モノクロ



 「今日呼び出したのには、ある重大な用があってな」
 社長室の椅子がギィときしんだ。
 昨日、事務所でパソコンにかじりついていた俺に社長が伝えた用件は、いったい何なのだろうか。
 てっきり俺だけが呼び出されたのかと思っていたら、引退コンサートを行って現在休業中の真も呼び出されていた。
 「これを見てくれたまえ」
 社長はそう言うと、部屋の一角に無造作に置かれた二箱ほどのダンボール箱を指差した。
 「それは…?」
 「菊地くんへのファンレターだよ。ほぼ全ての手紙に、同じようなことが書いてある」
 見てもいいですか? と社長に確認を取り、箱の中から一枚の封筒を手に取った。
 『マコっちゃんがもう見られなくなっちゃうなんて寂しいです! ファンの前に戻ってきてー!!』
 そんな内容から続く手紙にひとしきり目を通すと、再び社長に向き直った。
 「社長、もしかしてこれ、全部…?」
 社長は首を縦に振った。
 「一年という短い活動期間の中でこれだけの反響が出たのは我が社始まって以来でな。どうだろう。キミ達さえ良ければ、
ユニットの活動を再開してもらいたいのだが」
 活動再開。思ってもみなかった社長からの言葉だった。
 「社長、それは本当ですか?しかし、活動を再開するにしてはまだ時期が早すぎるのでは…?」
 「うむ。本格的にメディアの前に姿を現すのはもうしばらく後だな。それまでは、アイドルの更なる実力アップに努めてもらい
たい。生まれ変わった新しい菊地真を、時が来たら改めて世の中に披露するのだ」
 「新しい、菊地真……」
 「彼、あぁいや彼女のプロデュースはキミがやはり適任だと思ってな。引き受けてくれるかね?」
 頬が緩みそうだった。
 「私としては願ったり叶ったりです。真にも話をして、それから返事をするという事で宜しいですか?」
 「勿論だ」
 「分かりました、では……」
 「うむ。彼女と連絡を取ってみてくれたまえ」
 「はい、失礼します」
 ドアを閉め終わった俺は、飛び上がりたい気持ちだった。
 訳が分からないぐらいテンションが上がって、鼻息が荒くなったのを自分でも感じていた。

 「ええぇぇぇっっ!? それ、ホントですかっ!?」
 真に連絡を取ったらすぐに事務所へ来てくれたので、直接伝えた所、事務所の外にまで響くような大声で特大のリアクションを
返してくれた。
 「あぁ。メディアへの露出は当分後になるだろうし、しばらくは取材とか収録も無いと思うけどな」
 「やっ、やります! ボクやります!」
 胸倉を掴むのではないかという勢いで、真が俺のジャケットを摘んだ。力強い返事が心地よく鼓膜を叩いた。
 「やった! またプロデューサーと一緒だぁ」
 「お、おい真」
 抱きつきそうになった真の額に人差し指を当てて制止した。
 「ちょっと我慢。な?」
 「あっ……は、はい」
 真は何かを思い出したようにハッとして、申し訳なさそうにごめんなさいと言った。
 でも、その嬉しさは俺にもよく分かる。というか俺も嬉しい。
 「じゃあ、早速社長に報告に行こうか」
 「はい!」
 いい返事が返ってくるだろうなと期待はしていたが、だいたいその読みどおりだった。


 「そうか、二人とも乗り気でよかったよ」
 社長が朗らかに笑った。
 「では、これから活動を再開するにあたってやって欲しい事があってだな」
 「はい、何でしょうか」
 「それはだな……」


 今、俺と真は現地で合流した撮影スタッフと共にとある海辺の街にいる。
 社長から受けた指示は、『今後の活動のための映像の撮り溜め』だった。
 近場で済ませられるものが大半だったが、一箇所だけロケ地での撮影にかかる費用を経費で出してくれるとのことだった。
 真と相談した結果、ロケ地は海辺にしようと決まった。
