著者 : 75 氏
その2 ー >>079
開始:04/06/04
最終:04/06/04
その2 − >>102
【 五寸釘
(あかねダッチワイフネタ)
】
○月×日 曇り
今日から衣がえ。夏服のあかねさんはいつもに増して奇麗だ。
朝、いつもの時間に電柱の脇ですれ違った。
この前お姉さんが駅前セールで買っていたシャンプー、気に入ってるんだね。
通り過ぎる時、髪からかすかに香ってきた。至近距離50cm。
隣の早乙女のやつが邪魔だ。時を見合わせる。
○月×日 晴れ
今日は遅刻気味。早乙女のやつが寝坊したらしい。
川べりのフェンスを渡るついでに、僕の頭を踏みつけていった。
いやなやつだ。
走り去るあかねさんの後ろ姿、翻った制服のスカートから膝の裏が見えた。
白い肌は柔らかそうなのに、本当に足が速いんだね。
僕は遅刻したよ。
急いで追いかけたせいで調子が悪く、早退。
○月×日 曇りのち晴れ
昨日から早乙女の姿がない。山ごもりの修行に出たそうだ。
やつのことはどっちでもいい。
朝から九能先輩にまとわりつかれて迷惑そうなあかねさん。
ああ、やつがいないせいか。虫避けに少しは役に立つやつだったようだ。
どっちも悪い虫には変わりがない。可哀相なあかねさん。
後で九能先輩のわら人形を打っておいてあげるからね。
○月×日 曇り時々雨
早乙女はまだ帰らない。
あかねさんのくつ箱に入れる手紙は準備した。
早乙女のやつの汚い文字を真似るのは大変だった。
もしあかねさんが呼び出しに応じたら。
今日こそが決行の日。
キーンコーン・・・カーンコーン・・・
風林館高校の校舎に下校の鐘が鳴り響く。
洗濯用の体操着袋と鞄を抱え、あかねはくつ箱に手をかけた。
「ん……あれ?」
靴の上に置かれた手紙に気付き、同級生との楽しげな会話が止まる。
「何、あかね。またラブレター?」
「珍しいじゃない」
「うん……?」
かつては毎日のように交際を申し込まれていた日々も、乱馬との許婚関係が知られるや否や、
一部の例外を除いては大人しく静まったはずだった。
何気なく裏返してみると、見慣れた汚い文字で書き連ねた名前に目を止める。
「えっ、早乙女君から?修行に出てたんじゃなかったの」
「うん。まだ戻って来ない予定だったんだけど…」
「早乙女君も古風なことするわねぇ」
「家に帰ればいつだって会えるし、話せるのにねー」
「でもさ、早乙女君って素直じゃないところあんじゃない?」
「あーあるある!面と向かって言えないような事をラブレターにしたためてたり?」
興味津々で覗きこむ同級生の目から隠すように、あかねは手紙を胸元に伏せた。
「ど、どーせ修行中にお小遣いがなくなったとか、遅れた分のノートコピーしとけとか、
そんなくっだらない事でしょうよ」
「どうかなぁ」
「ま、いいわ。今日はあかね抜きで、明日報告聞かせてねー」
「あ、ちょっと待ってよ! そんなんじゃないったら…っ」
気を利かせたつもりなのだろう。手紙が気になって仕方がなさそうなあかねを置いて、
同級生たちは馴染みの喫茶店へと向かって行ってしまった。
「……そんなのじゃないよ…ね?」
近くに人影が途絶えると、あかねはビリビリと封を解いて手紙を眺めた。
『よう、元気か? あかね。
しばらく天道家には戻れないんだが、大事な話がある。
みんなに心配かけたくねえんだ。誰にも言わずに来てくんねえかな。
悪いな。急ぎの用事なんだ。場所は・・・・・・』
書き連ねられた地図を見れば、学校からそう遠くはない。
「急ぎの用事…? だったら授業中に教室に来ればよかったじゃない」
ブツブツと文句を言いながらも、あかねの足は地図の方面へと向かっていた。
『お前にしか頼めないんだ。本当に悪いな』
末文に目を止めて、あかねは溜め息をつく。
「あたしにしか頼めないって……何なのよ」
口から漏れるのは不平不満の言葉だが、その表情は嬉しそうに微笑んでいた。
裏門から出て川べりを進んでいけば、人気のない廃墟に辿り着く。
