君と同盟



Night resistance, Mean nothing


レオナルドに廃屋の朽ちたレンガ壁に手をつかせ、後ろから抱きしめたまま、ラファエロは目の前のコートの襟に手をかけた。
少し下に引っ張ってやると、襟に隠れていた項が露わになった。
ひやりとした外気に撫でられたそのすぐ後にそこに熱が押しあてられてレオナルドは身を震わせる。
何度も落ちる唇の感触に段々とレオナルドの体温も上がっていく。
首筋の熱だけでなく、眼を覆うラファエロの手も熱かった。
もう片方の手は胸を這い、腹甲の隙間をなぞるように下へとゆっくり滑り落ち、そのもどかしさにレオナルドの呼吸は徐々に速く浅くなっていく。
指が辿り着いた先を執拗に何度も何度も撫で擦っているとそこはわずかに隆起を見せ始め、甲の合わせ目を裂くように肉茎が頭を覗かせた。
まだ欲をさらけ出すことに抵抗があるのか下腹が緊張で震えているのがわかった。
ラファエロがその往生際の悪い様を笑って、乱暴にぬるつく先を中の指の腹で擦るといよいよこらえきれなくなったのか、レオナルドは殺し損なった呻き声とともに固く張りつめた自身を全て外へと解放した。
背後からではその様もレオナルドの顔もほとんど見えないが、手を濡らす体液と触れる熱にラファエロ自身も滾りをみせる。
レオナルドの怒張を擦りあげる手はそのままに、目を覆っていた手を外して、邪魔なコートの裾を性急に捲り上げた。
熱の塊が直に腿へ押しつけられたのを感じ、レオナルドの背筋を這い上がるような痺れが抜ける。
ラファエロの手が太腿を滑るように這い、尻へとたどり着く。すぼまりを守るように短い尻尾が覆っていた。
指をツッと尾の根から先まで滑らされて、ピンと尻尾が跳ねる。
また丸まってそこを隠そうとする尻尾を押さえて、ぬめる指先を差し入れられた。
ラファエロがそこを拡げるようにして指の抜き差しを繰り返すと、レオナルドのものを扱いていた右手は更に量を増した体液でしとどに濡れた。
抜き差しを繰り返してレオナルドから細い喘ぎ声がこぼれる様になると、指を引き抜いて自身を押しあてた。
侵入を拒んで収縮する内壁を押し拓くように貫いた。
しばらくぶりに抱いたレオナルドの身体は思った以上にきつく締めつけ、最後に抱いてから会うことすらなかったこの何ヶ月もの間にレオナルドが誰にもそこを許していないことはあきらかだった。
「ずいぶんと締まるじゃねえか。誰ともヤってねえのかよ? 」
「俺を、犯そうなんてバカが、お前以外にいてたまるか」
「……違ぇねーな」 そう言ってラファエロはゆっくりと腰を引いていく。
「あ……ぁ…」
体内を逼迫していたものが内壁を擦って抜かれていき、身体がその刺激に痙攣する。抜けきる間際までいくと、またゆっくりと奥まで押し込まれて体内が暴かれる。引き摺るような濡れた音が耳を打った。若木のようだった身体は、馴染んだ感覚を思い出して快楽を拾い上げ、だんだんと解けていく。
手だけでは支えきれなくなった上体を壁に預けると、レンガの荒く冷たい表面が頬に当たってここが屋外であると思い知らされた。
このご時世に夜中に外をうろつく者がいるとは到底思えないが、それでもこんな開けた場所で行為に及んでいるという緊張感と背徳感に、心臓の高鳴りは一層大きくなった。どうしようもなくなった欲を吐き出したいだけの行為に時間をかけたくはなかった。
しかし、ゆるゆると粘膜を擦るだけの緩慢とした動きでは、快楽の火種を燻ぶらせるだけで、絶頂へのとっかかりにもならない。懇願が焦れたレオナルドの口から滑り出そうになる。それはからくも文句という形に変えてレオナルドのプライドを保った。
「…っあ、ぐずぐず、するな」
「てめぇの老体考えてやってんだ。感謝しやがれ」
そう言って体内を緩く掻き混ぜるように腰を使うラファエロに、なにが老体だ、なにが感謝だとレオナルドは胸中で毒づく。レオナルド自身に絡む手も滴る先触れを摘むように鈴口を弄ぶだけだ。
欲のまま勢いだけで迫ってきた若い頃と違って、わざと焦らすということを覚えたらしい。
「……衰えたのはどっちだ…?」
荒くなる息の中、レオナルドはわざと淫猥に腰を揺すって、咥えこんだラファエロ自身を締め上げて見せた。自ら前立腺を擦り上げて、あえかな喘ぎを吐息とともにこぼす。挑発だとわかっていても、自身が疼くのをラファエロはとめられなかった。
目前にある甲羅の縁を掴むと、一息に突き上げた。
「あぁあ!」
奥の奥まで暴かれる瞬間。衝撃にレオナルドは身体を捩って逃げを打ったが、壁へと押さえつけられてしまってはその攻めに悶える以外になす術がなかった。
「自分でケツ振って、飢えてたんだよなァ……?」
「お前こそ…っ」
抜き差しは次第にスピードをあげ、抉るように荒々しくなる。ラファエロが弱い部分を抉る度にレオナルドは身を撓らせて悶えた。放っておかれた自身を慰めたくて仕方がなかったが、崩れ落ちまいとしてレンガ壁に縋らざるを得ず、その切望は叶えられなかった。しかし、自身に直に触れずとも後ろからの刺激だけで昇りつめられることを身体は知っていた。
思考は本能に支配されてしまっていた。解放したい。昇りつめたい。
腰を掴まれて引き寄せられる。
「あぁっ! あ…ぁあ」
これ以上ないほどに繋がる。
呻き声が耳元で聞こえたかと思うとラファエロが体内で波打ち、熱が弾けるのを感じた。その熱を受けてほぼ同時にレオナルドも達する。
ホワイトアウトする視界。弾む息。弛緩して重くなる四肢。
しばらくして沸騰するような熱が落ち着き、ラファエロは改めてレオナルドを見た。目を閉じて息を整えるその顔がまた理性を取り戻しつつあるのに欲を覚えた。そうやって理性で守ろうとするなにもかもを暴きたい。いつそのきれいな上っ面が剥がれるかと思ってきたが、そこに爪を立てて傷をつけるのが関の山だった。満たされなさに再びレオナルドの甲羅に手を這わせる。
そしてコートもベルトも全て剥いだ。
繋がった身体を離して、正面を向かせたレオナルドの顎を掴んで噛みつくように唇を重ねた。
夜明けまでにはまだ少し遠かった。



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