shortcakes flavor

くん。
ベッドに押し倒されてからずっと『それ』の繰り返し。
『それ』というのは。

「アレン、何処もかしこも甘くて美味しそうな匂いがするさ」

髪の毛に鼻を埋めてみたり、サイドにかかる白銀の髪の毛を枕の上に散らして、露になったこめかみから耳元に鼻先を寄せたり。
何が楽しいのか、僕の身体に未だ纏わりついている、ケーキを作った時についた甘い香りを嗅いでいるのだ。
そこまでは未だ良かったのだが、ラビの鼻先が白い首筋を滑り降りて行き、首の後ろに回したラビの手で仰け反らされた喉元、そしていつの間にか肌蹴られてしまった胸元まで下がっていく。

「やぁっ、ラっ、ビ…匂いなんて、嗅がな、いでっ…」

ラビは『甘くて美味しい匂い』だなんて言っているけど、きっとそれだけじゃないと思う。
朝からラビの誕生日ケーキを作るのに、奔走していたから汗だってかいた筈だ。
そんな身体の匂いを嗅がれることが、こんなに恥ずかしいことだなんて。
なのにそんな僕の恥ずかしさも知らずにラビは「え〜〜〜」なんて、不満そうに口を尖らせている。

ラビの身体を引き剥がしたくて両肩を押し上げるけど、上から押さえつけられるという態勢の所為かそれとももともとの体格差ゆえか、びくともしない。

「あ、そうか!」

「な、に…?」

「もっと色んなところに…ちゃんと触って欲しかったんだよな?アレンは…」

「ひゃうっ!」

胸の小さな突起を舐め上げられた。
ラビの手によってすっかりと慣らされたそこは、少しの愛撫を受けただけで簡単に反応し硬くなっていくのが分かる。

「やぁっ…違っ―――」

「違わないさぁ…ほら、たったあんだけで、もう硬くなってきたさ…」

「そ、じゃなく、て…」

今一番欲しいのは。

「ラビ…意地、悪いっ…」

精一杯睨んでるのに、ラビは楽しそうに笑っている。

「うん、知ってるさ……アレンが欲しいのは…」

ラビの唇が重なり、ちゅっと音を立てて離れる。

「本当に欲しかったのは、これだよな?」

そう、欲しかったのはラビからのキス。
こくりと頷くと、ラビが再び覆いかぶさってきて深く口付けてくれる。
ラビはいつだって僕が欲しがるものを、僕が言う前に気付いて与えてくれるんだ。
望んでいたくせに臆病に逃げ回る僕の舌を、なんどもなんども追いかけてきては絡めとり、食み、吸い上げる。

「ふっ…ぅん…っは…」

「アレン…ありがとな…」

「は…ぁ、な、んです?突然…」

長く深い口付けで、目尻に溜まってしまった涙をラビの唇が掬い取ってくれた。

「今日のケーキもだけど、昨日のサンドイッチもさ…アレンが作ってくれたんだろ?」



コムイさんへと入れた連絡どおり、夕方教団へと辿り着いた僕はコムイさんに任務の報告をした後、ラビも任務から帰って来たばかりだと聞いて直ぐにラビの部屋へと向かった。
ノックをしたけど返事もなくて、試しにノブを回してみたら開いたから覘いてみた。
僕にはちゃんと鍵掛けろって煩いくせに、自分こそ無用心じゃないか。
ベッドに近づいて覘いてみたら気持ち良さそうに眠っていたから、ほんのちょっと寂しくもあったけど、ラビの眠りを妨げたくなくて、僕はそっとその部屋を後にした。
夕飯まで待ったけど起きてこないラビは、ご飯を食べなくても平気なほど疲れてるんだな。
そんなラビがいつお腹が空いて起きても良いように、ジェリーさんから材料と調理場を借りて作ったのがサンドイッチだったのだ。



「サンドイッチくらいしか作れなくて」

「凄く、美味かったさ」

「ただパンに、ハムとか卵とか挟んだだけですよ?」

特別な味付けなんてするような料理じゃないし、手間のかかる難しい料理でもない。ただパンにバターを塗って、ありきたりな具材を挟んだだけの、子供でも作れるような簡単なもの。

