著者 : 名無しさん@ピンキー ID:Wxh3ScBz 氏

その3 ー >>254
開始:05/10/06
最終:05/10/08
その3 − >>304

【 無 題 】

「あ、あのよぉ、小太刀。それで、例の写真は……?」
「わたくしの手料理を召し上がってくださるならすぐにでも差し上げますわ。」

早乙女乱馬は九能家に来ていた。
ひょんなことから小太刀と抱き合ってキスしそうになったときの写真を小太刀に撮られ、
写真を同封した脅迫状を送りつけられたため、やむなくはせ参じたのであった。
乱馬が写真のことを持ち出すと、小太刀は自分の手料理を食べたらネガごと
写真を渡しても良いと言い出した。

小太刀は次々と豪華な料理を運び出してきていた。
それは手料理とは思えないほどの豪華さで、一般市民がこの料理を見たらこれが本当に
手料理か?と目を仰天させるに違いない。これだけで一般市民との差は歴然と離れており、
九能家が毎日どのようにして暮らしているかはこの手料理だけでも想像がついてしまう。
なおも料理は運び込まれて来る。
乱馬の目の前に全ての料理が出そろった。豪華で目を見張るほどの大きなテーブル。
目の前には全てが金で作られているナイフやフォーク。
そして、背もたれが必要以上に天井へと伸びている豪華なイス。
全てが”豪華”これ以上の単語が見当たらない程、豪華であった。

「おーっほっほほほほほほほ! ご安心くださいな、乱馬様。毒など入っておりませんわ。
 もちろんしびれ薬などでもございません。ご覧くださいな。この金魚のピラニアちゃんのご様子を。」
そう言うと小太刀はエビフライを一尾、丸い金魚鉢の中にぽとりと落とした。
金魚の「ピラニア」ちゃん、メス9ヶ月はここしばらくろくな餌を与えられていなかったので、
エビフライが投げ込まれるとすぐにそのコロモに食いついた。

「お、おう……。確かに毒じゃないみたいだな。」

金魚はエビフライを完食した後もけろりとしている。
大抵しびれ薬などを仕込まれた小太刀の料理を口にした金魚は、数分も経たずに
しびれて動けなくなる。どうやら本当にしびれ薬や毒は入っていないらしい。


「く、食ったら本当に写真をくれるんだな?」
「この九能小太刀に二言はございませんわ。愛する殿方に手料理を食していただける、
 これ以上の幸せがありましょうか? わたくしはそれだけで満足いたします。」

小太刀は頬を上気させて柔らかな笑みを浮かべている。
よし、と小さく気合を入れて、乱馬は料理に手をつけ始めた。
口に入れた瞬間にとろけるような豚の角煮、パリパリと歯ごたえの良い春巻、
今まで食べたこともないような美味のエビのマヨネーズ和え……
天道家では到底味わえないような豪華で美味しい料理の数々に乱馬は感動すら覚えた。
(こいつは本当に料理だけは上手いんだよな。あかねとはえらい違いだぜ……。)
なぜかあかねのことを思い出しながらも、乱馬は美味しさにつられ、小太刀の手料理を
一皿ずつ平らげてゆく。
そのうちにふと、妙な気分になってきた。
(なんだ……? 股間が熱い……。)


「どうなさいました? 乱馬様?」
食事の手を止めた乱馬に、小太刀が声をかける。
「……この料理に何仕込みやがったんだ?」
乱馬の顔全体がうっすらと赤みを帯び、額に汗するのを確認すると、小太刀は魔女のような笑みを浮かべる。
「申し上げましたでしょう? 毒やしびれ薬など入っていないと。」
テーブルの影に隠れているので小太刀には見えないが、乱馬の『それ』は
今まで経験したこともないほどに膨張していた。
「ただ、媚薬を入れてみただけですわ。異性と交わらねば耐え切れないほどの効果のある……」
小太刀の言葉を最後まで聞きもせず、乱馬は部屋を飛び出して行った。


広い九能家の中を走り回っていると、突然池に出た。
この熱くほてった体を冷ます、そのことしか考えていなかった乱馬は、
迷わず着衣のままその池に飛び込んだ。
当然、その池の中にはワニの「ミドリガメくん」が泳いでいたので、体を冷まし切ることの
できないまま、乱馬は慌てて池から飛び出した。
「はぁ……はぁ……ったく、小太刀のやつ……とんでもねーもの仕込みやがって……。」
女の姿になったので、下腹部に感じていた熱は消えた。
だが、依然として体中に走る熱い疼きは消えてはいなかった。
むしろ、女の姿になったからか、媚薬の効果が更に体中にめぐったのか、
胸の先端を始めとして、様々な体の部分が敏感になっていた。

そっと自分の胸に触れてみると、乳首の辺りが痛いようなかゆいような熱いようなわけのわからない感じになる。
「まずい……こんなところを『あいつ』に見つかったら……」
ひとりごちた瞬間、背中に覚えのある不快な感触があった。
「おお! おさげの女! ぼくに会いに来てくれたのだな?」
小太刀の兄、九能帯刀だった。らんまは後ろからしっかりと抱きすくめられた格好になっている。
(噂をすれば……か。運が悪いぜ、おれも。)
だが、この体勢があまり嫌ではない、とらんまは感じていた。
いつもならここで一発空まで吹っ飛ばしてやるのだが、今はそんな気になれなかった。
むしろもっとこうして抱かれていたい、そんな感じがする。
九能の鼻息を首筋に感じると、思わず甘いため息を漏らしてしまう。
「あぅ……ち……違います……センパイ……。ただ……通りかかっただけで……。」
そうやって言葉で否定するのが精一杯だった。
頬を摺り寄せられても殴る気にもなれず、らんまはただされるがままになっていた。


「おさげの女……?」

さすがに鈍感な九能もらんまの様子がいつもと違うことに気付いた。
撫で回しても体を摺り寄せても、らんまは少し身をよじる程度でほとんど抵抗しない。
(ふ……。ぼくの気持ちが伝わったのだな。可愛いやつめ……。)
ならば、と体の位置を入れ替え、向かい合わせになる。
いつ見ても愛らしい……。九能の胸は高鳴る。ここまでじっくりと彼女の顔を見たのは初めてだった。
彼女の小さなあごを指で持ち上げ、おもむろに自らの顔を近づけていく。
と、その瞬間、目の前に火花が飛び散った。

