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短編 猫の話
私の家には猫が居る。
血統書が付いてるとか、芸が出来るとかそういった特別な猫では無い、普通の猫である。
家に来たのはもう四、五年も前だろうか。姉が拾って来たのが馴れ初めであった。
今でこそ福々しい見た目と傲慢たる態度を持っている我が家の猫だが、初めて見たときは
毛並みは荒れているし顔は薄汚れているしで、ひどく弱々しく見えた事を覚えている。
その時の私は、まだこの猫を家で飼うとは思っていなかった。
というのも、既に犬やらモルモットやらを飼っていたので、ここに猫が入る余地は無い。この猫が
家に居るのも、他の飼い主が見つかるまでの間だろう、と考えていたのだ。
よって、当時の私はあまり猫を可愛がってはいなかった。情が移れば面倒だろうと思い
事務的に猫と接するようにしていた。事務的に餌を食べさせ、事務的に風呂に入れ、
事務的に頭を撫でるように勤めていたのだ。
それから半年が経ち、猫はまだ私の家に居た。
父がたぶらかされ、母が篭絡され、犬は配下に置かれ…
猫はいつのまにか我が物顔で私の家を闊歩するようになっていたのだ。
私は鉄の意志を持って日々を耐えていた。私まで猫の魅力に負けてしまってはならない。
鉄の意志で猫を撫で、ノドをさすり、尻尾を掴み過ごしていた。
(もちろん、各種遊具を使用して猫の体力を削ぐ事も忘れなかった。日々の積み重ねが重要なのである)
そして現在、猫はまだ私の家に居る。
私も未だ強固な意志を持って猫と接している。
猫のために餌をやり、ドアを開ける私を見ると、猫に敗北したように感じるだろう。
だが、これは作戦なのである。猫を油断させ、弱点を探るという壮大な計画なのだ。
今日も作戦のため、猫の腹を撫でる事にする。
これを読んでいる貴方も猫には注意して頂きたい。ヤツらはとても狡猾なのだ。
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