俺達は必死だったんだ。あいつらに認められるために…。

俺達と貴女を比べるあいつらを見返すために

ずっと見たこともない貴女の影をずっと追い続けていた

貴女に出会った瞬間にそんな考えは消え去ったけれど…











貴女に忠誠を 5











狭い排気口に隠れて、誰かが必死に語りかけている…。この風景、私は知っている。この情景…。話しかけているのは、私。



『大丈夫…私が助けるから。自分達の力でそこから出てきなさい…。貴方達には幸せになる権利があるのだから。』



これは、私の夢…?そう。このあと私は……



『――――――……!!!』









(―――――――――――――何か………来る)



パチッ



唐突に予感を感じて、私は一気に意識を覚醒させた。そしてすぐさま起き上がって意識を研ぎ澄ます。



様…?」


「しぃっ!!」



不思議そうにこちらを見てくる精市を目で制し、私の警戒を感じ取って口をつぐむのを確認し再び意識を遠くに向けた。



………カチャリ……ガチャンッ!!



(間違いないわ。ライフルを組み立てる音。近いわね……)



「比呂士、監視カメラに異常は?」


「今の所ありません。」


「雅治、侑士。聞こえる?」


『聞こえとる』


『聞こえとるで〜』


「近くに敵がいるわ。侑士は敵を見つけて取り押さえて。……殺さないでね。雅治は近江会長の周辺で待機していつでも助けられる位置について。」


『『了解』』



私は通信を切り、すばやく身支度を整は始めた。精市が何も言わず横から武器をわたしてくれる。



「これでよしっ、と。」


「お気をつけて。」


「何か異常を見つけたらすぐに連絡いたします。」


「ええ。よろしくね。それじゃ、行ってくるわ。」



いつもより若干緊張したような表情をしている二人に微笑んで私はワゴンから飛び出した―――――









(どこにいる…?気配が雑多すぎて分かりにくい………。近江会長を狙えるポイントは…)



今朝見たビルの設計図を頭に浮かべながら近江会長を射殺できる場所を絞り込んでく。こういう時に自分の頭脳は便利だと思う…。敵はおそらく最近倒産した会社の廃ビルに潜んでいる。



(私が近江会長を射殺するとしたら……あそこね。逃げ道も確保できる上、仲間を下に待機させられるわ。)


「侑士。Aビルの屋上よ。下にはおそらく仲間がいるわ。侑士のほうが先に着くと思うけど、侑士はばれないように進入して屋上に直行して。下は私がやるわ。」


『了解』


「幸運を!」


『幸運を』



足音を立てずに全速力で走りながら私は侑士との通信を切り侑士の気配がビルの中に無事に入ったのを確認して自分も入り込んだ。



(……12…いえ、13人か。余裕ね。リーダー格がこの中にいれば楽なんだけど…)


私は敵の数を把握すると4人ほどで固まって行動している敵の前に現れてにっこりと微笑んだ。



「こんにちは。こんな所でそんな物騒なもの持って…何してるのかしら?私にも聞かせてくれない?」


「なっ、何だお前はっ!?…ぐはっ」



即座に反応した敵にあたりをつけて奴が銃を構えるまでの間に接近して蹴りを加える。腹に加えた一撃でふらついて銃を落とした敵に自分が蹴りを入れた遠心力を利用してもう一方の足で相手の首に打撃を与えて昏倒させる。



(遅い…。)


「なっ!打てっ!」


「だから、遅いってば。」



残りの三人がその言葉に反応して銃を構える間に4人の中でリーダー格と思われる男の頸椎に骨を砕かない程度に手刀を叩き込んで地に伏せさせる。殺さないって言うのが一番難しい…。



「ばっ!化け物か!?」


(失礼なやつね…。まあ、姿さえ見えてないだろうから無理はないけどね。)



バリバリバリバリッ!!



「残念。そっちじゃないわよ。」


「うぐっ!」



でたらめに銃を乱射してきた男の後ろを取り同じように手刀を落として昏倒させると怯えたような目でこちらを見ている下っ端男と目があった。



「ひっ…ひいっ!」


「ゴメンね。逃がすわけには行かないの。」



私と眼が合った瞬間銃を放り出して逃げようとする男に追いつき思いっきり力をこめて鳩尾(みぞおち)にこぶしを沈めると、男はカエルがつぶれたような声を上げて静かになった。



「1分か…時間かかりすぎ。」


(最近平和すぎて鍛えてなかったのがいけなかったのよね〜…)



敵が着ていた服で縛り上げて口にガムテープを貼り、近くの部屋に放り込むと敵が持っていた無線を口元に当てて敵に呼びかけた。



「一階にいるからおいでなさい♪まとめて相手してあげるわ。」


『………っ!!!!……は……した!?』



用なしになった敵の無線を放り投げ、近づいてくる大量の足音に満足しながら待ち構えていると自分のトランシーバから侑士の声が聞こえてきた。



『こっちは抑えたで〜。今から手伝いに行くわ。』


「来るまでには終わってるわよ。…ご苦労様。」















「……ってホンマに終わっとるし。さん凄すぎやって。」



俺がさんの下にたどり着いた時、さんはちょうど最後の敵を倒した所だった。



(俺、これでも全速力で下りて来たんやで?)



そんなことを思っている俺をよそにさんは不敵な笑みを浮かべながら俺に声をかけてくる。



「相手が弱いのよ。あっ。途中にいた敵ちゃんと倒してきた?」


「当たり前やん。まかせといて!」



グッと親指を立てて答えるとさんは俺の頭をポンポンと撫でた。俺としては頭撫でられるより抱きしめられるほうが嬉しんやけどなぁ。



「……雅治。そっちは?」


『一人襲ってきたから殴ったら…死んだ?』


「はぁっ!?」


『どうも麻薬か筋肉増強剤を大量に摂取しとったようじゃ。口から泡吹きながら襲って来よった。クスリの臭いがプンプンして気持ち悪いぜよ…』


「…こいつらとは関係ないのかしら?とにかくこいつらを近江会長に引き渡しましょうか。その辺に近江会長の飼ってる『ネズミ』さんがいるからその人たちに押し付けておきなさい。」



さんは雅治の報告を聞いて眉をしかめながら次の指令を雅治に与えて通信を切ると、ビルの外に顔を出して「ねずみさーん♪ここにまとめてあるから後はよろしくね〜。」といってそのまま敵を放置してビルの奥へと歩き始めた。



(……なんか、いつもよりテンション高くないか!?キャラが違うで!?)


さん!?なんかいつもと様子が違うで!?大丈夫なん?」


「そう?久しぶりに戦ったから気分が高揚してるのかも。いい運動になったしね。侑士も早くついておいで。ここにいたら『ネズミ』さん達が入って来れないからね。」


「『ネズミ』…って俺らの周りうろちょろしてた奴?ウザイからまいてたんやけど。」



俺がそういうのを聞いてさんは悪戯っぽく微笑んで答えてきた。



「いちいち捲(ま)いてたの?ご苦労様。あの人たちは近江会長の『影』よ。いつもはもっと黒いことに使ってるみたいだけどね。」


「何でそんなことまで…」


「ふふ。依頼人を調べておくのも重要なことよ。いつ裏切られるか分からないしね。」



そういって証拠品を探し始めるさんの背中を見ながら、やはりさんは俺達よりずっと上の存在なんだと感じた…。














誰よりも強く、誰よりも賢い貴女。俺達は、貴女に永遠の忠誠を誓います。俺達の命が果てるその瞬間まで貴女だけを思うことをお許しください…―――――――――――

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