かつては工場が建ち並んでいたものの、時勢に流され倒産し、
町開発からも見放されたまま、買い手もつかず廃墟と化した。
訪れる人もなく、修行するには丁度いいのかもしれない。
寂れた工場群をすり抜けながら、あかねは急に心細くなったが、
己の弱さを否定するように、元気な声でその名を呼んだ。
「乱馬ー! 来てあげたわよ、どこにいるのー!?」
響いた声は工場内に反響し、返る声はなかった。
「……何なのよ。まさか悪戯じゃないわよね……」
しげしげと手紙を眺める。やはり乱馬の下っ手くそな文字だ。
『お前にしか頼めないんだ』
その言葉が目に止まり、あかねの胸に妙な擽ったさが走る。
元々お人好しなあかねだが、素直ではない乱馬が見せた
弱気な言葉には敵うはずもない。
まして自分だけに助けを求めているとなれば、放り出すこともできなかった。
すると、工場内からカツンと物音が響く。
「? 乱馬、そこにいるのー?」
しんと静まり返った通路を越えて、物音のした二階へと上がる。
割れた窓ガラスが床に広がり、靴の底でパキパキと音がした。
「乱馬ー…? いるんでしょ。返事くらいしなさいよっ」
階段を昇り切ると、いくつも並んだドアの内、一つが半開きになっていた。
自然とそのドアに近づき、押し広げた瞬間───
「───んっ!?」
ドアの反対側の壁から伸びた手があかねの口を覆う。
唇には湿った布の感触。鼻腔をくすぐる奇妙な薬の匂いを感じると、
あかねは振り返る間もなく、その瞳を伏せて全身を脱力させた。
「……あかねさん……」
倒れこんだあかねを支えきれず、釣られて五寸釘も床に座りこんだ。
抱きとめた重み、腕の中の柔らかな肢体に腕を絡ませて、頭を垂れた髪に顔を埋める。
至近距離0cm。
漸く天道あかねを手に入れた。
高鳴る鼓動を抑え、かつては休憩所だったのだろう、ソファの上にあかねを引き釣り上げる。
眠り薬を目一杯吸い込んだあかねは、穏やかな寝顔を見せていた。
まるで眠り姫のようだと五寸釘は思う。
口づけをしたら今にも目覚めてしまいそうで、何度も頬を叩いて眠りの深さを確かめた。
……反応はない。
よほど眠りが深いのだろう、薬の作用で力が抜けているせいか、
いつもは酷い寝相でも、今は五寸釘が抱え上げたまま、真っ直ぐに足を伸ばして眠り込んでいる。
「あかねさん…」
抱き上げる時に翻ったスカートの裾に気付き、ひざから手を伸ばす。
しっとりとした白い肌。柔らかな感触。
今まで思い描いていたよりもずっと柔らかく、てのひらに吸い付くような肌だった。
「!」
不意に吹き込んだ風がくもり窓を鳴らし、驚いて飛び上がる。
跳ね上がった鼓動を抑えながら、五寸釘は大きく息をついた。
この数ヶ月。毎日、毎日、決行場所を確かめてきたのだ。
この一室をこうして奇麗に掃除しにくる間も、一度として誰にも会ったことはなかった。
「…大丈夫だ…誰も、来ないんだ」
自分自身に暗示をかけて、額に滲んだ汗を拭い取った。
「……君も暑いかい……? 今日は本当に蒸すよね…」
胸元のリボンを解き、上からブラウスのボタンを外していく。指先は微かに震えていた。
スカートのホックを外し、脇のファスナーを下ろす。
一枚一枚、開かれていく制服の中から、あかねの下着姿が露になった。
幾重ものレースで縁取られた白いブラジャーに押さえつけられ、
盛り上がった胸の狭間に目が釘付けになる。
去年の夏、スクール水着をつけた時よりもずっと「隠された部分」という気がする。
「……全然小っちゃくなんかないよ……」
乱馬に罵られるたび、悔しそうに睨みつけていた光景を思い出し、答えるように五寸釘は呟いた。
なだらかな曲線は聖域のようにすら思え、わし掴むこともできない。
怯えではなく、憧れゆえに。
何度もこの決行を頭の中でシミュレーションしていた五寸釘ではあったが、
その肢体を前にして、まだ心の準備が出来ていなかった。
スカートを擦り下ろし、ブラジャーと揃いのレースで飾られたパンティーに目が止まる。
