新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ


第67.5話 雨降って、地固まる

 とある喫茶店で、ミサトとリョウジが仲良くコーヒーを飲んでいた。 「ミサト、話は聞いたか?俺はシンジ君からあらかた聞いたが。」 「ええ、こっちもアスカから聞いたわ。まったく、危ないところだったわね。アンタも、 もうちょっと、霧島さんのことをしっかり管理しなさいよ。」 「ああ、面目無い。アスカを怒らせないようにって、言っておいたんだがな。」 そう言いつつ、リョウジはタバコに火を点けた。 「それじゃあ、甘いのよ。まあ、引っかかるシンちゃんもシンちゃんだけど、ゼーレの残 党が後ろで糸を引いていたら大変なことになっていたのよ。それくらい分かるでしょ?」 「それは大丈夫だ。学校の周囲は固めてあるし、今回は研修生が手助けしたっていう特殊 事情があったからだ。次は無いさ。」 「だったらいいけどね。」 「で、シンジ君とアスカの仲はどうだ?」 「まあ、雨降って地固まるっていうか、仲良くやってるわよ。シンちゃんたら、アスカの 言いなりでさ、アスカがテレビを見るときも、座椅子代わりになってるわ。」 「ほう、シンジ君も災難だな。」 「そうじゃないのよ。シンちゃんも嬉しそうな顔しちゃってさ。アスカの髪の匂いを嗅い だり、アスカの太股やお腹に手を置いたりしてるのよ。そりゃあもう、幸せ一杯っていう 感じでね。」 「よくアスカが黙って許しているな。」 「う〜ん、それが不思議なのよね。でも、シンちゃんが『テニスで疲れているだろうから、 僕がマッサージするよ。』って言って、太股を念入りにマッサージしたりしても、『ああ、 気が利くわね。』なんて言ってるし。『お腹が冷えるよ。』って言って、アスカのお腹に 手を当てても、『あったか〜い。』なんて言ったりもしてるし。」 「二人は、もう男女の仲になったのか?」 「ううん、そういう感じでもないのよね。さっぱり分からないわ。」 「でも、仲が良いのは悪くない。二人の仲が悪くなると、ネルフにとっても影響が甚大だ からな。俺の頼みを聞いてくれて、助かったよ。」 そう、リョウジはマナがシンジにアプローチすることを見越して、万一のことを考えて、 ミサトに何らかの手を打つように頼んでおいたのだ。 そこで、ミサトはリツコと一緒になって、『シンジ君は他の女の子の誘いに乗るかもしれ ないわよ。でも、それはアスカにも原因があるのを忘れないで。』と言って、万一の時に 決定的な破局が訪れるのを防ぐようにしたのだ。 実際には、リョウジが想像した以上の事態になってしまったが、奇跡的にアスカの感情が 爆発するのを防げたのである。 「なあに、良いって事よ。その代わり、今日の支払いは任せたから。」 ミサトはにっこりと笑った。今日はこの後、リョウジの奢りで酒を飲みに行くからであっ た。リョウジは、懐の財布を握りしめながら、苦虫を噛み潰したような顔になった。 (第68話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  アスカとシンジの破局を防いだのは、実はリョウジでした。もし、リョウジが手をこま ねいていたら、もしかしたらアスカとシンジは、決定的な破局を迎えていたかもしれませ ん。 2003.2.2 written by red-x



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