私、いろいろかまっていじるのは好きだけど、いじられるのは好きじゃないんだよね…。
第8話 猫と魔王と女の子☆
無事に転校を果たしたホームルームのあと…、なぜか私は質問攻めにあっていた。
あれだけ睨んでいた女の子たちも私の机まで来て群れていた。そのあまりの勢いに負けそうになっていた…。
女子A「ねえねえ、さんって出身どこ?」
「…、一応東京…だよ?(世界違うけど…)」
女子B「編入試験で満点に近い点数とったってホント?」
「さぁ?私点数聞いてないから…(満点じゃないのか…。満点の自信あったんだけどなぁ…。)」
女子C「彼氏とかいる?どんなタイプが好きなの?」
「いないよ?付き合うのめんどくさいし。タイプ?…好きになった人がタイプだね。」
女子D「すごーい!!大人っぽいっ!!!さんってお嬢様って感じだね?ねっ、不二君、菊丸君!」
と女の子が何の脈絡もなく不二君と菊丸君に聞くと、不二と菊丸は話は聞いていたけどまさか自分達に話をふられるとは思っていなかったようで驚いた表情で返事を返した。
「そうだ(ね)(にゃ)」
その女の子の一言で、私はなぜあんなに私を睨んでいた女の子達が私に群れていたのか唐突に理解した。そう、女の子達は私に群れていたのではない。不二と菊丸(ちょっと切れているので呼び捨て)に群れていたのだ。間違いない。
(はぁ、…道理でさっきからちらちらよそ見してると思ったよ。君たちは人と話するとき目をそらしちゃいけないって習わなかったのかい?私は人に利用されるのは嫌いなんだよ!!!!!)
などと心のなかで罵倒していると、横から明るい声が聞こえてきた。
「はいはいっ、皆、さんが困ってるでしょ?きっと今動物園のオリの中にいる気分よ?あんまりいい気分じゃないと思うけど?ということで…さっさと散れ。」
するとどうでしょう!あんなに群れていた女の子達が素直に去っていくではありませんか!!!イッツ ア ミラクル!!!!私を質問地獄から救ってくれた救世主は、私の視線に気づいて困ったように微笑み、私に声をかけて来た。
「ごめんね?あの子らも悪い子らじゃないんだけどさ、あることに対しては見境なくなるって言うか…ね?嫌わないでやってよ。私は蒼流 亞江香。これからよろしくね?」
その瞬間私は決意しました。このこと友達になろうと!!!!その子は可愛いというよりかっこいい系で、女子高とか言ったら女の子にモテモテだろうな。という感じの子である。私はこのチャンスを逃がすまいと食らいついた。
「ありがとう!ちょっとどうしようかと思って困ってたから助かったよ。こちらこそよろしくね?蒼流さん。」
「アハハ。眉間にしわよってたからねえ!困ってるな?って思ったのさ。お礼はいらないよ。それに、同い年なんだからさ、敬語は要らないって!呼び方も亞江香で良いよ?私もって呼ばせてもらうし。」
そういって握手しあい、すっかり打ち解けた私たちに声がかかった。
「亞江香、さん独り占めしないでくれる?僕たちも話ししたいんだよ?せっかく隣の席なんだからさ。」
「そうにゃー!!独り占めはいけないにゃ!」
……なんと、私たちの会話に割って入ったのは猫と魔王だった。
(それにしても、不二君と亞江香は仲いいのかな…?呼び捨てだし。)
「ああ、亞江香は女子テニス部のキャプテンなんだよ。残念ながら、女子で強いのは亞江香だけだから時々男子テニス部で練習してるんだ。そういう意味では仲いい事になるのかな?」
「へえ、そうなんですか。…………!?」
(さっき私、声に出して喋ってないよね!?どう考えてもさっきの不二君の反応は変だって!!!!………まさか心が…)
「いつでも読めるわけじゃないよ?たまに聞こえて来るんだ♪」
「なに?周介また人の心読んだの!?その癖何とかしなさいよね…。」
「そのとおりにゃー。だいたい不二って都合のいいときに心読めすぎじゃん?反則だにゃ。」
(ちょっと待ておい、何でそこでなんの疑問も持たずに会話してるのよ!…ハッ!まさか不二君が人の心を読めることは公認の事実なの!?)
そんなことを考えながらどんどん深みにはまっていく私を現実に引き戻したのは菊丸の、のんきな声だった。
「おーいっ?ちゃん。どうしたにゃ?あっ、紹介が遅れたにゃ!!!俺は菊丸 英二だにゃ!これからよろしくねん♪」
「あっ、よろしくね。菊丸君。」
そういうと私は急いで差し出された手を握り返した。…そういえば最近、握手率が高い気がする。…うれしいけどね。
「僕は不二 周介。これからいろいろとよろしく。聞きたいこともたくさんあるし……ね?(にっこり)」
(笑顔が黒い!!!!!!!!みなさん、不二君はやっぱり黒でした。黒のほうが好きだけど。……。やばい。私名前教えられる前から菊丸君の苗字を心の中で連呼してたような気が……。まさか、そのことについて聞きたいとか……?)
「そのことだよ?皆がいる前では聞かないであげるよ。あとでゆっくり、聞かせてもらうけどね…。」
そういって微笑んだ不二は、最高に綺麗で、でも最高に怖かったです。
(ああ、早くも不二君に主導権とられてるよ……。私、好きな人をいじるのは大好きだけど好きな人にいじられるのは好きじゃないんだよね……。でも、女友達は出来たし!まずまずだよね?私の薔薇色の学園生活のためにも頑張るぞーーーー!!!!)
懲りずにそんなことを考えていたけど、幸か不幸かさっきの声は不二には聞こえなかったようだった。の『薔薇色学園生活計画』は、果たしてうまくいくのだろうか…。
それは神のみぞ知る……………かも。