 撮影スタッフの撮った映像以外にも何か使えるものができればと思い、俺も一応自分のビデオカメラを持ってきていた。
 しかし、俺のカメラを使うようなことも無く、強めの日差しの中撮影は無事に終了した。
 後はホテルに泊まって、明日の昼にはチェックアウトして東京に戻ることになる。
 久しぶりに真の水着姿を見たが……やっぱりボーイッシュだった。
 女性ファンの更なる獲得を目指しつつ、男性ファンの数も増やそうと目標を立ててはみたものの、どういったプロデュースをして
いくかはまだ考えていなかった。
 まぁ、準備する時間はある。今はまだ、以前のような忙しさに追われているわけではないのだから。
 これからのことに思考を巡らせていた所に、コンコンとノックの音が耳に入った。
 ドアを開けると、真が立っていた。
 「こんばんは。へへ……遊びにきちゃいました」
 初めて見る格好だった。
 白いワンピースに、踵の少し高いサンダル。黒い髪とのシンプルなモノトーンだが、シンプルであるがゆえに純粋。
 「珍しいな、ワンピースなんて」
 入り口で立ち話というのも何なので、部屋に招きいれた。散らかしてなくてよかった。
 「友達と買いに行ったんです。最近、女の子っぽい服買ってもうるさく言われなくなったんですよ。これを着た姿を父さんと
母さんに見せてみたら、母さんが大喜びしてて。それできっと父さんも何か感じてくれたんだと思うんです」
 嬉しそうに真は言った。娘にとって母親というのは大きな味方だろう。
 それにしても、真の父親の気持ちも分からないでもない。なんというか意表を突かれた感が強いが、よく似合っている。
 真の線の細さがよく出ているし、残念ながらボリュームには欠けるが、胸元も中々大胆なデザインだ。
 何より、スカートからすらりと伸びた両脚がやけに目立つ。
 左の手首には皮のブレスレット、左の足首にはシルバーのアンクレットをはめていた。
 「海……見に行きませんか? 外の風涼しくて気持ちいいんですよ」
 上から下まで眺めていた俺の視線に気づいたのか、ほんのりと頬を染めながら真が提案してきた。
 こんな時間に見に行っても昼間の青さは見れないだろうが、夜の海というのもそれはそれでミステリアスな印象があるだろう。
 そんなことを思いつつ部屋のキーを持って、携帯電話を左ポケットに突っ込む。そのまま俺たちはホテルを出た。


 夏も終わりになろうかという時期、昼と夜とではまるで別世界のようだ。
 人通りや強い陽射しでザワついている昼間とは対照的に、涼しい風と鈴虫の透明な鳴き声が通り過ぎていくだけの静かな夜。
 その静けさと薄暗さを楽しむかのように、俺と真は何も言わずに人通りの少ない砂浜への下り道を歩いていた。
 ザッ、ザッという足音がこの静寂の邪魔をしているようで、何だか申し訳ない気持ちになってしまう。
 「………」
 さっきから足を進める度に、俺の右手に真の手の甲や指先がこつんと当たる。
 ちらりと右側に視線を見やると、ほんの一瞬だけ真と目が合った。
 「あっ……」
 手を繋ぎたいのだろうか、と思った俺は、真の手を握った。
 手の中で指先が動揺する感触があったが、すぐに指を絡めて握り返してきた。
 ほんの始めはひんやりとしていたが、握り締めると真の体温が手の奥から伝わってきた。
 あの引退コンサートの日以来、俺と真はお互いの時間が空いてる時を見つけてプライベートで会うようになった。
 あれをしたい、これをしたいという『女の子』のご要望に応えて、出来る範囲でやれることをやってきた。
 何しろ真は有名人だ。あまり人目につく場所で公然と遊ぶのは少々よろしくない。
 手を繋ぎたいだのハグしたいだの、そういったリクエストに答えることが出来るのはこういう人気の無い場所ぐらいだ。
 「あ、着きましたね」
 坂を下り終えると、波の音が耳に入った。
