著者 : ◆QBw4lbDD4k 氏
その5 ー >>914
開始:06/12/13
最終:06/12/29
その6 − >>062
【 良牙×らんまです
】
改訂版
「おめーはいつからババアんところの店員になったんだよ?」
ここは天道家の居間である。
奥に座っていたらんまは見慣れない荷物を持って現れた男を見て、ケタケタ笑っていた。
「うるせえ! 無理やり押し付けられたんだ!」
居間の入り口には『猫飯店』と書かれたおかもちをぶら下げてふてくされた良牙が立っていた。
実は奇跡的にこの家の前に辿り着いた良牙を最初に出迎えたのは、
荷台や手に何段もおかもちを積み上げて夜の住宅街を疾走するムースの自転車のタイヤだった。
「やや、丁度良い! ブタの手も借りたいところだったのじゃ、頼んだぞ良牙!」
ムースは自転車の下敷きになっている良牙を見つけると、
大量の荷物の内の一つを置いて大急ぎで次の出前先に向かって行った。
背中にタイヤの跡を付けた良牙の脇に置かれたおかもちには『天道道場』と書かれた紙が貼ってあった。
「あのアヒル野郎! 俺を馬鹿にしやがってえ!!」
「落ち着けって、腹がヘッてるからイラつくんだよ、メシ食うか?」
テーブルをダンッと叩いても怒りの収まらない良牙をらんまはドウドウとなだめながら、
おかもちからラーメンとチャーハンを取り出してテーブルに並べた。
その皿の数に疑問を感じて良牙はキョロキョロと辺りを見回した。
「あかねさん達はどうしたんだ?」
「ああ、今夜は珍しくみんな留守だぜ、あかねに会えなくて残念だったな〜 」
「うるせえ、別にそんなんじゃねえ!」
引っかかる言い方にイラッとした良牙は、ラーメンを選ぶとアテこする様にズゾゾゾッと大きな音を立てて食べ始めた。
「しょーがねえや、よしっ! 今夜はあかねの代わりに俺がPちゃん抱いて寝てやるからな、任せとけっ」
らんまは思いついたようにポンとヒザを叩くと、ギュギュッと胸もとを抱きかかえるポーズで良牙を見つめた。
見つめられた方はブフォッと鼻から口からラーメンを吹き出してヒキつった。
「貴様、そういう冗談を止めろと言っとるだろうがーーー!!」
こめかみに青スジを浮かべて、らんまに殴りかかろうと立ち上がりその胸ぐらをグイッと引き寄せた。
ところが不幸なことに薄手のタンクトップはよく伸びる。
パカッとあらわれた胸もとにポーッとなって目を奪われてしまった。
「……ん? どわぁぁぁぁぁあ〜!!」
その途端、バランスを崩し勢い余ってテーブルの上に置いていたおかもちを道連れに倒れこんだ。
…………モニュッという柔らかい感触が良牙の顔面を包んで受け止めた。
良牙は自分がどういう体勢になっているのか判断できずそのまま柔らかさに埋もれていた。
「りょ〜〜〜お〜〜〜があ〜〜〜!!」
怒りに震える女の声が頭上から響き、ハッと我に返る。
慌て手をついて体を引き離したが、その手の平にもグニュッと弾力のある柔らかい感触が広がる。
ようやく事態が見えてきたが状況は決して良いとは言えなかった。
気がつくと良牙はらんまに跨って柔らかな胸をギュッと掴んでいた。
「あっ……、い、いや! ……こ、こ、これは! そ、その……、す、す、すまん!!」
良牙はカアァァッと顔を赤くして汗タラタラにしどろもどろで謝った。
良牙の慌てっぷりに下敷きになっているらんままで怒りを忘れて恥ずかしくなってくる。
「い、いいから手を離せ! でもって降りろ!」
らんまのウワずったカン高い声にハッと我に返り、ササッと跳び降りて体を小さくして更に謝った。
「……その、本当にすまん! ワ、ワザとじゃないんだ!」
(ハッ……なんで俺はこんなにもヒクツに謝ってんだ??)
良牙は自分の行動に愕然とした。
(相手は見た目は確かに女だ、だが中身は男じゃねえか! それなのに何やってんだ、俺は!! 情けねえ……)
うろたえながらも、自ら活を入れるように拳をギュッと握り締めた。
しかしなぜかその拳が緩やかに開き丸いボールを持つような形に変わると、さっきまでの柔らかい感触を思い出した。
(柔らけえ胸だったなあ………………って! だぁああぁああぁぁぁぁっっ〜、ち、違う!! しっかりしろ響良牙!)
