夢なら覚めないで欲しいと強く願った。











    第二話 始まりの終わり














「ココはドコデスカ……?私は…デス。」

はものすごく混乱していた。人生で一番といえるくらいに…

無理はない。を包んでいた強い光がおさまり、思い切って目を開いてみれば

公園のような広い敷地のど真ん中に立っていたのだから…。呆然とそこに佇んでいる。





「…………」





チュンチュン…ピチチチチ…






公園の木にとまってさえずる小鳥の声。うららかな春の風…。


今のにはむしろそんなことどうでも良かった。




「ココは何処―――――――――っ!?っツーか何!?なんか私に恨みでもあるわけ?

何が起こったのか400字詰め原稿用紙一枚で一分以内に説明しろ―――――――っ!!!!」




たとえ原稿を用意していても一分以内に読み上げるのは無理だろう。
わけのわからないことを大声で口走ってるあたりの混乱が良くわかる。



「はっ!こんなこと叫んでる場合じゃないのよ。これには原因があるはず!
思い出せ…思い出せ…自慢の記憶力にモノを言わせるのよ!!」




以外にも落ち着きを取り戻して必死に記憶をたどっている。その姿を誰かが見ているのにも気づかずに…





「起きたときは普通だったのよ。だから異変はその後よね…。制服に着替えて、下に降りて、ご飯作って…。

………そういやなんか誰かがぼそぼそなんか言ってたような気が…。

お前の望みを叶えてやるとか何とか…偉そうにいってたな。気のせいかと思って無視したけど、なんか怒って強制転移に決定……!!!!

強制転移っ!?じゃあココはもといた世界もしくは空間じゃないって事ですか?…ありえねえ。」







「へえ。アンタが光の中から急に出てきたのはそういう訳…?」

「そういう訳もこういう訳も、そんなの信じられないしっ!!!!!誰か助けてプリーズ!!!!」




は空に向かって手を突き出し祈り始めた。




「南無なむ南無ナム…「ねえ。」…なむなむ…」

「ねえってば、……はぁ。アンタちょっとは人の話聞きなよ。(怒)」

「…南無…って何っ!?吃驚したっ!!!!!!危うく心臓から口が出……っ!?!?」

「気づくの遅いよ。…それに心臓から口は出ないと思うけど?」




は酸欠の金魚のように口をパクパクさせ声の主の顔を凝視したまま固まってしまっている。お世辞にも美しいとはいえない表情だ…。

声をかけた少年はのその表情を見て満足したらしく(無視されるのがむかついただけらしい)口の端を吊り上げて生意気な表情を作り、「まだまだだね。」と言ってのけた。




「ねえ。あんまり人の顔じろじろ見ないでくれる?…で、アンタの名前は?」






その声に正気に戻ったは光速でアホ面を直し、外づらを装着した。



よっ! 。っていうか普通人に名前尋ねるときは自分から名乗るべきでしょう?」



「へえ。意外と常識あるんだね?俺は越前リョーマ。よろしく、さん?(ニヤリ)」




そう、が何に驚いていたのかというと漫画であるはずのテニプリの主人公が目の前にいたからである。しかしそこは流石である。ファンブックまでもっているというぐらいのマニアであってもそのことはおくびにもださず、笑顔で握手までしている。
脳内は凄いことになっているだろうが…。



「で?は異世界の人間なんだろ?これからどうするわけ?」






ものすごく笑顔だったの顔が一瞬にして凍りつく。




「NO―――――っ!!!!どうしよう、どうしたらいい?このままじゃ私は野垂れ死にですYO―――――っ!?」




ちゃららーちゃらららーらーん♪








突如携帯の着メロ(トッカータとフーガ)が鳴り響く。
しかし不幸のどん底にいるにはもちろん聞こえていない。リョーマは大きなため息をついた後にの肩をたたきながら言った。


「……はぁ。ねえっ!さっきから携帯鳴ってるんだけど!?」

「えっ!?あ、ほんとだ!!っつーか私このカバン持ってきた覚えないんだけど…って…………あれだけひつこく鳴っておいてメールかよ?(怒)」



そのメールを開いて内容を確認する。



            よお。そっちの世界は気に入ったかよ?
            そろそろ住む場所がないのに気づくころ
            かと思ってな…。
            お前の住処の住所は○○市××2丁目
            3−24夢の荘30×号だ。
            ちゃんと高級マンションにしてやったん
            だぜ?感謝しろよな。
            後、金はそのバックの中に入ってるお前
            のカードで必要なだけ下ろせ。
            …まったく。俺って何て親切なんだ。
            感謝しろよな。ちなみにこのメルアドに
            メール送っても送れないからな。
            ま、せいぜい頑張れや。   

            お前の神様より





「……へえ。とりあえず野垂れ死にはなさそうじゃん。良かったね?(ニヤリ)」



メールを読まれていたらしい。
(自分のことを神様なんていうやつは神様なんかじゃない)
とか思っていたが今回だけは(自称)神様に感謝した。





「とりあえずその住所に行ってみたら?俺は学校だしね。あんたの世話ばかりできないから。」

「!?そうだよリョーマ君!!早く学校行かないと遅刻するよ!?私は一人でも大丈夫だし早く行きなよ!!!」




が言うと、リョーマは少し不機嫌そうにを見上げて聞いてきた。





「なに?そんなに俺といるのが嫌なわけ?」

「それは絶対ありえない!!!!!!!!!むしろ好きだし!!!!!」




はそう力説した後に自分の言ったことに気づいて真っ赤になった。リョーマはその言葉に驚いて照れ隠しに帽子を深くかぶりなおし、






「っ!!まだまだだね。…それじゃ、俺は行くから。」



といいながら小走りで駆けていった。






「はぁ。やっちゃったよ自分…。まあ、へコんでてもしょうがないよね。よーし、油断せず行こう!!!!オーーー」




これからの生活に期待(欲望?)を膨らませながらメールに書かれている住所に向かうであった…。



「……って言うかここがどこかもわからないし。どうやって行こう?」



その後片っ端から通行人に道を聞く少女の姿が目撃されたとか…。





















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