著者 : 名無しさん@ピンキー ID;3PgD5FrG 氏

その1 ー >>897
開始:04/03/01
最終:04/03/06
その1 − >>915

無 題 (1〜15)

夏場に書いてた話なんで季節はずれもいいとこですが
どうぞご笑覧ください。

うだるような真夏の昼下がり、
天道家の居間に、大音響とともに突如大穴があいた。
「乱馬! わたしとデートするね」
そこから現れたチャイナ服の少女は、
まるっきり悪びれることもなく、無邪気に言い放った。
「ちょっとシャンプー、いつもいつも
いいかげんにしてよね!」
襖まで弾き飛ばされたショートヘアの少女は、
突然の訪問者を叱り飛ばした。
もちろん、そんな小言を聞くような相手でないことは
百も承知なのだが。


「あかね、いたのか?」
シャンプーは、けろりとした表情のまま
おさげ髪の少年を羽交い絞めにしている。
「シャンプー……、放せっ、こら……、苦し」
「乱馬、猫飯店明日から海水浴場で営業ね。
わたしの水着、いっしょに選ぶよろし」
――水着――。
乱馬とあかねは、一瞬目を合わせた。
つい先ほどまで、ちょうど水着の話題で
いざこざを起こしていたところだったのだ。
実は二人とも、闖入者のおかげでその件をうやむやにできる
と、内心胸をなでおろしていたところだった。
再び、気まずい空気が二人の間を流れる。


「ああ、いいぜシャンプー。一緒に選んでやるよ」
「ホントか? 乱馬!!」
乱馬は、あてつけとばかりにシャンプーよりもむしろ
あかねに向かってそう言った。
「どっかのズンドー女より、よっぽど選びがいがあ」
その語尾はちゃぶ台によって叩き潰された。
「ふんっ」
あかねは鼻息も荒く居間を出て行った。
後には、ちゃぶ台の下でひき蛙のようにつぶれた乱馬と、
傍らでウキウキとはしゃぐシャンプーが残った。
「ったく、何よ、乱馬まで一緒になって馬鹿にして」
あかねは頭上から湯気を噴き出さんばかりの勢いで
ドスドスと玄関へと向かった。
それは、いつもどおりの風景だった。


あかねは叩きつけるように玄関の扉をを開けた。
その途端、あかねは長髪の男に抱きすくめられた。
「シャンプーッ!!!! おらと水着を買いに行くだーッ!」
男の顔面に、あかねの靴底がめりこむ。
「誰がシャンプーだ、誰が」
男は袖からめがねを取り出し、別人と見るや否や
大きく態度を翻した。
「何じゃ、あかねではないか」
「シャンプーなら、奥で乱馬といちゃついてるわよ」
あかねは、吐き捨てるように言った。
居間での光景が大げさになって脳裏に浮かぶ。
「おのれは何故黙っとるんじゃ―っ!!」
「あたしは関係ないわよ。乱馬が誰といちゃついてたって、
知るもんですか」
「なんじゃとーっ!?」
「何よ」


ムースとあかねはしばらくにらみ合っていたが、
すぐに不毛だと気づき互いに目をそらした。
こんなところで部外者ともめても仕方がない、
それぞれがそう思ったからだ。
ムースはしばらくの間憤懣やるかたないといった様子で
足元の庭石をかかとで踏みつけていたが、
やがて肩を落としたままもと来たほうへ歩いていった。
そしてあかねが軽いいやみで言った最後の一言が、
ムースに鋭く突き刺さった。
「だいたいね、あんたがしっかりしてないから
シャンプーに逃げられるんじゃない」


門扉にさしかかった所で、ムースはぴたりと足を止めた。
「……今……、何と言うた」
「え……、だ、だから、あんたが、
しっかりしてない……から……、その」
無言のまま、ムースがゆっくりと振り向く。
(い……、言い過ぎちゃった……かな?)
あかねは、ムースの険しい表情に余計な一言を後悔した。
さっきまでの逆上していた気持ちがスッと冷めきった。
「あ……、あの、ごめん、そんなつもりじゃ」
砂利に足元を捕られないように摺り足であとずさる。
「おのれに、おらの何が解かる。
……おのれのことは棚に上げておいて、なんじゃその言い草は!!」
「だ、だから、ごめんってば」
尋常ではない語調に、悪寒を覚えた。
踵を返し、家に駆け込もうとする。
そのあかねの足首を、ムースの鉄鎖が一瞬早く捕らえた。
「いやぁっ、らん」
あかねの叫びは、そこで途切れた。