(俺は、俺は、変態じゃねえええ!!!)
ポーッと上を向いては顔を赤くし、頭をブンブン振っては青ざめる姿はかなりヤバそうに見える。
「おめー……大丈夫か?」
無言で一喜一憂する良牙にヒキつつも、らんまはオズオズと良牙の顔を覗き込むと彼の額に手を当てた。
「ぬなっっっっっ! よ、寄るなーーー!」
いきなり間近に顔を寄せられ慌ててズザザザッーっと後ずさった。
「いや、あの、その、……俺もからかって悪かったから、な?」
らんまはアハハと笑ってみたが、乾いた笑い声がむなしく響くだけだった。
気まずい雰囲気に耐えかねて周りを見回すと、ひっくり返ったおかもちのそばに見覚えのないビデオを見つけた。
「ん? こんなのなかったよな?」
らんまはビデオを拾い上げ、そばに転がっていたおかもちの中を覗いてみる。
すると下の段の奥にビデオの形に張り付いているガムテープの跡を見つけた。
どうやらここから剥がれ落ちたようだった。
「なー、これ誰のだ? ムースかな」
「……さあな?」
「とりあえず中身確かめねーとな」
らんまは鼻歌まじりにビデオデッキの電源を入れ、ビデオを押し込もうとした。
「おい、誰のか知らねえが勝手に見るのはマズいんじゃねえか?」
良牙はらんまのおさげを馬の手綱の様にクイッと引っぱって止めた。
「なんでだよ、中身分からねーと誰に返していいか分からねーだろ?」
良牙の手をパパッと振り払うとビデオを押し込んだ。
「何言ってやがる、お前は好奇心だけじゃねえか」
「エへへ、どっちでもいーじゃねーか、堅いこと言うなよっ」
何事も無かったように軽口をかわしていると、おもむろにビデオが始まった。
だが、それは場の空気を打ち消すには充分だった。
そのビデオが映し出したのは、仰向けに寝転がって体を激しく上下に揺さぶられている素っ裸の女の姿だった。
思いもよらぬ光景に二人の動きが固まった。
今だけはらんまも自分の適当な性格をホンの少しばかり後悔した。
「な、な、なんつーモンを……!」
らんまは慌ててテーブルに置いたリモコンを取ろうと振り返る。
その瞬間、ちょうど真後ろにいた良牙にいきおい良くぶつかった。
良牙の胸もとにはらんまの小さい顔があった。
小さい鼻や柔らかい口唇が触れた。マツ毛や細い髪が当たってクスぐったい。
そして、みぞおちの当たりには先程の事故でその弾力を感じてしまったふくよかな二つの胸がグイッと押しつけられ、先端のカタチを感じる。
「…………ムグッ」
と、らんまの詰まらせた息が吐息の様にフウッとかかった。
それと一緒にふんわり風呂上がりの女の良い匂いがする。
画面から見える乱れた女の姿と相まって、頭がクラクラとして痺れる様な目眩を覚え、らんまにバレやしないかと思うくらい心臓がバクバクと鳴った。
らんまの胸の下に、急激にムクムクッと硬くなったものが当たった。
「……りょっ……!?」
驚いてパッと体を離して自分に当たったものを見ると、らんまは顔を赤くして口をパクパクさせていた。
「あ、あ、あ、…………お、おめーっ……」
「…………ワ、ワザとじゃねえ……」
良牙も顔を真っ赤にして申し訳なさそうに眉をしかめていた。
「そっ、それにしたってなあ……」
らんまはジトーッと上目づかいで良牙を睨む。
「おめー反応しすぎだぜ、この未熟者め!!」
「グッッ……! あ、あのなあ……!」
良牙の口もとがヒクヒクと引きつった。
「いったい誰のせいだと思ってやがるんだっ!!」
「な、なんだよ? 俺のせいにするのかよ!? てめーが勝手に勃ててんじゃねーかっ、バーカ!」
「好きで勃ったんじゃねえや、バカ野郎! そもそも貴様が挑発的な格好してんのが一番の原因じゃねえか!?」
確かに、下着なしのダボダボのタンクトップとトランクスは迷惑だ。
目のヤリ場に困る、ヒジョーに困る。
しかも女としての自覚など欠落しているらんまの行儀は、けっして誉められるものではない。
胸の先端がクッキリと浮かぼうが気にしないし、ブカブカのトランクスの無防備なスキ間など考えずに平気であぐらをかく。
まさに自由奔放、良牙の言うこともモットモである。
しかしらんまも普段なら、本当は男なのだから良牙の言い分を聞き分けることはできただろう。
ところが今だけは違っていた。
明らかに自分に対して欲情したであろう男を目の前にして、女としての過剰な防衛本能が沸きおこる。
簡単に言うと……『パニクって』『ビビっている』……のである。
「ア、ア、ア、アホかっ! 俺、男だぞ? コーフンすんな! バカ!!」
「お前がバカだろうが! 自分勝手ばかりぬかしてんじゃ無えぞ!」
「おめー、自分が何を言ってるかわかってんのか!? この……この……」
らんまがスーッと息を吸ってトドメを刺した。
「この変態!!!」
良牙の自制心がプツンッと音を立ててキレた。
ガバッとらんまの腕を掴みグイッと引き寄せ、ジリジリと顔を近づけた。
(ゲッ! ヤバそう! マジでヤバいかも!)
