新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ


第30.5話 登場!ラブリーエンジェル!!


「たたかいのな〜か〜で〜 いきて〜き〜た〜 くにんのせんきと〜 ひと〜の〜い〜う〜 だがわれわれは〜 ふくしゅうのため〜 かばねとな〜った〜 とものため〜 なみだをすてて〜 あまか〜ける〜 ゆめをすてて〜 ちをか〜〜〜〜ける〜 ラブリーエンジェル〜 うでが〜おれても〜たたかう〜 ラブリーエンジェル〜 からだが〜くちても〜たたかう〜」 「しにがみのか〜ま〜が〜 よくに〜あ〜う〜 じごくのししゃ〜と〜 ひと〜の〜い〜う〜 だがわれわれは〜 とまれない〜  たたかいだけが〜 いきがいさ〜 どろみずすすって〜 たえし〜の〜ぶ〜 かえりちあびて〜 いきの〜〜〜〜びる〜 ラブリーエンジェル〜 おんなを〜すてて〜たたかう〜 ラブリーエンジェル〜 いのちを〜すてても〜たたかう〜」 ここは,ヘリの中,8人の少女達が,古い日本のアニメソングの替え歌を歌っていた。ち ゃんとした日本語に直すと次のようになる。 「戦いの中で生きてきた 9人の戦鬼と人の言う だが我々は復讐のため 屍となった戦友(とも)のため 涙を捨てて天駆ける 夢を捨てて地を駆ける ラブリーエンジェル 腕が折れても戦う ラブリーエンジェル 体が朽ちても戦う 死神の鎌が良く似合う 地獄の使者と人の言う だが我々は止まれない 戦いだけが生き甲斐さ 泥水すすって耐え忍ぶ 返り血浴びて生き延びる ラブリーエンジェル 女を捨てて戦う ラブリーエンジェル 命を捨てても戦う」 ここにいるのは,15歳から19歳までの若い少女達だ。物凄い美人からちょっと可愛い 娘までいるが,それは大したことではない。ここにいる少女達は,ドイツ屈指の傭兵集団 であるワイルドウルフの中でも,精鋭中の精鋭なのだ。 あのジャッジマンですら一目置くほどの,世界屈指の精鋭部隊,それが彼女達,ラブリー エンジェルなのだ。10人にも満たない人数で,幾多の戦いを乗り切ってきた,戦士の中 の戦士,それが彼女達なのである。 彼女達は,色でお互いを呼び合っている。ここにいるのは,ブルー,イエロー,ブラック, オレンジ,パープル,ブラウン,ピンク,グリーンの8人だ。 その中でも,最年長なのがブルーである。歌が終わった頃合いを見計らって,ブルーは皆 に話しかけた。 「みんな,これから,ゼーレの精鋭中の精鋭,黒竜部隊と戦うよっ!覚悟はいいねっ!」 黒竜部隊とは,今まで噂の域を出なかった,ゼーレの特殊部隊である。噂では,数人単位, もしくは単独で行動し,一人でも1個小隊相手に互角以上の戦いをするという,化物みた いな相手である。 「今回の敵は,1分隊,10人だよっ!ちょっと相手の方が多いけど,あたしら,ラブリ ーエンジェルの名を汚すようなことは,絶対にするんじゃないよっ!それから,あたしの 感じゃあ,白龍部隊もいると思うよっ。だから,気を引き締めてかかるんだよっ。」 ブルーはそう言いながら,皆の反応を探った。ある者は青ざめ,ある者は震えている。 「ブルー,あたしさあ,これから遺書を書くから,ちょっと待ってよ。」 「ぷっ。」 「ばか,何言ってんだよ。」 「あははははっ。」 「アホッ!」 ピンクの言葉に,みなあきれ返るが,彼女の一言で,場の雰囲気が和んだのも事実だ。続 けて,オレンジが大きな声で言った。 「あたしは男を知らないまま死ぬのは嫌だから,今適当なのを捕まえるからさあ。ちょっ と時間くれないかなあ。」 さすがに,これには皆ゲラゲラ笑った。 「ひい,おかしい。笑わせないでっ。」 「なによっ!あたしは真剣よっ!だって,今回ばかりは勝ち目ないじゃん。」 オレンジはぷりぷりする。 「え〜と,みんな,こちらを見て欲しい。」 シルバーは,壁面に備えつけた液晶画面に映像を映した。そこには,銃を雨あられと打ち 込まれても揺るがない,オレンジ色のバリアーが映っていた。その向こうで,紅い目をし た少年が冷たい笑みを浮かべている。 「こいつら10人のために,ヴァンテアンの精鋭1個中隊,200人が壊滅した。現在, レッドアタッカーズ2個中隊,400人が応戦しているが,足止めすら出来ない状態だ。 相手にとって不足はない。思いっきりたたきのめすんだ。ラブリーエンジェルの名を世界 に轟かすんだ。」 ブルーは檄を飛ばしたが,効果は無かった。それどころか,かえってさらに暗い雰囲気に なってしまった。まあ,当たり前と言えば当たり前である。敵の無敵さを思い知らされた のだから,無理も無い。 「なに,しけた顔してんだよっ!そんなことじゃあ,レッドに笑われるぞ。」 だが,その一言で,ガラッとその場の雰囲気が変わった。 「ブルー,今,レッドって言ったな。あいつが来るのか?」 「まさか,アメリカの生意気な坊やのことを言ってるんじゃないだろうね。」 「おい,どうなんだよ!」 みんなの期待が高まってきた所で,ブルーは腕を腰に当て,胸を張って言った。 「あったり前じゃない。最高の敵には,最高のメンバーで当たらないとね。あたし達ワイ ルドウルフの守り神,アメリカの紛い物じゃあない,本物の紅い狼が,牙を研いで待って いるんだよっ!」 「本当かっ!早く言えよっ!」 「なんだ。じゃあ,男はもうちょっと後でも良いわね。」 「あいつさえいれば,きっと勝てるぜ!」 「でも,あいつって,アメリカ人じゃなかったっけ。」 「うっさいねわね。言葉のアヤってもんよ。」 急に皆の顔が明るくなった。 「よ〜し,景気付けに,あいつがいつも口ずさんでいた歌でも歌うか。」 「ああ,『まっくらね〜』か。」 「そうね。日本語で,意味が良く分からないけど,何かノリが良い歌だったね。」 「じゃあ,歌うぞ!」 「「お〜っ!」」 こうして,彼女達は再び歌い始めた。 「ちっちゃなころからいきじごく〜 12であくまとよばれたよ〜 … 」 それは,レッドが良く口ずさんでいた歌だった。彼女の母が好きだった歌の替え歌らしい。 ノリの良い歌であった。だが,レッドは,歌詞の意味を教えてくれなかったため,ラブリ ーエンジェルのメンバーは,楽しい歌だと思っていたのだ。 こうして,急に賑やかになった少女達を乗せて,ヘリは,第壱中学校の北東にある森へと 向かった。 (第31話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  ついにワイルドウルフの最精鋭部隊が登場します。最後の一人,レッドとは,果たして 誰なのか?もうバレバレですね。 2002.3.29  written by red-x



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