新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第119話

アタシとシンジは急いでネルフに向かい、エヴァに乗り込んだの。シンジにせがまれて、 −と言うよりも駄々をこねられて−途中でエナジー・チャージをしたから、シンジは元気 一杯なはずよ。 「アスカ、シンちゃん、用意はいいわね。」 ミサトに聞かれて、アタシ達は元気よく返事をしたわ。 「いいわよっ!」 「いいですよ。」 「よしっ!エヴァンゲリオン、発進!」 ミサトの言葉に僅かに遅れて、エヴァが発進されたわ。途端に体に凄いGがかかる。でも、 普段特訓しているからこれ位はなんてことないわ。少なくともアタシはね。まあ、多分シ ンジも大丈夫でしょ。 アタシはミサトに使徒の情報を頼んだんだけど、もらい終わる前に地上に出てしまったわ。 ちっ、しょうがないわね。アタシは両手にライフルを構えると、使徒に向かって歩いて行 ったの。 ちなみに、レイはまだ起動実験が上手くいっていなくて出撃出来ないそうだから、アタシ とシンジの二人で戦うことになったのよ。 「シンジ、アタシの位置が分かる?」 もちろん、アタシはシンジの位置を把握しているが、シンジは慣れていないからちょっと 不安だわ。 「ええっ、アスカ。今どこにいるのさ。全然分からないよ。」 かーっ、やっぱりね。まっ、シンジは素人に毛の生えたような状態だからしょうがないか。 「いい、良く聞いて。シンジから見て、時計の2時の方向2000mの位置に使徒がいる わ。ゆっくりと近寄ってね。それから、プログナイフを用意しておくのよ。」 「うん、分かった。ゆっくりと近寄るんだね。」 やっぱり、シンジには高度な要求は無理のようね。機械を操作すれば、味方の位置や敵の 位置なんか一発で分かるのに。まっ、シンジが慣れるまではアタシが口で分かりやすく指 示すればいいけど。 先日ミサトとみっちり打ち合わせたんだけど、次の使徒が遠距離攻撃をしない奴だったら シンジが前衛で、アタシが後衛って決めていたの。アタシはオールラウンドプレーヤーだ けど、シンジはまだ後衛を上手く務められないと思うから。 アタシが前衛で、後ろから銃弾を浴びせられたらシャレにならないじゃない。今のシンジ だったら十分あり得るわ。いくらシミュレーションでそこそこ上手くいってても、実戦で ちゃんと働けるかどうかは運次第だもの。 それに、シンジじゃ臨機応変に対応出来ないじゃない。アタシだったら遠距離支援も出来 るし、必要とあらば近接戦闘に移るのも素早いしね。 でも、今のところはシンジは及第点かな。アタシの指示に忠実に従って、使徒に見つから ない様に上手く近寄っているわ。シンジがある程度使徒の側に近寄ったのを確認すると、 アタシはシンジに命令したわ。 「いい、シンジ。アタシが銃を撃ったら、それを合図にして使徒に飛び掛かりなさいよ。 いいわね。そして、ナイフで思いっきり突き刺しなさい。」 「うん、分かった。」 アタシは、使徒に狙いを定めた。うわあ、何てへんてこな奴なの。なんて言うか、イカみ たいね。見ようによっては、シンジの芋虫ちゃんに目を描いたみたい。おっと、余計なこ とを考えるのはやめよう。集中、集中と。 アタシは、ライフルを構えて使徒に狙いをつけたわ。ライフルの弾は、アタシの意見を採 り入れて、劣化ウランの代わりに高いタングステンを材料にした弾を使っているの。劣化 ウランだと、固い物に当たると粉塵みたいなのが発生して視界が悪くなるかもしれないっ て言ってやめてもらったの。 放射能の問題はないらしいんだけど、人体に悪影響が出る可能性があるような危ない材料 は正直使いたくないわ。でもそんな理由じゃ通らないから、別の理由を考えて止めてもら ったのよ。 よし、使徒が射程内に入ったわね。アタシは向かってくる使徒の頭らしきところに狙いを 定めて、ライフルを連射したの。そうしたらね、なんと使徒は飛ぶのを止めて胴を地面に つけて立ったのよ。 「うわあああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっ!」 そこにシンジが雄叫びをあげながら突っ込んで行ったの。すると、使徒の体から光る糸み たいなものが出てきたの。アタシはなんだか嫌な予感がして、その糸にライフルを撃ち込 んだの。 アタシは左右両方とも使えるから、両手にライフルを持って使徒の左右の糸を撃ち続けた の。弾はちゃんと糸に当たったんだけど、糸は全然切れる気配が無かったわ。うーん、こ の攻撃って効果があるのかしら。 「ドッカーン!」 その時、シンジはナイフで突き刺すのに失敗して体当たりになっちゃったのよ。なあに、 シンジったら。あんな近い距離でどうして外すわけえ。なんて言ってる場合じゃないわね。 「シンジ!紅い玉をナイフで刺してっ!」 「えっ!タマタマ?」 何言ってるのよ、このバカ!スケベ!トンチンカン! 「タマタマじゃないのっ!紅い玉よっ!一つ目みたいな奴よっ!」 「うん、分かった。」 アタシの命令に従って、シンジは使徒の紅い玉にナイフを突き刺したわ。アタシはという と、標的を使徒の出す糸の根元辺りに変えてライフルで撃ちまくっている。幸い、使徒の 反撃はまだないわ。 「うおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!」 シンジは意味もなく雄叫びをあげ続けている。でもまあ、士気を高揚させているかもしれ ないから何も言わないほうがいいわね。そうして30秒ほど経った時かしら、ミサトから 通信が入ったのは。 「シンちゃん!アスカ!やったわ、使徒を倒したわよっ!」 それを聞いて、アタシの肩の力が抜けたわ。するとシンジから通信が入ったの。 「アスカ!やったんだよね、僕がやったんだよね。」 シンジったら、すっごく嬉しそうな顔をしていたわ。勝てて嬉しいのね。 「ええ、そうよ。シンジ、良くやったわね。」 アタシが微笑むとシンジが極上の笑顔を浮かべてこう言ったの。 「一緒にお祝いしようね。」 げっ、忘れてた。敵を倒したら、お祝いに一緒にお風呂に入る約束してたんだっけ。アタ シは海でケダモノと化したシンジを思い出して、ちょっと心配になったわ。でも、約束を 破る訳にはいかないわよね。トホホホホ…。 つづく(第120話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  シンジは、2戦目にして戦力として活躍します。今回はアスカの活躍はありませんでし たが、シンジの成長はアスカの予想を上回っているようで、先行きは明るそうです。   2005.1.20  written by red-x  



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