うーん、青春。
第6話 イキナリ編入試験!?(後編)
「……テニス部はこっちで合ってるのかな?」
(私はただいまテニス部のコートまで人に見つからないようこっそりと移動中です!
何でコッソリかって?私は私服なのですよ…目立って毎回毎回「部外者は立ち入り禁止ですよ」って言われたら流石の私も切れてしまいます。それがいやなのでコソ泥のようにテニスコートを目指しているのです!!!!)
しばらく歩くと黄色い歓声が聞こえてきた。
「この先はテニス部だ!間違いない。」
は絶対的な自信を持ってその歓声が聞こえるほうに近付いていった。
木の陰からコッソリと覗いたが見たものは、きっとテニスを真面目にしている人にとってはもの凄くウザイであろう女の子の群れであった。
「キャーーーー!!!不二君カッコいいっ!」
(いやまあカッコいいけどさ、それ応援じゃないでしょ…。)
「手塚君こっち向いてーーーーーーっ!!!!」
(球打ってるときにこっち向いたらいくら手塚っちでもミスるから…。)
「菊丸君、可愛いーーーvv」
(心の中で思ってても男の子にそれはキツイ言葉なのでは…?)
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(つ、疲れる。いちいち突っ込むのはもうやめよう…。しかしこんな中でよく練習してるよね。尊敬に値するよ…)
はいささかげんなりした様子で女の子の群れを見やり、
「はっ、違うってっ!!私は女の群れを見に来たんじゃないのよ!!!テニス部を見に来たのよ!!!!あまりにもギャラリーが突っ込みどころ満載で忘れるところだったわ…。」
と正気に戻ってテニス部の面々を観察し始めた。………あくまでコッソリと。木の陰に隠れて…。
(おおっ!やっぱりレギュラーはほかと比べて段違いに強いねっ!見てて楽しいよ!)
の視界に最初に入ってきたのは猫丸・青学の母(菊丸・大石)ペアとバーニング・魔王(不二・河村)ペアだった。
「へへーん。残念無念また来週〜♪」
「ここは任せて菊丸!」
アクロバティックプレイで相手をかく乱する菊丸とそれをうまくサポートしている大石。流石、ゴールデンペアである
だが、は違うことを考えていた。
(菊丸君はやっぱ猫だね。家に持って帰って撫で倒したい…。大石君…前から気になってたけどその髪型は美容院でわざわざ指定してるのかい?)
一方相手コートでは、菊丸ビームをこともなげに返す天才不二とラケットを持っているためバーニング状態になっている河村がいた。
「ふふ、僕にスマッシュは通用しないよ?」
「オラオラ甘いぜバーニングッ!!!!!」
不二はお得意のカウンターで相手の戦意をそぎ、河村は力技でプレーしている。息ぴったりというわけではないが、技と力のバランスが良く取れたペアである。
しかしまたしてもは違うことを考えていた。
(うわーvvv生バーニングだぁ〜vvホント性格変わるんだなぁ。二重人格?…………なんか不二君の後ろにオーラが見えるんだけど……気のせい?……いやこれは人が足を踏み入れてはいけない領域よ!見なかったことにするのよ私!!!)
やはり不二の真っ黒疑惑は本当のようだ。
次に目に入ったのはデータマンこと乾とを職員室まで案内してくれた恩人の手塚であった。なにやら相談しているようである。遠くにいるので聞こえないが……。練習法について話しでもしているのであろう。
(うーん。乾汁……飲んだら死にそうだけど味には興味あるのよね……仲良くなったらちょっとだけ味見させてもらおう。……手塚君は相変わらず表情が硬いなぁ。眉間のしわは癖になるよ?私がこの世界にいるうちに絶対笑わせてやる!!!!)
そんなことを考えながら主要メンバーの残り3人の姿を探してはキョロキョロ周りを見渡した。
(うーん、どこにいるんだろ。………あっ、いた。……何で二人で走ってるの?しかもデッドヒートになってるよ(苦笑)大方喧嘩でもして手塚部長に走らされてるんだね。喧嘩するほど仲がいいのかな?)
そんな二人の様子をほほえましく見つめながらは激プリティーな生意気ルーキーを探した。
「いなひ………。」
「誰がいないの?ってゆーかなんでがここにいるわけ?」
「うぎゃふ!!!!!!ええええ越前君!?びっくりしたじゃん、驚かさないでよ!!!」
「リョーマでいいよ。そんなに驚くとは思わなかったし。で?ここに何しに来たわけ?」
リョーマは驚きすぎのにあきれながらも再度質問してきた。
「ふふふ、今日は編入試験を受けに来たのよ!!当然受かったけどね!」
が胸を張りながらそういうとリョーマは驚いた表情になった。
「ここに編入するの!?こっちに戸籍とかないだろうにどうやったの?」
「………さあ?神様がなんか小細工したんじゃない?」
実のところはもまったく知らなかった。
自分のことを話し終えたはリョーマが制服であるのに気づいた。(遅)
「リョーマは何で制服なの?部活は?」
「図書委員だよ。寝てたら勝手に決まってたんだよね…。部活はこれから行こうと思ってたところ。」
リョーマはダルそうに話してくれた。………という事はと話していることでどんどん部活に行くのが遅くなっているのではないだろうか?
(もっと話したいけど私のせいでリョーマが走らされるの可哀そうだし今日はもう開放してあげよう……でも、ホント可愛いなぁ。)
と思いつつはリョーマに微笑みながら話しかけた。
「早く部活行かなきゃやばいんじゃない?」
「…言われなくてもそろそろ行くし。……その前に携帯のアドレス教えてよ。」
はリョーマより背が高いためリョーマは自然と上目遣いの状態でのメルアドを要求した。その表情には脳内で身悶えていた。
(くおおおおぉっ!!!!上目遣いは反則ですよリョーマくんっ!!!私の理性を吹っ飛ばす気ですか!?襲っちゃいますよ?!)
は暴走しそうになるのを必死で抑えつつリョーマにメルアドを教えた。
「……っと。登録完了。あとでメール送るから。……ありがと。じゃあね。」
リョーマは満面の笑顔でそういうと、本当に急いでいたらしく返事も待たずに部室のほうへ走っていった。はまたしたもリョーマの満面の笑顔に殺(や)られていた…
(くううううううぅっ!!!!何であんなに可愛いの!?私を悩殺する気?……あれが確信犯ならお姉さん襲っちゃうかも……)
もの凄く危険なことを考えているが、とにもかくにも、
(リョーマのメルアドゲットだぜ!!!!)
こうしての野望は次々と果たされていくのであった。明日は何が起きるのか?それは神様にもわからない……。
FIN