………そりゃないでしょ神様。
第5話 いきなり転入試験! 前編
ただいま、午前6時30分。
ちゃらら〜ちゃらららら〜ら〜♪
の静かな寝息だけが聞こえる部屋の静寂は朝の目覚めの音楽としてはあまりにふさわしくない携帯のメール音のよってあっけなく破られた。
「…うぅん。」
は眉をしかめながらもメールを無視していた。……が、そのメールはあまりにもしつこく鳴り続けたため、ついにはキレた。
「あーーーーーーっもうっ!!!!うるさい!!!!!誰よこんな朝っぱらからっ!ぶっ殺!!!!!(怒)」
そう叫んでがばっと別途から起き上がり迷惑極まりないメールの主を確かめるべく携帯を手に取った。しかし次の瞬間、はものすごく微妙な顔をした。
よお、楽しんでるか?まだ寝てたとか怒るなよ。
これを見てないとお前が困るんだからな。
青学の編入試験は今日の昼からだ。その後にい
ろいろ話があるらしいぜ?
今もっと早く言っとけって思っただろ?俺様が
お前の都合に合わせる必要性はないんだよ。
ああそれと、お前の両親は海外で仕事してるっ
て言う設定だからな?適当に口裏合わせとけ。
用件はそれだけだ。
あーん?それだけなら早く起こすなって?面白
そうだから起こしてみただけだ。神様にモーニ
ングコールしてもらったんだから喜んどけ。
せいぜい頑張れや。じゃあな。
天才的な神様より
(………いろいろしてくれるのはありがたいけど、なんか素直に喜べないのよね…。)
「今日は他校を見に行こうと思ってたのに…。でもまあ、転入は早いに越したことないしね♪」
そして正午、は青学まで来ていた…。校門の手前で立ち止まってなにやら見ている。
(うわ、ほんとに青春学園って書いてあるよ……はずかし。みんなが青学って略すわけが判ったような気がする。)
そんな失礼極まりないことを考えながら、は転入試験を受けるべく職員室を目指した。
10分後…
は見事に迷っていた。
「………迷ったかも。どうしよう、どうすればいい!?だれか助けてーーーーー!!!」
「ここで何をしているんだ?部外者は立ち入り禁止だぞ。」
今目の前で眉間にしわをよせて不審そうにを見ているのはなんとあの手塚 国光だった。
(ぬおおおおおおおっ!?びびびびびっくりした!!!!手塚にこんなところで会うとは…。しかしまあ、ほんとに中学生には見えないね☆)
「部外者じゃないですよ!?今日は転入試検を受けに来たんです。」
すると、手塚は不思議そうにこういった。
「それはすまなかった。しかし、職員室はこっちにはないぞ。……まあいい。それじゃあ、幸運を祈る。」
そういってきびすを返した手塚を見て、私は反射的に手塚の制服を引っ張って引き止めた。
「………何か用か?」
(うわ、眉間にしわよってるよ…。でもせっかく道案内してもらえそうな人を捕まえたんだから………逃がさないよ?)
「どうやら迷ってしまった様で……。出来れば職員室まで連れて行ってください。」
がすまなさそうに言うと手塚はため息をつきながらもを職員室まで連れて行ってくれた。
「ここだ。」
「ありがとうございます。お手数をかけてすみませんでした。」
はぺこりとお辞儀する。
「いや、別に迷惑だとは思っていない。…受かるといいな。」
手塚はに激励の言葉をかけ、去っていった。はその言葉に感動して手塚にさらに声をかけようとしたが、それは職員室から出てきて教師の声によってさえぎられた。
「おお、さんかね?まってたよ。遅かったから何か不都合でも起きたのかと心配してたんだよ?」
「………学校が予想以上に大きくて迷ってたんです。スミマセン。」
(くそう、こんな小太りのおじさん先生と話すより手塚君と話してたほうが断然お徳なのに…)
「こっちだよ。編入試験の内容は主要五科目で、一教科50分だ。注意としては…………」
案内している先生はがそんなことを思っているとは露とも知らず、編入試験についての説明をしていた。
「じゃあ今から編入試験を始めます。始め!」
(ふふふ、優等生をなめないでよね。こんなの朝飯前よ。)
はすらすらと答案用紙に答えを埋めてゆき、編入試験をなんなくクリアーした。
編入は手続きの関係で明後日からということになった。その後もなんだか学校生活や勉学、部活動のことに関して説明されていたが、の脳内はそれどころではなく、妄想を膨らませていた…。
(うふふふふ。明後日から私は青学の生徒!!!ああこれで私の薔薇色の中学生活は保障されたも同然ね!!!!!……今日はせっかく来たんだし、物陰からテニス部を盗み見てやるわ!!!!)
長ったらしい説明の後、はスキップで職員室を後にした……。
の野望はいかに!!!!!後編へ続く!!