「やーっだ、せんぱーい。キスはだめぇ。」

女の姿になっても、らんまの平手打ちはそこらの女のそれよりはるかに強力だ。
媚薬で妙な気分になっているとはいえ、男である九能と平気でキスができるほど
らんまの理性は飛んでいるわけではなかった。ましてや九能は変態だ。

「ははははは! それでこそおさげの女だ。いつもの元気が戻ったようだな。」

九能は殴られても平然としている。普段に比べれば大した攻撃ではないからだろうか? 
だが、今ので先ほどより少し距離をおいたように感じた。らんまはふっと寂しくなった。

「き……キスはダメですけど……触るだけなら……。」

自分から九能の胸にもたれかかり、片手をそっと握る。
思わぬ積極的な態度に、九能も思わず握られた手を握り返し、空いた方の手で
らんまの腕や肩の辺りをそっと撫でる。

「い、いいのか……? 触るだけなら……?」

らんまは握った方の手を自らの豊満な胸に押し当てた。

「はい……。触って……ください……センパイ……。」

湿った声で囁かれて、九能のスイッチが入った。


「あ……んっ……いい……気持ち良いですっ……センパイ……。」

らんまの中国服の前は開かれ、タンクトップに包まれたたわわな乳房が顔を見せている。
その中に九能は顔を埋め、右はタンクトップの上から、左はタンクトップの下から直接、
両手を使ってしきりに愛撫している。
水に濡れていたので、白いタンクトップはぴったりとらんまの肌に張り付き、
ほのかな桃色の乳首が透けて見えていた。

「も、もっと……触って……! 乳首も触ってほしいですっ……!」

高い塀に囲まれて、隣近所からは全く見えないとはいえ、ここは庭だ。池の側だ。
青天に見下ろされているのも忘れ、若い男女は草の上で激しく乳繰り合っていた。

「ははははは! いいっ! いいぞぉっ、おさげの女! ぼくは興奮してきてしまったぞぉっ!」

先ほどから既に最高潮に興奮しているくせに、今更そんなことを言いつつ、
九能はタンクトップを首まで脱がせた。真っ白な二つの丘がご開帳される。

「美しい……なんと美しい……。お前の胸にはまるで可憐な薔薇のつぼみが乗っているかのようだ……。」

今までなびきの盗撮写真によってらんまの裸自体は見飽きるほどに見てきたが、
これほどまでに近い場所で直接らんまの裸の胸を見るのが初めてだった九能は、
思いつく限りの気障な言葉で褒め称えた。

「あ……あまりじろじろ見ないでください……恥ずかしい……。」

普段全くと言って良いほど裸になることに気を使わないらんまだったが、
さすがにじっくりと舐めるように観察されるのには抵抗を感じた。

「うむ。では触ってみるぞぉ! そーっとだな、そーっと。」

九能は壊れ物に触れるように、そっと乳首や乳首の周りを指でなぞり始めた。


「舐めて……ください……。指じゃ物足りない……。」

くすぐったいだけの指先で乳首をもてあそばれる感覚に、なんだかたまらなくなって、
らんまはためらいながらもおねだりをした。

「ふふ……それでは遠慮なく頂くぞ……。」

口にふくまれたのは初めての体験だった。
最初に感じたのは、快感……ではない。ただ痛いだけの中にかゆさも混じる、そんな感覚だった。
だが、じっくりと乳首の周りの柔らかな部分も一緒に舐められているうちに、
段々胸が熱を帯びてきた。

「あんっ……くふっ……。」

右も左も交互に唇で愛撫され、らんまの胸は唾液で濡れた。
だが、片方に集中して空いている間にそれはすぐに乾いてしまう。
空いていると言っても唇や舌で触れられないだけで、常に一方の手で撫でるように
揉まれているからというのもあるのだが。

「センパイも脱がせてあげる……。」

言いながららんまは九能の剣道着の前を緩める。
そうして現れた九能の裸の胸にらんまは自分の裸の胸を押し当てた。
まだ少し唾液で濡れたままだったので、押し当てられた部分はぴったりとくっついた。

「いいぞ……可愛いぞ……おさげの女……。」

らんまに抱きつかれながら、九能はらんまの首筋に唇を当てる。
最初はそっと、何箇所かをつつくようにキスした後、喉元に強く吸い付く。
らんまは小さく声をあげる。首筋にも性感帯があるなどとは思っていなかったのだ。
吸い付かれた場所には赤い痣ができた。

(これでおさげの女は完全にぼくのものだ……。)

この時点でそう思うのは少々性急なのだが。


らんまは九能に身をゆだねながら、心の中で自分の男の部分が激しく抵抗しているのを感じていた。
(くっ……小太刀の薬になんか負けてる場合じゃねえな……。これじゃさすがに変態だぜ……。)
だが、媚薬の効果は絶大で、少しでも九能から体が離れると途端に体が疼きだすのだ。
まるで九能に触れられていないと体が落ち着かないようだった。
「センパイ……。そろそろお風呂に行きましょぉ……?」
男に戻ればこの体の疼きは治まるかもしれない、そう考えたらんまは提案した。
「ふ、風呂だとぉ!?」
九能の中の火山が爆発する音がした。九能はらんまの両肩を掴み、真剣なまなざしで説得する。
「いかん、いかんぞおさげの女! 一緒に風呂でまぐわうなどと! 
 もっと自分を大切にせねば!」
(そこまで言ってねー……。)
らんまは九能の変態さにいささか呆れながらも、更なる提案をした。
「じゃ、じゃあ、わたしだけ先に入るっていうのはどうですかぁ? 
 わたしぃ、続きはきちんときれいに洗ってからにしたいんですぅ♪」
らんまはわざと甘ったるい声と口調で可愛らしい女を演じる。
勿論、男に戻るので続きをするつもりなどはさらさらない。
「うーむ……。ぼくはお前のその自然のままの姿でも十分なんだが。」
ちょこんと草の上に横座りしているらんまの姿を上から下まで舐めるように眺めながら言った。
「えー、でもぉ……。」
らんまはめくり上げられたタンクトップを下げ、上目遣いで九能を見つめる。
心なしか顔がまだ紅潮しているように見える。
九能は少しの間考えたのち、言った。
「よし、わかった。行って来るが良い。ぼくは外で待っていよう。
 湯殿に案内するからついてくるんだ。」


