新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第123話

「い、嫌です。絶対に女体盛りなんて嫌ですよ。」 ユキはそう言って首を横に振り振りしたわ。でもねえ、アタシには分かっているの。それ がユキの本心じゃないっていうことをね。だから、ユキの本心を尊重しなくっちゃね。 「ユキ、分かってるわ。嫌だけど、本当はやってみたいのよね。うんうん、よっく分かる わ。だから、ユキの女体盛りは決定事項ね。」 アタシがそう言うと、ユキは真っ青な顔になったわ。 「あ、あの〜、惣流さん。本当に嫌なんですけど。」 そうやって、ユキがあくまでも本心を隠そうとするもんだから、アタシはちょっと演技す ることにしたの。 「えっ。アタシのことが嫌ですって!」 アタシは、呆然とした顔をしたわ。そしたら、ユキは慌てちゃったの。 「ち、ちがいますっ!惣流さんのことは嫌じゃないですっ!」 「だったら、女体盛りはするのね。別に、アタシのことが嫌なら断ってもいいけど。」 アタシが冷たい声でそう言ったら、ユキは、しばらく考えた後、ようやく本心に従ったわ。 そう、首を縦に振ったのよ。 「わ、分かりました。私が言い出したことですし、私、やります。ですから、私が惣流さ んのことを嫌じゃないってことは、信じて下さい。」 「ええ、いいわ。」 ほらね。ちょこっと脅かすと、ユキは本心を露にするのよ。でもね、ヒカリが横から口を 出したの。 「ねえ、アスカ。本当にいいの?」 「いいに決まってるでしょ。ユキも、本心ではやりたいのよ。」 「でもさ、アスカ。碇君がユキの裸を見るのよ。恋人としては、それでもいいの?」 「あっ…。」 そうか、下手にユキの裸なんて見たら、シンジはユキと仲良くなってしまうかもしれない じゃない。それはまずいわ、本当にまずい。 「ユキ、ごめんね。やっぱり女体盛りはシンジのいない時にしてね。相田君とユキの二人 っきりの誕生会とかね。」 そしたら何故か、ユキはほうっと残念そうにため息をついたわ。そうか、やっぱり本心で はやりたかったのね。ごめんね、ユキ。ユキの女体盛りは、相田の誕生会で必ず実現させ るから、それで許してね。アタシは、心の中でユキに謝ったわ。 *** ファーストフードでの打合せは、1時間ほどで終わったわ。アタシはヒカリやユキと別れ て、そのままネルフに向かったの。そして、真っ先にリツコの所へ向かったわ。 「はーい、リツコ。調子はいかがかしら。」 アタシがリツコの部屋に入ると、リツコは少し驚いていたわ。 「あら、アスカ。あなたが来るなんて、珍しいわね。一体、何の用かしら。」 「あのさ、リツコ。ちょっとお願いがあるの。聞いてくれるかしら。」 「お願いの内容によるわね。」 うっ、やっぱりそう来たわね。まあ、予想通りだわ。 「実はね、今度の土曜日がシンジの誕生日なのよ。それで、土曜日にテニス部員全員呼ん で誕生会をするんだけど、次の日曜日にもネルフ関係者だけで誕生会をしたいなあって思 ったの。リツコはどう思う。」 「そうねえ、悪くはないかしら。シンジ君はあの性格だし、いつもアスカの陰に隠れてい るから、ミサト以外の人とはあまり馴染んでいないみたい。誕生会を機会に、シンジ君と 私達が少しでも良い関係になれるなら、意義はあるかしらね。」 ほう、やっぱりそう来るか。まあ、理由はともかく、シンジとリツコ達の親睦を深めるの は良いことよね。 「じゃあ、リツコは賛成してくれるのね。」 「ええ、そうね。」 「じゃあさ、マヤに声をかけてくれないかしら。で、マヤから青葉さんに声をかけるよう にして欲しいの。」 「あら、どうして。」 「だって、リツコが頼めばマヤは首を縦に振るし、マヤが頼めば青葉さんは絶対OKだし。 日向さんはミサトから頼めば断れないでしょ。」 「あら、お見通しなのね。全く、子供に見透かされるなんて、恥ずかしいわね。」 「でさ、リツコには碇司令にも声をかけて欲しいのよ。」 「ブッ!」 アタシが碇司令の名前を出した途端、リツコは吹いちゃったわ。 「あのね、アスカ。そういうことは、シンジ君から言うべきじゃないかしら。」 「そんなの無理よ。シンジは司令のことを怖がっているし。だから、司令と一番仲の良い 人から頼んでもらうのがいいのよ。」 「アスカ、何か勘違いしていない。司令が一番仲が良いのは、副司令よ。」 「表面上はでしょ。でも、実際にはリツコの方が仲が良いわ。アタシはミサトと違うわよ。 同じ情報源からでも、ミサトの倍以上の情報を得られるのよ。」 リツコは、しばらくアタシのことを睨んでいたけど、急にため息をついたわ。 「まあ、いいわ。どっかの誰かさんが、アスカに変なことを吹き込んだのね。誤解される のは嬉しくはないけど、特に害がある訳じゃないから、そう思いたかったらそれでもいい わ。」 ふうん、そうやってごまかそうとしているのね。だから、アタシはカウンターを食らわせ たの。 「誤解を解いて欲しかったら、司令にリツコと同じ香水の匂いを漂わせないように頼むこ とね。それから、休暇は同じ日に取らないとか。他にも色々あるけど、誤解を招く様なこ とは止めた方がいいかもね。」 「…ええ、分かったわ。」 さすが、リツコ。動揺していても、声や表情には現れなかったわ。でもね、返事が遅れた のは致命的よ。それにね、リツコ。アンタには、司令とは綺麗さっぱり縁を切ってもらう つもりだから、覚悟しなさいよ。 こうして、アタシはリツコに対して、事実上の宣戦布告をしたわ。おそらく、リツコには 分からなかったろうけどね。 つづく(第124話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  シンジの誕生会は、何だか荒れそうな気がしてきました。   2005.3.31  written by red-x



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