うぉぉぉぉぉぉぉぉぉおっ!!
動きはじめる運命の輪
(なんか自分のことでいっぱいいっぱいだったけど、良く考えたら唇奪われたんだっけ…。)
は家に帰って今日の出来事を考えていた。
冷静になって考えれば考えるほど思い出されること…。
それは、リョーマとの…
(き、……キッスぅぅっ!!)
「やばいヤバい家場胃…」
思い出しただけで鼻血が出そうだ。
(近づいたときのリョーマの匂い、息遣い…!く、唇のやわらかさ!!)
「あぁぁ…もっとちゃんと(舐め回してでも)味わっておくんだった…。」
はソファでのたうち回りながら身悶えしている。
どこから見ても変態だ。
ピンポーン
その音を聞いた瞬間、はガバリと起き上がり、腐女子婦女子の仮面をかぶる。
ついでに乱れた髪も手櫛で整える。
言うことは一つだ。
「勧誘はお断わりです(断言)」
「いや、そういうのはこのマンション入れんから」
…そうだった。つい、いつもの癖で。
「おっしー、どうしたの?」
「おっしーって俺のことか。まぁええけどな」
いけない。いつもは侑士君と呼ぶのに…。あまりの萌えに仮面をかぶり切れてなかったらしい。
「ちょっと呼んでみたかっただけだよ!(汗)」
「そうかそうか。今日、地区大会だったやろ?優勝おめでとう言おう思て。氷帝は負けてしもたけどな。」
(そういえば、氷帝はレギュラーは宍戸君だけで、負けたんだっけ…宍戸君…悔しいだろうな…。)
でも知っているから。あの負けのおかげで、強くなれるということを…
「ありがとう。」
私は自分の学校が負けたにもかかわらず、お祝いの言葉を言ってくれる侑士の気持ちが嬉しくてほほ笑んだ。
「次は、絶対青学と戦うで。負けへんから覚悟しときぃや♪」
「あはは。お手柔らかにね〜」
そこまで話して、玄関先で立ち話も侑士に悪いのであがるように促したが、断られた。
「あがらないの?」
「女の子の家にこんな時間にあがるわけにはいかんやろ。俺一応男やで?それにそんなに長くいるつもりはないし」
「そっかぁ。」
(意外だ。侑士はそういうことにゆるいと思っていたんだけど。)
がなんともいえない反応を返すと侑士は頬に手を当て、くねくねしながら言ってきた。
「意外って顔してるなぁ。俺のガラスで出来た繊細なハートが傷つくわぁ」
「………1000歳?」
「字が違うで。ちゃん…。ま、おめでとうが言いたかっただけやし、今日はこの辺で帰るわ♪」
そういうと侑士は玄関の扉を開いて帰ろうとする。
「うん。またねー♪今度遊ぼうね。」
そう声をかけると、何か思い出したように「あ。」と言って立ち止まる。
「そうそう。合宿で会えるん楽しみにしとるからな」
顔だけひょこっとこちらに出してそういうと手をひらひらと振って、扉がパタンと閉じられた。
「……え?」
は手を振り返したポーズのままでぽつりとつぶやく。
「合宿?」
(合宿というのは、あれだろうか。少年達がきらめく青春の1ページを刻む、あの合宿?)
「……太陽の下で短パンから覗く美しい足を堪能できたり、うっかり間違えて男湯に潜入してもOKだったり(←潜入の時点でうっかりではない)、倒れた少年にうっかり添い寝してみたり」
だいぶ違うが理解はできてきたらしい。というか犯罪スレスレではないだろうか。いや、下手をしたら立派な犯罪である。
「いろんなイベントがあってウハ★ドキ☆な合宿のこと!?!?!?!」
うぉぉぉぉっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
(待ってたぜえぇぇ!!!これこそマネージャの醍醐味!!!)
今のにはなんで今の時期に?などという疑問はないらしい。
その後、リビングには時々何かをつぶやきながら怪しく手をわきわきさせるの姿があったとか。
彼女に何が待ち受けているのか。
それは神のみぞ知る。