「やれやれ……。まだ体が変な感じだ……。」
九能と別れ、一人風呂に入ったらんまはすぐにお湯をかぶって男の姿に戻ると、ため息をついた。
まだ体の疼きは取れない。むしろもっと強くなった気がする。
男の姿に戻ったので、例の部分が大きくもなっている。
だが、九能家の広い湯船に浸かると、少しリラックスできたような気がした。
「小太刀からこの媚薬の解毒剤をもらうしかないか……。」
またため息をついた。写真に続いて小太刀から奪わなければならないものが増えたわけだ。
先のことを考えると気が重くなりながらも、乱馬は風呂から上がった。


「まあ!? 湯殿で水音がすると思ったら乱馬様でしたのね!」
 
風呂から出ると、脱衣所には小太刀の姿があった。
九能は「覗いちゃダメ」と言い聞かせて追い払っていたので脱衣所の外にいた。
更に、ちょうど催していたらしく、近くにはいなかった。
顔用タオル一枚を腰に巻いただけという姿の乱馬は戸惑った。
激しくいきりたっている例のものに気付かれては恥ずかしい。
 
「わたくしに会う前に体を清めてくださったのですね……。嬉しいわ……。」
 
幸い、乱馬の顔しか見ていない小太刀には股間のことは気にならないらしい。

「いや、そういうわけじゃ……。あ、あのさ、小太刀、質問があるんだが。」

お祈りをするように胸の前で指をしっかりと組みながら、
小太刀は頬を熟れた林檎のように赤くしている。

「何でしょう? 乱馬様。」
「あの媚薬……解毒剤なんか……」
「ありませんわ。」

乱馬の言葉を最後まで聞かずに小太刀はきっぱりと言い放った。

「あの媚薬は、服用してから一番最初に触れた異性と結ばれるためのもの。
 その相手と交わらない限り、効力は消えませんわ。」

その言葉は乱馬にとっては死刑宣告よりも重くのしかかった。


「え、えーと、もうちょっと詳しく説明してくれ。交わるっていうのは……?」

頭を抱えつつ、乱馬は小太刀に聞きなおす。

「最初に触れた異性と体液と体液を交換するんですわ。つまりせっ……。」
「わかった、みなまで言うな。」

察しの良い乱馬は小太刀の言葉を途中で遮り、考えた。
(つまり……九能とセックスしねーと治まらないわけか……。
 しかも、体液って……ああああああああああっ! 考えたくねええっ!)

「そういうわけで、乱馬様、わたくしが治めて差し上げますわ……。
 わたくしの大事な初めてを乱馬様に捧げるなんて、なんて幸せなこと……!」

小太刀は乱馬の首に手を回し、口付けをせがむような格好になった。
乱馬の相手が既に自分の兄で決定されてしまっていることなど、小太刀は知るよしも無い。

「あ、いや……その……おれは……。」

そのとき、脱衣所の扉が開いた。


「早乙女乱馬! 貴様、我が家の湯殿で何をしている!? おさげの女はどうした!」
九能だった。
「しかも我が妹と何をしようとしていたのだ!? 破廉恥な真似を……おのれ許さんぞ!!」
どこから持ち出したのか、常に隠し持っているのか、九能はいつもの木刀で
乱馬に斬りかかった。
「せ、先輩、やめろって、おれは……!」
「問答無用! 成敗する!」
「お兄様! 乱馬様に何をなさるの!? おやめになって!」
「ええい、離せ、我が変態妹よ!」
乱馬は九能と小太刀が争っている間に脱衣所を逃げ出した。
服を着る暇はなかった。細長いフェイスタオル一枚を腰に巻いたまま一目散に逃げ出した。


一方その頃、響良牙は例のごとく迷っていた。二つの意味で。
一つは勿論道に迷っていたのだが、もう一つは……。
良牙の手には500ミリリットルほどの水の入った瓶がしっかりと握られていた。

(体験版止水桶水……。これを使えばお湯に浸かっても元の姿に戻らない……。しかし……。)

止水桶(チースイトン)とは、以前ジャコウ王朝という中国の武闘集団の末裔が日本に来たとき
持ってきた秘宝だった。この桶で汲んだ水は、姿を留め置く神秘の水。
開水壺という、止水桶と対をなす秘宝で沸かしたお湯をかけないと、その効き目は消えない。
これを使われ、らんまが一時全く男に戻れなくなった時期があった。
その神秘の水の体験版を良牙は手に入れたのだった。
これは使ってから一日だけお湯に浸かっても変身した姿のまま、元の姿に戻れなくなる。
だが、一日経った後お湯に浸かればその効果は消える、というものだった。

(しかし……一体ここはどこなんだ……? まず天道道場にたどりついてから使うべきか……?)

瓶の蓋を開けたまま、良牙は考え込んでいた。ちなみにここは九能の屋敷の一角である。


「だぁぁぁぁぁっ! ったく九能の野郎……少しは人の話を聞けって……。」
突然横から走って来た乱馬にぶつかられ、良牙は水の入った瓶を上に投げてしまった。
乱馬に吹っ飛ばされ、尻餅をついた良牙が気がつくと、タオルを腰に巻いただけの
裸の女がそこに立っていた。
 
「あーっ! 良牙てめぇ、何しやがる! せっかく男に戻ったのに……。」

体験版止水桶水は見事にらんまに全部かかってしまったのだった。瓶に残りは全く無い。
 
「な、何をーーっ!? お前こそおれの大事な水を……。」
「はぁ? 何言ってやがんだ。ただの水じゃねーか。」
「ただの水じゃねー! それは体験版止水桶の……」
と、言いかけて良牙は口をつぐんだ。

