うん?もしやこれは逆ハー、というやつですか?















               第20話 部活後の戦い











「今日はこれで練習終わり!!解散!!」



「あっ(りがとうございま)したっ!!!」





挨拶を終わらせた部員たちが部室に着替えに行くのをぼんやりと見ながらは手持ち無沙汰なのを紛らわせるように色んなことを考えていた。




(ほかの部員はどうか知らないけど、レギュラーはやっぱいい体してるよね〜。覗きたくなるもんね…。はっ!駄目駄目!流石にそれはやばいって!!せめて用事で部室に入ったら部員が着替えてたとか言うシチュエーションじゃないと完全に変態だよ!!)




………用事で入るのもどうかと思うが。しかも結局覗くことに変わりないのだ。



。」



(でもやっぱりそうなると……だからこういうシチュエーションで…)



!なにがこういうシチュエーションなのかな…?(開眼)」



「うわっ!!え…?えーっと。えへへ。秘密♪」




どうやらがいろいろ画策しているうちに着替えが終わったらしい。はまたしても周助に心を読まれたことに激しく動揺しながらも、ちょっと可愛い子ぶってごまかしてみた。





(うわっ…。自分でやってて気持ち悪い。やるんじゃなかった…。)




「………まあ、いいけどね。じゃ、行こっか?」



「…ん?どこに?私ここで待ってろとは言われたけど、どこに行くのか聞いてないよ?」



「そうっすよ。不二先輩。二人でどこかに行くなんていくら先輩でも許しませんよ?」




は突然現れて周助を威嚇し始めたリョーマに驚きながらも、二人の間に立って二人を交互に見比べた。





「へえ?どう許さないの?僕は一人で帰すのは危ないから送っていこうと思っただけだよ?」



「じゃあ、俺も送って行くっす。先輩だけに任せるわけには行きませんから。」



「ずいぶん生意気なこと言うね…。(開眼)」



「先輩こそ送って行ってくれなんて頼まれてないのに結構ずうずうしくないっすか?」





ずごごごごごっっ!!ばちばちばちっ!!ピッシャーーーーーン!!!!!





二人の間には竜巻やら稲妻やら炎やらが渦巻いていた。もちろん二人の間にはがいるわけで……。は二人の殺気にやられかけていた。




(うっ!!!何この空気!?たかが私を送っていく(?)だけでなんでこんなに生と死の世界を垣間見ないといけないのよ!!!!!)




は向こう岸におばあちゃんの姿を見つけて危うく手を取りそうになりながら必死にこの世にしがみついていた。





ぐいっ。





「うきゃっ!」



「シィッ…!静かにしろ!………大丈夫か?」



「し、死ぬかと思いました…。ありがとう手塚君。」



「いや。礼には及ばない。」




(なんていい人なんだ手塚君!!!!!ちょっと惚れそうになっちゃったよ!!!)





は青ざめた顔で手塚に微笑みかけた。すると手塚はかすかに微笑んで私の頭をポンポンと軽く撫でた。……微笑んで頭を撫でた!?




(えええええええっ!?てててて手塚君が微笑んだ!!!!!しかも私の撫でたよ!?うわーうわーーーーーっ!!!なんか凄い貴重なシーンだったよね!?やばいよやばいよ!?思わずときめいちゃいますよ!!!)




は心の中で大暴走しながら、あまりの照れくささに真っ赤になって俯いた。







!!!おまたせにゃ〜vv」



がばっ!



「ひゃうっ!!ななな何!?」




全然汗かいてないんだにゃ〜?いい匂いがするにゃ♪」




(なななな、なんばしよっとねこの子はぁぁぁっ!!!!!)




もうすでに立ち直れないくらいの精神的ダメージを受けていたは急に抱きついてきた英二に止めを刺され、思考が完全にショートした。




(………むしろここで抱きしめ返してもいいですか?手塚君に抱きついて甘えてもいいですか!?にらみ合ってる二人を食べちゃってもいいですか………!?)




「いただきま…!!!「「「菊丸(英二)(菊丸先輩)……今すぐ離れろ(っス)」」」




べりっ!!




(あっ……食べ損ねた…。)



本人の了承を得ないうちに英二を剥がした周助は、リョーマににこりと微笑んで、




「越前、ここはひとまず休戦にしようか…?お互いそんなことで争ってる場合じゃないみたいだし?(黒笑)」




といった。リョーマもそれには同意見だったようで、不二に微笑み返して返事をした。



「そうっすね。油断も隙もない人がほかにもいっぱいいますしね。」




……そうやって笑いあっている二人は、本当に恐ろしいオーラを出していました。



から引き剥がされた英二は周助に首根っこを掴まれたまま真っ青な顔をして震えていた……。







「あれ?何やってるんっすか先輩方?」



「ふしゅ〜…。」




ナイスなのかバットなのか良くわからないタイミングで出てきた二人には最後の望みをこめて話しかけた。




「やっほ〜♪桃城くんに海堂くん!遅かったね!出てくるのが遅かったってことはまた喧嘩でもしてたのかな?」



「なっ!?そこまでいつも喧嘩してるわけじゃないっすよ〜!」



「こいつなんぞと喧嘩してたらアホになるッス…。」



「なんだと?!」




の一言でまたしても喧嘩を始めてしまった二人に呆れながらほかのところに視線を移すと、なにやらデータを取っている乾と、胃を抑えている大石が視界に入ってきた。




(そこのデータマン!!!何のんきにデータ取ってるのよ!?さっさと止めてよ!!………大石君!!ごめんね!私がふがいないばかりに!!!今度から胃薬完備しておくからね……?)




はそんなことを思いながら、争っている二つのグループからコッソリ抜け出し、同じくいつの間にか抜け出していた手塚のほうに寄って行った。




「手塚君。悪いけど私帰るね?」



「…ああ。一人で大丈夫か?何なら俺と大石と乾で送っていくが…。」



「そうだよさん。俺たちが送っていくよ?」




そういってくれる手塚と大石に感謝しながらも私はその申し出を丁重に断った。ちなみに乾はまだデータを取っている。……そのデータは何に使うのだろうか?




「大丈夫だよ。自転車で来てるし。私、何気に空手とかやってたんだよ♪一応有段者だからその辺の人には負けません!」



(送ってもらったら後が恐ろしいことになりそうだしね。不二とか周助とか魔王とかがね…。)



「そうか…。初日からうるさくてすまなかった。気をつけて帰れよ。」



さん、気をつけてね。」





「それじゃ、また明日!みんなに先に帰ってごめんって言っといてね〜!!」






私は手塚たちに手を振りながらその場をそそくさと去った。











帰り道、スーパーの特売に間に合うように自転車をフルスピードで漕ぎながら、ある人の心配をしていた。







(菊ちゃん……生きてるといいなあ。なんだか悪いことしちゃった…。お詫びに明日飴でも持って行こうかな〜。)












果たして菊丸に明日は来るのか!?次回に続く!!










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