新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第104話

今日は火曜日、テニスの日よ。アタシにとっては、使徒との戦いのことを忘れて気を抜け る、数少ないひととき。 「さ〜て、そろそろ本気でテニスをしようかしら。」 着替えている最中にそう呟いたら、石田部長がすっ飛んできたわ。 「そ、惣流さん。今言ったことって、本当なの?」 何よ、アタシが嘘を言うような人間に見える訳えっ?アタシは少しむっとしたけど、そん なことは顔に少しも出さずに、にっこりと言ったわ。 「ええ、本当です。先週はかなり力を抑えていたんですけど、徐々に本気で力を出そうと 思っています。それが何か?」 「えっ、ええっ。先週のあれ、本気じゃなかったの?」 あれ、先週の金曜日になにかあったかしら。確か、海に行く準備をした日よねえ。そうい えば、3年生のレギュラー達と試合形式で練習したわね。それで、3年生を全員コテンパ ンにしちゃったっけ。 「あっ、ああ。あの時のことですね。考え事をしていましたから、抑えたつもりで、力を 抑えそこなったかもしれませんね。」 でも、部長はさらに目を大きくしたわ。 「か、考え事をしてたの?それで、あの実力なの?」 「まあ、そうですね。本気になったら、あんなもんじゃありませんから。」 なんたって、アタシは天才美少女だから、ね。 「そう…。だったら、惣流さんには個人戦に出てもらおうかしら。」 えっ。それじゃあ、話が違うじゃない。アタシはシンジと一緒に試合をしたいっていうの に。 「ちょ、ちょっと待って下さいよ。アタシは、譲れない条件として、試合の時はシンジと のダブルスに限るって言ったじゃないですか。」 アタシが眉を吊り上げたのを見たせいか、部長の顔はみるみるうちに青ざめていったわ。 「ちょ、ちょっと話を聞いてよ、惣流さん。確かに約束したけど、それは公式戦以外の場 合なのよ。公式戦ではね、男女一緒に試合をすることはないのよ。」 な、ぬあんですってっ! 「そ、それじゃあ話が違います。アタシはシンジと一緒じゃなければ試合には出ませんか ら。」 きっぱりと言うアタシに対して、部長は最初はもごもご言っていたけど、直ぐに諦めたよ うでどっかに行っちゃったわ。そしたらユキが近寄って来たの。 「そ、惣流さん、ごめんなさい。私がちゃんと言えば良かったんですね。」 申し訳なさそうな顔をするユキに、アタシは色々聞いてみたのよ。そしたらね、日本には 男子校やら女子校やらがあって、男女混合ペアというのが組みにくいらしいのよね。だか ら公式戦では男女別々らしいのよ。 「ふうん、なるほどねえ。」 頷くアタシに、ユキはさらに説明したわ。 「でも、学校対抗戦では男女混合ダブルスが一般的ですし、公式戦よりも学校対抗戦の方 が試合としては多いらしいです。とはいえ、公式戦は重要なんです。」 そうか、それならそうと言ってくれればいいのに。アタシもちょっと早合点しちゃったよ うね。要は、公式戦ではシンジとは一緒に組めないから、それならいっそのこと個人戦に 出たらということだったのね。 「そうだったの。でも、どうしようかなあ。」 事情は分かったけど、それでもシンジと一緒に試合に出たいわ。だから、何か良い方法は ないか、考えないとね。 *** 「いただきっ!」 アタシが5分の力でスマッシュしたら、ボールは相手のコートに勢い良く突き刺さったわ。 これで3年生で一番強い先輩からちょうど6ゲーム奪ったわ。 「惣流さん、強いわねえ。全然敵わないわ。」 先輩が握手を求めてきたから、アタシはその手を握り返したの。 「まだまだ、こんなの序の口ですよ。アタシはもっと強くなりますよ。」 「あら、頼もしいわね。混合ダブルスしか出ないなんて、本当にもったいないわね。」 「まあ、こちらにも色々事情がありまして。」 なんて話をしていたら、部長とシンジが連れ立ってこっちにやって来たの。 「ねえ、惣流さん。もう一度考え直してくれないかしら。」 部長が頭を下げたんだけど、アタシは冷たく言い放ったわ。 「悪いですが、お断りします。」 「そ、そんなあ…。」 部長は泣きそうな顔になったわ。ふん、でも泣き落としなんて、アタシには通じないわよ。 「ねえ、アスカ。僕からもお願いするよ。アスカと一緒に混合ダブルスもしたいんだけど、 アスカがカッコ良く勝つところも見たいんだ。」 今度はシンジだわ。シンジの頼みじゃ、簡単には断れないわねえ。でも、本心からそう思 っているのかしら。試してみないとね。アタシは、シンジの耳元でこう囁いたの。 「本当にそう思うなら、アタシのこと愛しているって、今すぐ大声で言って。」 そしたらね、シンジったら本当に言ったのよ。 「アスカっ!愛してるから、試合に出てっ!お願いっ!」 ば、ばかっ!こいつったら、冗談が通じないのね。信じらんないわ、本当に恥ずかしいわ ねえ。アタシは思わず顔が赤くなっちゃったわ。 「ん、もうっ、シンジったら。恥ずかしいわねえ。」 「えっ、でも、ア…」 そこまで言ったところで、アタシはシンジの口を塞いだわ。余計なことを言われちゃ敵わ ないからね。 「分かったわよ。シンジがアタシのことを愛しているのは分かったから、これ以上は言わ ないでね。分かった?」 シンジは首を縦にコクコク振ったから、アタシの言いたいことが分かったようね。アタシ はシンジの口から手を離したわ。そしたらね、 「あの、惣流さん。今の話は…。」 部長が縋るような目でアタシを見たわ。アタシは、ふうっとため息をついてから言ったの。 「本当は嫌だけど、シンジがそこまで言うならいいわ。でもね、条件があるの。アタシが 試合に出ている時、シンジが応援してくれるならいいわよ。」 「うん、いいよ。アスカのことを精一杯応援するよ。」 シンジはニコニコしながらそう言うの。そんなシンジの耳元で、アタシは再び囁いたの。 「家に帰ったら、マッサージもしてよね。」 「うん、いいよ。喜んで。」 こうして、アタシが公式戦に出ることが決まったわ。 つづく(第105話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  シンジと一緒にテニスの試合に出るつもりだったアスカでしたが、ちょっと計算が狂っ たようです。でも、シンジが応援してくれることを条件にしたので、シンジとはいつも一 緒にいられることになりそうです。  それにしても、恥ずかしげも無くアスカのことを愛していると言うシンジに、さすがの アスカも戸惑ったようです。でも、内心では大喜びかも。  2004.5.30  written by red-x



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