小さなパンティーは最小限、大事な部分を覆う程度で、薄い生地からは若草の茂みがうっすらと透けていた。
下着姿で横たわるあかねを前に、五寸釘のズボンは既にテントを張っている。
興奮に息を荒げれば、吸い込んだ瞬間にあかねの香りが流れ込んできた。
「あ…あ、あかねさーんっ!」
耐え切れずあかねの身を抱き寄せると、頬に胸にあかねの温もりが伝わる。
瞬間、頭に血が昇ったように目眩がした。
穏やかな寝顔のままの頬から首筋にむしゃぶりつき、たどたどしい指先でブラジャーと肌の際に指を入れる。
探るように辿った指が背中に回り、窮屈な隙間に手間取りながらホックを解いた。
「……ん……」
「!」
締め付けを失い、無意識に漏れた吐息に飛び上がる。
しかしあかねは起きる様子はなかった。
「…大丈夫…。薬はまだ…効いてるんだ…」
あかねの体重から割り出した適量のクロロフォルム。タイムリミットはまだ先だ。
ずれたブラジャーは張りのある胸に押し上げられ、胸に被せられている程度の状態だった。
「あかねさん…」
ごくりと固唾を飲み下し、複雑な形の布切れと化したブラジャーを剥いだ。
現れたのは更に白い胸元、そして薄紅に突起した乳首だった。
よくよく見れば、鎖骨の辺りにうっすらと残った水着の跡を狭間に、陽の当たることのない
透くような肌に移っている。
太陽ですら見たことのない場所。誰も見たことのない、触れたこともないだろう聖域。
添える程度に置いた掌に、じわりとその温もりと張りを感じる。
見た目よりもずっと柔らかく、握れば潰れてしまいそうに儚いのに、
ついぞ夢中になって揉み上げてしまえば、いくら形を変えても元の形に戻る。
未知の感触に五寸釘は夢中になっていた。
あかねの上に伸し掛かり、二人分の重さを支えたソファが軋むほど、
両手で確かめるように揉み上げいくと、その先端に変化が現れてきた。
「うん…? あれ…あ、あかねさん…感じているのかい」
指間に挟まった乳首は充血したように赤みを増し、突端の薄い肌は突起した。
眠っていても感覚は起きているのだろうか……。
堪らない柔らかみに吸い寄せられるように、その胸に顔を埋めた。
既に舌で転がせるほど突起した乳首に吸いつき、なだらかな尾根に舌を走らせる。
覆い被さって舌で舐め上げるうちに、自然と前後に擦り寄せていた下半身が、
布越しに甘い痺れを知らせてきた。
ちゅくちゅくと唾液を滴らせ、あかねの胸を味わいながら、無意識にズボンのファスナーを下ろす。
ズボンごとパンツを擦り下ろすと、そそり立った肉茎が押さえを失って飛び出した。
「……あっ」
飛び出した途端、あかねに触れる。
丁度、まだ触れていないあかねのパンティーに先端が当たる。
言い様もない興奮に身を焦がし、五寸釘はそのまま腰を前後した。
先端から溢れた先走りの液があかねのパンティーに沁み込み、
激しい摩擦の中、湿った布地とあかねの体温を感じる。
いつしか喰らいつくようにむしゃぶりついた胸を根元から押さえ上げながら、
パンティー越しのあかねの秘肉へと己の強張りをなすり続けていた。
「あかっ、あ…あかねさーーーんっ!」
電気が走ったように背筋から下半身へと痺れが走り、
駆け抜ける快楽のままに五寸釘は己の猛りを吐き出した。
白濁の精液が宙を舞い、あかねの腹部から胸元にまで降り掛かる。
五寸釘の唾液に濡れそぼった胸元に己の欲望がぶちまけられた。
「…くっ…は、……はぁ…はぁっ…」
寝顔は変わらない。まるで人形のように変化がなかった。
いつものあかねの顔。明るく清純な憧れの人の表情だ。
その体に己の欲望を吐きかけても、崩れることがない。
心の端に存在する罪悪感も、頭の芯から痺れさせるような興奮には敵わなかった。
残液を搾り出した掌に、再び猛った感触が返ってくる。
五寸釘はあかねを跨いだまま上半身へと、膝立ちで歩み寄り、
吐き出した精液が流れ落ちるあかねの双丘に横から手を添えた。
自分がしようとしている事を考えただけで、吐き出したばかりの肉棒は充分にそそり立ってくる。
