新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ


第89.5話 悲劇〜無残に散った2輪の花〜

しばらく待機状態にあったフェイとエカテリーナであったが、フフーフからアリオスが戻り、 アデンからサーシャが戻ったため、ようやく待機状態から解放された。 「あ〜あっ、つかれたわねえ〜っ!」 フェイが大きな声をあげると、エカテリーナも大きく頷いた。 「ようしっ、冷たいシャワーでも浴びましょうよ。」 エカテリーナの提案に、フェイはにこやかに答えた。 「うん、いいわねえ。早く行きましょうよ。」 こうして、二人はシャワー室へと直行した。 *** 「お〜い、待てよっ!」 「や〜だよっ、お父さんっ!早くこっちにおいでよっ!」 「お前が走り回ると、みんなが迷惑するから駄目だっ!」 「ふ〜んだ、知らないよっと。」 シャワーを浴びてすっかり良い気持ちになった二人が歩いていると、遠くから何か人の声 が聞こえてきた。 「ん、どうしたんだろう?」 フェイが声のする方を見ると、8歳くらいの女の子を父親らしき男が追いかけていた。 「どうしたのかしら。こんなところに子供がいるなんて、おかしいわね。」 エカテリーナはうさん臭そうに声の主を見つめた。すると、遠くてはっきりとはしないの だが、少女の髪の毛は金髪で瞳が蒼いことが分かった。 「どう、エカテリーナは私よりも目がいいんでしょ。」 横からフェイが心配そうに聞いてきたので、エカテリーナは笑って答えた。 「うん、まあね。どうやら、あの子はアメリカ人らしいわね。それに顔立ちからいって多 分、スラブ系かギリシャ系かしら。」 「ってことは、イスラム教徒じゃないってことね。ふうっ、安心したわ。」 「まあ、断言は出来ないけどね。イラク人じゃないことは確かだと思うわ。」 などと話していると、その少女は目を輝かせながら近付いてきた。 「あっ、あのおっ、お姉様方はもしかして、パイロットじゃないですかっ!ねっ、そうな んでしょっ!私、お姉様方がロボットから降りるのを見たんですよっ!」 「ま、まあね。」 エカテリーナは少し顔を赤くしながら答えた。 「うわあ、かっこいいですねえっ!私、お姉様方が羨ましいですっ!悪い奴らをやっつけ て来たんですねっ!」 「ま、まあ、そうね。」 「そ、その通りよ。」 エカテリーナは、少女がスラブ系に近い顔立ちをしていることから、フェイは自分の妹の 一人と同じような年齢に見えたことから、すっかりとその少女に対しての警戒を解いてい た。 「かっこいいお姉様方に、折入ってお願いがあるんですっ!どうか、聞いて下さいっ!」 その少女が頭を下げると、エカテリーナもフェイも苦笑しながら頷いた。そして、目配せ によってエカテリーナが答えることになった。   「いいわよ、私達に出来ることなら。」 すると、その少女はにっこり笑ってこう言った。 「じゃあ、お願いっ!私と一緒に死んで下さいっ!」 「「えっ?」」 エカテリーナとフェイが戸惑っている隙に、少女は右手に持っていたスイッチらしきもの を押した。その瞬間、辺りは物凄い爆発に包まれた。その爆発は1か所ではなく、同時に 数十か所から発生した。 そしてこの時、エカテリーナとフェイの人生を刻む時は、永遠に止まってしまった。 *** ダンマームが大混乱に陥っている時、町外れで一人の男が通信装置をいじっていた。 「こちら、工作員のダリュースだ。応答せよ。」 「何だ、何があった。」 「至急バグダッドに伝えてくれ。作戦は成功した。エヴァンゲリオン4体が大破。パイロ ットを少なくとも二人殺害した。」 「何だとっ!良くやったっ!お前はサダムから勲章を賜るだろうっ!」 「俺はさらなる破壊工作を続行する。では、通信は以上だ。」 ダリュースは通信を打ち切ると、後ろを振り向いた。 「これでいいかい?」 後ろにいた男にダリュースが問いかけると、男はダリュースに向かってニヤリと笑った。 「ああ、これが褒美だ。」 男はそう言うなりダリュースに6発の銃弾を浴びせかけた。そして、ダリュースの死を確 認すると、足早にその場を去って行った。
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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  遂に、パイロットがテロの被害に! 2004.5.19 written by red-x



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