「止桶水……ってまさか……?」
乱馬は数ヶ月前の例の事件を思い出した。あの時はひどい目に遭ったものだ。

「そのまさかだ。ま、効果は一日で切れるがな。」
まだ諦め切れない様子の良牙。らんまの顔を見ようともせず、あさっての方角を向いている。
ときどきちらちらと胸や足の辺りをつい見てしまうのは男のさがだ。

「で、この水でお前は何をしようとしてたんだよ? 
 まさかおれにかけて一日だけ女のままにしとくつもりで……?」
「お前にかけて何が楽しい!? おれはこれでPちゃんに……。」
慌てているせいで良牙はついつい一言が多くなってしまう。
らんまはすぐにその意味を察し、怒り出した。だが、裸でタオル一丁のため、いまいち迫力はない。

「て、てめえまさか……! Pちゃんのままあかねと風呂に入るつもりで……!?」
「う、うるせえ! 貴様こそなんだその姿は! 風呂から出てきてそのままみたいな……。」
「おお! おさげの女! 探したぞ!」
言い争うらんまと良牙の声に、九能の声が重なった。


突然現れた九能の存在。
良牙も経験がないとはいえ、16歳の健全な男子。すぐに二人の関係を察した。
何よりらんまの喉元にはくっきりと赤い痣があった。

「わかった。らんま。お前がそのつもりならおれは止めねえ。だがな!」
良牙はらんまの両肩に手を置き、切々と語る。

「おれも混ぜろ。」
一瞬ぽかんした顔をするらんま。そして、すぐさまその意味に気付くと真っ赤になって怒り出した。
「じょ、じょうだんじゃねえっ!」
この刺激的な姿が悪いのかと、らんまは思わず胸を隠した。
「無論、冗談だ。お前のような男女など誰が抱く気になるか。」
「おれは男だ! 男女じゃねえっ!」
涼しい顔で良牙が答える。らんまは真っ赤な顔のまま怒り続ける。
その紅潮した頬は、怒りとは違う意味も持っていたかもしれない。

都合の悪いことは聞こえない耳を持つ九能は、二人の会話を全く意に介さず
らんまの手をとって歩き出した。
「さあ、ゆくぞ。おさげの女。続きをするのだ。」


「かわいそうに、おさげの女。すっかり体が冷え切ってしまっているではないか。」

九能はお姫様を抱きかかえるようにらんまを抱き上げ、湯殿に運ぶ。
自分の服を脱ぐ間も器用にらんまの体のどこかを掴み、決して離さなかった。

「もう離さないぞ、ぼくの愛しのマイハニー。ぼくがきれいにからだのすみずみまで洗ってあげよう。」

九能は洗面道具の場所に置いてあったスポンジで、石鹸を泡立てはじめた。
ちなみにこのスポンジは小太刀が特注で作らせたスポンジで、
どんな石鹸でもきめ細かな泡が立つ、女性の肌に優しいスポンジだ。

「いい、いいです、センパイ……。おれ、自分で……。」
「はっはっは! 遠慮はいらんぞ、おさげの女。お前はぼくに身を任せていれば良いのだ。」

十分に泡だった石鹸を、九能はらんまの滑らかな肌に塗りつけはじめた。
らんまはそうやって少し触られるだけでも極上の快感を得るような体になっていたので、
泡を塗りつけられるたびに甘く息を吐いた。
勿論、止水桶の水の力で、お湯をかけられてもらんまは男には戻らない。

「だ、だめぇ……せんぱぁい……おかしくなっちゃう……。」

後ろから抱きすくめられた格好で、らんまはされるがままになる。
一通り泡を塗りつけると、九能は先ほども十分に攻めつくした胸に手を当てた。

「あん……あんっ……! いやっ……ぁぁっ……やめてぇ……。」

乳首を指先でつままれたり、大きく丁寧に乳房を揉まれたりしていると、
先ほどとは比べ物にならないほどの快感の波がらんまを襲う。

(お……おれの理性がもたねーよ……でも、こいつと交わらないとこの体が治まらないし……)

なおも執拗に愛撫を繰り返した後、九能はおもむろにらんまの腰に巻かれたタオルに手をかけた。


「さて……それでは見せてもらおうかな。お前の一番大事な秘密の部分を……。」

はっと気付いたときにはもう遅かった。らんまは腰にあったタオルを剥ぎ取られていた。
九能は華奢な肩越しに下腹部を見つめる。そこには大人の証の茂みがあった。

「おお……素晴らしいではないか、おさげの女。」

感嘆の声をあげながら、九能は女の太ももを撫でる。
内側から、外側から、ゆっくりとなぞるように指が動く。
泡が滑って、らんまの体にまた快感の波が寄せてくる。

「お前のここはまだ誰にも触られたことはないのだろうな。光栄に思うぞ、おさげの女。」
「くっ……ふぅん……。」
秘部を指でぽんぽんと優しく叩かれても、らんまはもう体に力が入らない。
だらしなく股を広げ、ただ小さく開いた口元から悦びのため息を発するだけだ。

「きれいにしてやるぞ、おさげの女。」
そうは言っているが、九能はただ自分の触りたい部分を触っているだけなのだ。
既にきれいに洗っているはずの胸も内股も、何度もお湯をかけ、
泡を流してはそのたびに泡を塗りつけ、様々なタッチで撫でる。
らんまの体がぴくっと硬直したり、大きな喘ぎ声を発したときに触れていた場所には、
何度も何度も触れる。
そのしっかりとした体つきのどこから出てくるのだというような、
力任せではない、繊細な触れ方で。

そんなねっとりとした執拗な攻めを受けて、平気でいられるはずがない。
らんまは恍惚の表情で風呂場の天井にある照明を眺め、いつ終わるともしれない
九能の愛撫にひたすら体を預けていた。
その脚と脚の間からは、石鹸の泡とも違う、お湯とも違う液体がとろとろと流れていた。


「良かったぞ。おさげの女。お前のその表情が実にたまらない。」

一緒に湯船に浸かり、肩を抱きながら九能は満足していた。
執拗な攻めが終わったことで徐々に意識を取り戻してきたらんまは、
当初の目的を思い出した。
九能にいいようにもてあそばれている場合ではない。
その精をこの身に受けなければ、体中の疼きは消えないのだ。

「く、九能センパイ……あの……早く……早く入れてください……。」
「ん? 何をだ?」
「こ、これです……!」
らんまはためらいなく九能の男の証を掴む。
元々男であるらんまに羞恥はない。ただ、他の男のモノなどつかんだことはなかったが。

「これを……入れてください……もうがまんできない……。」
と、言ってかららんまはあることに気付いた。
九能のそれは、全く硬くも大きくもなっていないのだ。

(こ……こいつ……散々おれに触ってた上に裸も見てるくせに……起たないのか?)

