著者 : 名無しさん@ピンキー ID:Wxh3ScBz 氏

その3 ー >>337
開始:05/10/13
最終:05/11/21
その3 − >>485

【 無 題 】


出前のどんぶりを回収してきた帰り、シャンプーはらんまに出会った。
なぜか雨も降っていないのに女の姿のまま、らんまは元気の無い様子で
学校からの帰り道を急いでいた。
 
「あいやー! らんま、ここで会えるなんて運命的ね。」
「しゃ、シャンプー……。よぉ。」
「どうしたか? 元気ないな。」
「ちょ……ちょっと、腹がいてえんだよ……。」
 
見れば、らんまは腹部を押さえて苦しげな表情をしている。
シャンプーは当然心配する。
 
「あいやー! 拾い食いでもしたのか? それともあかねの手料理でも食ったか?」
 
拾い食いと同等に扱われるあかねの手料理は気の毒だが、事実、味と破壊力の面において
同等なのだから仕方が無い。
 
「あ、あんなまずいもん食うわけねーだろ! つーか、別に腹を壊したとかいうわけじゃねーんだ……。」
「わかた。猫飯店に来るよろしね。ひいばあちゃんによく効く薬もらうね。」
「……ばばあの薬は怪しそうだからいらねえんだけど。」
「そうか? でも、とにかく来るよろし。」
 
シャンプーはらんまを自転車の後ろに乗せると、猫飯店への道を軽快に走り出した。


「ふむ。婿殿は月経のようじゃな。病気ではないようじゃ。」
「な、なんだって?」
 
おばばが言った。二人が猫飯店に着き、事情を話すと、
おばばはらんまの周囲の匂いを嗅ぎ分け、瞬時にそう判断した。
 
「月のものね。中国では月経というね。女なら当然よ。気にすることない。」
「んなこたわかっとる。日本語でも同じだ。でも、おれそんなの……。」
 
らんまは戸惑った。まさか男である自分でもそんなものが来るとは……。確かに半分女ではあるが。
一応性教育の授業で聞いてはいたが、自分にはまったく関係のないものと思って
真面目に聞くようなことはしていなかった。
 
「今までこんなの無かったし、何かの間違いじゃねーのか?」
「きっと来るのが遅かっただけね。」
「大体、そんなの小学校だか中学校だかの頃に来るもんじゃねーのか?」
「来るのが遅い娘もおるぞ。個人差があるでな。」
「で、でも……。」
「安心するね、らんま。病気でないぞ。むしろおめでたね。」
「めでたくねー!」
 
考えてみれば、何か股の間に気色悪い感触があった。
何かが漏れているような、そんな感じもする。これが……月経? 
 
「シャンプー、婿殿を風呂に案内してやれ。婿殿は服を汚しているやもしれんでな。」
「了解ね。らんま、ついてくるよろし。」
「え、い、いいよ、おれこのまま帰るから……。」
「遠慮いらないね。さ、早く。」
 
シャンプーに無理やり手を引かれ、らんまは風呂に案内された。
店に見えない方角に、その風呂場はあった。
脱衣所まで案内すると、シャンプーは言った。
 
「じゃ、着替え用意してくるから待ってるね。今の服は私が洗濯してやるね。」
「い、いいよ。そこまでしてもらわなくても……。」
「遠慮いらないね。私とらんまの仲よ。血のついた服の洗い方知ってるか?」
「い、いや……あんまり……。」
「それなら、私に任せるね。らんまは風呂入ってるよろし。」
 
そして取り残されたらんまはとりあえず服を脱ぎ、風呂に向かう。
はいていたトランクスが何か血のようなものに濡れていたことに気づき、
らんまの背筋にすーっと冷たいものが走った。
 
(まさか……マジで? 面倒なことになったな……。)


風呂場から悲鳴が聞こえたのはその直後だった。
 
「ど、どうしたね? らんま。」
 
別の部屋で着替えを探していたシャンプーは、そこを散らかしたまま慌ててらんまの元へと走る。
そして、ためらいもせず風呂場の扉を開くと、そこにいたらんまの姿に驚いた。
 