男の姿ならいざ知らず、女の姿では組み合いになったら力負けするのは必至だ。
らんまの背中にタラッと冷や汗が流れ落ちる。
「ちょ、ちょ、ちょっと待て良牙! 落ち着けって!!」
その言葉にホンの一瞬だけ良牙の手の力が緩んだ。
(しめた! このスキに!)
良牙の腕を払いのけダダッと駆け出した。
ところが運悪く、目の前にあった茶ダンスにゴチ〜〜〜ンと頭をぶつけてヘナヘナとその場に倒れ込んでしまった。
ジーンと痺れる頭を押さえて、ヨロヨロと体を起こしたところで良牙に捕まった。
目の前に星がチカチカして手足に力が入らない。
片手でヒョイッと簡単に仰向けにひっくり返されてしまう。
良牙は片方の手をらんまの背中にまわすと反対側のらんまの腕をガシッと掴んで抱きかかえる。
空いている手でタンクトップをまくり上げ、プルンとあらわれた胸を乱暴に掴み、荒々しく揉みながら先端を指で捏ね回す。
もう片方の先端を口唇で甘く挟み、そのまま口に含んで舌で押しつぶす様に転がすとらんまの背中がビクンとつった。
「……んぁっ、やめろ! 離せよっ! バカ!!」
らんまの乳首にコリッと強めに歯を立てた。
「痛でででー! 噛むなっバカァーー!」
良牙の口もとがニヤリとする。
初めて受ける痛みにらんまの目が涙でにじむ。
いまだに手足に力が入らなかったが、それでも何とか逃れようと体を捩らせるけれど身動きがとれない。
上半身はガッチリと抱えられ、器用に脚を絡められているので逃げようにも叶わなかった。
「良牙!! いい加減にしねーと俺だって怒るぞっ! バカやろー!」
圧倒的に不利なクセに口だけはへらないらんまにムカムカする。
「バカバカうるせえなあ!」
良牙はフイに体を起こすとらんまのホッペタをグニーッと思い切り横に引っ張った。
「ひてて、やうぇろ! わかっ! (痛てて、止めろ! バカ!)」
「ブハハッ、何言ってんのか分からねえぞ、乱馬?」
自分の思うがままのらんまの姿が愉快でたまらない。
ふだん振り回されている反動なのだろうか。
指を振りほどくこともできず、ただ首を振るだけのらんま。
それを見下ろすことに優越感を感じる良牙。
悔しそうに睨みつけてくるらんまにゾクリとして生ツバを飲み込んだ。
良牙は指を離すとらんまの胸を揉みしだく。
自分の手に吸いつくように歪む白い乳房に興奮した。
思わず口いっぱいに頬張り、歯を立てる。
舌に当たる尖りかけた乳首をザラザラした舌で舐めあげ、ムチュゥと吸いついた。
「……っ、んあっ……チクショー……この野郎っ」
らんまの体がビクンと跳ねる。
プルプルと小刻みに震えた。
自分の意志とはうらはらに体が勝手に反応してしまう。
「あ、あ、やめろ、って、……言って……るだろっっ、分かんねーのかよ!?」
「残念だがそれはできねえ、諦めろ」
「!! おまえ……目が座ってるぞ? ……はりゃっ?」
急に良牙の動きが変わった。
弄り散らした胸から離れ、フンッと鼻をならしてらんまの膝をガバッと左右に開く。
血走った目が足の付け根を凝視するが、何をするわけでも無い。
ただ見ているだけだった。
「な、なんだよ、ジロジロ見てんじゃねーよ」
「パンツ濡らしといて偉そうに言ってんじゃねえ」
「……へ!?」
良牙の声にハッとする。
やがてパカッと開いた股間にらんまはおそるおそる視線を落とした。
しばしの沈黙……。
確かにそこには大きく広がったシミがあった。
湿って冷えた布がペッタリ張り付いて気持ち悪い。
らんまの顔が一気にボボボボボーッと沸騰した。
「こっ、これはっ……勘違いするなよな? ……じょ、条件反射ってやつだっ、決してヨクジョーしたとかじゃねーからな!?」
ブンブンと手を振って己の潔白(?)を必死に説明する。
しかし、良牙はしれっとした顔で耳をほじっていた。
「んー、何やら今日は耳鳴りがするな」
「聞けよ! 人の話を聞けよ!!」
「えーい、ゴチャゴチャやかましい!! 恨むんなら、でけえ乳してる自分を恨めっ」
良牙はキッパリ言い捨てると後ろからむんずと乳房を鷲掴み、覆い被さる。
一気にトランクスを引っ剥がす。
「でえ〜〜〜! ちょ、調子にのってんじゃねえぞ、このエロブタ〜〜〜〜〜〜
〜っっっ!!」
返す刀でじっとり湿ったらんまの秘所に指を突きさした。
「うああああ〜〜〜〜〜!!」
らんまの悲鳴が部屋中にこだました。
「ぁあんっ」
悲鳴以外の声もしたっぽい……?