それは柔らかいまま、らんまの手の中でふよふよと湯に揺れていた。
よく見ると、萎んだままの状態でも割と大きいものだった。
ひょっとしたら、硬直すれば乱馬のそれより大きいかもしれない。

(う……やっぱり……痛いのかな……? バット入れられたみたいとか言うし……。)

どこから手に入れた知識やらわからないが、それを思い出すとらんまの心も
萎んでいく気がしてきた。いっそやめてしまおうか……? 

「うむ。まあ、それは寝台の上でだな。ここでは難しい。」
そういうと、九能はらんまを抱えたまま湯船から上がり、大理石の床の上に寝かせた。

「ああ……寝姿も素敵だぞ、おさげの女。」
「ちょ、ちょっとまっ……!」
らんまが抵抗する間もなく、九能はまた、らんまの体に泡を塗りつけ、愛撫を始めた。


何十時間とも思われた風呂場での愛撫の時間も終わり、らんまはほっと息をついた。
実際には2、3時間程度の出来事だったのだが、らんまにとっては学校の授業よりも
長く辛い時間だった。もっとも、これまでに体験したこともないほどの快感もあったのだが。
時計は18時を回っており、辺りはすっかり暗くなっていた。
二人は脱衣所で下着をつけないまま浴衣を羽織り、九能の部屋に向かうことになった。
らんまは廊下に出ただけですうっと寒く感じられた。

(はぁ……今日はこのまま九能のとこに泊まっていくか……。あかねに会わせる顔がねえ……。)

そんなことを思いながら九能に付き従い、部屋に足を踏み入れると、そこにはあかねの顔があった。
九能のコレクションのあかねのポスターだった。
半々くらいの割合で、らんまのポスターも貼ってあったが。

「う、うわぁぁぁ!! す、すまん、おさげの女。少し廊下で待っていてくれ。」

九能は慌ててあかねのポスターを仕舞いに行ったらしい。
そんな気を使う必要もないんだがな、と思いつつも、やはりあかねのポスターに見つめられながら
九能と交わるのは抵抗があるので、らんまは大人しく待つことにした。
十数分後、九能は何食わぬ顔で部屋の扉を開けた。

「さて、もういいぞ、おさげの女。天道あかねには悪いが少し隠れていてもらおう。
 まあ、チャンスがあれば3人ででも……。」
「さー、センパイ♪ 続きしましょー、つ・づ・き♪」
九能の身勝手な妄想を遮って、らんまは部屋に飛び込んだ。


九能の部屋からは見事にあかねの写真が姿を消していた。
代わりに、らんまの写真が増えたようにも感じる。

(これはこれで落ち着かねーんだけどな……。)

少し自嘲気味に笑うと、らんまは浴衣を脱ぎ捨てた。色気のかけらもない浴衣の脱ぎ方だった。
一糸まとわぬ裸になってベッドに上る。金持ちの九能らしく、とても広いベッドだ。
一人では大き過ぎるだろう。二人でも十分大きい。

「せんぱーい、は・や・くぅ。」

無邪気な誘いに素直に従う九能。こちらは浴衣を着たままベッドの上に。
と、脱ぎ捨てられた浴衣を軽く羽織らせ、浴衣の上から胸を撫でた。

「最初はこの方が感じるだろう……?」

一体どこからそういう知識を得るのやら、九能は初体験にしてはテクニックがあった。
確かに、ざらざらとした浴衣の感触の方が、直接触られるよりも感じ方が良いかもしれない。
また脳天まで痺れるような快楽に溺れさせられるのだろうか? 
らんまが期待のような不安のような複雑な感情からため息をついたときだった。

「うっ……センパイ……重い……。」

気がつくと、らんまは九能にゆっくりと体重をかけられ、ベッドの上にうつぶせに押し倒されていた。
羽織った浴衣の上から、かと思えば直接肌に触れられる。九能の愛撫はバリエーションに富んでいた。

「あっ……うっ……やっ……いやっ……」

背中側の首筋に唇の感触。キスの嵐にらんまは思わず拒絶の声を出してしまう。

「本当に嫌なのかい……? もうやめるかい?」
「はぁん……ごめんなさい……そんなことない……いい……いいですっ……」
耳元で吐息と共に囁かれると、逆らうことはできなかった。

以後、らんまはよほどのことがない限り「いや」と言うことはしないと約束させられた。
あえぎ声は必ず「良い」だ。らんまは心まで侵食されていく気分になった。
体中を隅々愛撫したあと、九能は一息をついた。

「さて……そろそろ褒美をやろう。脚を開いてくれ。」


「あん……っ……は……はいっ……。」
 
(やった……! ついに……ついに解放される……!)
 
らんまは体を起こし、九能と向かい合うと、期待に胸を膨らませ、脚をおずおずと開いた。
しかし、その秘部に与えられたのは待ち望んでいたものではなかった。
 
「あああああああんっ!!」
 
ぬるぬるとした熱い感触に、らんまは体を起こしていることができず、後ろに倒れた。
 
「やっ……やぁっ……センパイ……! だめぇ……そんな……そんなとこ汚い……」
「汚くなどないぞ。お前のここはとってもきれいだ。先程きちんと洗ったのだからな。」
 
九能は秘部にひたすら舌を這わせる。舐めるたびにらんまのそこはとろとろと蜜を垂れ流してゆく。
流れてくる蜜を舌で受け止め、九能は更に舌を這わせる。
ぴちゃぴちゃと卑猥な音が部屋中にこだまする。
 
