そんな目でこっちを見るなあぁぁぁっ!!!!!!
第19話 マネ業開始!!!
今私は、男テニ部員の視線を一身に集めて立っています。そう。今日からついにマネージャーなのです。
「今日はお前たちにマネージャーを紹介するよ!!マネージャーといってもレギュラー専属だがね。」
レギュラー以外の部員はマネージャーが出来たのを知らなかったのか、ざわつき始めた。「レギュラーだけかよ…」とか、「またうるさい奴じゃないのか?」とか好き勝手に言ってくれている。
(いい根性してるわね…。こちとら好き好んでマネージャーになったわけじゃないのよ!文句があるならそこでニコニコしながらこっちを見てる魔王不二に文句言いなさい!きっと天国に逝けるわよ…?)
私は竜崎先生の横に立ったまま心の中で文句を言っている部員を罵倒していると、竜崎先生がざわついた部員たちに一喝した。
「静かにおしっ!!!決まったことにうだうだ言うんじゃないよ!?………、みんなに自己紹介しな。」
「はい。…みなさんはじめまして。 と申します。マネージャー業は初めてでいたらないところもあるかと思いますが、やるからには責任を果たしたいと思いますのでよろしくお願いします。」
私は挨拶を一気にいいぺこりとお辞儀をしたあと、にっこりと微笑んで部員たちを見渡した。何故か私と眼が合った瞬簡に顔を赤くして顔を背けてしまうものもいたが、はっきりいってどうでもよかった。とにかく早くこの視線から開放されたかった。
(ああ、目立つのが嫌いな私にとってこの視線は拷問に近いわ…。早く!早く練習再開してよ!!!!!)
竜崎先生はその後も諸注意とかをいろいろ話していたようだが、私はこちらに向けられる好奇の視線に耐えるので精一杯だった。そしてなんとなくレギュラーのほうに視線を向けると、周助とバッチリ目があってしまった。周助は一瞬驚いたような表情をしたが、すぐに私ににっこりと微笑んだ後、竜崎先生に話しかけた。
「竜崎先生!とりあえず練習を再開したほうがいいと思うのですが…。地区予選も近いですし。今までのマネージャーとは違ってさんはそんなに指示しなくてもちゃんと仕事をしてくれると思います。」
「そうかい…?まあ、お前たちがマネージャーにしたいって言ってきたような奴だから大丈夫なんだろうねぇ…。わかった。じゃあわからないことがあればすぐに聞いて来なよ?……じゃあ、各自練習を再開しな!!」
私はわらわらと練習に戻っていく部員たちを見て、安堵のため息をついた。何故か昔から他人の視線は苦手なのである。私はいやな汗をかいていた手を持っていたタオルでぬぐった。
「…。大丈夫?人の視線が苦手だとは思ってなくて…。僕がもっと早く気付いてればよかったのに…ごめんね?」
「え…?そんなの周助のせいじゃないし!!周助が謝る必要はまったくないよ?むしろ助けてくれたじゃん!!ありがとう!」
心配そうな顔をしながら謝ってきた周助に驚いて私はブンブンと首を振りながらいった。周助はまだ少しすまなそうな顔をしながらも私に微笑んできた。
(くあッ!!!!なんですか!?今日はやけに白くないですかっ!?食あたりでも起こしたのか?!)
私が周助に読まれないよう心の中で激しく失礼なことを考えていると、周助は私の頬に触れてきた。
「本当に大丈夫…?無理しないでね。気分が悪ければ休んでても良いんだよ?」
(むぎゃあぁぁ〜〜〜っ!!近い近いっ!!!顔が近い〜〜〜!!!!)
「だだだ大丈夫ですうぅぅぅ!!!!ももももう全然気持ち悪くないよ!?さあ、何したら良いのかな〜!?」
私は必死に後ずさり、真っ赤になりながら周助に言った。周助はくすっと笑って「大丈夫そうだね」といってきた。もしかして…からかわれててのかな…。
「ねえ。不二先輩、何してるんっすか?次は先輩がコートに入る番っすよ。」
突然割り込んできた声に驚いて振り返ると、そこには不機嫌そのものの表情をしたリョーマが立っていた。
「ホント?教えてくれてありがとう。それじゃ、応援しててね♪」
「え?ああ、うん。頑張って?」
私は周助に手を振って送り出した。
(結局何をすれば良いのか言ってくれなかったし…。)
「先輩。顔色大分よくなりましたね。よかった…。俺だって心配してたんっすよ?」
「えっ?そんなに顔色悪かった…?」
「そんなに悪くはなかったけど。少なくとも俺と…不本意だけど不二先輩はわかったっス。」
(なに?何その可愛さは!?……お気に入りの玩具を取られたような気分なのかな?どっちにしてもリョーマにヤキモチ焼いてもらうなんて私は幸せ者だわ〜…☆)
ムスッとしたまま上目遣いで言ってくるリョーマに激しく萌えを感じながら私はリョーマにお礼をいった。
「心配してくれてありがとう♪もう大丈夫だよ?…あっ!ところでさ、今日は何をすればいいのかな?ユニフォームとか洗ったほうが良いのかな?それとも部室の掃除?」
「はぁ……。竜崎先生の話聞いてなかったの?今日は初日だから、見学しながら明日からするべきことを見つけろって言ってたじゃないっすか…。とりあえずその辺で練習見てればいいと思うけど?」
リョーマは私の言葉に呆れたようにため息をつきながらも丁寧に教えてくれた。
「へ?そんなこと言ってたっけ?えへへ。……気分が悪くてそれどころじゃなかったのよね〜。教えてくれてありがとう♪」
「…まだまだだね。それじゃ、俺の番来たみたいだから言ってくるっす。」
「うん!頑張ってね〜♪」
私は手を振りながらニコニコとリョーマを見送った。
(忙しいのに心配してわざわざこっちに来てくれたんだ〜。生意気だけど食べちゃいたいくらい可愛いなあ〜vv)
そんな腐ったことを考えながら私は練習を眺め始めた…――――。
(ひ、暇だわ…。みんな一生懸命練習してるのに何もしてないってかなり罪悪感あるし!何か出来ないかなぁ……。あっ。……よしっ!玉拾いしよう!!!!)
私はそう心に決めると、早速玉拾いをはじめた…――――――――。
そのころ3年レギュラー陣はそろってを観察していた……。
「あれ?さん玉拾いしてるよ?今日は見学でもいいって言ってたの…。働き者だね。」
「クスッ。らしいや♪僕の読みどうり、マネに向いてるでしょ?」
「そうだな。今までやめていったマネは初日の見学のときから働くようなことはしなかったからな。」
「さんがマネに向いている確立95パーセントだな。」
「ちゃんがマネになってくれてうれしいにゃ♪」
私は3年レギュラーにそんなことを言われているとはつゆ知らず、一年生に混ざってせっせと玉拾いしていた。
(これ、結構楽しい♪……ところで地区予選が近いってことは、私結構おいしいイベント逃がしてない!?イヤーーーーーっ!!!荒井対リョーマの試合とか見たかったのにぃーーーーっ!!!)
そんなこんなで、はみんなに結構いい印象を与えたようである。
その日の部活が終わるころには一緒に玉拾いをしていた一年とも仲良くなっていた…。
一生懸命頑張る姿は、他人の目に好ましく映るものなのである。