あー…。一体全体、何でこんなことになっちゃうの?










               第16話 マネor真似…?










「………はぁ?」




奇妙なほど静まり返った教室に間の抜けた私の声が響いた。きっと今の私は目が点になっているに違いない。




「…あれ?聞こえなかった?じゃあ、もう一回言うね?に男テニのレギュラー専属真似をして欲しんだ♪」




にっこりと微笑んでそういってくる周助に、思わず頭を抱え、返事を待っているような周助の視線に気付いてとっさにごまかした。




「え?あ、…ああっ!!!青学レギュラーの真似ね!!わかったわかった!……たるんどるっ!!!!…プリッ。」



(しまったあぁぁっ!!!!!これ青学レギュラーのセリフじゃないYO!!!!)




とっさに出たモノマネに心の中で激しく突っ込みをいれていると、心なしか薄く目を開いた周助と目が合ってしまった。





「……はそんなにバカじゃないよね?僕の言ったことの意味、わかってごまかしてるのかなぁ…?いい根性してるよね。フフフ…。」


「…ひっ!!!そんなっ!!と、とんでもございません!!!!」


「じゃ、マネになってくれるのかな?」




私は周助から目をそらしながら、答えた。




「絶対いやです……!!男テニのマネになるなんて恐ろしいこと私にはできません!!」




私が激しくお断りしていると、さっきまでほかのクラスメイトと同じように呆然としていた英二が我に返って話しかけてきた。




「にゃ、にゃんで駄目なの!?俺、ちゃんにマネージャーになって欲しいにゃ!!」


「そうだよ…。ひょっとして、俺たちが嫌い…?」




そういって必死になって説得してくる英二と、絶対わざと悲しそうにしていると思われる周助に、わずかばかりの良心を痛めながら私は「マネになるのは絶対いやだ!!」と断り続けた。回りの生徒は固唾を呑んでこちらを見守っている。…というかこのトライアングルに入ってくる勇気のあるものなどいなかった。







がらっ!!







「おっはよー!!みなの衆!!!今日はえらく静かだねえ。何かあったのかい……って、どうしたの?なぜに周助とお菊にはさまれて泣きそうな顔してんのさ?……まさか、苛められてるの!?」




そういって、膠着状態だった状況をいともあっさりぶち壊した亞江香は激しく勘違いしたまま周助と英二に詰め寄った。




「なに私のに手ぇ出してんのよ!!!いくらあんたらでも許さないよっ!?」



(いや、苛められてたわけじゃないんだけど…。しかも私のって…。)



が亞江香のもの…?寝言は寝てるときだけにしてくれる?それに、苛めてたわけじゃないよ。ちょっとお願いしてただけだよ?ねっ?(開眼)」




私は話がそれて内心ほっとしていたところに周助に開眼状態で話を振られ、無言でうなずくしかなかった。それを見た周助は満足そうに微笑み、亞江香は顔をしかめた。





「じゃあ、何でが泣きそうな顔してるのよ…?」


「僕はただに男テニレギュラーの専属マネージャーをして欲しいってお願いしてただけなんだ。」


「だ、だめよっ!!!!は女テニのマネ…「女テニはいっぱいマネージャーいるでしょ…?それに、考えてごらんよ。今の時期に女テニのマネなんかになったらきっと苛められるよ?」



(いや…。男テニのマネになったほうが苛められると思いますよ周助君…。)




私は亞江香の言葉をさえぎった周助に心の中で突っ込みを入れていた。
そんな私の心の叫びなど聞こえるはずもない(周助は聞こえているかもしれないが。)



(むしろこのまま私の存在を忘れてくれるとうれしいな…。)



私が都合のいいことを考えている間にも二人はどんどん話を進めていく。





「でも、男テニのマネなんて…。」


「もし、が男テニマネになってくれたら。男テニと練習することの多い亞江香もそのぶんと一緒にいられるんだよ?」


「……!!!そうね…。その通りだわ。」



(なんだろう、激しくいやな予感がする…。)





そう感じた私はさりげなく二人から離れようとした。が、それは意外な人物によってあっさりと阻まれた。




「あれ?ちゃん、どこ行くにゃ?」




英二のその声でこそこそと話し合っていた不二と亞江香はこちらに振り向き、笑顔で私の腕をつかんだ。




「「ねえ、。まだ話は終わってないんだけど…?」」




先ほどまで争っていたとは思えないほどの息ぴったりさで二人に引き止められた私はあおざめながら「ごめん」といって、この場から逃げるのを潔く諦めた。




(断ってればいいことだしね。)


「ハァ…。もう逃げようとしないから離して?」




私がそういうと二人は私を解放して、説得を始めた。





、僕たちにはの助けが必要なんだ。」



(その辺にいる女の子にいえば喜んで世話してくれるわよ…。)




、私にあんな男だけしかいない中で練習しろなんていわないよね?」



(いや、かわいそうだし助けてあげたいけどさ、私がいないときからあの中で練習してたんなら問題ないんじゃない?)




…――――」



――――?」







最初は断っていた私も、永遠と説得を続けそうな二人の勢いに押され始め、もうどうにでもよくなってきていた。




「ねえ、ちゃん。俺、ちゃんにそばで応援して欲しいにゃ!きっともっと頑張れると思うにゃ!!だから、マネになって……?」




聞く人が聞けば告白のように聞こえるセリフを持ち前の天然パワーでさらっと言い切り、私の顔を覗き込むようにしてこちらを伺ってくる英二に、私は……落ちた。




(もうどうにでもなりやがれってんだ!!!!英二君もろとも食ってやる!!!)



「わかったわよ!!!!そこまで言うならやるわよ!!!ただし、私マネなんかしたことないからあまり期待しないでよねっ!!!!!」



「「「ありがとう(にゃ)!!!!」」」





物凄く不機嫌そうにしている私と、それとは対照的に物凄くうれしそうな表情をしている3人。そんな私たちはまったく気付いていなかった…。背後にこめかみをひくつかせた担任が立っていることに………。





「あー…。話がまとまってよかったな?………さっさと席に着きやがれ!!!!ホームルームの時間がなくなるだろうがっ!!!!!」





担任の怒号が響き、そのあとに教室中が笑いに包まれたのはいうまでもない。










恥ずかしそうにしている私とは対照的に、3人は慣れたものなのか、すました顔で自分の席へと帰っていった。





(………ハァ。何で私がこんな目に……?うう、女の子達に殺される……。)












果たしては無事に学園生活を送ることができるのだろうか…―――――?












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