「嫌なのか……?」
「うっ……くっ……い、嫌ですぅっ……そ、それだけは……やめて……。」
 
たまらずらんまは涙声で懇願する。もう既に快感が苦しみになるほどだった。
だが、まだ気を失うのは許されない。
 
「ふむ。だが、ここを十分ほぐしておかなければ痛いぞ。痛くないのなら我慢しろ。」
「えっ? や、やぁぁんっ! あんっ。あんっ。」
 
嫌だと言えば解放されると思っていたらんまは絶望した。快楽は容赦なくらんまを襲う。
九能は更にらんまの脚の間に顔を埋めた。鼻先が敏感な場所に当たる。


「はぁ……はぁ……いいぞ……可愛いぞ……おさげの女……。」
「あん……んっ……ひぃっ……せ……せんぱぁい……。」
 
らんまは責め苦を受けている場所から目をそむけた。とても正視できない。
九能は爪をきれいに切った指を、らんまの割れ目に差し入れ始める。
当然初めてのらんまは自分が何をされているのかもよくわからない。
 
「せ……センパイ……なぁに……? それぇ……もしかして……?」
「指だ。……ふむ。これではまだぼくの息子を入れるわけにはいかんな。」
「はんっ……やっ……指じゃいやっ……早く入れて……。」
「馬鹿を申すな。まだこれを入れるには早いぞ。」
 
九能は愛撫の手を休め、らんまの顔の側へ寄り、大きく硬直したそれを見せ付けた。
らんまはその大きさ、太さ、長さに驚いた。赤黒くグロテスクな格好のそれは、
想像していたものよりも遥かに大きく感じられた。
それまで自分以外の男のモノを側で見たことがないからかもしれない。
だが、そんなものを見せ付けられても、早く交わりを済ませたいらんまは覚悟を決めて叫んだ。
 
「んっ……痛くてもいいっ……! 入れて……! 入れてくださいっ……!」
 
九能は快楽によってほてったらんまの体を抱き上げ、その胸に抱きしめると言った。
「愛するお前に痛い思いなどさせたくはないのだ。わかってくれ。ぼくの愛しい人。」
 
(痛いのなんか格闘で慣れてんだっつの……。)
 
らんまは九能の自分に対する愛の深さを痛感した。
だが、それをわかっても嬉しくなどない。やはり自分は男なのだ。
ただ早くこの場から解放され、この全身を包む妙な空気を吹き飛ばしたいという思いしかなかった。
 
「センパイがやらないなら、おれが自分でやる!」
 
らんまは九能の腰の上に馬乗りになると、力ずくで九能のモノを自分の秘部に押し込んだ。


(うっ……痛っ……体が……股間から引き裂かれそうだ……!)
 
今までに感じたことのないタイプの苦痛に耐えながらも、らんまは腰を徐々に落として行った。
直前に散々指や舌でほぐされていたせいか、思ったよりもすんなりと
らんまの体は九能を飲み込んでいった。
 
「この後……どうしたら……?」
 
完全に九能のそれを飲み込むと、らんまは下にいる九能に問いかけた。
 
「腰を動かすんだ。ゆっくりとでいい。」
「……はい。」
 
言われた通りゆっくり前後や上下に動かしてみるのだが、らんまはそのたびに激痛を感じ、
苦悶の表情を見せる。
その表情に耐え切れず、九能が提案した。
 
「ぼくがやろう。お前は寝ているだけで良い。」
「はい……。」
 
仕方なくらんまは体に結合していたものを引き抜き、仰向けにベッドに横たわった。
そして、脚を広げさせられ、また同じものを体に入れられる。
 
「力を抜くんだ。ぼくを全身で受け入れてくれ。」


「はいっ……。んっ……。」
 
力を抜くと、先ほどよりもスムーズに硬いものが入ってくる。
らんまの体から出た液が隅々まで行き渡り、ローションの代わりになっているからだ。
意外にも血液は出てはいない。初めてでも出ない女もいる。らんまはそれらしい。
体質でなければ、九能の前戯が十分過ぎるほど十分だったのだろう。
 
「はい……りました? んんっ……。」
「ああ……入ったようだ。では動くぞ……。」
「んっ……。きてぇ……せんぱぁい……。」
 
らんまの甘い声に促され、九能は体を押し進める。
あまりに締め付けがひどく、最初はただ押すだけくらいしかできなかったが、
徐々に漏れ出る液によって出し入れが楽になってきた。
それに伴い、らんまも股間に痛みだけではないものを感じてくる。
 
「いい……いいですっ……センパイ……! もっと動いて……!」
「ぼくもいいぞぉっ……! おさげの女……もっと……もっとお前の声を聞かせてくれ……!」
「あはっ……ああんっ! あんっ! あんっ! あんっ!」
 
半分は痛みをごまかすための演技だったのだが、淫らな自分の声を聴いているうちに、
らんまは段々感じはじめ、心からのあえぎ声が自然と漏れるようになってしまっていた。
九能の方は、演技だろうが本気だろうが関係ない。
ただ可愛らしいその声を聴いているだけで十分に興奮し、一層激しく腰を振るのだった。


らんまが九能の背中に腕を回す。九能もしっかりと下から肩をつかんでいるので、
二人の胸はぴったりとくっついた。
だが、九能が顔を近づけるとらんまはその可愛らしい顔を横にそむける。
「まだ……口付けはダメなのか?」
「ダメです。」
「そうか……。口付けをすれば痛みも楽になるぞ。」
「嘘ばっかり……。ダメです。」
愛らしくとがらせたその唇は、指でそっとなぞるだけにして、九能は諦めた。
 