押さえつけるように前傾してあかねの胸に跨ると、たわわな柔肉に己のものを挟み込んだ。
「ふわぁああああ…っ」
双丘に包み込まれた感触に腰がガクガクと震える。
豊満な胸の弾力、生温かい体温が堪らない。
動物のように夢中で前後に動き出せば、両側から押し上げて盛り上がった胸間から
己の先端が顔を出し、そして胸間に隠れる。
扇情的な光景に腰の動きは激しさを増し、唾液と精液の混じった胸間からは
にちょぐちょと粘着質な濡れ音が響いてきた。
もう何も考えられない。思考は完全に飛んでいた。
まるで聖母のようなあかねの寝顔と、裏腹に淫らな行為に身を委ねている光景に
五寸釘の興奮は止まることなく、己の欲望のままに肉茎を擦り付けていた。
「……ウッ!」
耐え切れず吐き出した欲望をあかねの頬に浴びせ、伝い落ちるのを待たずに脱力して崩れ落ちた。
まだビクビクと戦慄いた陰茎があかねの腹部に降り、柔らかな肌の上で次第に萎えていく。
息を整える間、五寸釘の頭には今までの全てが走馬灯のように蘇えっていた。
どんな時にでも自分にまで、優しく笑いかけてくれる天道あかね。
つり合わないことは分かっている。手に入らないことも知っていた。
できることならいつまでも見守っていたかったけれど。
見守るまでもなく、あかねは五寸釘よりもずっと強かった。
けれどあかねのことなら自分が一番よく知っている。
遠くから、影から、いつも見つめ続けていたから、もしかするとあかね自身よりもずっと
あかねの事をよく知っているかもしれない。
(君が…あんなオカマ野郎に惹かれてるってことも…知っているんだ)
乱馬のことを思い出すと、五寸釘の顔色が変わった。
隈の出た顔色の悪さは相変わらずだが、その目つきが凍りつく。
最初は親同志が勝手に決めた許婚だったはずだ。
その胸には叶うことのない初恋の人への幼い恋心を抱え、
健気に見守りながら、時折胸を痛める……そう、自分と同じ気持ちを抱えていた。
しかし、次第に乱馬の存在がその胸に土足で上がり込んでいった。
(それを…君は……受け入れてしまったんだ…っ)
五寸釘にとっては裏切りにも等しい行為だった。
自分たちは、同じように片想いの痛みを抱えあう「同志」だと思っていたからだ。
しかしあかねは、自分を置き去りにした。
ひたむきな愛情が憎悪にも似た感情に変わるのは一瞬だった。
妙なことに怨恨は、五寸釘があかねに対して抑え続けてきた性欲を刺激した。
今までは自慰にだって、あかねを思い浮かべることはなかった。
そんなことに使ってはいけない、清らかな存在だったからだ。
しかしいずれ、あかねが他の男に犯られるのだと感じた途端、
その存在はそこらのAVアイドルよりもずっと刺激的な存在に変わった。
ある種の禁忌的な快楽にも似ている。
マリア像にぶっかける敬虔な信者のような背徳の快楽がそこにはあった。
(このまま黙って…君を、あんな奴に奪われるのを…見ている事なんて…っ)
深く息をつき、心を落ち着ける。
予定外の興奮に二度も吐き出してしまい、元々少ない五寸釘の体力は限界寸前だった。
「時間は…たっぷりあるんだ…」
あかねの顔から吐き出した精液を拭い取る瞬間、何故か泣きたいような気分に駆られたが、
首を振って深呼吸する。
制御できぬ興奮に冷静さを欠いているだけだと言い聞かせる。
「さて…。僕ばかりじゃ…いけないよね」
再び膝立ちで後ずさる。
先に吐き出した白濁が乾き、張り付いたパンティーに指をかけた。
「ごめんね…。今度は、あかねさん…君の番だよね…」
乾いた唇を開き、薄笑いを浮かべながら五寸釘の指先が茂みに伸びた。
パンティーの淵から指を忍ばせる。
手探りで秘裂をなぞり、せり上がった恥丘を分け入って進む指先が
複雑な形状の肉襞に触れた。
どんな形をしているのか、雑誌やビデオで大体の知識はあったものの、実物を見たことはない。
くちゅりと濡れた粘液に辿り着いた瞬間、五寸釘は驚いて指を引っ込めた。
(濡れて…た……?)