「痛っ」
あかねは、突然右腕に走った痛みに目を覚ました。
意識はまだ朦朧として、上下もよくわからない。
「ここは……、どこ?」
あたりをぼんやりと見回す。
夕焼けで室内は燃えるように赤い。見覚えの無い部屋。
(頭が痛い)
そういえば、さっきは右腕が痛かったはずだ。
自分は一体どうなっているのだろう。
何とか目を醒まそうとブルンとかぶりを振ってみたが、
吐き気が増すばかりで何もわからない。
足元は……? どうやら畳に座り込んでいるらしい。
「やっと目を覚ましただか」
窓際の大きな黒い影がゆっくりと近づいてくる。
それがムースだと理解できるまでに、少し時間がかかった。
「ムー……ス……、何を」
どうにかあごを持ち上げてムースの顔を仰いだ瞬間、
あかねはぎくりとした。
「嘘」
先ほどの右腕の痛みは、天井から鎖で吊り下げられた
手錠による擦り傷だったからだ。


「嘘」
あかねはもう一度そうつぶやいた。
夕陽を遮って立ちはだかったムースは
見たことも無い顔つきであかねを睨みつけた。
「おのれのせいじゃ」
(思い出した……。
 あたし……、乱馬とけんかして、それで)
縛られて……、薬で眠らされて。
思い出せるのはそこまでだ。
頭から冷水を浴びせられたような気がした。
膝ががくがくと震え、立ち上がることができない。
「おのれが貧相な体をしとるせいで、
乱馬がシャンプーから離れんのじゃ」
ムースはあかねの胸倉をつかみあげ、小刀を突きつけた。
恐怖に血の気が引く。
「いやぁぁっ!!!!」
鋭い刃は一気にあかねの制服を引き裂き、
その下からは、清潔な下着と滑らかな素肌があらわになった。


「ムース……、やめて……。いや……、やめて」
首を振ると車酔いにも似た感触に、吐き気がこみあげる。
まだ抜けきらない薬のせいで、指先すら満足に動かせない。
剥き出しになった胸の双丘の間をツウッと汗が伝い落ちた。
「貧弱な乳をしておるのう。
こんな体じゃ、乱馬とて満足できるはずがないわい」
ムースはそう毒づきながら、破れた制服を掴むと
大きく左右に割り開いた。
小刀を逆手に持ち直し、ブラジャーを摘み上げて
その中心を切り裂く。
形の良い、艶やかな乳房は、激しい動悸と呼吸で
小刻みに震えている。
あかねは自分の置かれている状況を直視することができず、
目を硬く閉じ、鎖に持ち上げられた腕に頭を預けた。
涙が次々と頬に零れ落ちていく。


ムースはあかねの乳房を両手で鷲掴みにした。
触れられた瞬間、全身が総毛立つ。
背筋に氷を押し当てられたように、あちこちの血管が
ピリピリと痺れる。
「やめて……、お願い。……ムース」
あかねは同じ嘆願の言葉を繰り返した。
「さわ……らない……で。……いや」
ムースは両手に乗せた乳房やその先端を、
まるで品定めでもするかのように睨んでいたが、
ふいとその手を放し、自分の袖口をまさぐった。
中国服の大きな袖下から、ずるりと麻縄を取り出す。
毛羽立ったその縄の肌目は、沼地を這う蛇の鱗を思わせた。
「そう怯えるでないわ。どのみち、助けを請うても
ここには誰もおらん」
嘲るように笑みを浮かべながら、縄をほぐし、
両端を掴んでしならせる。
「それに、おらは感謝してもらってもええぐらいじゃ」
「え?」
「おのれのそのみすぼらしい体を、
じっくりと練り上げてやろうというんじゃからのう」
あかねの全身から、再び血の気が引いた。


