著者 : 名無しさん ID:20/yAxAq 氏
その6 - >>405
開始:07/03/12
最終:07/03/12
その6 - >>406
【 無題 】
ここはどこだ…
いつものことながら良牙は道に迷っていた。
人っこ一人通らない山の中。
「おい」
奇跡的に通りがかった老人をつかまえる。
「東京はどっちだ」
「あっちじゃ…おいそっちじゃねえ!…いや、だからなんでそっちさ行ぐ!」
道を教えられてもすぐに違うほうへ行こうとしてしまう。
信じ難いが、このくらい良牙にはよくあることなのだ。
「とにかく、絶対にそっちには行っちゃなんねえ…このあたりの古い言い伝えでな、
この森の動物たちは森の奥地にある泉に浸かって人間の姿になるんだと。
そんで森に入った人間に悪さすんだとさ…あれ?どこさ行った?」
老人が話し終える前に良牙はもう歩き出していた。
―男に戻れる!
それにしても東京方面に行くのには全く逆方向に進んでしまうというのに
こういうときにだけはなぜか目的地に向かうことができるのはいったいなぜだろう。
一ヶ月後…天道家の庭
「この頃、Pちゃんの姿見かけないわね」
「もうそろそろ帰ってくるんじゃねえか?な、Pちゃん」
いつもならここで「誰がPちゃんだ!」と叫ぶ良牙だが…
「Pちゃんはもうあかねさんの前に姿を現すことはないでしょう…」
乱馬・あかねともに言葉を失う。
(さては良牙のやつ、男溺泉に…)
(どうして良牙くんにそんなことわかるのかしら?)
黙ってしまった二人を置いて良牙は天道家をあとにした。
―こうしちゃいられねえ!
勢いよく天道家を飛び出した乱馬は良牙を見つけると思いきりドブ川に突き落とした。
「おまえ、本当にブタが治っ…ん?」
「ふん…おかしけりゃ笑っていーんだぜ」
そこにたたずんでいるのはバンダナを巻いたショートカットの美しい少女…