新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ



 私は何か嫌な予感がした。霧島マナが惣流さんに害を与えるような気がしたのだ。

そんな不安を振り払うように,その日から,私は一層強く祈った。惣流さんの無事を

願って。 


外伝その3 祈り(3)



 私の名前は森川雪。第三新東京市立第壱中学校の2年生だ。父が死に住まいも追い出さ

れ,妹と弟と3人で路頭に迷ってしまった。生きていくあてのない私は,父と母のいる場

所へ行こうとした。そこで私はある青年と出会った。

 彼は,謎の組織に属しており,私に惣流さんの監視を依頼した。その代わり,私達の生

活の場を用意してくれた。いわば,惣流さんのおかげで私の新たな人生が始まったのだ。
 
***
 
 私は,昨日と同じように,朝7時に起床し,朝ご飯と昼ご飯を一緒に作った。私は一足

先に朝食を済ませ,いつでも外出出来るよう準備をした。そして妹達を起こし,朝食と昼

食は二人で食べるように言い含めた。宅配便が届いたら,明日の準備をするようにとも。
 

 その日も10時になって,惣流さんが外出するのが確認された。惣流さんはまたもや男

の子と2人で連れ立って歩いていた。惣流さんは,昨日とは違うデパ−トの中を一通り歩

き回り,1時過ぎに昼食をとった。一緒の男の子は,昨日と同じくへとへとのようだった

が,惣流さんは元気一杯だった。

 
 今日も惣流さんの表情は豊かだった。怒ったり,ニコニコしたり,膨れっ面をしたり,

見ていて飽きない。元の顔が綺麗なこともあり,笑顔がとても素敵だ。私はいつしか,惣

流さんと一緒に歩く男の子に軽い嫉妬を覚えていた。もし,私が惣流さんと一緒に歩いて

いたら,とっても嬉しいのに,あの男の子はちっとも嬉しそうな顔をしていなかった。そ

れどころか,惣流さんの前で,嫌そうな顔ばかりしていた。

 
(あんたなんか,惣流さんにはもったいないのよ。側にいられるだけで幸せなのよ。何で

そんなこともわからないのかしら。)
 
 私は少しいらいらした。だが,私はいつしかある事実に気がついた。惣流さんは,男の

子の前では胸を張って元気一杯だが,男の子が側から離れると寂しそうな顔をするのだ。
 
(惣流さんは,あの男の子のことが好きなのかもしれない。)
 
