新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第27話

こうして、短い時間だったけれど、シンジは、一層アタシのことを想うようになった筈ね。 でも、シンジって、やっぱり優しいわね。ドスケベなのが玉に傷だけどね。 *** 「どうしたのよ、急にこんな所に呼び出して。」 開口一番、ミサトはそう聞いてきたわ。それもそうよね。今、アタシ達がいるのは、この 市内で一番高級なホテルのレストラン。それに、アタシとシンジはいつもよりも良い服を 着ていたの。 シンジは、アタシが選んでおいたブランドもののスーツを着て、アタシも同じブランドの スーツを着ていたの。もちろん、下はスカートよ。 「ミサトに重要な話があってね。それで来てもらったの。」 「ふ〜ん、なによ〜。」 「もう少し待ってよ。あと一人呼んでいるの。」 「えっ、誰よ。」 「来てからのお楽しみよ。それより、ミサトはアタシ達と同じメニューで良いわね?」 「一体何を頼むの。」 「この店で一番高いコースにしたの。もちろん、アタシの奢りよ。それから、ワインは好 きなだけ飲んでも良いけど、あまり飲みすぎないでね。」 奢りと言った瞬間に、ミサトの目がキラリと光ったような気がしたわ。 「へっへっへっ。アスカも気が利くじゃない。じゃあ、早速頼んでも良いかしら。」 ミサトは、さっさとボーイを呼んで、ワインを注文したわ。それも、1本5千円位する奴 をね。でも、アタシはボーイにこう言ったの。 「この店で一番良いワインを持ってきて欲しいの。」 「でも、結構高いですよ。」 「幾らなの?」 「そうですね、10万円以上しますよ。」 「じゃあ、とりあえず5〜6本お願いするわ。」 「えっ、良いんですか。」 「ええ、あちらにいるマネージャーさんに確認してね。」 「はっ、はい。」 ボーイは不思議そうな顔をしながらマネージャーの方へ行ったわ。そして、少し話をして から奥に消えたわ。そして、ワインを6本持って来たの。種明かしをすると、ここのマネ ージャーに前金で300万円払っておいたのよ。それも現金でね。 こうしておけば、出し惜しみなんてないだろうし、それに、上得意客とみなされれば、良 いサービスが期待出来るって訳よ。同じお金を払うなら、先に払った方が効果が高いのよ。 「お待たせしました。」 ボーイはミサトの前に丁寧にワインを置いたわ。 「えっ、こんなに高いワインを飲んでも良いのかしら。」 ミサトは驚いていたわ。そうよね、これだけでも70万円するもの。料理と合わせると、 100万円を超えるわ。でも、ミサトのことだから、もっと飲むと思うのよ。あと200 万円位、平気で飲んじゃうかもね。 「い、一体どうしたのよアスカ。何かあるの?」 ミサトは流石に何かあるのかと勘づいたみたい。そうよね、アタシが訳も無くこんな高い 酒を奢る訳がないもの。でも、アタシは少し嘘をついたの。 「もちろん、あるわ。アタシが無断であれをドイツから持ってきたのに、罰を受けなかっ たのは、ミサトのお蔭でしょう。それに、本部に置いてくれるようにしてくれたし。他に も色々あるけど、それらをひっくるめたお礼なのよ。」 「あ〜ら、そういう訳なら、ありがたく頂戴するわ。」 何か交換条件を出されると思って警戒していたミサトだったけど、アタシにコロッと騙さ れて、ワインを飲み出したのよ。甘いわね、ミサト。他にも色々あるって言ったのを聞き 漏らしたわね。 「うんま〜い。アスカ、有り難う。こんなに美味しいワインは初めて飲むわ。」 まだ一口しか飲んでいないのに、ミサトの顔は笑顔になったわ。高いお酒って、そんなに 美味しいのかしら。 でも、そんなミサトの笑顔も、最後の客が来たら引きつったわ。そう、アタシの護衛役の 加持さんがやって来たの。 「おっ、葛城。久しぶりだな。」 「ア、アンタ。一体どうしてここにいるのよ。」 ミサトは危うくワインを吹き出す所だったわ。それ位驚いたのよ。 「アスカの護衛役でね。ドイツから出張さ。」 加持さんは、ミサトが驚いたのを気にせずに、軽く答えたわ。 「あら、二人とも知り合いだったの?」 アタシは、とぼけて聞いたわ。 「ふん、こんな奴、知らないわよ。」 「それはつれないなあ。」 「ふん、うっさいわね。」 ミサトの顔が、一気に不機嫌になったわ。 「ねえ、ミサト。ミサトはもしかして、好きな人が目の前にいるとか。」 アタシは恐る恐る聞いたわ。まあ、答は分かっていたけどね。 「ふん、誰がこんな奴!」 ミサトはそっぽを向いたのよ。ふっふっふ。罠にかかったわね。今、ミサトの目の前にい るのは、加持さんとシンジなのよ。 「じゃあ、良いわよね。良かった〜っ。ねえ、ミサトこれを見て。」 そう言って、アタシはミサトに左手の薬指に輝くダイヤの指輪を見せたの。 「なっ、ア、アスカ。そ、それは…。」 あら、ミサトったら、思った以上に真っ青な顔になったわ。 「そうよ。今日、アタシは誰かさんと婚約したの。この指輪をくれたのが誰か、ミサトな ら分かるわよね。今日は、そのお祝いなのよ。」 でも、ミサトは加持さんを物凄い目で睨んだの。 「加持っ!アンタ、こんな娘を騙すなんて、どういうつもりよ。」 「騙してはいないさ。心外だな。」 「冗談じゃないわ。とにかく反対よ。アスカ、あなたは騙されているわ。婚約なんて止め なさい。」 「何でよ。それこそ冗談じゃないわ。理由を言いなさいよ。」 「加持はね、どうしようもない男だからよ。だから、こんな男に騙されちゃ駄目よ。」 あらあら、ミサトったら、素直じゃないんだから。アタシはとっておきの手を使うことに したわ。ミサト、嘘ついちゃってごめんね。 「でも、もう遅いわよ。アタシのお腹には、赤ちゃんがいるもの。」 「何ですって!」 ミサトの顔が、蒼白になったわ。 「だから、もう遅いのよ。せめて、子供を産む時には、婚約位していたいのよ。」 それを聞いたミサトの目から、静かに涙がこぼれ落ちたわ。げっ、ちょっとやり過ぎちゃ ったかしら。 つづく(第28話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  シンジとの婚約を報告するつもりが、あらぬ方向へと話が進みます。果たして、アスカ の目的は?   2002.7.2  written by red-x



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