恐ろしいのは一人で充分だと思う。











今日の偶然明日の必然!?番外編
真の魔王は誰だ!















「ふふふ」

「あ、アハハハ…」




ただいま、わたくしめはあの方が入院している病院にいます。

それもこれも、あのにっくき体育の授業が原因であります。









今日の体育の授業はバレー。バレエではなくバレーである。

でも、涙が出ちゃう。女の子だもん☆のバレーである。

間違っても麗しき白鳥の世界のバレエではない(クドイ




「どぉりゃぁぁぁぁぁっ!!!!」



この女を捨てた 可愛げのない声は私の声です。

バレーは私の得意種目なのです。楽しすぎて人格が崩壊する程度には。



「くらえぇぇぇぇっ!スーパーハリケーンアタアァァーーーーーック!!」



トスが上がってくるたびに凄まじい勢いで相手コートにアタックを叩き込む。

もちろん取れる相手なんていない。

皆引いて遠巻きに見てる私の素晴らしいアタックに見とれているから。



「ふっ…絶好調。」



乱れて顔にかかってきた髪の毛を後ろに払いながら相手コートに流し目をくれてやる。

相手からのサーブがぽーんと放りこまれ、バレー部のクラスメイトが奇麗なトスを上げる。

流れるような動きで助走し、高く飛び上がる。

後ろにしならせた腕は、ボールに向かって振り下ろされる。




「これでっ!最後だぁぁぁぁぁっ!!!」




ドゴオッ!



とてもアタックとは思えない破壊音を出して床に叩きつけられたバレーボールは跳ね返らずにその場でスピンして煙を上げながら停止した。

静まり返る場内。



私は着地しようと、態勢を整えながら床に降り立った………はずだった。

隣のコートから転げてきたボールに着地するなんて誰が思うだろうか。

思う人がいたら今すぐ出て来い。




「んぁ…!?ふぎゃんっ!!」





すべって転んですってんてん♪状態になった私は、尾てい骨を打ったその衝撃で頭が真っ白になり、私の名前を呼ぶクラスメイトの声を遠くで聞きながらそのまま意識を失ったのだった。












で。なぜか焦った先生により呼ばれた救急車で搬送され、たどりついた場所がこの病院だったのです。





目を開けたらそこは白の世界でした。




「ここはどこ。私は誰。いや。私はバレーしてたはずなんだけど…」

「ボールの上に着地して転んで気を失ったんだって君の付き添いの先生が言ってたよ?笑いながら。」



君も災難だったね。なんぞと言いながらくすくす笑っている麗しい声がカーテンで仕切られた横のベッドから聞こえる。

かってぃーん。 カッチーンですよ。こっちは尾てい骨がめっちゃ痛いんだっつの。笑い事じゃないんだっての。

ちょっと文句を言ってやろう。そしてお灸をすえてやろう。人の不幸は笑っちゃいかんと。蜜じゃないんだと。




「人の不幸を笑うなんて趣味がわr………… ゆきむらあああぁっ!?」



ざっと勢い良く開いたカーテンを握りしめたまま硬直する。

相手もその麗しいお顔を驚きの色に染めたまま私を見ている。



(…………やっばい。私いま、名前呼ばなかったっけ…?)



幸村さん(呼び捨てなんて怖くてできない) は私よりもわずかに先に驚きから立ち直り、先ほどとは異なる種類の笑顔をその顔に浮かべ、その唇を開く。



「ねぇ。何で初対面のはずの僕の名前を、君が、知ってるのかな・・・?」

「ヒイッ。」

「な・ん・で…かな?僕知りたいな」



にっこりと微笑み、こてりと首をかしげて私に聞いてくる。

可愛い。美しい。儚い。そんなイメージがぴったりくるような仕草だが。

そのオーラは………言いたくない。



「あのですね…」

「うん?」

「ええーっとですね」

「ん?」




「なんかごっつすんませんでしたぁぁぁぁぁあっ!!!!」



ばさりと布団を跳ねのけ、マッハで楽園 出口へと向かう。

扉の取っ手に手を重ね、開こうとしたとき、私の肩に何かが触れた。というかガッシリ掴まれた。



「どこに行くのかな?話の途中だったけど…」



声は遠くから聞こえるのに、何かが私の肩をつかんでいる。

幸村さんの手であるはずがない。だって声はベッドからするのだから。

じゃあこの手は…………何?



(逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだっ!!!!!)



逃げたら、 死ぬ。




そんな確信とともに私は開いていた扉を閉じる。

それと同時にすぅ…っと肩から何かが消えていく。



「良かった。戻ってきてくれて」

「洗いざらい話すので許してください。」



ベッドに戻った私は、土下座しながら幸村さんにお願いする。



「やだなぁ。許すも何も、僕なにもしてないよ?」

「そうですよねぇ…錯覚…ですよ、ね」

「ふふふ」

「あ、アハハハハ…」




そんなこんなで、冒頭に至るのである。

その後、なにもかも吐かされた私は、疲れ果てて3日間高熱を出しました。



その間に幸村君といろんな意味で仲良くなり、ゆっきーとと呼び合う仲になりました。

私が退院するときに、2週間に一度は遊びに来てくれるといいな。なんて脅迫 お願いされました。








この世界には知ってはいけないことがあるということを、知りました。

この世の中には、逆らえないものがあるということを知りました。

ゆっきーは美しくて微笑まれると萌えですが、同時に寒気を感じるのです。

これほど怖い体験はもうこりごりです。

                  By.







Fin


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後書き

蒼瑠様に捧げる相互記念&3周年お祝いドリームです!
すみませんっ。思いっきりギャグっぽく…(汗
甘くもない…です。

3周年。おめでとうございます!

よろしければ、受け取ってやってくださいませ。
これからもなにとぞよろしくお願いします♪

2007.9/10 管理人@紅牡丹

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