 この辺りはもう街灯も立っていない。周りがかろうじて見えるのは空に浮かぶ青白い月のおかげだ。
 砂浜に、誰かに置き去りにされたレジャーシートを見つけて、そこに腰掛けることにした。
 一定の間隔で打ち寄せる波の音が心地よくて、なんだか落ち着いてくる。
 人間が波の音を聞いて落ち着くのは太古の昔の記憶が遺伝子に残っているからだ、という話を聞いたことがあるのを思い出した。
 隣に座った真は青白い月光に照らされて、白のワンピースと白い肌とぼんやりと輝かせていた。
 その横顔に儚さのようなものを感じて、俺は視線を外すことが出来なかった。
 「そうだ、プロデューサー」
 「ん、何だ?」
 「えっと……まだ感想聞いてなかったですよね。どうですか? この格好……ボクに似合います?」
 期待を滲ませた視線が真っ直ぐこちらに向いた。
 「ああ。こんなに真に似合うとは思わなかったな。可愛いぞ、真」
 「へへっ、やーりぃ!」
 いつもよりも数段女の子らしい格好をしている真だが、ガッツポーズを作って喜ぶ姿は少年臭さに溢れている。
 どんな格好でも真は真だ、と再認識させてくれた。
 「そうだな、今日の撮影もこの格好で……」
 そこまで言いかけて、俺は突然、何だかそれは嫌だな、と思って言葉に詰まった。何故だろう。
 「うーん、正直言っちゃうと、この姿は、その」
 真がモジモジしながら目線を下げた。続きは何となく察しがつくのだが、焦らずに待った。
 「もう両親には見せちゃいましたけど、プ、プロデューサーにだけ……見て欲しいなって、えへへ」
 なんとも男心をくすぐる発現をしてくれる。
 「……俺もだ。他の男には見せたくない」
 真は自分の姿を見せるのが仕事なアイドルなのに、独占欲なんて幼稚すぎる。自分で失笑しそうだった。
 「う、うん。アイドルとしてのボクはファンの皆の物ですけど……女の子としてのボクは、プロデューサーのものですから」
 隣に座った身体がもたれかかってきた。俺と真の間に漂う空気が甘いものに変わっていくのを感じる。
 俺はこういう甘ったるい雰囲気は気恥ずかしくなってしまうから少し苦手なのだが、真はこの雰囲気に酔っている。
 「言っちゃった」などとぽつりと漏らし、恍惚とした表情で遠くを見つめていた。
 ファンの中で『貴公子』やら『真さま』などと呼ばれる真のこういう姿は、未だかつてメディアに露出したことはない。
 中性的でハキハキした、男性らしさすら漂わせる爽やかなキャラクターが菊地真の魅力として通っているからだ。
 そのおかげで、女性アイドルとしては他に類を見ない数の女性ファンを抱えている。
 いつもそういった『アイドル菊地真』の姿を見ていたし、また俺自身がそのプロデュースを務めている。
 だからこそ、こういった乙女チックな姿を見せられると、ついドキっとしてしまう。
 ファンを魅了する女の子は俺の目にも魅力的なのだ。
 「………」
 それにしても、下半身はスカートになっているのに膝を立てて座るとは、なんて無防備なんだろうか。
 スカートの生地は重力に引かれて少し開いた膝から腰に向かって滑り落ちていて、膝の表側を見ようとするとかなり際どい所まで
見えてしまっている。真がまだボケーっとしているのを確認すると、俺は視線を膝から下へと落としていった。
 傷一つ無い真っ白な脛の裏に隠れるようにして、思っていたよりも肉付きのいい腿が腰に向かって伸びている。
 その根元は……かろうじてスカート部分の生地に覆われていて見えないが、腿からお尻への曲線は剥き出しになっていた。
 真は胸より脚だな、とか、何色なんだろう、とか、その奥にあるのはやっぱり……などと、思考がどんどんヒワイな方向に行って
しまうのを、「それはダメだ!」と強く心に念じて追い払った。
 「……うぅ」
 俺が平常心に戻ろうと自分に喝を入れていたその時、真の身体がぶるぶると震えた。