激しい動悸が治まらない。心臓が張り裂けそうに早鐘を打ち続ける。
爪を立てないよう気をつけながら、パンティーの淵からくるくると巻き返すように
腰の骨盤から太腿へ。膝からふくらはぎ、足首を通してパンティーを剥ぎ取った。
ぐいっと片足をソファの背凭れに掛け、広げた足の間に視線を走らせる。
薄暗い一室の中。目を凝らすようにじっと見つめ続けていた。
自然と息が上がる。
縦に走った亀裂に割られるように、幾重もの包皮に包まれた肉襞。
窪んだ下腹から張り出したように肉のついた恥丘からは淫猥な恥毛が生え揃い、
人形ではない、生身の肢体に五寸釘の欲情は焚きつけられた。
(これが、本物のあかねさんの…あかねさんの……)
尻に手を入れて、押し上げるようにして顔を近づける。
ずっしりとした重み、尻肉に指がくい込む柔らかさも堪らないが、
目の前に広がる赤く色づいた秘肉の形に魅入る。
よくよく見れば、複雑に折り重なった肉襞の隙間に白い恥垢が見えた。
小指の直径ほどのぽっかりと開いた穴には、先に指先で触れた粘液が滲み出している。
またひとつ、あかね自身も知らないだろう、あかねの部分を知った。
しっかりと目に焼き付けているうちに、支えていた腕が痺れて震えだし、
五寸釘はおそるおそる舌を伸ばして、より近くへと顔を近づけていった。
ピチャ…くちょ…くちゅ…
鼻先を恥丘に擦りつけて、細く伸ばした舌であかねの秘部をなめずる。
頭の芯に響いてくる甘い香り、舌が痺れるような酸っぱいような甘いような、
あかねの濃い体液を味わい、じゅるじゅると唇を窄めて吸いついた。
すると、びくりとあかねの体が反応する。
「!」
今更止めることなどできない。
五寸釘は全身を硬直させながらも、唇全体であかねの秘唇を覆った。
舌で割った秘裂の上方部分、柔襞に隠れていた肉芽に吸いつくと、
それがスイッチであるかのように、あかねの身がぴくりぴくりと反応する事に気付く。
「こ…ここが、か…感じるの…かい? あかねさん…」
目覚めては困る。しかし反応があることが嬉しい。
後先考える余裕もなく、夢中になって小さな肉芽にむしゃぶりつくと、
気のせいか、次第にそれは充血したように膨らみ、固さを増していくように思えた。
「……?」
あまりに夢中になってしゃぶりついていたため、顎にまで唾液が滴り落ちる。
顎に手を伸ばして拭い取ると、位置を変えた片手が尻にくい込み、ぬるりとした感触を知らせた。
不思議に思い、両手で押し開くように手を添えると、いつの間にか秘裂から滴り落ちた液体が
あかねの尻の筋から背後へと伝っていた。
「……これ、もしかして……」
己の唾液だけではない。あかねの体から溢れ出したものだった。
五寸釘は鼻息を荒げて、再び秘唇に口を寄せると、今度は固くとがらせた舌であかねの膣口をこじ開けた。
熱い膣内。窮屈な肉壁に舌を突き入れていく。
鼻先に肉芽の先が当たり、軟骨同士がコリコリとぶつかり合った。
五寸釘の舌を咥えこんだまま、あかねの秘肉は無意識に収縮を繰り返す。
意識のないあかねの、唯一の反応に五寸釘は夢中になって歓喜して続けた。
奥から溢れ出した液体に吸いつき、喉を鳴らすうちに、
不意に歯の先が肉芽に当たった瞬間。
「…ン……っ」
「!」
あかねの肢体が大きく跳ね、驚いた五寸釘はその足を放り出した。
間隔を開けたまま、じっとあかねの様子を伺う。
広げられたまま降りたあかねの股からは、つー…と透明な液体が伝った。
僅かに眉間を寄せた悩ましい表情、暫し静観しているうちにまた穏やかな寝顔に戻る。
あまりの驚きに、再燃していた下半身の熱も急激に冷めてしまった。
小心な心臓はまだ跳ね上がっており、呼吸を整えながら挙動不審に視線を彷徨わせると、
