新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ


 私の名前は森川雪。父が死に,妹と弟と3人で路頭に迷ってしまったが,私はある青年 と出会い,惣流さんの監視をする代わりに,彼は私達の生活の場を用意してくれた。私は, 惣流さんを監視しているうちに,すっかり惣流さんのことが好きになっていった。  そんなある日,2−Aに霧島マナという転校生がやって来てから,惣流さんの顔色が冴 えなくなった。だが,その霧島マナが急に姿を見せなくなった。

外伝その6 祈り(6)



 霧島マナが学校に来なくなって,何日かが経った頃,惣流さんたちが,マナの所へ行く

ということを聞き,私は後を尾けることにした。メンバーは,惣流さん,洞木さん,碇君,

鈴原君,相田君の5人だった。


マナの家は,湖の上にあった。そこに惣流さんと碇君が入って行った。二人きりで。私は,

碇君が惣流さんに何かしやしないかとやきもきした。そして,しばらく経った頃,相田君

が碇君を呼んだ。


皆は,大きな足跡の近くに集まって,何かを話していた。一体,あの大きな足跡はなんだ

ろう。私は,何か嫌な予感がした。そして,結局,惣流さん達は,マナを見つけられずに,

解散した。


***


それから数日後,授業中に誰かが叫んだ。


「あっ,あれって,霧島さんじゃない!」


その言葉に,皆窓際に殺到した。確かに,あれはマナだ。何か大きな檻に入れられている。

マナの入っている檻を,戦略自衛隊の軍用車が前後を固めていた。


「酷い,あれ!」

「一体,どうしたんだ!」


教室内は騒然となり,先生が注意しても収まらなかった。私は,惣流さんのことが気にな

ったが,教室を出ることはなかった。何か嫌な予感がしたし,軍がいるところにノコノコ

と向かうのは良いことではないからだ。


私は,マナが連れ去られていくのを,呆然としながら見つめるしかなかった。


***


 後から聞いた話だが,あの後,すごいことになっていた。


マナは,急に現れたロボットに,入っていた檻ごと掴まれて,そのまま連れ去られたのだ。

それをエヴァンゲリオンが追いかけたのだが,結局捕まえられなかったという。


しかも,巨大ロボットは,軍のN2爆弾によって,完全に破壊されたという。では,一体

マナはどうなったのだろうか。ロボットと一緒だったというマナは。


碇君は,それこそ血眼になってマナを探したらしいのだが,どうやら見つけることは出来

なかったらしい。と,いうことは,マナは死んでしまったのだろうか。


私は,正直言って,マナのことが大嫌いだったが,さすがに可哀相な気がした。例え,ス

パイだったにせよ,誰かに命令されて仕方なくやったことかもしれない。そう思うと,少

しだけ,マナのことを許せる気がした。


***


 その後,何度か使徒と呼ばれる化物が,私達の街に襲いかかってきた。おそらく,惣流

さんや碇君達が撃退したのだろうが,徐々に街に大きな傷跡が目立つようになっていた。


惣流さんは,戦いに疲れたのだろうか。徐々に精彩を欠くようになっていった。あの明る

い惣流さんからは想像も出来ないほど,元気が無くなっていった。


特に,碇君と仲の良かった鈴原君が怪我で入院し,碇君も入院した頃は,惣流さんは,毎

日のように重苦しい雰囲気を身に纏っていた。


私は,碇君の怪我が酷いので,心配しているのかと思っていたが,どうもそうではなかっ

たらしい。碇君が退院して,学校に再び姿を見せた時も,惣流さんは喜んでいなかったか

らだ。


しかも,直ぐに惣流さんは学校に姿を見せなくなり,家にも戻らなくなった。私は,惣流

さんのことが心配だったが,どうにもできなかった。


そんなある日,使徒との戦いで,私達の街は大打撃を被った。街の一部が廃墟となり,或

いは湖とつながり,多くの友人が家を失った。


***


 私が,元の自分の家がどうなったのか気になって,廃墟と化した街を歩いていた時だっ

た。


「あ,あれは,惣流さん!」


私は,自分の目を疑った。惣流さんが,虚ろな目をしながら,廃墟となった町中を彷徨っ

ていたからだ。しかも,様子が尋常ではなかった。


惣流さんは,とある廃屋へと入り込み,服を脱いで,汚れた水に満たされた風呂に,その

身を浸けた。


私は,惣流さんが正気を失っていることに気がついた。無理も無い。いくら優秀とはいえ,

使徒などという化物どもと命の取り合いをしているのだ。精神的に参ってしまってもおか

しくない。例え,あの惣流さんでも例外ではなかったのだ。


「もしもし,私は,惣流さんの同級生で,森川雪といいますが…。」


私は,直ぐに助けに来るように,ネルフに連絡した。


***


 その後,惣流さんは,病院へと運ばれた。私は何度かお見舞いに行ったが,惣流さんに会

うことができず,魂の脱け殻みたいになった惣流さんを眺めることしか出来なかった。


年が明けて,正月になっても,状況は変わらなかった。私は,気が進まなかったが,任務を

果たすため,惣流さんの写真を隠し撮りした。この写真は,後で私の雇い主のところに送ら

れるのだ。


私は,家に帰って写真を見た。そこには,私の憧れていた惣流さんの姿は,かけらも残って

いなかった。


私は,惣流さんが,再び元の明るさを取り戻しますようにと,一所懸命に祈った。何度も,

何度も祈った。私は,命をかけてもいいとさえ,思っていた。


そして,これが,私の最後の祈りとなった。



(完)



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  ユキの最後の祈りはどうなったか。これは,蒼い瞳のフィアンセの外伝なので,皆さん ご存じの通りです。  祈りは,これにて終わりますが,森川雪を主人公にした外伝は,これからも書いていく つもりです。 2002.2.8  written by red-x



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