やっぱり男の子って料理が苦手なのかな…?








                 題13話 お袋の味(前編)







私は氷帝メンバーを後ろ髪を引き抜かれるぐらいの思いで振り切り、家に帰ってカレーの準備をし、具を煮込みながら忍○を見た後、機嫌よくカレーを仕上げていた。あと一時間ほど煮込めばばっちりだ。



(我ながらいい出来だわ!…煮込んでる暇なのよね。鍋から目を離すわけにも行かないし…。………!!いいこと思いついた☆侑士とメールしよう!それがいい!!!!)



私は自分のカバンから携帯を取り出し、光速でメールを打ち始めた。




やっほー!さっきはごめんね!
どうしてもはずせない用事があって…。
今はちょっと暇なんだ♪
相手してもらってもいいかな?
あっ、まだ皆侑士の家にいたりする?




(…送信っと。よし!何分で返信が来るかによって侑士の私への愛を試そう!!30秒以内…激ラブ。でも現実的に不可能。1分以内…かなり好き。まあ、このくらいからは可能かな。2分以内…好き。10分以内…友達として好き。その日のうち…どうでもいい。帰ってこない…ぶっ殺。さあ、どうかなー?)



かなり無茶な愛の試し方である…。ちなみにもちろんは侑士がかなり好きだ。テニプリキャラは大体好きだが…。



チャーラララララララーラーラー♪(愛の挨拶)



(おお!なかなかの反応!かなり好きか!!!そうかそうか。私も好きだぞーーーー!!)



そんなことを思いながら私は侑士からのメールを開いた。


「えーっと、なになに?………はぁっ!?」



を驚かせたのはその内容だった。



ちゃん!今暇なんか!?
暇やったら助けてくれへん?
俺らで晩御飯作ってるんやけど、
もうどうにもならんねん!!頼むっ!!!
助けてくれーーーーー!!!
ちゃんだけが救いの神や!!!




「………。何がどうにもならないのか…。まさか私に晩御飯を作れと…?うーん。状況的には氷帝を餌付けするチャンス…。」



私はぶつくさいいながら左手でお玉を持ち、カレーをかき混ぜ、右手に携帯を持って悩んだ末、侑士の家に行くことにした。



えーっと。
それは私に晩御飯を作ってくれってことなのかな?
いいけど、何作ればいいの?
それに、私の作った料理がそこにいるであろう
みんなの口に合うとは思わないよ?



私は既に乗り込む気満々だったが一応確認しておいた。



(ローストビーフとかサゴシキズシとかいわれたらこまるなぁ。…作れないし。)




そんなことを考えているうちにまたメールが来た。



ほんまか?!おおきに!!
飢え死にしそうや!
ちゃんの得意料理でええで!
材料は結構あると思うしな。
部屋番号は15××やでー。
楽しみに待っとるで!!




(返事返すより直接行くか。カレーの火は切っといて…っと。手ぶらでいいよね。カレー持って行ってもいいけど確実に足りないしね。向こうで作るしかないか。さー。いざホストクラブへ!!!!)



「うふふふ…。楽しみだなぁ〜。」



私は急いで用意し、意気揚々と自分の家を飛び出して侑士の家まで行った。








(15××…っとここだ♪)



ピンポーン…。



私はドアの前で止まるとためらいもせずベルを鳴らした。すると中からバタバタと音が近づいてきて、一気に扉が開いた。



がごっ!!!



そしてそんなに勢いよく開くと思っていなかった私はドアのそばにいたため思いっきりおでこをぶつけた。



「ぐっ………(涙)ほ、星が…!!違う、これは―」


「げっ!?ちゃん!?すすすす、すまん!!!!堪忍や!物凄い音したけど、大丈夫か!?」




「これは星じゃなくてヒトデだーーーーーーー!!!!!」


「ひっ!!ちゃん!!しっかりしなやっ!?ちゃんが壊れたーーーー!!!」




私は侑士と私の叫びに何事かと集まってきたメンバーによって家の中に搬送された。額にひんやりとしたものをあてられて「お星様が…ヒトデが…」などとあっちの世界をさまよっていた私はようやく正気に戻った。