「ん、……んあ……ん、……んくっ」
らんまが息を詰まらせる。
クチュクチュという音が耳につく。
淫らな声と響きが静かな部屋の空気を一変する。
らんまのそこは狭かった。
たった一本の指を咥えこんだだけでいっぱいだった。
熱く融けた膣の中を傍若無人に捏ね回す。
「うぁ……ぁぁはぅ……」
堪えきれず漏れた小さなうめき声。
らんまは小犬のようにうずくまり、
押し寄せる甘い感覚に逆らおうと必死だった。
けれど、膣から抜き取られた指が赤く充血して膨らんだ突起を撫でるとわずかな決意は脆くも崩れてしまう。
「いや、っあ……やめ……んあっ」
小さくてもピンと尖ってたクリトリスを押し潰されて、たまらず声を荒げる。
丸まった背中をピーンと反り返し腰を跳ね上げて震えた。
(オレ、なんか変なかっこうしてる……きっと)
そう思った途端、恥ずかしくて蕩けそうになった。
急激に体の力が抜けていく。
良牙はさらに伸しかかり大きく円を描くように胸を揉み、指の腹で乳首を弄ぶ。
もう片方の手で中心を下へなぞりクリトリスをしごく。
らんまの首すじに顔をうずめて柔らかいところを舐め、歯をたて、吸いつく。
むさぼり喰うようにらんまを嬲った。
らんまは顔をうつ伏して小さく喘ぐ。
良牙はグイッとらんまの体を持ち上げる。
あぐらをかいた自分の足の上に向かい合わせにらんまを座らせた。
腰を抱き、胸に顔をうずめて乳首を吸う。
良牙の腰に巻きつくように大きく広げたらんまの足の付け根の中心に良牙の指が這う。
らんまは尻の下に硬くなった良牙の強ばりを感じた。
布越しにその大きさと熱さを感じると胸がキュンと締め付けられた。
「オレ……あはぁ……なんか、へん……」
フワッと揺らぐ体を支えようと良牙の首に腕を巻きつける。
ふと、良牙は胸から離れるとらんまを見上げた。
眉をしかめて、目をキュッととじ、頬を上気させている女の顔が見える。
小さく開いた口から「やぁぁ」とか細い声が漏れていた。
良牙はドキッとした。
(ぬぬぬっ、こいつは〜〜〜〜〜〜〜〜!)