「あいやー! これは一大事ある。ばあちゃん、ばあちゃん!!」
 
呼ばれたおばばが駆けつける。らんまは湯船につかりながら、呆然としている。
 
「ど、どうしたんじゃ? シャンプー。」
「らんまが男に戻らないね! 大変なことになた。」
 
見ると、確かに湯気の立つ湯船の中に浸かっているのに、らんまは女の姿を保ったままだ。
シャンプーは服を着たまま風呂場に入ると、らんまの傍に寄った。
その浸かっているお湯に手を入れても、シャンプーは姿を変えない。水なら猫になるはずだ。
 
「ど、どういうことね? 確かにこれはお湯ね。なぜ男に戻らないね?」
「わ、わかんねーよ……。おれだって……。」
 
その様子を見ていたおばばは、シャンプーを呼び寄せ、二言三言何かをそっとささやくと、
風呂場から出て行った。
シャンプーはらんまの方に向き直る。
 
「ひいばあちゃん、ちょっと調べてくる言ってるね。仕方ない、少し待つね。」
 
そう言って、シャンプーも風呂から出て行く。
らんまは何か見捨てられたような気がして寂しくなったが、、数分後、服を全部脱いだ姿で、
シャンプーは戻ってきた。
 
「ちょ、しゃ、シャンプー! な、なんのつもりで……。」
「決まってるね。私、らんまの背中流すね。」
「で、でも、そんなの自分でやるって……。」
「遠慮いらないね。私たち今は女同士ね。」
 
シャンプーは湯船かららんまを引き上げると、自分の裸の胸に抱いた。
 
「だから……何しても平気ある……。」
 
豊かな胸が豊かな胸で押し潰される。らんまは赤面したまま、動けなくなっていた。


「この飴玉、ひいばあちゃんにもらったね。甘いもの食べると痛みも楽になるぞ。」
 
シャンプーはセロファンに包まれた丸い飴の玉を見せる。
らんまはいやな予感がして、それを拒否した。
 
「い、いらねえ……。何が入ってるんだ、それ。」
「安心するね。これ、別に何でもないぞ。」
 
そう言って、シャンプーはその飴を自分の口に入れる。
 
「ただの普通の飴玉ね。甘くて美味いぞ。」
 
時折、舌に乗せてらんまの方に見せながら、シャンプーは飴を舐めている。
 
「だから、ほら、食べてみるね。」
 
シャンプーはらんまの体を抱き寄せると、その小さな唇に、自分の唇を近づけた。
らんまは抗うこともできず、その口付けを受ける。
そして、飴の玉はころんとらんまの口の中に入ってきた。
 
「んっ……。」
 
確かに甘い。味は普通のしょうゆ飴のような味がした。
だが、だんだん舐めているうちにらんまは変な気分になってきた。
 
「な、なんだ……これ……?」
 
口の中の飴が熱く感じられてくる。なめているうちに、自分の体はどんどん熱を
増してくるようだ。
飴はすぐに溶けてしまい、その形状がなくなると、らんまは体中に電流が走るかのように
熱いものが駆け抜けていくのを感じた。
 
「ちょっと興奮剤とかいうのが混ざってるらしいが、まあ気にすることないね。」
「こ、興奮剤……?」
「中国で熟年夫婦の間で人気の飴ね。怪しげな行商人が売り歩いているが、別に毒ではないね。」
 
そういうシャンプーの肌も先ほどよりほんのり赤みを増している。
艶かしい手つきで素肌に触れてくるシャンプーに、らんまは抵抗することができない。
むしろ、自分からもシャンプーの肌に触れている。
 
「よろしね。らんま、私が女の体のこと、色々教えてやるね。」


らんまはシャワーの前に置いてあった腰掛けに座らされ、その後ろからシャンプーが
抱きかかえるように手を回して、らんまの体にシャワーで湯をかけている。
 
「らんま……。ここ。ここをきちんと洗うね。いつも清潔、これ大事よ。」
 
そう言ってシャンプーは脚の間を撫でるように洗うのだが、どうもその指には
変な力が入っているように感じられる。
ただでさえ、月経の最中で敏感になっている状態の体に、媚薬を盛られたのだ。
らんまは腰が砕けて崩れそうなほどの快感を感じていた。
シャンプーの指先はそれほどまでに巧みだった。
 
