予想できないことばかり起こるから、これは私の都合のいい夢を見てるんじゃないかと思った。
第4話 第二の出会いは意外な人物!?
「よっこらせっと。…ふう。何とか片付いたわね。」
は額の汗を拭きながら住みやすくなった部屋を見渡してつぶやいた。
なんとなく見やった窓の外はすでに一面紅色に染まっていた。
「げっ。もう夕方?!朝から何も食べてないし!!!!!!お腹すいた――――――!!…買い物行こう。ご飯、ご飯♪」
「確かこの辺にスーパーが…おっ、見ーっけた。」
は空腹を一刻も早く満たすために小走りでスーパーに駆け込んだ。
「…これくらいかな?今日はもうご飯作る気力ないからお惣菜も買わないと。」
頭の中を買い物リストを思い浮かべながら惣菜コーナーへと向かう。
(あっ、安くなってる。ラッキー♪)
「うむむ。ここはクリームコロッケにするべきか、から揚げにするべきか…。」
惣菜コーナーの前でぶつぶついいながら考える。はっきりいって不気味である。
「よしっ、クリームコロッケ!!君に決めた!!」
そしてクリームコロッケをパックに入れるべくコロッケばさみに手をのばす。が、がそれに手を添えたと同時にほかの人の手もそれの上に添えられていた。
「あっ、すみません。お先にどうぞ。」
がそういうと相手も激しくどこかで聞いたことのある声で、
「いやいや、こちらこそスマンなぁ。せやけどそっちが先に握ったんやから、自分が先にとってや。」
といった。
(ま、まさかこの声は…!!!!!)
好奇心に逆らえず横を見てみると、冷たい名前の学校の伊達眼鏡かけた無駄にエロボイスの忍足 侑士が笑顔で立っていた。
(やっぱり――――――――――――っ!!!!ああ、やっぱり実物もカッコいいわー。)
などと思いながら見つめていると侑士は、すこし困ったように、
「いややわ、姫ぃーサン。そんなに見つめられたらオレ溶けてしまうで?それよりはよーコロッケ取らな、なくなってしまうで?」
とふざけていった。は急いでコロッケをパックにつめ、侑士にお礼を言うべく改めて向き直った。
「ありがとうございます。」
侑士はパックに惣菜をつめながらもこっちをちらりと見て苦笑しながら返事をしてきた。
「お礼ゆーほどの事ちゃうで?おもろいやっちゃな自分……。…ほな、また会えたらええなぁ?」
侑士が去っていくのをみたあと、もレジに並んだ。
スーパーから出て道を歩いていると先ほど別れた侑士が隣に並んで声をかけてきた。
「またおおたなぁ。あんさんこっちに住んでるん?俺の家もこっちやねん。途中まで一緒に行ってもええ?」
は脳内で、
(大歓迎です―――――!!!!むしろお持ち帰りの方向で!!!!)
などと考えていたが、それは表に出さずに笑顔で答えた。
「ええ、もちろんいいですよ?あなたに家もこのあたりなんですか?」
「そうやねん。この道もうチョイ行ったところや。ところで名前きいてもええかな?あっ、俺の名前は忍足 侑士や。よろしゅうな。」
「わたしは です。こちらこそよろしくお願いしますね忍足君。」
にっこり笑ってあいているほうの手で握手をする。
「ちゃん、ね。綺麗な名前やな。俺のことは侑士でええよ?ほれと敬語はいらんで?
同い年ぐらいやろ?堅苦しいの苦手やねん。」
「そう?じゃあ遠慮せずに侑士って呼ぶね。ちなみに私は中三だよ?」
は控えめな笑顔でそういった。しかし、にしてはずいぶんとおとなしい…。
そのころ脳内では、
(いよっしゃぁっ!!!!!!忍足ゲットだぜ!!!!あー。私ってめっちゃ運いいかも。これで一生分の運使ったとかいわれたらショックだなぁ。)
などと思っていた。やはり猫をかぶっていてもはである。
「まじで?ほな俺と同じやん。どこの中学なん?あっ、いややったら言わんでええよ。」
「いやじゃないよ。まだ越してきたばかりだからまだどこにも通ってないんだ。青学に行こうと思ってるんだけど…。」
「そうなん?残念やな。俺は氷帝に通ってんねん。今度遊びに来てや。」
などと他愛もない話で盛り上がりながら歩いているといつに間にかマンションについていた。は別れるべく後ろ髪を引かれながらもあいさつした。
「「あっ、(私)(俺)ここに住んで(るの)(んねん)……。」」
「えっ?」
「まじでか?!」
意外な接点を見つけた二人はしばらく呆然としていたが、やがてどちらからともなく、ぷっと噴出した。
「ほんまちゃんとは縁があるみたいやなぁ。なんかうれしいわ。よかったらケータイのアドレス教えてくれへん?」
「あはは。ほんとだね。はい、これがアドレス。侑士君のも後で送ってね。」
は意外な遇然にうれしく思いながらもアドレスを教えた。
「…これでよし、っと。確かに登録したで。後で送っとくわ。ほな、またなー。」
「うん、よろしくね。それじゃ。」
部屋について荷物をしまった後、侑士からメールが来たので登録しておいた。
「でも、ホント凄い遇然。びっくりだし。うふふ。この調子だと立海メンバーに合える日もそんなに遠くないかもね…ウフフフ…。」
一人になるととたんに性格が元どおりである。さすが、元の世界で優等生を演じていただけはある。
…………しかし人生、そんなにうまくいってよいのだろうか?