新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ


第14話

アタシとシンジは、仲良く一緒にお料理したの。でも、楽しい時間はあっと言う間に過ぎ るものなのね。7時前には準備も終わって、いつでも食べられる状態になって、ミサトを 待つだけになったのよ。 *** ミサトは、7時半に帰ってきたから、すぐにご飯にしたわ。そして、昨日と同じように、 3人でお鍋をつついたの。そうしたら、ミサトが探りを入れてきたわ。 「ねえ、アスカ。検査は何時に終わったの?」 「1時過ぎかな。」 「ふ〜ん、それからどうしたの。」 「うん、4人でお弁当を食べたの。」 「えっ、お弁当!一体誰が作ったの?」 「いや〜ね、作った本人を前にして、何言ってるのよ。」 「えっ、アスカったら、お弁当なんか作れたんだ。」 「そんなの、もちの、ろんよ。」 「えっと、じゃあさあ、私の分も作ってほしいなあ。」 あら、嫌だ。ミサトの目が光っているわ。これは、浮いた食費をビールに回そうっていう 魂胆が見え見えね。 「嫌よ、面倒だもの。」 「え〜っ、そこを何とか。」 「そこまで言うなら、学校のお弁当を作る日ならいいけど。一つ余分に作るだけだから。」 「アスカ、サンキュー。」 ミサトったら、手を会わせて、ペコペコしだしたわ。止めてよね。シンジが目を丸くして いるわ。ちょっとからかってみようかな。 「その代わり、ビールを買うのは無しね。」 アタシが言った途端、ミサトの顔が真っ青になったわ。シンジも笑っているわね。 「冗談よ、冗談。全く、ミサトったら、しょうがないわねえ。お酒を少しは控えなさいよ ねっ。」 「へへへへへっ、ごみん、ごみん。」 ミサトったら、ペコペコしだしたわ。本当に、ミサトの頭の中って、ビールのことしか無 いのかしら。しょうがないわねえ。 あら。お鍋を見たら、鶏肉ちゃんがもう無いじゃない。シンジの仕業ね。 「ねえ、シンジ。ちょっと、あっちを見て。」 シンジがつられてアタシが指した方を見ている間に、ワタシはシンジのお茶碗の上に乗っ ていた鶏肉ちゃんをかっさらったの。 「あ、アスカさん、酷いな。」 「シンジ君だって、酷いわよ。アタシ、まだ一口も食べていないのよ。」 「あっ、そうなの。じゃあ、僕の方が悪かったんだね。ごめんね。」 「あらあ、ふたりとも、仲が良さそうね。お姉さんに、そこんところをしっかり教えて欲 しいわね。」 「ねえ、シンジ君。ミサトったら、もうビールが嫌いになったみたいよ。だから、アタシ のビールは本部に持って行きましょう。」 「ちょ、ちょっと、何でそうなるのよ。」 「ミサトさんが、アスカさんをからかうからですよ。」 「あ〜ん、アスカ〜。ごめんね〜。だから、許して〜。」 「もう、人をからかう時は、相手を見てからにするのね。」 そう言って、アタシはぷんぷんしたの。 「アスカさん、ミサトさんもこう言っていることだし、許してあげようよ。」 「まあ、シンジ君がそこまで言うなら、許してあげてもいいけど。」 「あ〜、良かった。じゃあ、アスカの気が変わらないうちに、飲まなきゃ。」 「ミサトったら、強引にそっちに話を持っていく訳ね。」 「ミ、ミサトさんって、最初に会った時の印象と、ずいぶん違いますね。」 シンジも明るい酔っぱらいのミサトにたじたじみたい。 「あ〜ら、シンちゃん、冷たいことを言わないでえ。ビールは、私にとっては、大事なお 薬なのよ〜ん。」 もう、ミサトったら、赤くなっちゃって。げっ。いつの間にか、ビールの缶が5本も転が っているじゃあないの。 そんなこんなで、アタシは見事にミサトの追及をかわすことに成功したの。そして、ミサ トの酔っぱらった姿をネタにして、シンジとケラケラ笑ったわ。シンジも、最初に出会っ た時の印象と、随分変わったっていう感じがするわ。 良く笑うようになったし、あんまり自虐的なことや内罰的なことを言わなくなったし。も っとも、変なことを言おうものなら、アタシが口を塞いじゃうけどね。もちろん、アタシ の唇でね。 食事が終わったら、お次は楽しいデザートよ。今日は、フルーツポンチにしたの。白桃と みかんとパイナップルの缶詰に梨を加えて出来上がり。もちろん、コーヒーも一緒よ。ミ サトは、ビールだったけどね。 デザートを食べている間に、明後日に転校する中学校の話を、ミサトから聞いたの。アタ シとシンジは同じクラスになるそうよ。しかも、ファーストチルドレンも一緒のクラスだ そうよ。何でも、警備の都合とからしいわ。 制服は、明日に届くそうなの。ちょっと楽しみね。シンジの制服姿は見たけど、アタシの 制服姿は見たことないものね。予知夢にも、あんまり出て来なかったし。 後は、用意するのはカバン位ね。教科書類は初日に学校でもらえるみたいだし、ノートパ ソコンも学校で用意してあるそうだし。後は、上履きだけど、これも注文済で、学校で受 け取れるらしいのよ。 アタシもシンジも、学校をネタにして盛り上がったわ。あっ、そうそう。気になって調べ てみたけど、昨日の使徒との戦いで、怪我をした人は出なかったらしいの。流石は、アタ シね。でも、何か忘れていたような…。 まあ、いいわ。思い出せないっていうことは、どうでも良いことなのよね、きっと。後は 前向きに生きるべし。 こうして、アタシ達は楽しくおしゃべりしたの。ミサトも、大学時代の話を、色々と披露 してくれて、結構面白かったわ。 そんな楽しい時間も、直ぐに過ぎ去って、お風呂タイムになったわ。そして、それが済ん だら眠るのよ。 今日は、特にアクシデントが無かったわ。ちょっと残念だけど、たまにはそうじゃなくち ゃね。えっ、たまにしかないからアクシデントだって。そんなの分かっているわよ。けど ね…。  アタシ達3人は、昨日と同じで、一緒に眠ることにしたわ。もちろん、アタシとシンジは 手をつないで寝たわ。 つづく(第15話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  今回は、特に何も起きず、普通の夕食の団らん風景だけです。たまには、こういうのも いいかも。 2002.4.2  written by red-x



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