 そう思うとちょっと悲しい気がした。良く考えると変なのだが,惣流さんは,私の憧れ

の対象であり,お友達になりたいと思っていた。でも,彼がいると邪魔なのだ。私は,彼

を惣流さんから離したいと思ったが,惣流さんが悲しむかもしれないことに思い至り,そ

んなことを考えるのはやめた。私は,惣流さんが元気でいればいい,そう割り切った。
 

 今日も惣流さんは,たくさんの服やら何やらを買い込んで家に帰った。相変わらず,男

の子は疲れたそうな顔をしていて,惣流さんが見ていない時を見計らって膨れっ面をして

いた。彼は惣流さんの前ではそんな顔を出来ないらしい。そんな所に二人の力関係が見て

とれて,面白かった。
 
***
 
 その日,家に着いたのは夜7時過ぎだった。私は昨日と同じように,トランクル−ムに

寄って,昨日の晩に発注しておいた食事の材料を持って行き,夕食の準備をした。


 食事の時,妹達に今日の様子を聞いてみた。2人とも午前中は,昨日の続きで,家中の

掃除をしたそうだ。お昼過ぎに宅配便が届いたため,教科書やら筆記用具やらを整理した

後,勉強をしたという。私が,『一杯勉強してね。』と妹達に言ったら,妹達は強く頷い

てくれた。
 
 私は,昨日と同じように,食事の後は仕事部屋に直行し,報告書を作った。今日は30

分ほどで出来上がった。終わった頃に,妹がお風呂の用意が出来たと言いに来た。私は,

妹達と一緒にお風呂に入り,妹達に混ざって水を掛け合って遊んだ。お風呂から出たら,

ちょっと早いが眠ることにした。
 
 
***
 
 
 翌日も,私は昨日と同じように,朝7時に起床し,朝ご飯とお弁当を一緒に作った。

妹達は給食なのでお弁当を作らなくて済むのは楽だった。私は一足先に朝食を済ませ,

いつでも外出出来るよう準備をした。そして妹達を起こし,朝食を食べたら,学校に

二人で行くようにと言うと自分の部屋に戻った。二人は顔を洗った後,のんびりと朝

食をとり,歯を磨いてから家を出た。その間,私は監視カメラを覗いていた。しばら

くして,惣流さん達が家を出たため,私も急いで家を出た。

 
 家を出たら,惣流さんからかなり離れた所を歩いて,二人の後を尾けた。あまり近

づくとわかってしまうし,遠すぎても様子が分からない。私は,心持ち離れて二人の

後ろを歩いて行った。

 
 学校に着くと,惣流さんが下駄箱で何かを思い切り踏んづけているのを見かけた。

後で分かったのだが,全部惣流さん宛てのラブレタ−だという。やっぱり,男の子達

の目は節穴ではない。あの素晴らしい惣流さんを好きにならない方がおかしいのだ。

私は少しだけ良い気分になった。
 

 授業が始まると,途端に気が抜けた。それまでの緊張感が一気に無くなるからだ。

でも,気を取り直して,私は勉強に専念した。今の私には,勉強出来る時間は,学校

の中にいる時しかないからだ。私は,先生の話を集中して聞いた。

 
 休み時間になると,私は必ず2−Aの前を通り,横目で惣流さんを眺めた。惣流さ

んが見当たらない場合は,校舎の中を探し回った。たまに惣流さんは,木陰で寝転が

ることがある。私は,そんな惣流さんを遠くから眺めるのが好きだった。

 
 お昼は,惣流さんはヒカリさんという人と食べている。そして,天気の良い日には

外で食べているのだ。そんな時は,私も遠く離れてお弁当を食べる。こんな時は,ヒ

カリさんが羨ましく思う。

 
 放課後は,その日によってまちまちだ。惣流さんは,ネルフに直行することも多い。

そんな時は,私はネルフの入り口まで尾いていって,惣流さんがネルフの中に入って

いったのを見届ければ,その日の仕事は終了になる。その後は,私は家に帰り,妹達

と遊んだり,勉強を見てあげたり,宿題をやったりして1日を終えるのだ。

 
 惣流さんが買い物をしにデパ−トへ行く時は,私も後を尾ける。こんな時は,妹達

に何か買ってあげられそうな物を物色しながら時間をつぶす。そのうち,私はある法

則に気が付いた。惣流さんの同居人の碇君が一緒の時は,惣流さんは必ず服を試着し

て碇君に見てもらう。何度も何度も見てもらって,やっと服を買うのだ。そして,買

った後の惣流さんは,必ずと言っていいほど,ニコニコする。げっそりとした顔をし

た碇君と対照的に。私は,碇君と替わりたいなと思った。
 

 私は,もう一つの法則にも気付いた。ヒカリさんと一緒の時は,買うのは下着だ。

さすがに碇君と一緒の時には下着は買わないらしい。これは,碇君と惣流さんの仲が

親密でないことを意味する。碇君が惣流さんの下僕だという噂は本当かもしれない。
 
 
***
 
 
 落ち着いた日常が過ぎていったが,とある夜に,非常事態宣言がだされた。。私は

惣流の所を覗いたら,何と,惣流さんが裸でベランダに出ていた。私は,この幸運を

逃さず,惣流さんの裸を録画した。これは宝物になるだろう。

 なお,数瞬後,惣流さんは,碇君を蹴り飛ばしていた。
 
 
***
 
 
 その翌日,2−Aと2−Cに転校生がやって来た。二人とも女の子だ。二人とも,

あの青年が言っていた,私と同じ,謎の組織のエ−ジェントだろう。惣流さんと同じ

クラスに来たのは,霧島マナという女の子だ。
 

 私は何か嫌な予感がした。霧島マナが惣流さんに害を与えるような気がしたのだ。

そんな不安を振り払うように,その日から,私は一層強く祈った。惣流さんの無事を

願って。
 
 
 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2001.10.5  written by red-x



テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル