新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ


第98.5話 暗殺

「今回の失態は、全て貴様のせいだな。ランブロよ。」 その声と同時に、4人の男が、ランブロを鋭い目つきで見据えた。今、スコピエ近辺のゼ ウス秘密基地の中で、5人の男が集っていた。いずれも秘密組織「ゼウス」の最高幹部で ある。 「何か、申し開きはあるか?貴重なエヴァンゲリオンを4体全て失い、イラクからも撤兵 を余儀なくされた今、我々の計画は取り戻しがきかないほど遅れている。それもこれも、 ネルフの奴らに付け入る隙を与えた貴様のせいだ、ランブロよ。」 「バグダッドなど、ゆっくりと攻め落とせば良かったものを。功を焦って攻め急ぎおって。 サウジアラビアを得られず、イラクとイランを失った影響、決して小さくはないぞ。しか も、我が連邦は分断されてしまったではないか。これは、由々しき事態だぞ。」 「しかも、バグダッドの大虐殺事件のせいで、こちらに有利に傾きかけていた国際世論が、 見事にそっぽを向いてしまったではないか。加盟国の拡大など、夢のまた夢となったわ。」 ランブロは、他の4人の幹部からさんざん責められていた。ゼウスには、ネルフと違って 最高責任者というものがいない。組織の頂点は5人の最高幹部であり、いずれも形式上は 同格の者達だった。 そのため、ランブロを庇う上司はいなかった。また、ランブロの失態の大きさは、取り返 しのつかないほど大きいことも事実であり、ランブロは黙って責められ続けるしかなかっ たのだ。 こうして、数時間にわたってランブロは執拗に責め続けられたが、今までの功績が大きい ことも有り、何とか最高幹部からの降格だけは免れた。その代わりに、最も権限の大きか ったヨーロッパの担当からは外されて、南アメリカ及びオーストラリアの担当となった。 もちろん、権限の何割かは他の者に移って行った。 ランブロの代わりにヨーロッパ担当となったのは、今までアジアを担当していた者だった。 名前はクレイトスといった。彼は、しばらく考えた後にこう言った。 「このままでは、我々の勢力拡大は困難だ。何とかしてネルフを弱体化しなければならな い。そこでだ。ネルフが我々よりも勝っているのは何だ?」 クレイトスが尋ねると、他の幹部達は次々に答えた。 「やはり、イカリ・シンジとカツラギ・ミサトだろう。この二人さえ抑えられれば、ネル フなど恐るるに足らん。」 「だが、その二人を殺す訳にはいかないぞ。人類が滅ぶ可能性がある。お前達も予言のこ とは覚えているだろうな。」 そこで、クレイトスはニヤリと笑った。 「鍵は、ソウリュウ・アスカだ。あの女が死ねば、当分の間イカリ・シンジは力を失うだ ろう。カツラギミサトも、精神的に落ち込むに違いない。私は、彼女の暗殺を提案する。」 他に良い代案があるはずもなく、クレイトスの提案は承認されることになった。だが、彼 らは知らなかった。アスカがこの事態を想定して、手ぐすね引いて待っていることを。 <休戦協定前> <休戦協定後> (第99話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  行き詰まったゼウスは、アスカの暗殺を試みます。もちろん、天才アスカはこのような 状況になることを予想して、罠を張って待ち受けています。 2005.3.24 written by red-x



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