あの、大きなドームでの引退コンサートを終えてから、しばらくの時が経った。
一旦は活動停止となった俺と真とのユニットだったが、活動継続を求めるファンの声の余りの大きさに社長は判断を変え、引き
続き俺に真のプロデュースを任せてくれた。ただし、当分の間は表に出ず、力を蓄えるように、との指示付きだった。次に登場す
る時には、以前よりもずっとパワーアップした菊地真をファンの前に見せようとの方針だ。
俺もその方針には賛成だし、真自身も大いに乗り気で日々トレーニングとレッスンに励んでいる。
今日もまた、元気な挨拶と共に、長時間に及んだレッスンが締めくくられた。
真は汗を流しにシャワールームへ向かい、仕事を終えたスタッフは一人また一人とレッスンスタジオを後にする。
しばらくして真が戻ってきた頃には、戸締りを任された俺がいるだけだった。
もっとも、俺が後を引き継ぐからと、他のスタッフを上がらせたのもあるのだが。
「あー、さっぱりしたー。あれ、プロデューサーだけですか?」
スポーツバッグを肩に、首にタオルを提げて真が歩み寄ってくる。
「ああ。他のスタッフには先に上がってもらったよ。もう夜の八時過ぎだしな」
その俺の言葉を聞いて、真がニッコリと笑った。男女を問わず…特に女の子に効果絶大な、真のスマイルだ。
「プロデューサー!!」
スポーツバッグを放り出し、突き飛ばしそうな勢いで真が両腕を広げて飛び掛ってきた。
ドカッとぶつかってきたその身体を受け止めると、しなやかな腕が腰に巻きつき、細い身体が俺の両腕にすっぽりと収まった。
苦しさを感じるぐらいの力強い抱擁。女の子らしいとは言い難いが、真らしい。
「へへ、二週間ぶりですね、二人っきりになるの……」
腕の中で、真が期待に満ちた瞳で俺を見上げる。
引退コンサートを終えたその日から、俺と真の関係は少し、いやだいぶ進んだ物となった。
あの日、真から打ち明けられた、真っ直ぐな強い想い。拒絶することなど到底できない強い意志がそこにはあった。
苦楽を共にする日々の中で俺が真に惹かれつつあったのも、否定できない事実だった。
勿論、こんなことが社長に知られてはならないし、社長どころか事務所の誰に知られてもならない。
ましてや、芸能記者やファンに見られるなんてご法度だ。真の今後どころか、俺の首や事務所自体が危ない目にあってしまう。
完全に二人きりという状況にならない限りは、アイドルとプロデューサーの関係であり続ける事を真には強く言い聞かせた。
本人もぶんぶんと首を縦に振って素直に従ってくれた。
「最近、メイク担当の人から『真ちゃん、少し色っぽさが出てきたんじゃない?やっぱり年頃の女の子なのね』って言われたん
です、えへへ」
そう言って、真はデレデレした表情ではにかんだ。TVカメラや取材記者の前では見せることの無い、気の抜けきった笑顔だ。
確かに今こうして顔を見下ろすと、初めて会った時よりもずっと女らしくさを備えた真がそこにいた。
それでいて、持ち前のボーイッシュで爽やかな魅力が色褪せてしまったわけでもない。
「あとプロデューサー。もう一つ……」
腕の中で真がぽっと頬を赤らめた。
「えっと…へへっ、ブラのカップ上がったんです」
「えっ? マジで?」
「プロデューサーが……その、いっぱい、さ、触ってくれたからなのかな……」
トマトのような顔で、正直に言うと未だ発展途上と言わざるを得ないサイズの胸を押し付けてきた。
やや生地の厚い真の私服からでは、その柔らかさが伝わってこないのが残念な所だ。
しかし、知ってか知らずかのその大胆な行動には、なんともそそられるものがあった。
軽く頬にキスして真の上着のジッパーに指を引っ掛け、ゆっくりと引き下す。