あかねの鞄の隣、体操着袋に気付いた。
(あぁ…今日は体育があったんだっけ…)
保健室で過ごしたから忘れていた。
常に病人のごとく目に隈の表れた五寸釘にとっては、仮病と偽ることなど容易だった。
あかねの体操着姿を見れかったのは残念だったけれど……。
身体能力の優れたあかねの柔らかい関節の開きは、さっき充分に感じ取った。
「そうだ…。今、見せてよ…」
巾着の絞りを開き、小さく折りたたまれた体操着を引き出す。
白い体操着はあかねの体を象るように、胸の部分が曲線に伸びていた。
発育した体には窮屈だったのだろう。僅かに汗の沁みた体操着に顔を埋めた。
そして、ブルマに手を伸ばす。
広げられたままの足の爪先からブルマを通し、腰を浮かせながら穿かせる。
直接穿いているせいで、閉じた秘唇のラインがブルマの上からも見てとれた。
布地を挟み込むような縦すじに視線を走らせながら、五寸釘はその方が興奮する自分に気付いた。
未知の秘裂を拝めたときも興奮はしたが、あまりにも直接過ぎて怯えにも似た気持ちに胆が冷えた。
それはまるで、今までのあかねと五寸釘の距離のようだった。
こんなに深く想っていても、面と向かって話しかけられれば緊張に凍り付いてしまっていたように、
直接あかねの深層部に触れるよりも、ワンクッション置いた方が組みしやすい。
近づき過ぎて、嫌われることが怖い。
「……はは…今更、何考えてんだか…」
もしも今、目を覚ましてしまえば嫌われるどころでは済まないだろう。
五寸釘は自嘲気味に薄ら笑いを浮かべながら、くっきりと象ったブルマの上の縦すじを指でなぞった。
厚みのある布地に、あかねの秘液が沁み込む。
先に目に焼き付けた形が、指先の緩慢な感触でもよく分かった。
抱き起こせば、脱力したままでかくりと頭を垂らし、まるであかねの方から抱きついてきたように
その重みが五寸釘の胸に支えられる。
自分の身を跨らせ、裏筋の上にをあかねをのせる。
軽く前後に揺すっただけで、閉じた目蓋に火花が散るような刺激が走った。
ブルマの股布ごと、己のものも挟みこまれるような妄想に、五寸釘の肉茎は
現金なまでにぐんと力を増した。
僅かに弾力のある布地が鈴口をくすぐり、ブルマ越しに突き上げるようにそそり立った。
「クッ……あ、…あかねさ…ん」
強く抱きしめたまま身を揺すり、首筋から耳元に舌を這わせる。
腕を、頬を、そして一番敏感な部分を互いに寄せ合いながら、
意識のあるあかねにはけして言えない言葉が胸を突き、
記憶の奥底に刻み付けるように、五寸釘は耳元で囁いた。
「…あかねさん…す、好き…だ……、好きなんだ…っ」
弾んだ息に途切れ、荒い息があかねの頬にかかる。
弛緩して薄く開いたままの唇に目がいく。その唇を味わいたい。
口紅も引いていないというのに、薄紅に色づいたしっとりとした唇。
目が合えばいつも元気に「おはよう、五寸釘君」と微笑みかけるその唇。
波打つようにあかねの身を揺らしながら、五寸釘は頬から唇へと口を近づけた。
しかし、不意にかくりと首が傾き、寸前で逃げられてしまった。
下半身を寄せ合えば不安定に揺れ、あかねの顔はこっちを向かない。
無理に向けるにも、両手であかねの体を支えているので難しい。
五寸釘はもどかしさに、再びあかねの体を組み敷いてソファに押さえつけた。
焦りもあり、叩きつけられたようにソファに背を当てた瞬間、小さな呻き声と共に、
あかねの目蓋が薄く開いた。
「!!!!!!」
ちらりと流し目を浴びせられたように、一瞬の視線で五寸釘は射精した。
しかし突然の解放感に身を委ねる余裕もなく、心臓は破裂寸前に跳ね上がっていた。
(お…起きた…!? 見、見られた…のかっ!?)