「それでも俺には、アレンが作ってくれたってだけで何よりのご馳走さ…」

そんなものでも本当に嬉しそうに笑ってくれるラビが、本当に好きだと思った。

「ただ…」

「え?…ただ?」

「帰ってきたら直ぐに起こして欲しかったさ」

少し拗ねたような顔をして、ラビが言う。
勿論僕だってそうしたかった。直ぐに抱きしめて、ラビの声で名前を呼んで欲しかったけれど。

「だって…幸せそうに、気持ち良さそうに眠ってるの邪魔したくなかったから…」

ラビの唇が再び降りてきて、重なった。
そして甘く、優しく蕩けるようなキスをくれる。

「眠るよりも、アレンとこうしてる時間の方が幸せだし、こうしてアレンを抱きしめる方が何倍も気持ち良いさ」

「ラビ…」

「アレンと一緒にいられる時間…一秒だって削りたくないんさ…だから、帰って来たら真っ先に会いに来てアレンに触れさせて…俺が何をしてようと構わないから…」

数少ないエクソシストが度重なる戦闘の所為で更に少なくなってしまって、今回のように別々の任務に就く事も多くなった。
擦れ違うことも少なくない。
だからこそ、こんな風に一緒にいられる時間は少しでも傍にいたい。それは僕も同じ気持ちだ。

「どうしても眠かったら、抱きしめあって一緒に寝るさ」

「はい…ラビ、僕も一緒が良い…」

抱きしめてくれる腕の強さには及ばないかもしれないが、僕もせめて想いの強さでは負けないくらいの気持ちでラビを抱きしめ返す。

「約束さ…アレン」

「はい、約束します。ラビ…」

ラビのキスが気持ちよくて、ふわふわと意識が眠りの淵へと落ちようとしている。

約束どおり抱きしめあって、このまま眠りたい。



「こら。だからって、今は眠らせないさ」

「ひぁっ!?」

本気で眠ろうとしていた僕の意識を無理矢理引き戻したのは、胸の突起をつまみあげたラビのイタズラな指先だった。

「何倍も気持ちよくなること、するって言ったでしょ?な、アレン?」

「はっ…あんっ!」

「アレンもいっぱい気持ち良くしたげるから、さ」

再び熱を与えられてしまえば、ラビから離れることなんて出来ない。
僕はこくりと頷いた。
ラビの愛撫が深くなってきて、ラビが与えてくれる愛撫に溺れてしまうのももはや時間の問題だった。



のだが。

「あ!」

「何さ?」

艶とか淫靡さと全くかけ離れた僕の声に、ラビが不満そうな顔を向ける。

「夕方までには解放してくださいね、リナリーとの約束なんで」

多分ラビも聞いているのだろう。思い出したような顔をして、そして憮然とした顔で渋々と頷いた。

「リナリーを怒らせると、恐いかんな……でも」

「んあっ…はぁあんっ…いきなり、すぎっ…あぁんっ」

ラビの手のひらが、太股の間に滑り込んだかと思うと、いつの間にか下ろされていたズボンのジッパーの間から忍び込んで、ダイレクトに僕のものに強い刺激を与えてきた。

「今は俺の事だけ考えて、俺に溺れるさ…」

ラビの手とか、いつも以上に甘くて低い声とかに融かされて、ラビの言葉どおり僕は快楽の波に溺れていった。




END

4.甘いキス

イイトコロで終わってしまって、大変申し訳ありません!!
自分だったら不完全燃焼で暴れるよ(苦笑)
拍手のお礼文なので、一応表にも置けるものを…という思いと、これはラビの誕生日SSの続きなので、あまり雰囲気を壊したくもなかったというのもあるので、取りあえずここまででお許しを!!
というか、本当は裏用にちゃんと書こうとも思ったのですが、そこまで書く気力がちょっとありませんでした…(。_。)
書くならとことんまでエロいの書きたい!!

この後、更にちょこっとだけ、その後の二人。おまけSSあります。
お暇な方は、どうぞお楽しみくださいvv

おまけ

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