 
そろそろ頂点というとき、九能は体を離そうとした。
だが、らんまはぴったりと九能の体にくっつき、離れようとしない。
たまらず九能は尋ねた。
「このまま中に出したらぼくの子をみごもってしまうぞ?」
らんまは荒い息遣いをしながら搾り出すように声をあげる。
「いっ……いいんですぅ! そのまま中に……中に出して……!」
(妊娠……? しねえよなあ? おれは男なんだし……。)
「よしわかった! もしそうなったらぼくは責任をとってお前を嫁にするぞぉっ!」
(そ、それだけは勘弁……。)
らんまのなけなしの理性が呟いた。
「愛している……愛しているぞ……! おさげの女!」
耳元で情熱的に囁かれ、頭がくらくらする。更に耳の中を舐められ、卑猥な音が
鳴り響くと、らんまはいたたまれなくなった。
本当に自分も九能を愛しているのではないかという錯覚に陥る。
「ああっ……センパイ……! いいっ……いいよぉっ……!」
「好きか……? ぼくのことが好きか……?」
「えっ……んっ……そ、その……。」
「そうか……お前はぼくが好きではないのだな……ではやめるとするか……。」
「あんっ……んっ……好きっ……! 好きですぅっ! だからやめないでぇっ!」
らんまはたまらず叫んだ。ここでやめられてしまっては今まで耐えてきた意味がない。
悪魔に魂を売り渡したような気もしたが、絶頂を迎えられるとするなら後悔は無かった。
一方、らんまの「好き」の一言に感極まった九能は、たまらず彼女の体内で果てた。
らんまはどくどくと体の中で何かがはじけるような感覚を放心したまま味わっていた。
(これで……おれの体の変なのもおさまる……。)


九能が欲望を吐き出して小さくなったものを引き抜き、体を離して隣に横たわる。
気が抜けたような頭で、らんまはそれをなんとなく感じ取っていた。
そして、荒い呼吸がだんだん静まり、体が冷えていくのを感じる頃、
らんまは何かが違うと感じ始めていた。
(お、おさまらない……? なんで……!?)
そう、体の疼きは依然として治まってなどいなかった。
未だ下腹部は熱くほてり、乳首はぴんと立って先端にびりびりとした痛みのような
快感が残っている。
思わず九能の体を求めそうになる自分が悔しい。
(くそっ……足りないっていうのか……? まだ……?)
 
 
それから一晩中二人は絡み合った。
どちらかといえばらんまが積極的に九能の精液をむさぼるような行為だった。
様々な体勢をとり、あらゆる角度から突かれてらんまは悦びの声をあげる。
最初に感じた痛みも徐々に治まり、少々無理な体勢をとっても平気になっていた。
格闘で鍛え上げられた体は力の衰えを知らず、ただひたすら快楽を求める。
九能も九能で、平均的な男たちよりもはるかに耐えている方だったが、
らんまのパワーには勝てず、遂には挿入している最中にベッドに倒れこんだ。
「センパイったら……だらしなぁい……。」
らんまはためらいもなく、幾度と無く精を放ったそれを手に取ると、
その場にうずくまって口に含んだ。
「変な味……。」
しかし、何度も何度も九能と交わりあい、快楽をむさぼりつくしたらんまには
味など関係なかった。器用に舌や唇を使い、九能を愛していく。
やがて、九能は意識が朦朧としながらも、残った精を搾り出すように、
らんまの口や顔に発した。十分満足したという顔で、らんまはそれをすすり舐めた。


途中、らんまは天道家に電話を入れていた。
 
『らんま!? あんた一体どこにいんのよ?』
 
電話に出たのはあかねだった。少し気まずい思いをしながらも、らんまはつとめて冷静な
ふりを装って答えた。
 
「あ、ああ……。ちょっとなっ……んっ……。今日は夕飯はいらねえって伝えてくれっ……。」
 
らんまは受話器と反対側の耳を舐められ、身をよじった。
体には何もつけていない。同じく何も着ていない九能が、らんまの体を後ろから抱きしめ、
腰やら内股やらを撫でている。
 
『夕ご飯なんてもうとっくに皆食べちゃったわよ! ったく、連絡するの遅いんだから。』
「ああ、悪かった……。修行でっ……あっ……。今日は帰れそうにねーんだ……。」
 
ただならぬ様子のらんまの声に、あかねは心配になって尋ねる。
 
『本当にどこにいるの……? らんま……。明日は帰って来る?』
「ああ、明日には帰るよ……。だから心配しないでくれ。」
 
あかねとの電話を一方的に切り、らんまは九能に向き直ると、
その鍛え上げられた体をぎゅっと抱きしめた。
 
「センパイのいじわる……。電話してる時くらい普通に話させて……。」
「すまんな。お前が可愛すぎるから片時も離したくないのだ。」
 
そうして、九能はらんまを抱き上げると、らんまの頬に口付けながら、またベッドに運んで行った。


九能が疲れ果てて眠ってしまい、一人きりになってもまだらんまの体は疼いていた。
(くそっ……。このままじゃ眠れねえ。)
らんまは少しでも疼きを抑えたくて、自分で自分の体に触れたり、
九能のほとんど動かない手を敏感な部分に押し当てたりして、様々な方法で
疼きを治めようとしてみたが、あまり効果はなかった。
悶々としたままらんまはただ早く九能が目覚めるのを待った。
 
   
朝になって目を覚ました九能はまず、傍らに横たわるらんまを抱き寄せ、
髪を撫で付けては耳元で囁きかける。
「おはよう、おさげの女。ぼくに何かして欲しいことはあるかな?」
ずっと悶々としていてたまらなかったらんまだったが、
一番欲しいことよりまず二番目にして欲しいことから頼み出す。
「胸……触って……。センパイに触ってもらえなくて……熱くて……。」
本当はもう一度激しく交わりたい気持ちだったのだが、
さすがにそれを言うのはためらわれたし、九能だってもうできないだろう。
そっと胸元に導かれた手でそのまま、九能は愛撫を始めた。
「お安い御用だ。どれ……よく見せてみるがいい。」
「あはっ……! ああんんっ!!!」
いきなり乳首を甘噛みされ、らんまはたまらず鳴いた。
乳首から唇が離れると、次はその周りの柔らかい部分に吸い付かれ、
らんまの真っ白だった肌には無数の赤い花びらのような跡がついた。
「すごいっ……! いいっ! ああんっ! せんぱぁい……。」
九能の頭を抱え込みよがるらんま。構わず愛撫を続ける九能。
そうしているうちに、九能はあることを思い出した。
愛しい女の肌を撫でながら切り出す。
「そうだ。まだしていないことがあるぞ。おさげの女。」
「何……?」
「口付けだ。お前の唇を味わいたい。」
らんまは息を呑んで覚悟を決めた。
フェラチオも経験し、精液まですすったのだ。
今更唇を拒んでも拒まなくても大した違いはなかった。
らんまはベッドに横たわったまま、目を閉じ、じっと唇が触れるのを待つ。