「な……なあ、シャンプー、お、女同士でこういうのは……。」
 
らんまがシャンプーの手を押さえ、ためらいがちに拒否の意思を示したが、
シャンプーはその手を止めようとはしない。
 
「何言うか? 私らんまの体洗ってるだけね。別に変なことないぞ。」
 
その声には怒気がこもっているように聞こえ、らんまはそれ以上逆らうのをやめた。
ここは風呂場なのだ。
もしここでシャンプーを怒らせたら、自分で水をかぶってしまうかもしれない。
水をかぶったシャンプーはらんまにとっては一番苦手な相手と言っても良い。
 
「そう……大人しくわたしに任せてればいいね。」
 
シャワーの湯は柔肌を滑るように流れていく。
その流れには時折赤いものが交じる。時には、黒ずんだ塊のようなものも交じっている。
自分の体から流れ出しているなどとは、らんまにはにわかに信じられなかったが、
確かにそれらはらんまの体の中から出てきたものだ。
女の体には毎月こんなことが起こっているのか……。
らんまは自分の周囲の女たちのことを思い浮かべた。
あかね、右京、そして、あかねの姉達や同じ高校の女生徒たち……。
彼女たちも月に一度はこのようにわずらわしい思いをしているのか……。
そんな風に思いをめぐらせていたところで、背中に与えられた重い感触に、
思わずらんまは振り返った。


「何考えてる? らんま。」
 
シャンプーがたっぷりと重量感のある乳房を押し付けていた。
その少し硬くなった先端の乳首の感触まで鮮明に感じられるような気がして、
不覚にもらんまは欲情してしまっていた。
だが、女の体では声や表情に出さなければその感情は伝わらない。
男のように欲望の象徴になるものがついていないからだ。
らんまは甘い誘惑にくらくらとしながらも、その気持ちを押し殺し、
シャンプーに悟られないように大人しくしていた。
 
「べ、別に……。何も考えてねーよ。」
「そうか? 他の女のこと考えたりしてないか?」
「な、何も……。ただ、おれがなんで男に戻れないかって気にしてたくらいで……。」
「そか。それは確かに気になるね。」
 
特にシャンプーが怒っているというわけでもないのを感じて、らんまはほっと息をついた。
だが、興奮剤を先に摂取したシャンプーは、実はらんまの何倍も欲情していた。
シャンプーの指は的確にらんまの一番敏感な部分を刺激する。
女だからこそわかる女体の弱点をシャンプーの指先は確実についてくる。
 
「はっ……んくっ……はぁっ……。」
 
押し殺してはいても、押さえ切れる限界以上の快感に、声が漏れ出てしまう。
耐え切れないほどの快感に、思わず体をのけぞらせてしまう。
らんまのそんな痴態をシャンプーは恍惚の表情で眺めていた。
 
「らんま……可愛いね……。わたし、らんまのためなら変態でも構わないね……。」
 
背中から抱き締めた格好のまま、右の手では下腹部を、左の手では胸を愛撫する。
シャンプーは完全に愛欲に溺れていた。
体を洗うという建前など忘れ去り、ただひたすら愛撫を与え続けていた。
そして、そんなにされて、らんまが黙っていられるはずもない。
 
「シャンプー、今言った言葉、本当か? 本当に良いんだな?」
 
少しだけシャンプーの方を向き、視線を合わせ、らんまが尋ねる。
その顔は真っ赤に染まっている。風呂場で温まったからか、それとも……。
 
「もちろんよ。わたし、らんまのこと愛してるね。」
 
満面の笑みでうなずかれては、らんまの抑えていた欲望も制限を超えてしまう。
シャンプーと向かい合わせになるように向き直ると、その体をタイルの床の上へと押し倒した。
シャワーの湯が二人の上に降り注いでいる。


「らんま……らんま……っ! ああんっ……!」
 
乳房に愛撫を受け、シャンプーが悦びの声を上げる。
らんまは、滑らかな肌の感触を楽しむかのように、舌で、指で、
乳房を中心としたあらゆるところに触れている。
 
女の姿であっても、らんまの欲望は男のときと変わらない。
胸に触れたい、柔肌を抱きたい、体の全てで思いをぶつけたい。
だが、女の姿では思い通りにはいかないように思えた。
セックスは所詮、男と女の性器を合わせる行為。
女同士では一体どうしたら良いのだろう……? 
 
