新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ
私の名前は森川雪。父が死に,妹と弟と3人で路頭に迷ってしまったが,私はある青年 と出会い,惣流さんの監視をする代わりに,彼は私達の生活の場を用意してくれた。いわ ば,惣流さんのおかげで私の新たな人生が始まったのだ。
外伝その7 祈りが通じた日
その後,大きな湖が出来たり,戦略自衛隊が攻めて来たりしたが,私は行くあてがない ため,逃げずにいた。惣流さんは,ネルフの病院に入院したが,私は1回お見舞いを許さ れただけで,惣流さんに会えないでいた。私の心は沈んでいた。 *** 「ねえねえ,お姉ちゃん。テレビで何かやってるよ。」 「うん,もう~何よ。」 私は,妹に言われて,テレビを見た。すると,驚いたことに,ネルフ絡みのニュースが流 れていて,「使徒という化物達と戦う少年少女達」という表題が掲げられていた。 私は,幾つかのチャンネルを回してみたが,ネルフに関するニュースばかりだった。「ゼ ーレという悪の組織と戦った少年少女達」,「人間に仲間を殺され,悲嘆に暮れる少年少 女達」などという表題が画面に見えていた。 ある番組では,ネルフの記者会見の模様を流していた。そこにエヴァンゲリオンパイロッ トに関する情報というテロップが流れた。私は,それを食い入るように見た。 『パイロットリ-ダ-:戦略自衛隊及びゼ-レのエヴァンゲリオンに襲撃され重傷を負う。 ファ-ストパイロット:戦略自衛隊の襲撃を受け戦死。 セカンドパイロット:使徒との戦闘の際重傷を負い入院中。 サ-ドパイロット:ゼ-レのエヴァンゲリオンに襲撃され軽傷を負うが完治。 フォ-スパイロット:使徒との戦闘の際重傷を負うがほぼ完治。 フィフスパイロット:使徒との戦闘の際戦死』 確か,惣流さんは,セカンドチルドレンとか言われていたから,おそらくまだ入院中なの だろう。私は,とりあえず惣流さんの命が無事であることが分かったため,ホッとした。 碇君も無事らしい。でも,ファーストって,綾波さんのことだって気付いて,涙が流れて きたわ。他にも戦死したパイロットがいる。良く,惣流さんが無事だったなと思い,私の 祈りが少しは通じたのかもしれないと勝手に考えていた。 「そうだ。写真を出してみよう。」 私は,先日病院で隠し撮りした写真を取り出して,見てみた。そこには,私の憧れていた 惣流さんの姿は,かけらも残っていなかった。げっそりと痩せこけて,魂の脱け殻みたい になった惣流さんが写っていた。 「惣流さん,早く良くなって下さいね。」 私は,何度も祈った。 *** 「ちょっと,買い物に行って来るから,いい子にして待っててね。」 私は,近くのコンビニで,ちょっとした買い物をするため,家を出た。そして,お目当て の品を見つけると,さっさと家に戻って行った。 「あれ?私の家の前に,誰かいる。」 私は,疑問に思いながらも,我が家へと向かって行った。その不審人物は,二人組で,男 と女だった。そして,女の方は車椅子に乗っている。 (一体誰だろう?) 私は,近寄ってみた。すると,それは思いがけない人物だった。 「そ,惣流さん…。」 惣流さんは,驚いて振り返った。 「おはよう。アタシは,惣流・アスカ・ラングレーよ。こっちはアタシの彼の碇シンジ。 あなたは,もしかすると,森川雪さんかしら。」 「は,はい。」 私は驚いた。まさか,惣流さんが来るとは思わなかったからだ。 「今日は,お礼を言いに来たの。」 そう言うと,惣流さんはにっこりと微笑んだ。 「も,もしよろしかったら,うちにあがってください。ここでは,何ですから。」 私は,憧れの惣流さんに会った恥ずかしさで,顔を少し赤くした。 「それじゃあ,ちょっとだけおじゃまするわ。」 惣流さんは,少し迷ったようだったが,結局来る事になった。 「シンジ,肩貸してね。」 惣流さんはそう言うと,碇君の助けを借りて,私の家の中に入って行った。 *** 「…と,言う訳で,ユキはアタシを見かけて,ネルフに連絡してくれたのよ。お蔭でアタ シは,危ない所だったけど,助かったらしいの。」 精神が崩壊して街を彷徨っていた惣流さんを見つけ,ネルフに連絡したのは,私であるこ とを惣流さんは碇君に話した。 「だから,ユキはアタシの命の恩人なの。ありがとう,ユキ。本当に何てお礼を言ったら いいか。」 惣流さんは私に頭を下げた。早速『ユキ』と呼んでしまうところが惣流さんらしい。 「そうか。