 気が付けば、風が少し強くなってきた。涼しい気温の中で薄着でいて寒くなってきたのかもしれない。
 「寒い?」
 俺が尋ねると、真は頷いた。時計を確認すると、もうそろそろ戻った方がいい頃合だった。
 戻ろうか、と一言かけ、俺たちはホテルに戻ることにした。
 帰り道、手を繋ぐ代わりに腕にしがみついていた真の体温は、行きよりも冷たくなっていたような気がした。 
 

 何となくの流れで再び俺の部屋に戻り、途中で買ってきたジュースの缶を真に手渡して、俺も同じ物のプルタブを引いた。
 「あ、かんぱーい。へへへ」
 「ん」
 コツン、と薄いアルミ同士のぶつかる音を合図に、ぐびぐびと冷たいジュースを喉に流し込んでいく。
 ベッドの上でまた体育座りをしている真に、さっきの砂浜でのシーンがフラッシュバックさせられ、目のやり場に困ってしまう。
 一瞬、白っぽいのが見えたような気がしないでも無いが、分かってやってるのか、知らずにやっているのか。
 俺だって健康な若い男だから、とは言え、担当アイドルの生脚を見てムラムラ来つつあるこの状況はマズイ。
 スカートぐらい営業で履いていたこともあったじゃないか。いったいどうしてしまったんだ、俺は。
 ふつふつと胸の奥が熱くなってくるのを誤魔化すかのように、俺は缶に入った液体を一気に飲み干した。
 空になった缶をテーブルに置くと、丁度真も飲み干した所らしく、数瞬置いた所で同じような乾いた音を立てた。
 「あ、そうだ」
 ふと、携帯電話の電池が切れかけていた事を思い出し、枕元に放り出してある充電器のコネクタに繋ごうと椅子を立った。
 「おわっ!?」
 「うわっ!!」
 床で足を滑らせてしまい、ベッドに突っ込む形で倒れこんでしまった。
 柔らかいベッドのマットが二人分の体重を受けて深く沈みこみ、きしんだ。
 「わ、悪い真、大丈夫か?」
 突然足を滑らせて、不可抗力とはいえ真を押し倒してしまったわけであり、上になって組み敷いているわけである。
 なんてベタな、と思いながらも柔らかい感触と女の子の匂いに思考能力を奪われかけ、先ほどからのモヤモヤした気分も災いして
次に起こすべき行動を即座に実行に移せずにいた。
 「すまん真、すぐどくから……ッ!?」
 二、三秒遅れて身体を起こそうとした所を、背中に回ってきた真の両腕に引き止められてしまった。
 「……………」
 真は何も言わなかった。ただ、俺の背中に回した両腕にグッと力を込めただけで。
 「ま、真?」
 この距離を逃すまいと、真はガッチリと俺の背中をホールドしていた。
 「あ、あのな。俺も一応世間一般では若い男性とカテゴライズされる訳でだな、この体勢はよろしくないと思うわけだ。
 その……何をするか」
 「……いいですよ、ボク。プロデューサーになら、何をされたって」
 何を、とはぐらかしてはいるが、それは『真もこの状況を分かってやっている』ということだった。
 「真、冗談じゃ済まされ―――」
 「ボクじゃ……ダメですか?」
 「えっ?」
 「分かってます。ボクはアイドルだから、ボクに何かあったらマズイから、プロデューサーはとっても大事にしてくれる。
 それは分かってます。だけど」
 「真……」
 「だけど……ボクみたいな子じゃ、プロデューサーはその気にはなりませんか……?」
 直接顔は見えないが、湿り気を帯びた息遣いと訴えかけるような口調から、自分が女だというプライドと、真の必死さが伺えた。
 救済を求める祈り人の訴えのようでもあった。
 「ボク……胸も無くて髪も短いし、あぐらかいて座るし、やっぱり……それでも……」
 真の声が震えている。アバラが押しつぶされたかのように、胸が苦しい。
 「わ、わかった。もういいから」
 真が俺にしているように、俺も真の背中に腕を回して細い身体を抱き寄せた。
 「悪かった」