「おれが男に戻ってたらな……。」
 
ふと漏らした独り言を、シャンプーは聞き逃さなかった。
らんまの腕を強く引き寄せ、不意をつかれて倒れこんだらんまの体を抱き締め、
その背中を優しく撫でながら諭すように言う。
 
「らんまはらんまよ。男の姿でも女の姿でもわたしはらんまを愛してるね。」
 
らんまが顔を上げると、その唇にふわりとかぶせるようにシャンプーが唇を重ねる。
シャンプーから与えられた口付けは、軽く、優しいものだった。
だが、それを受けてらんまが返した口付けは、荒々しく、深くシャンプーの口内を
蹂躙するものだった。
ぬめるような舌が口の中に侵入する感触に、シャンプーは少し戸惑ったが、
すぐに自分からも舌を絡め、応戦する。
そうして唇を重ねながら、らんまがシャンプーの体に愛撫を加え始めると、
競うかのようにシャンプーもらんまの体に触れ始めた。
 
「しゃ、シャンプー……そこダメだって……はぁんっ……!」
「ら、らんまこそ……っ……やめて欲しければわたしの胸から手離すね……。あいやぁっ……!」
「やめたり……あっ……するわけっ……ねーだろっ……ああっ……。」
「それなら……ここはどうねっ……? あっ……んっ……!」
「やっ……やるなっ……? だったらおれは……。」
 
と、らんまが段々体を下ろしていき、シャンプーの脚の間に顔を埋めそうになったときだった。


「婿殿! 原因がわかったぞぃ。」
 
がらがらーっと勢いよく風呂場の扉が開かれ、杖の上に乗っかったおばばが現れた。
裸で絡み合っていた二人は、体を隠すのも忘れてしばし呆然と固まってしまった。
 
「……若い二人の邪魔をしてしまったか。すまなんだな。」
 
気まずそうに扉を閉め、おばばが二人に背を向けた。
だが、おばばは去り際にとんでもない一言を残していった。
 
「あと80年ほど若かったらおぬしらの遊びに加わっていたのじゃがな。」
 
高笑いと共に風呂場を後にするおばば。
おばばの無粋な乱入によって我にかえったらんまは、
シャンプーの上から起き上がるとシャンプーにも聞こえない声で呟いた。
 
「2000年の間違いじゃねえのか? 妖怪ばばあめ……。」


「一週間は男に戻れないだぁ!?」
 
猫飯店の食堂にらんまの声が響き渡った。
らんまはシャンプーの服を着ている。洗濯が終わっていないので借りたのだ。
 
「左様。月経は一週間ほどは続くでな。終わるまでは男には戻らん。」
 
らんまはおばばに説明を受けていた。
呪泉郷で女になる体質になってしまった男でも、月経が来るのはほとんどいない。
大抵の男はその体質を嫌って、すぐに男に戻れる男溺泉を見つけて、治してしまうからだ。
しかし、何故かすぐに元に戻ろうとしなかったらんまは、その後、何度も女に変身し、
結果、月経が起こるほどにらんまの体が女体として成熟してしまっていたのだ。
月経は必要のなくなったものを体から排出する生理現象だ。
そのため、ひとたび月経が起こってしまうと、体から不必要なものを出し切るまで、
女体を保つ必要がある。そのため、本来の性が男であるとしても、元には戻れないのだ。
 
「それじゃ、一週間はらんまはこのまま女の姿のままね!?」
 
何故か嬉しそうに腕に抱きついているシャンプーに、らんまは呆れ顔だ。
 
「なんでそんな嬉しそうなんだ? シャンプーは。」
「べ、別に嬉しくなんかないね。大変ねー。らんまが男に戻らない、一大事ね。
 女になってる間、他の女にらんまが手出されなくてラッキーね、なんて思ってないね。」
「んなこと考えてたのかよ……。」
「お、思ってないよ。全然思ってないね。今のうちにらんま独り占めしようなんて思ってないね。」
 
(ったく……女って変なこと考えるよな……。)
 
らんまは額に手を当て、くらくらと目眩のしそうな頭を抑えた。
それは、月経からくる貧血のためか、シャンプーに飲まされた媚薬のためか、
はたまた風呂でのぼせたからだろうか? もしくはその全部か。
 
「今度また続きするね。らんま。」
 
小声で囁いたシャンプーがにかっと笑った。
脳裏に先ほどまでの甘美なひとときがよみがえる。
らんまはぽりぽりと頬をかきながら、「ああ」と曖昧な返事だけした。

                                             (終わり)







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