あかねはしばらく抵抗を繰り返していたが、
四肢の自由が利かないままではそれも空しく
じきに大きくはだけられた胸元は無骨な縄に縛られた。
「いた……い」
剥き出しの素肌に、ちくちくと縄の毛羽が刺さる。
乳房は根元から結わえられ、無理やり持ち上げるように
縄の先を両手首の手錠へと結びつける。
「ふむ……、まぁ、こんなもんじゃろ」
ムースは満足げにあかねを見下ろし、
再び袖口へ手を伸ばした。
そこから小さな古ぼけたガラス瓶が姿を現した。
錆付いた蓋をねじると、むっと甘い香りがあたりに広がる。
嗚咽で傷めたのどに菓子のような強烈な匂いが流れ込み、
あかねは思わずむせかえった。
中には白くぬめりとした光沢を放つ
溶かした蝋のような液体が詰められている。


ムースは、指先でえぐるように粘液を掬い上げると、
べったりとあかねの乳房に塗りつけた。
大きな手のひらが、乳房の付け根から乳首の先へと
入念に塗り広げていく。
「あっ……、やぁ」
目が醒めきらないうちから叫びつづけ、泣きつづけたせいか、
あかねののどはひどく焼け付いて、満足に声も出せなくなっていた。
息を吸うたびに激しく咳き込み、その都度剥き出しの乳房が揺れる。
薬は満遍なく乳房に乳首にと塗りこめられ、
あかねの薄い皮膚に染み渡っていった。
(熱い)
ムースは白桃のような乳房を揉みしだきながら、
あかねの細い首筋にじっとりと舌を這わせる。
「どうじゃ、少しは味な気分になっただか?」
ムースの言葉はあかねの耳に届いてはいなかった。
ただ呆然としたまま恐怖に震え、
時折思い出したように首を振るばかりだ。
「ふん、まぁよいわ。じきに堪らんようになってくるじゃろ」
ムースはとがった乳首をつまみながら
そうひとりごちた。


(乱馬……、乱……馬)
私は一体何をされているのだろう?
そんな想いがあかねの胸をよぎりはじめた。
「ら……ん」
あかねの唇はただ一人の男の名を繰り返し呟いている。
「その調子じゃ。もっと乱馬のことを考えるがよい。
もっともっと」
ムースは今にも壊れそうな少女を前に、
その執拗な愛撫を休ませることはなかった。
硬く閉じられた腿の間から、粘り気を帯びた雫がこぼれはじめる。
小さな体を撫で回す節くれだった手は、胸から腹部へと降りていった。
あかねの体が小さく震える。
「あ……、はぁ」
(乱馬)


嗚咽が止むと、少し息がしやすくなった。
あたりを漂っていた甘ったるい香りも薄らいだように思える。
絶望感から纏まらなくなっていた思考も、いくらか形になり始めた。
(そ……うだ、逃げなきゃ)
しかし、どうやって?
悔しいが、とてもムースにはかなわない。
関節もはずせない自分には、この手錠から逃げることもできないだろう。
(どうしよう)
「ずいぶんおとなしくなったではないか。ようやく観念しただか?」
あかねは自分の姿を見下ろした。
(逃げなきゃ)
「やっと薬が効き始めたと見える」
(逃げ……、く……すり?)
あかねの思考は、再び砂のようにこぼれていった。


『あかね』
男は少女の名を呼んだ。
日に焼けた、しなやかな体。雑に編んだ髪。
やさしい声、慈しむような瞳。
「乱馬」
助けにきてくれた。
助かったんだ。
『あかね、だいじょうぶか?』
緊張が解け、全身の力が抜ける。あかねは前のめりに倒れこんだ。
その柔らかな体を男のたくましい両腕が支える。
『あかね、あかね』
愛しい声が、自分の名を繰り返す。涙がこぼれた。
あかねは吸い込まれるように乱馬にくちづけた。
男は強くあかねを抱きしめ、手を髪にもぐりこませて仰向かせる。
尖らせた舌先がつるりとあかねの唇に滑り込み、
口内をまさぐった。
「ん……、ふぅ」
彼の唾液に酒でも混じっていたんだろうか。
あかねは急激に火照りだした体でふとそう思った。






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