アスカを信じる。」 「カラスが白いって言っても信じる?」 「うん、アスカがそう言うなら。」 「明日、太陽が西から昇るって言っても信じる?」 「うん、アスカがそう言うなら信じるよ。」 「だったら、可能性は十分あるわよ。」 「ほ、本当なの?」 「本当よ。アタシは今まで、シンジに嘘を言ったことがないでしょ。シンジと違って。」 「そっ、そうだね。確かにそうだよね。」 「でしょ。シンジなんて、アタシを信じるって言ったそばから疑って聞いてくるし。」 「あっ!」 「あっ、じゃないでしょ。あっ、じゃ。アタシの言うことを何でも信じるって言ったくせ に、何で疑って聞いてくるのよ。本当に、シンジったら嘘つきねえ。」 「ごめん…。」 「本当に悪いって思ってるの?」 「うん、思ってる。」 「じゃあ、とりあえずは、今日はアタシの言うことを何でも聞くこと。アタシが楽しめる ように努力すること。いいわね。」 「うん、分かったよ。」 「ふうっ。じゃあ、ちょっと休憩しましょう。海辺でちょっと休みたいわ。」 「うん、分かったよ。」 シンジは、ボートを船着場へ向けたわ。 ああ、危なかったわね。危うくシンジが死ぬとこだったわ。でも、シンジにアタシの言う ことを何でも聞くって約束させたし、結果オーライっていうやつかしら。 つづく(第76話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  危うくシンジは死ぬところでしたが、結果オーライでした。シンジは、これで一生アス カに償うことになりました。そして、勝手に死んではいけないことや、アスカの言うこと を何でも信じることも約束させました。これで、シンジはアスカの言うことを何でも聞い てくれる様になりましたし、シンジの精神も安定するに違いないでしょう。  えっ、何でかって?シンジはアスカの言葉、『一生かけてアタシに償うのよ。』を良い 方に解釈するようになります。すなわち、一生アスカの側に置いてもらえると。シンジは、 大好きなアスカの側に居場所を確保したと考えるようになるのです。 2003.6.24  written by red-x  



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