とてつもなく面食らった。
良牙の棒がグンッとらんまを押し上げる。
「乱馬、お前、すげえいやらしい顔してるぞっ」
良牙の声にハッとして目を開く。
目の前にニヤッと笑う良牙が見えた。
「やだっ! 見んなよ、見んなよ」
恥ずかしさがこみ上げてくる。
良牙と視線を合わせられなかった。
たまらず手で顔を覆って隠した。
たちどころにバランスを崩し、らんまの体が大きくグラッと揺れた。
それでも顔を隠す手ははずさなかった。
良牙はそのままらんまを畳の上にそっと転がすと、らんまの手首を束ねて掴み畳に押し付けた。
隠すものがなくなったらんまは目を瞑って、プイと顔を背ける。
良牙がらんまの顎を持ち上げ上を向かせる。
「見ててやるからイッちまえよ」
「……っうぁあぁ……やだぁ」
口で拒んでもらんまはこみ上げる快感にもう抗えなかった。
良牙の親指がクリトリスを押さえたまま、別の指がらんまの膣に侵入する。
捏ね回し、弄び、擦り上げ、撫で上げる。
足の間から全身へ痺れるような感覚が果てしなく広がる。
「やめてっ……っうあん……見るなよ……んぁっ」
恥辱と快感の狭間でらんまは混乱し揺れ動く。
真っ赤に染まったらんまの顔は汗と涙でベチョベチョだった。
良牙も目を離せなかった。
目の前の女が拒みつつも快感を受け入れている姿に興奮した。
「あ、あ、ぁぁはぁ……、やぁぁ……」
らんまの背中が大きく仰け反り、全身を硬直させて…………やがてパタッと果てた。
らんまが達したのを見てとると、良牙は自分の肉棒を抜き出しらんまの膣にあてがった。
良牙がらんまに挿れようと構えたところで突然怒号が響いた。
「おらとしたことが何たる失態をしただか〜〜〜〜〜〜〜!!」
ドンガラガラガラーーーッとけたたましく雨戸をこじ開けムースが乱入してきた。
いきなり現れたムースは迷うことなくビデオデッキに向かうと中からビデオを取り出した。
「部屋に隠しておいてシャンプーに見つかるわけにもいかず、おかもちに隠しておったが
よもや良牙に渡してしまうとは何たる不覚っっっ!」
ムースはビデオを懐にしまうと、ハラハラと流れる涙を袖口で拭った。
「さて、仕事を忘れてはならん」
思い出したように膝をポンッと叩くと空いた器をおかもちに片付ける。
そしてなぜ知っているのか分からないがタンスの引き出しから財布を取り出すと
代金を抜き取って元に戻し、庭に飛び出すと雨戸を閉めて去っていった。
さて、その間二人は抱き合ったまま凍りついていた。
突然吹き荒れた嵐が去るのを息を潜めて待っていた。
「……あ、あいつ、気が付かねえのか??」
ムースの去った雨戸を見つめてようやく良牙が口を開いた。
「ド近眼ってのは恐えーな……」
同じくらんまも雨戸を見つめてつぶやいた。
と、再び勢いよく雨戸が開くとムースが顔を覗かせた。
ムースと目が合ったまま二人はピキッと凍りつく。
「忙しいところ邪魔をしてすまなかった、おらのことは気にせず続けるがいいだ」
そういい残すとムースはフワッと身を翻して夜の闇に消えていった。
「あの野郎〜〜〜!」
良牙はダッと雨戸に駆け寄ると、雨戸の隙間から首を出し庭を見回した。
「まだ、どっかに隠れてんじゃねえか!?」
疑り深く辺りをうかがうその背後にぼーっとらんまが近寄った。
らんまは大きなリュックを庭にポーンと放り投げると、その持ち主も庭に蹴り出しビシャッと雨戸を閉めた。
「?? な? 何だ?」
良牙には追い出された理由がわからない。
閉じた雨戸を見つめて戸惑っていたが、我に返ると無性に腹が立ってきた。
思わず大声で怒鳴り散らす。
「手前ーーーッ! 自分だけイきやがって!! オレは収まりつかねえぞーーー!!」
「うるせえ! 恥ずかしいことベラベラ喋ってんじゃねぇーーー!!」
ガラガラッと雨戸が開くと、並々と水を入れたバケツを抱えてらんまが立っていた。
「お前なんか死んじまえっ! この、変態! アホ! マヌケ! 唐変木! タコ! ハゲ! ボケ! エロブタ〜〜〜!!」
らんまは思いつく限りの罵詈雑言を並べ立てると、バケツの水をビシャーーーッとぶちまけた。
空のバケツを庭に放り投げると再び雨戸を閉めて二度と出てくる事はなかった。
コロンコロンと転がったバケツの先には黒い仔豚が涙をためて、まんまるい月の輝く庭に佇んでいた。
仔豚はやがてブルブルと肩を震わせると、飛び上がって月に向かって吠えた。
「ブキーーーーーーーーーーーー!!!」
雨戸の裏側でその雄叫びを聞きながららんまがペタンと座りこんでいた。
「……オ、オレ……良牙でイっちゃったんだ……ど、どうしよう……」
らんまは冷や汗を垂らし、頬に手をあて、半笑いで呆然としていた。
「ブキーーーーーーーーーーーー!!!」
(ドちくしょーーー! 俺は不幸だぁぁぁぁぁぁ!!)
そう言ったに違いない。
おしまい。