あかねの様子を伺う余裕などない。
五寸釘は慌ててポケットのクロロフォルムを取り出し、震える手の中、
瓶から撒き散らしながらハンカチに沁みこませると、あかねの口を塞いだ。
強く抑えつけながら、ドクドクと上がった鼓動が体内から響いてくる。
息を殺し、自分までも吸い込まないよう気をつけながら、暫しの間を置いて震えた手を離す。
肘から下ががくがくと震え、押さえつけていた指の跡がうっすらとあかねの頬に残ってしまった。
「……あかねさん……?」
気のせいか、顔色が沈んでいくように見えた。
呼びかけたところで、気付いて返事をされても困るのだが、
徐々に青ざめていくあかねの顔を見つめているうちに、不安な気持ちが胸に広がる。
耳を澄ませば、静かな寝息も途切れ途切れに変わってはいないだろうか?
「あ…あぁあ…あああああっ!」
最悪の光景が浮かび、五寸釘はパニック状態で跳び上がった。
気付けば見慣れた町内。あかねを背に担いだまま走り出していた。
どうやって服を着せたのか、どのくらい走り続けたのか覚えていない。
自分にこんな体力があることも、五寸釘自身知らなかった。
(嫌だ…嫌だっ、あかねさんが、あかねさんが死……)
言葉にするのも怖ろしい。
だらりと背後から伸びたあかねの腕、背にずっしりとのしかかる体重を感じながら、
五寸釘は終着地点も考えず走り続けた。
普段ならば誰かしらとすれ違う町内、何故だか人通りが少ない。
誰に助けを求めたらいいのか、誰に助けられるというのか。
(違う、僕が…、僕があかねさんを助けなきゃならないんだ…っ)
総合病院へはまだ遠い。五寸釘は走り続けた。
すると、ちりり〜んと暢気なベルを鳴らしながら、自転車が並走して止まった。
「やあ、あかねちゃん? どうかしたのかい」
「東風…先生…・・・」
五寸釘の形相、脱力したあかねの姿に、東風の表情が変わる。
穏やかな笑顔は凍りつき、冷ややかなまでに丸眼鏡が光った。
「先生、僕は…、僕は……っ」
「……すぐに接骨院に来なさい。早く!」
数時間後。
接骨院の一室で、五寸釘は放心していた。
いつにない激しい口調で、あかねに嗅がせた薬の成分を聞きだすと、
東風は冷静に適切な処置を施した。
幸い致死量には至らなかったこと、処置までに時間がかからなかったおかげで、
あかねは再び静かに眠りについていた。
「……五寸釘君」
処置室のカーテンが開き、肩を落としたままの五寸釘の前に東風も座り込んだ。
「あ…かねさん…は」
「……大丈夫、心配ないよ」
安堵の吐息を漏らした途端、五寸釘の肩はカタカタと震え出した。
ともすれば、愛しい唯一の存在を、永遠に失っていた。
この先に己に課せられるだろう罰よりも、あかねを失っていたかもしれない可能性こそが怖ろしかった。
たとえ自分のものにはならなくとも、せめて。その笑顔を見せていて欲しい。
青ざめたあかねの表情を思い出して、五寸釘の震えは止まらない。
思いつめたその表情に、東風はふうっと吐息を漏らして、その肩に手を置いた。
「……さて。君はこれからどうするんだろうね」
「ど…どう…するって…」
いつも通りの静かな口調で、しかし容赦なく東風は告げた。
「君を警察に突き出すのは簡単だ。医師のはしくれとして、暴行を通告する義務もある」
「……はい」
「君は、あかねちゃんにどこまでしたんだい」
「え…」
東風は表情を変えず、続けた。
「体は奇麗にしたけどね、私は…妊娠検査もしなければならないのかな」
「違っ、違う! 僕は、僕はあかねさんに、そんなことまでは……っ」
「……だよね。そんな跡がなかったから、不思議だったんだ」
じっと五寸釘を凝視していた視線をふっと反らす。
「君はあかねちゃんが好きなんだよね」
「………」