「よかった!!戻ってきた!!ホンマすまん!まさかあんなにすぐ傍に居るとは思わんかってん!」


ちゃん、大丈夫…?俺のことわかる?」


「侑士とジロちゃん…。大丈夫だよー?えへへ…迷惑かけてごめんねぇ〜?」


「おい、まだ正気に戻ってないんじゃねえか?喋りかたがおかしいぜ?」



跡部はそういいながら私の顔に自分の顔を近づけ、心配そうに覗き込んできた。まだ覚醒状態にまで戻っていなかった私は、跡部の顔の近さに一気に正気に戻った。



「…ななななっ!?顔が近いいいいいぃぃっ!!!!」



ずざざっ!とソファの端まで一気に移動した私は体制を崩した。



(NO〜〜!!落ちるーーー!!!頭打ちゃうYO!!!!)



私はぎゅっと目を閉じ、来るであろう衝撃に備えた。
………だが、私が倒れこんだのは固い床の上ではなかった。



「おい、気ぃつけろよ?落ちたら激ダサだぜ?」


なんと私は宍戸 亮君の逞しい胸の中にダイブしているではありませんか!!!私はかなりおいしい状況のなかで、あることに気付いた。



(…はて?さっき道で会ったメンバーの中には宍戸くんはいなかった気が…。これはもう聞くしかないよね☆)



私は宍戸の胸に倒れこんだまま首を後ろに向け、支えてくれている宍戸に向かって尋ねた。



「ありがとうございます!…ええと、さっき道で侑士君とかと会ったときはいませんでしたよね?よければ名前をおしえてください。私は です。」



「あ?ああ、あとで合流したんだよ。俺は宍戸 亮だ。よろしくな。」



私たちは普通に挨拶した。私が宍戸の胸にもたれかかっているままだということを除けば…。



ぐいっ



「宍戸、お前何いつまでもちゃん抱いてんだよ!!」



突如横から岳人がを引っ張り、自分のほうに引き寄せた。私はちょっと残念に思いながらも今度は岳人に異常に接近している状態に驚いていた。



(ななななに!?…ちょっ!今日はサービス多すぎない!?心臓が持ちません!!ってゆーか!がっくん!抱くとかいうなよ!!!!腐女子はいろんなこと考えちゃうでしょうが!!!)



「おい、いいかげんにしろ。」


「そうやで?宍戸も岳人もちゃんを呼んだんは…俺やで?」


「二人ともずるいC〜…(怒)」



侑士はわけのわからないことを言っていたが、三人は私を理性の危機的状況から救ってくれた。…ん?3人?



(私のマスコット的存在のかばじーがいない!!!!なんで!?)


「ありがとう、助かったよ(がっくんの貞操が。)…ところで、樺地君は?」


私は樺地の所有者(違っ)である跡部に視線を向けて聞いた。すると跡部は少し機嫌悪そうに答えた。



「あいつは用事があるっていって帰ったぜ?なんだよは樺地みたいなのがタイプなのか?」



その跡部の問題発言でその場は一気に収集がつかなくなった。


「えっ!そうなん?」


「まじでまじで!?俺くやC〜!!!!」


「俺には関係ない…くそっ、激ダサだぜ。」


「クソクソ跡部!!そんなはずないだろっ!!なあ、どうなんだよちゃん!?」



私は皆に好き勝手言われて腹が立っていたので本性を隠さずに黒く微笑み、まだ騒いでいる皆を静めるべく言葉を放った。



「……みんな、何を言ってるのかなぁ?私は樺地君がいなかったから『どうしたの?』って聞いただけでしょ?……何でこんなに騒いでるのかなぁ?本人を差し置いて…。」


その瞬間空気が凍った。あの跡部でさえ顔色が悪くなっている。


「「「「「すみませんでした…」」」」」


「わかればいいの♪怒ってごめんね?」



私はその言葉に満足し、元の顔に戻すと、まだ顔色の悪い皆に向かってにっこり笑い、ようやく本題を切り出した。




なんだか騒いでいたので忘れているが、私はご飯を作るためにここに来たのだ。



「…で?何を作るか決めるから、食材見せてくれない?」






                    続く  








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