……何で女の子達がいないの?








                第10話  男子テニス部 (前編)









私は職員室での用事(たんに教科書渡されただけだった注文してたのが届いたらしい。)が終わった後、軽い足取りで女子テニス部に見学に行き(亞江香の熱烈歓迎を受けた)、そして次に嫌がる体を無理やり引きずりながら男子テニス部に向かっていた。






(ああ、男テニレギュラーをそばで見れるのはうれしいけど、その周りを狼のごとく囲んでる女の子達が怖いよう………。目、付けられたくないんだけどなぁ〜。でもこのまま帰って不二君の機嫌を損ねるほうがよっぽど怖い……)



私は見学に行かなかったときの不二の制裁を想像してブルブルと震えた。


「や、やっぱり約束は守らないとね!!!」



いくぶん歩みを速めながら女の子達の喧騒が聞こえて来るぐらいのところまで近づいた。……が、なぜかいつまでたっても女の子達の黄色い声援が聞こえてこない。




(おかしい。何かが想像と違う……。なんで女の子の声が聞こえないの?これは……何か起こったに違いない!!!!!!事件か事故か!?一刻も早く現場を押さえなくては!!)




と、心のなかでカッコつけてはいるがそこにあるのは好奇心&野次馬根性だけである。私は先ほどの歩く早さの3.14倍(当社比)のスピードで男テニのテニスコートに向かった。

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そしてテニスコートについた私の目に飛び込んできたものは!!!!!!!!!!!!





…………なんてこともない普通の練習風景だった。ただ、女の子がいないことを除いては。

私は自分が想像していたようなことが起こっていないと知り、つまらなそうにつぶやいた。



「あれ?普通じゃん……。でも、何で女の子がいないの?………はっ!まさか魔王不二君が切れて黒魔術で消したのか?!」



「………。僕が何だって…?ずいぶん失礼なこといってなかった?それに僕は心が読めるだけで黒魔術は使えないよ。(開眼)」



「…!!!!!!なっ!?いつからここに?っていうか私つぶやいただけなのになんで聞こえてるのっ?………す、すみませんでした。許してください……(蒼白)」




私は思わず口答えしながら振り向いたが、不二の冷笑(黒笑)を見て速攻で謝った。
すると不二は機嫌を直したようで、普通の笑顔を向けて説明してくれた。



「ああいう女の子が見学していいのは月曜日と木曜日だけなんだ。以前毎日のように騒がれて問題になってね……。学校と話し合って決めたんだ。」



「へえー。そうんなんだ?初耳だー。…当たり前だけど。でもさ、そうなると私も見学しちゃ駄目なんじゃない?」



そういう私に向かって不二は私に安心させるような笑みを向けてきた。


(いつまでもそんなかわゆい笑顔浮かべてると襲っちゃうよ…?返り討ちにあいそうだけど……。)



「そのことについては問題ないよ。レギュラーから見に来てもいいって言われた人は来てもいい事になってるんだ。まあ、前例はないけどね。だからは心配しなくてもいいよ。」


(今前例がないって聞こえたような……。)


「そうなの?でも、そんなの悪いから見学してもいい日にほかの子たちに混ざって見に来るよ。」



「そんなの気に「だめにゃー!!!!!!見学オッケーの日になんて来たらちゃんが危ないにゃーーーー!!!!」


(いや、私としては天下のレギュラーに特別扱いされたって言うのがばれるほうが怖いんですが……。)



「………………英二?僕に喧嘩売ってるの……?いい度胸だね。」


(早く謝っとけ!!!!菊ちゃん!!命が危ないぞ?!)