 一言だけそう言って、ショートカットの髪に指を滑り込ませて撫でた。
 「後悔しないか?」
 まだ涙目の真の瞳がまっすぐに俺を見つめた。
 「はい。後悔なんてしません」
 「えっと、……痛い……と思うぞ」
 「大丈夫です。プロデューサーと一緒なら……怖いものなんて何も無いです」
 「真」
 その健気な言葉にたまらない愛おしさを感じて、俺は力加減もせずに真を思い切り強く抱きしめた。
 しかし真は痛いとも言わずに、息を軽く吐いただけで、強すぎる抱擁に身を任せていた。
 親指と人差し指で顎を軽く押さえると、そのサインの意味を理解したのか、真が目を閉じて軽く唇を突き出した。
 そのまま唇で唇に触れ、強引と分かっていながらも舌を割り込ませた。
 流されるままにされていた真の上下の顎は閉じられる事無く、俺の舌は侵入を果たした。
 「んんっ! ン……」
 顎の骨を伝わって、真が鼻から声を漏らしたのが分かった。
 もうしばらく、柔らかい舌とねっとりした口内の粘膜を堪能させていただこう。
 「はっ……あ」
 押さえつけていた唇を離すと、真が顔を真っ赤にしてぷいと横を向いてしまった。
 いきなり強引過ぎたかな、と思いつつも、その姿が可愛くて、顎を掴んでこっちを向かせ、今度はソフトにキスをした。
 「脱がすぞ」
 肩紐に指を引っ掛け、俺は焦る気持ちを抑えて、真の白いワンピースを脱がしにかかった。
 「あ……プロデューサー……」
 返事は聞かなかった。どっちみち汚すわけにはいかないから。というか、このワンピースは汚してはいけないような気がした。
 「あっ……う」
 「ほら、下着も」
 ワンピースの下にあったのは、白地にグレーの縞模様の下着だった。
 上下がお揃いなのを見ると、ある程度予期はしていたのだろうか。
 もう少し大人っぽい物をつけても似合いそうなものだが、これが真の精一杯なのかもしれない。
 そう思うと、何だかほっこりした気分になった。
 背中に手を回してホックを外すと、真が何か言いたげにモゴモゴとした。
 「あの……ボク」
 「分かってるよ。大丈夫。これから育つさ」
 確証は無いが、俺はそう断言した。揉めば大きくなるという俗説が本当かどうかは知らないが、いっぱい揉んでやろう。
 「はっ……恥ずかしいよぅ……」
 口でそう言う割には、さっと腕で覆い隠してしまう様子も無い。中々度胸があるな。
 「……可愛いおっぱいだな」
 いざ目の前にしてみると、このちんまりとしたサイズが何とも真らしい。形もいいし、先端の乳首も綺麗なピンク色だ。
 興味の湧くままに手を伸ばして、痛くならないようにそっと真の胸を撫でた。
 キメの細かいすべすべした肌の感触がとにかく心地よい。
 その皮膚の下にささやかに、だが確かに存在する柔らかさが霞んでしまうぐらいだった。
 「ふっ……は……」
 呼吸で上下する胸に合わせて、口から吐息に混じった声が滲み出ていた。
 「痛くないか?」
 「は、はい……けど、くすぐったいような……」
 「ふーん……じゃあここはどうだ?」
 指先を、触れずにいた頂点に這わせて、まだ柔らかい乳首を捏ねた。
 「ひゃっ!?」
 一瞬、真の胴がびくっと跳ねた。捏ね続けると、みるみる内に乳首に血液が集まって硬くなってくる。
 「あっ……ん、ん……な、なんか、へ、変な感じ……」
 ふにゃふにゃだった頂点はたちまちコリコリと硬い弾力を得て、圧迫してくる指先にそれを返してくるようになった。
 「あぁッ、ダ、ダメ……変な気持ちになっちゃう……」
 はぁはぁと息を荒げている真に、既にパンパンにふくらんでいる俺のペニスに更に血が集まってしまう。
 あの真がこんな声を出すなんて。あの真がこんな表情をするなんて。



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