(男の唇も柔らかいんだな……。)
思ったほど嫌なものではなかった。九能の唇は優しく、甘い口付けを与えてくる。
唇を重ね、舌を絡ませ合い、唾液を交換した。
少し冷たく、甘い味のする唾液だった。
先ほどまでらんまの乳房を舐っていたために、九能の唇の周りは唾液で濡れていた。
そんな唇から与えられる口付けは全く嫌ではなかった。
むしろもっと欲しいと望んでしまうような美味しい口付けだった。
 
 
不思議なことにらんまの体が冷めてきた。
今までどんなにしても治まらなかった欲望が、満たされたように消えていくのを
らんまは静かに感じていた。
(あれ……。もしかして、これで終わりなのか……?)
急に寂しくなって、また体が疼きだして来たが、これはもう媚薬の効果ではなかった。
らんまは九能の裸の胸にすりより、上目遣いでねだる。
 
「センパイ……。もう一戦お願いしても良い……?」


「朝だから、ご近所に響き渡ってはまずい。あまりに声が激しければその口をふさぐぞ。」
「はい……。このイケナイお口をふさいで……。」
 
睡眠をとって、また体力を取り戻してきた九能は、もう一度くらいならできそうだった。
前戯もそこそこに、らんまが脚を開くと、九能は腰を押し進めた。
らんまの体の中には昨夜放った液がまだたくさん貯まっていて、九能のそれを優しく包み込む。
挿入しやすいようにらんまが指先で自分の割れ目を広げている。
そのため、思ったよりも簡単に結合が完成すると、九能は力任せに腰を打ちつけた。
 
「あんっ! あんっ! ああんっ! んぅっ! んっ……! んっ……。」
 
らんまの声が高く、大きくなりすぎたため、九能は約束通りキスで口をふさぐ。
だが、その豊満な胸に愛撫を与え続けることはやめない。腰の動きも止めない。
 
「んんっ……! んっ……。んんんんっ! んっ……。」
 
押さえ込まれて逃げ場を無くした感情は、快楽に歪む表情に出た。
その表情を見下ろしながら、九能は言葉にならないほどの悦びを感じるのだった。
唇で繋がり、お互いの大事な部分で繋がり、二人は本当に一つになった。
やがて九能の腰の動きが一段と速くなると、同時に頂点に達した二人はそのまま果てた。


「だから、申し上げましたでしょう? 接吻(せっぷん)をすれば元に戻ると。」

小太刀はあっさりと言ってのけた。
そう、乱馬は少々勘違いしていたが、小太刀はただキスをするだけで十分だったのだ。
いささかおかしな言動が多いとはいえ、お嬢様で育った小太刀は、それ以上の男女の交わりなどを
求めるほどにはすれてはいなかった。
冷静になった乱馬には、赤面では済まないことばかりだった。
 
(そうとも知らずおれはあんなことやこんなことまで……あまつさえそんなことまで……。)
 
穴があったら地球の裏側まで掘り進んで埋まってしまいたいくらいの気分だった。
しかし、今更取り消すことなどできない。九能ただ一人にしか昨日の出来事を知られていない
ことだけが救いだった。
 
一旦天道家に戻り、男に戻った乱馬は、まず真っ先に小太刀の元を訪れたのだった。
天道家では、何事があったのか聞きただそうとするあかねの顔は直視できなかったが、
乱馬は通りすがりにそっとあかねの頬にキスをすることでごまかしてきた。
 
「乱馬様……一体どこの馬の骨女の唇でお戻りになってしまったの? 
 その女が憎い、憎憎憎しいですわっ! 見つけたらただではおきませんことよ!」
 
小太刀は乱馬の口付けを受けたと思われる架空の女に向かって歯噛みした。
実際は自分の兄がその相手だったなどとは夢にも思うまい。
 
「い、言えるかっ! そんなこと……。」
 
乱馬の狼狽ぶりを見て、小太刀は勝手な推測を立てる。赤面しても乱馬の男前さは相変わらずだ。
美男子を慌てさせたことで、小太刀の胸にも少し優越感のようなものが浮かぶ。
 
「あら……。では大した女ではなかったのですわね。思い出したくもないようですし。」
「そういうわけでもないんだが……。」
「良いですわ、乱馬様。今度はきちんと逢引の最後に致しましょうね。接吻だけでは寂しいですもの。」
 
小太刀の微笑みに、乱馬は冷や汗を流した。そして、最も聞きたかったことを口にする。
 
「あ、あのよー、それで、例の写真はどうしたんだ?」
 
小太刀は微笑みに陰を曇らせ、いやなことを思い出した、という顔つきになる。
 
「燃やしてしまいましたわ。乱馬様と本当に交わることができますのに、偽りの思い出を
 残していても仕方がありませんもの。」
 
乱馬はそれを聞いて内心ほっとするが、小太刀に抱きつかれて慌てる。
 
「乱馬様、また日を改めて逢引いたしましょう。今度は無粋な薬なんてなしで、
 良い雰囲気の中で乱馬様と接吻を交わしたいですわ。」
「お……おれ……用事思い出したから……帰るわ! じゃあなっ!」
 
器用に小太刀の呪縛から逃れ、乱馬は手を振って逃げた。
 
「はい、またいずれお会いいたしましょう、乱馬様ぁ〜♪」


家路を急ぎながら、乱馬はつい思い出してしまう。昨日の九能との情事を。
 
(良かった……よなあ……。相手が相手だったけど……。)
 
十分に時間をかけて九能に愛し尽くされた体は、いずれまた疼き出すだろう。
簡単に振り払ってしまえるほどの出来事ではなかった。
またいつあの快感を求めて自分が狂ってしまうのかと考えると、乱馬は気が気ではなかった。
 
 
 
 
「乱馬……なんでわたしとするときにいつも女の姿なわけ?」
「だぁって、女の方が気持ち良いんだもぉん♪」
乱馬はあかねと結婚した後も、新婚初夜を除いてほとんど女の姿でセックスしていたのであった。

(終わり)








Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!