森川さん,アスカを助けてくれて本当にありがとう。心からお礼を言うよ。」 碇君もそう言うと,にっこり笑った。 「えっ,そんな。私は当たり前のことをしただけですから。気にしないでください。」 私は,恥ずかしさのため,そう言って俯いた。 「でも,本当に助かったわ。ありがとね。」 惣流さんは,にっこり笑って言った。 それから私達は,学校の話題で1時間程盛り上がった。先生のこと,友人のことなどだ。 A先生と3年生のB子が出来ているらしいとか,Aの男の子とBの女の子がつきあってい るとかいった類のとりとめのない話だったが,惣流さんも碇君も,久々ににぎやかで楽し い時間を過ごしたようだった。 私達は笑いながら話していたが,私の頭には,一つの大きな疑問が生じてきた。そして, 突然,それを聞いてみた。 「あの~,さっき,惣流さんは,碇君のことを彼って言ってませんでした?」 「ええ,そうよ。」 「えっ,聞き間違いじゃ無かったんですね。」 「まあね。」 「二人がつきあっているっていう噂は本当だったんですね。」 「う~ん,本当とは言えないわね。だって,アタシ達が恋人同士になったのは,つい昨日 のことだもの。」 「えっ,そうなんですか。で,どちらが告白したんですか。」 「えっと~。」 惣流さんはチラッと,碇君の方を見た。 「実は,僕からアスカに告白したんだ。」 碇君は,恥ずかしそうに白状した。 「と,いう訳なのよ。ユキ,分かった?」 「ええ,でも,碇君のどこがいいんですか?」 「優しいところかな。他にも色々あるけどね。」 そう言う惣流さんの顔が少し紅くなる。 「ちょっと意外でしたね。でも,惣流さんが付き合う位の人だから,碇君は見かけによら ず,凄い人なんでしょうね。」 「いいこと言うわね。シンジは,そんじょそこらの軟派な野郎とは,一味違うのよ。分か る人にしか分からないけどね。」 そう言って,惣流さんの顔がパッと明るくなった。 「そうなんですか。私,碇君のこと,見直しちゃいました。碇君て,実は,凄い人なんで すね。」 「あははははは。そうでもないけどね。」 「そんなことないです。惣流さんが付き合う人ですから,碇君は凄い人なんです。それな のに,碇君は謙遜しているんですね。さすがだわ。」 私は,碇君の腰の低さに感心した。 「まあ,それ位にして。アタシも恥ずかしいし。」 「そうですね。碇君のどこがいいかについては,後でゆっくりと,詳しく聞きますから。 本人の前では言えませんものね。」 「ユキ,あんたって,そういう人だったの。」 惣流さんはちょっと驚いたような顔をした。 「ごめんなさい。でも,凄く知りたいんです。惣流さんて,人気者ですもの。」 私はそう言うと,ペロッと舌を出した。 「まあいいわ。ユキは命の恩人だし。でも,今は駄目よ。もうちょとしてからね。」 「はい,それでいいです。」 私は,惣流さんの良い返事を聞いて,にっこりと笑った。 9時半になり,そろそろ帰ろうかという時に,私は惣流さんの体調のことを聞いてみた。 「惣流さん,体調はいかがですか。」 「良くなってはいるけど,まだ,風呂も一人では入れないのよ。」 「え~っ。じゃあ,私が一緒に入りましょうか。ねっ,そうしましょう。」 「えっ。」 惣流さんは,ちょっとためらった様子を見せた後,話しだした。 「お言葉に甘えても,いいのかしら。」 「ええ,私は全然構わないわ。それどころか,お役に立てた方が嬉しいの。学校はいつ始 まるか分からないし,やることが無くて,死にそうなのよ。」 「じゃあ,お願いするわ。何時頃だったらいいのかしら。」 「そうね。6時位ならいいかしら。」 「じゃあ,待ってるわね。また後でね。」 そう言って,惣流さん達は帰って行った。 こうして,私は惣流さんとお近づきになるチャンスを得た。 (もしかしたら,惣流さんのお友達になれるかもしれない。よし,惣流さんの代わりに, 掃除洗濯炊事と全部やっちゃおうかしら。) 惣流さんとお友達になれるかもしれない。そう思うと,私の胸は弾んだ。 こうして,惣流さんが無事に退院し,しかも私の友人になってくれるチャンスを得た。私 の祈りがようやく通じたのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき ユキとアスカの最初の出会いを書いてみました。 2002.3.30 written by red-x
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