きみ、その笑顔で人殺せるよ…?









                第15話 朝の挨拶








さわやかな朝の空気とともに学生たちの会話が聞こえてくる青学の校門の前で、は一人、悶々と昨日のことを考えていた。



(うー…昨日はなんだか成り行きでみんなからご飯食べさせてもらったけど、考えれば考えるほど恥ずかしい……。もうみんなとは普通の態度で話せないよぅ…。こうなったら記憶がなくなる飲み物でも乾君に作ってもらってみんなの記憶を消し去るしか!!!!)



どんっ



「ぎゃふっ!?……ごめんなさい!!!!」


下を向いて歩いていたは誰かの背中に思いっきり顔をぶつけ、どうおおめに見ても可愛いとはいえない悲鳴をあげたあと、急いで謝った。



「…!?ごめん!大丈夫かにゃ!?……って、なんだ〜、ちゃんかー。」



(なんだって、なんだ?!私だって知ってたら謝んなかったのか!?……ふふふ、少し調教が必要のようね…。)



「……ふ、ふふふ…。」



落ち込んでいるための思考はいつもより危険度がアップしているようだ…。菊丸はそんなの表情に怯えたのか、急いでさっきの言葉を訂正しはじめた。



「ち、違うにゃ!!さっきのなんだぁって言うのはちゃんを軽んじているわけじゃなくて!!ふ、不二を待ってたからさ、不二じゃなかったことになんだぁ〜って言ったんだにゃ!!!なんか不二、手塚に話があるから先に行ってろって俺に言ってきたからさ、どんな話をしたのか気になってたにゃ!!」



(……聞いてないことまで話してるし。しかしまあ、あわててる姿もプリティーだね。)



は菊丸の慌てように少し気分が浮上したのか、クスリと笑って、菊丸より上の段にのぼり菊丸を見下ろす位置で挨拶した。



「挨拶遅れたけど、おはよう!菊丸君。」


「お、おはようだにゃ。……もう、怒ってない?」



そういって上目遣いに聞いてくる菊丸に理性が吹っ飛びそうになりながらも、安心させるように微笑んで話しかけた。



「怒ってないよ。ちょっとからかっただけ♪」


「よ、よかったにゃ〜。本気で怒ったのかと思って焦ったし!!」



菊丸は顔を上げてニコッとに笑った。



「…かっ!!…(可愛んじゃ!!!この菊猫!!!危うく襲い掛かるところだったじゃん!!!!)」



菊丸の太陽のような笑顔をまともに直視してしまったは下を向いて必死に自分を抑えていた。それを不思議に思ったのか、菊丸はさらにの顔をの覗き込んでくる。



ちゃん、大丈夫?どっか調子悪いのかにゃ〜?保健室いく?」



(人が必死に耐えてるときに近づくなあぁぁ!!!!保健室なんて行ったら、危険なのは君なんだYO!?だめだ!!!これ以上ここにいたら(菊ちゃんが)危ない!!!!!)



はそう判断すると脱兎のごとく菊丸のそばから走って逃げた。驚いたような菊丸の声が聞こえてきたが、にはそれにかまっていられるほどの余裕はなかった。






「行っちゃったにゃ…。」


「今の、ちゃんだよね…?何があったの?」


呆然としている菊丸の背後から不二が声をかけた。



「…!?び、びっくりしたにゃ!!!不二!急に声かけないでっていつも言ってるじゃん!!!何でいつも背後から声かけるのさ?」



かなり驚かされた菊丸が反論すると、不二は涼しい顔でが去っていったほうを見ながら、



「……?そんなの面白いからに決まってるでしょ?」



と、いってのけた。不二は言い返す言葉も見つからない菊丸に視線を戻し、もう一度尋ねた。



「で?ちゃんは何であんなに全速力で走っていったのかな…?何かしたの…?菊丸。(開眼)」


「な、何もしてないにゃ!!!!挨拶して、様子がおかしかったから保健室行く?って聞いたら突然走り出しちゃったんだにゃ!!!俺は何にもしてないからねっ!?」


「ふうん…?まあ、信じてあげるよ♪今日は機嫌がいいからね。」



不二は一瞬菊丸を不審げに見たあと、すぐに笑顔に戻ってそういった。菊丸は意外とあっさり信じてくれたことに驚きながらも内心かなりほっとしていた。神に誓って自分がに何かしたわけではないと思ってはいたが…。



「……?なんで機嫌がいいにゃ?あっ、さてはさっき手塚と話したときに何かあったの!?教えてにゃー。」


「ふふ、秘密だよ♪僕の話を聞いてればそのうちわかるよ。さ、早く行こう?」


そういってさっさと歩き始めてしまった不二を追いかけながら、菊丸の頭の中はハテナでいっぱいだった。








がらっ






がさっきの菊丸の笑顔で受けた精神的ダメージから大分回復したころ、教室のドアが勢いよく開き、さっきを悩殺した菊丸といつもより機嫌がよさそうな不二が教室に入ってきた。



(おー。凄い…。このクラスの女子の視線を一身に集めてるよ…。不二君は知ってて涼しい顔してるけど、菊丸君は絶対気付いてないよね。)



入ってきた二人を机にもたれた状態でぼんやりと見ながらそんなことを思っていると、不二がにこやかに笑いながらこちらに歩いてきた。



「おはよう。。なんだか朝からお疲れのようだね。」



は一気に自分のほうを睨んでくる女の子達の視線にうんざりしながらも、もたれていた机から体をはなして笑顔を浮かべながら挨拶を返した。



「おはよう、不二君。不二君は機嫌がよさそうだねぇ。」


「……周助。」


「……は?」


「周助でいいよ。僕が『』って呼んでるのに『不二君』はおかしいでしょ?」


「あーーーっ!!!不二ずるいにゃ!!俺のことも英二って呼んでにゃ!?」



私はよりいっそう鋭さを増した視線たちを感じて、そうなるであろうことに気付きながらもそんなことを言った周助を恨みがましく睨んだ。菊丸は気付くはずもない。



…?呼んでくれるよね?(開眼)」


「……っく。…………周助。」


「ん?なに?。」



私が周助の眼力に負けて名前を呼ぶと、満足そうに微笑みながら聞き返してきた。



(こ、こいつ!!!!無理やり呼ばせたくせに!!!なんかすでに主導権を握られてる気がする……。)



「なんでもないの?ひょっとして呼んでみただけ?……かわいいなぁ。」


「……(ぶちっ!!)もういいっ!!!!からかって遊ぶならもう周助とは話さない!!!」



がそういってそっぽ向くと、周助は一瞬悲しそうな顔をし、すぐにもとの笑顔に戻って話しかけてきた。



「ごめん。ちょっとからかいすぎた…。そんなに嫌がるとは思ってなかったんだ。だから、許して?それに、話しかけたのはちゃんと用事があったからなんだ。」



は周助の真剣な表情にあっけに取られ、思わず許してしまった。



「…う、も、もういいよ。わかってくれたら…。その代わり、もうからかわないでよね?………で?用事ってなに?」




「……それは――――――」










は、そのあとに続いた周助の言葉に絶句するしかなかった。






そしてそのあと、聞かなければ自分の運命は変わっていたのではないかと激しく後悔した………。











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