新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ


第12話

結局、シンジはアタシが説得して、ネルフへ一緒に行くことになったの。リツコの検査を 1日中受けるっていう、ちょっと嫌な理由だけどね。 でも、ミサトがいくら言ってもウンと言わなかったシンジだったけど、アタシが頼んだら 割合簡単にOKしてくれたの。これって、とっても嬉しいじゃない。 てな訳で、アタシ達は、ネルフへと向かったの。 *** ネルフへは、ミサトの車で行ったわ。ミサトには、十分釘を刺しておいたから、それほど 乱暴な運転では無かったわ。 アタシ達は、ネルフへ着くと、真っ直ぐリツコの部屋に向かったの。ミサトはそこでおさ らばしたわ。そうして、リツコと一緒に実験室みたいな所に連れられて行ったの。 そこで、アタシとシンジは、みっちり4時間も色々な検査を受けたのよ。特に、シンジは エヴァに乗るのは初めてじゃない。結構念入りに検査されたのよ。やっと解放された頃に は、1時を回っていたわ。 「二人とも、ごめんなさい。これからの戦いに、是非とも必要な検査だったの。協力して くれて、本当に有り難う。」 そう言って、リツコはにっこりと笑ったわ。それを見て、不機嫌だったシンジの顔が、ち ょっとだけ、にやけたのよ。まったく、この浮気者。アタシはシンジを睨みつけたら、シ ンジったら、やっと気付いたようで、バツの悪そうな顔になったわ。 そこで、怒っても良かったんだけど、それじゃあ、シンジに嫌われちゃうじゃない。だか ら、アタシは、我慢してこう言ったの。 「皆で、お弁当食べましょう。」 アタシがそう言ったら、リツコもマヤも、驚いたような顔をしたわ。でも、シンジはニコ ニコしたの。そして、こう言ったのよ。 「アスカさんのお弁当、楽しみだね。」 それを聞いたリツコは、シンジに、何やらひそひそ話を始めたの。でも、すぐににっこり したわ。後で聞いたんだけど、ミサトが、アタシの料理の腕のことを、ミサトと同じ位だ って言ったらしいのよ。それじゃあ、誰も怖がって、食べないじゃないの。 でも、シンジが昨日アタシの料理を食べて、とてもおいしかったって言ったのを聞いて、 安心したらしいの。まったく、冗談じゃないわよね。 と、まあ、色々あったけど、アタシ達4人は、そこでお弁当を広げることにしたの。 「時間が無かったから、大したものが作れなかったの。だから、冷凍食品が多いの。」 アタシは、皆がお弁当を広げる前に、一応そう言っておいたわ。でも、シンジはこう言っ てくれたの。 「アスカさんが作ってくれたお弁当だから、きっとおいしいよ。」 って。アタシ、それを聞いて、凄く嬉しくなっちゃったわ。シンジって、優しいのね。ア タシ、シンジのこと、好きになっちゃうかもね。 真っ先にシンジがお弁当を開けたの。そうして、ニコニコしながら食べていったわ。それ を見ていたリツコ達も、お弁当を開けたの。 中身は、3段重ねののりご飯に、海老フライ、ミニハンバーグ、コーンコロッケ、ポテト サラダ、プチトマト、スパゲッティー、タコ焼き、梨といった感じね。 もちろん、シンジのご飯の量は、皆より5割増しで、他のおかずも大目にしたわ。特に海 老フライは、アタシが3本に対して、シンジは6本よ。そのうえ、シンジの海老は、他の よりも良いやつなの。梨も、皆が2切れに対して、4切れ入れたの。おかげで、シンジは ちょっと恐縮していたみたい。 リツコ達も、ふたを開けるまでは、こわごわっていう感じだったけど、中身を見て、種類 の多さに喜んでいたわ。味はともかく、種類は多いものね。その代わり、ちゃんと作った のは、海老フライだけなのよ。 もっとも、海老が入っているから、誰も文句言わないっていうことは分かっていたけど。 海老は、15尾で980円のブラックタイガーじゃなくて、もっと良い海老だもの。普通 の人なら、これを見ただけで喜ぶわよね。 ハンバーグは、一応ちゃんと作ったものを冷凍にしておいて、朝に急いで焼いたの。コロ ッケは、冷凍の、5個で100円のものなの。ポテトサラダは、昨日買ったお惣菜だし、 スパゲッティーとタコ焼きは、冷凍されたものを、レンジでチンしたものなの。 だから、ちょっとだけ不安だったけど、3人共気に入ってくれたみたい。ホッとしたわ。 「あら、アスカちゃんて、お料理が得意だったのねえ。」 「そうですね、先輩。このタコ焼きが、何とも良いですねえ。」 「この中では、海老フライが一番手が込んでいますよ。ハンバーグも、冷凍ものですが、 手作りみたいですね。」 あら、シンジったら、的確なことをいうわね。やっぱり、料理が得意なのかしら。 「でも、マヤさんの言うように、このタコ焼きを入れる所が、普通の日本人にない発想で とっても良いですね。」 あら、タコ焼きって、普通はお弁当の中に入れないものなのかしら。でも、シンジもマヤ も良いって言うから、気にしなくて良いわね。 「でも、良かったわ。アスカちゃんは、ミサトと同じ味覚かもしれないっていう不安と、 文化の違いという不安と、二つの不安があったものね。」 「そうですよね。私も、不安だったんですけど、冷凍ものが多いと言いながら、あんまり 分からないですよね。何でおいしいのかしら。」 「それは多分、ソースとかに秘密があるんだと思います。素材に合ったソースやケチャッ プなんかを使っているから、良い味がするんだと思います。」 あららっ。シンジったら、良く分かったわね。アタシ、ソースとか、ケチャップとかの類 には、結構気を使っているのよ。普通の家庭では使わないような、結構高いのを使ってい るのよ。 結局、お弁当を囲みながら、4人でわいわい喋りながら食事が出来たわ。シンジも、リツ コやマヤに打ち解けてきたみたい。良い傾向だわ。アタシの狙い通りね。これで、シンジ は、大人達ともうまくやっていけそうね。やっぱり、共通の話題って貴重よねえ。 「ありがとう、アスカちゃん。これからも、お弁当を作ってくれると嬉しいわね。」 「そうですね。とってもおいしかったわ。」 「アスカさんのお弁当、とってもおいしかったよ。有り難う。」 3人共、アタシにお礼を言ったわ。そう言われると、また作りたくなっちゃうじゃない。 もっとも、アタシはシンジがこの2人と仲良くなるまでそのつもりだったけどね。 「そうね、また今度、作ってあげるわ。」 でも、アタシは、そう言った瞬間、後悔したわ。だって、お弁当って、作るのが凄く面倒 なんですもの。あ〜あ、シンジが作ってくれないかな。 こうして、アタシ達4人の、楽しいお弁当タイムは終わったの。 つづく(第13話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2002.3.19  written by red-x



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