「年頃の男ならばそういう妄想に駆られることもあるよ。私だってなかったわけじゃない。
ただ、それは…頭の中だけで終わらせるべきだ」
「……はい」
「得たものはあったかい?」
「……分かりません……。けど…これからは、もう……」
失うものばかりだ。
自分は刑務所に送られるのだろうか。
そして荒くれ者の中で、散々私刑に合い……。
仮に無事出所できたところで、人生は終わりだ。
社会的にだけではない。もう誰も微笑みかけてはくれないのだろう。
唯一、自分に笑顔を向けてくれたあかねとは、もう顔を合わせることも許されない。
「黙っている事はできるね」
「……えっ」
「君が本当に罪を感じているのなら、私はそれを信じようと思う。
二度と、こんなことはしないと、約束できるかい?」
東風の言葉に五寸釘は途惑った。
黙殺することで、東風も五寸釘の犯罪を隠匿する共犯になるのだ。
無論、もう二度とこんなことはしない。
あかねを傷つけることなど、失うことなど、もう、けしてしたくはない。
「……はい」
頷いた五寸釘を見つめ、頷き返す東風の優しい視線に、釣られたように愛想笑いを浮かべる。
どんな顔をしていいのか、光には分からなかった。
「───勘違いしないでくれ。私は君のために言っているんじゃないんだよ?」
穏やかに微笑んだまま、東風は言い下した。
「事実を知れば、多感な時期のあかねちゃんがどれだけ傷つくか…分かっているから言ってるんだ。
さっきからずっと我慢しているんだよ。君を殴りつけるのは簡単なことなんだ……」
だらしなく引っ被った白衣とシャツの下、鍛え上げられた体が潜んでいることを五寸釘も知っている。
冷静に語りかけた静かな口調は、東風自身の動揺を鎮めるためでもあった。
元気いっぱいで粗野な態度に包み隠された、あかねの繊細さは子供の頃から知っている。
大切な妹のような存在のあかねに、目の前の青年が何をしたのかと思えば、
自然と握り締めた拳にも力が篭もってしまうのだ。理性がそれを抑制する。
「二度と、あかねちゃんに触れるんじゃない。いいね」
脅しまがいに念を押すと、五寸釘は硬直した身で顔をしかめ、コクコクと頷いた。
「……うん。私は君を信じるよ。これからも今まで通りあかねちゃんに接しておくれよ?」
「でも……」
「なぁに、今まで通りでいいんだ。罪悪感があるのなら、君の胸の中だけに押し込めておいてくれ」
一度は手中に収めたあのカラダも、抱きしめた感触も。
全てをなかったことにして、普段どおりに接する。
まだ蒼白した五寸釘には自信がなかったが、今まで通りというのなら、そうなのだろう。
あかねの前ではいつも挙動不審だったから、今までもこれからも変わりはない。
「……せん…せ…?」
カーテン越しに聴こえてきた声に、びくりと飛び上がる。
東風は立ち上がり、無言で五寸釘も入るように誘った。
「やぁ、あかねちゃん。もう貧血は大丈夫かい?」
「貧血…?」
暗示をかける東風の囁きを受けて、信頼し心を開いたあかねは疑うことなく受け入れた。
「クラスメートがここまで送ってくれたんだよ。ねぇ五寸釘君?」
向けられた二人分の視線に、五寸釘は立ちすくんだままだった。
キッと東風の眉根が寄ると、弾かれたようにコクコクと頷く。
「そう…五寸釘君が……」
「まだぼんやりしているみたいだね。もう少し休んでいるといいよ」
「はい…すみません、東風先生…」
「あはは、いいんだよ。今日はケンカして大怪我ってわけじゃぁないからね。
休んでいれば、すぐによくなるさ」
「……はい。あの、五寸釘君も、ごめんね? 送ってくれて…ありがとう」
微笑みかけたあかねの笑顔こそ、五寸釘の胸に深い楔として刺さりこんだ。
五寸どころではない。無限に深く刺さりこむ。
けして抜くこともできず、叫び出すことも許されない、罪の痛み。
(終り)