「ご、ごめんにゃ不二!!!ちゃんが帰っちゃうかと思って焦ったんだにゃ!」


「そう?わざとじゃないならいいんだ…。それより、せっかく来たんだから見ていきなよ。彼女たちにとってはが俺たちと話してる時点でもう特別扱いなんだからさ、諦めたら?」


「なっ!また心読んだ?」


「聞こえてきたんだ♪」


「はぁ。わかった。見ていくわよ。」


「やったにゃ!!こっちだよちゃん!」



そういってうれしそうに私の手を引っ張っていく菊丸を見ているうちに、どうせ目を付けられるのはわかってるんだから青学レギュラーを一日独占できる時間を有意義に使ってやろうという気分になっていた。



私が連れて行かれたのはなんとフェンスの中にあるベンチだった。部外者がここまで入っていいのだろうか…?



「じゃあ、はここでみてて?」


「俺、頑張るからさ、ちゃんと見ててにゃ?」


「うん、頑張ってね!二人とも。」



とりあえず二人がここにいろと言うのだからいいのだろうと自己完結して、コートに入っていく二人を見つめていると今度は手塚と大石、それに乾(ノート装備)がやってきた。



「不二が見学させたいといっていたのはお前だったんだな。……受かってよかったな。」


「その節はどうもお世話になりました。」



どう見ても初対面ではない私たちの会話を聞いて



「えっ?二人とも初対面じゃないの?」


「気になるな…どういう関係だい?」


と一人は驚き、一人はデータを集めながら尋ねてきた。



「ええと、それはあとで説明します。先にお名前を教えていただけませんか?…私は です。よろしくお願いしますね。」


(全員名前知ってるけどね。)


「前は名乗っていなかったな…。手塚 国光だ。」


「ああ、ごめんね?僕は大石 秀一郎だよ。よろしく。」


「……ふむ、君が噂の転校生か。乾 貞治だよろしく頼むよ。……で?二人はどこで知り合ったのかな?」



さすが乾、自分が聞きたいことは忘れない。すでにいつでもデータを取れる体制で構えている。





「……えーっとですね、編入試験を受けに来たときに職員室まで案内してくださったんです。それだけのことなんですよ?」


ここで間違っても迷ったといわないあたり、迷ったことはのわずかばかりのプライドを傷つけているのだろう。


「へえ、そうなんだ?凄い遇然だね。」


「………わかった。ありがとう。君からはいいデータが取れそうだ。いくつか質問していいかな?」



大石は大きくうなずきながら納得し、乾はなにやらデータを書き込みながらさらにに質問しようとした…。しかしそれは手塚によってさえぎられた。



「乾、今日はやめておけ。次は俺たちのコート練習の番だ。」


「……残念だな。じゃ、また今度質問させてもらうよ。ゆっくり見て行ってくれ。」


「僕もそろそろコートに入らないと。それじゃあまたあとで。さん。」




去っていく3人の背中を見つめながらいろんなことを考えていた。





(あー。なんかいい感じ?手塚君って結構優しいよね…。お兄ちゃんにしたい。手塚君って妹がいたら絶対過保護になるタイプだよね!!)



(大石君は癒しだ……日ごろの生活ですさんだ心を癒してくれるのよ…。一家に一台『大石ロボ』と買うってたら絶対買うし!!!………しかしあれだね、やっぱあの髪型は気になるけどね…(遠い目))



(そして何を言おうが不二君の次に怖いのは乾君よ!!!!明らかに私がしゃべった文字数より多くメモを取ってたよ…。私のデータとって役に立つのか?しかし、あの眼鏡、綺麗に全反射してたし……。眼鏡として物理的にありえるのか…?)




(それにしても、早く休み時間にならないかなぁ。リョーマ君とかさっきからこっち見てきてるし……。食べちゃいたい……。はっ!いけない。危ないお姉さんになるところだったわ!!海堂君と桃城君ともお話したいよう…。)





せっかくテニス部の練習を見ているのに、私の頭はそんなことでいっぱいだった。





(ごめんね?皆。私はいつも群れてる女の子達よりだいぶいかがわしいこと考えてます!……表に出さないだけで…ね。)











後編に続く!!!









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