「あっ……」
戸惑いと期待の入り混じったような潤んだ眼で真が俺を見上げた。ますます真が欲しくなる。
「もっと大きくしてやらないとな」
ジッパーを下ろしきると、中には白い無地のTシャツ。
フィットするサイズの物を着ているおかげで、両胸のなだらかな膨らみがはっきりと見てとれた。
躊躇せずに俺はそこへ手を伸ばす。布地を通してでも分かる、ふにふにとした柔らかい感触が指先から伝わってきた。
「う、あのぅ、プロデューサぁ……」
腕の中で突如オロオロし出す真の視線の先には、レッスンスタジオ入り口のドアがあった。
「心配するな。鍵は閉めてある」
「あ……は、はい」
不必要な蛍光灯のスイッチを切り、スタジオの一角、テーブルと並んだソファーの上に腰を下ろし、膝の上に真を座らせた。
後ろから抱きしめる格好になり、真が俺の肩に頭を乗せた。爽やかなシトラス系のシャンプーの匂いが、鼻腔をくすぐる。
こうやって近くにいると、柔らかい感触や甘い匂いで、真が紛れもなく女の子だというのが強く感じられる。
「さてと、それじゃ早速」
言うが早いか、俺はTシャツの上から撫で回すようにしていた手を、裾側から中へと突っ込んだ。
「っう……」
背中のホックをぷちんと外し、本人が言うには大きくなったらしい乳房へと手を回す。
まず伝わってくるのは、人肌の柔らかさ温かさと、サラサラしたキメの細かい肌の感触。
「ん〜、大きくなった……のか?」
「しっ、失礼な! ちゃんと大きくなってますよっ!」
確かに、以前に触った時と掌の中の感触が違うような気がしないでもない。
だが相変わらずあまり大袈裟に広げなくても掌の中にすっぽりと入ってしまうサイズだ。
大きいとは言えないにせよ、その控えめさがボーイッシュな真には似合っているし、その魅力のいい引き立て役だと思う。
それに、大きくても小さくても、実際の所はどっちだっていい。
肌はさらさらすべすべだし、控えめながらも真の胸はとても柔らかい。
もっと大きくなったら、きっといつまでもしつこく揉み続けてしまう事だろう。
「はぁ……プロデューサーの手、あったかい……」
俺の腕をペタペタ撫で回す真が、溜め息混じりに声を漏らした。
「真のこのかわいいおっぱいも、柔らかくてあったかいぞ」
真の溜め息に、俺は手の動きを少し激しくしながら答えた。ただし、痛くないように力は加減して。
Tシャツの中でもぞもぞと手が蠢いている様が、なんだかとてもエッチだ。
「ぐ、具体的な場所は言わなくていいで……あぁっ! そ、そこはダメ……」
真の言葉を遮るようにして、中心部の突起を人差し指の先端で捏ねた。
少し芯の出来かけていたそれはたちまち固くなり、激しく存在を主張して指先を押し返してきた。
「あ、あぁん……だめ、だめですよぅ……」
「え、ホントにダメ? んじゃやめよっかな」
そう言って、俺はわざと胸から手を離してお腹の辺りまで下げた。
腕の中で、真が軽く身じろぎした。
「……プロデューサーのいじわる。つ、続けて下さい……」
真の声はいじけた子どものように湿っていた。そんな声で言われると、こっちが申し訳ない気分になってしまう。
「悪かった。じゃ、続けるよ」
くびれたウエストを軽くさすって、再び手の位置を上げていった。
固くなった乳首に人差し指をあてがい、他の指も駆使して、真の控えめな胸を揉みしだいた。
「あ……っは、んんっ……! はぁ、はぁ……」
やはり乳首が敏感らしく、そこを刺激すると腕の中で真の身体がぴくぴくと揺れた。
真の口から吐き出される艶の混じった声に、いよいよもって俺も冷静でいられなくなってきた。
誰が想像できるだろうか、あのボーイッシュなアイドルがこんないやらしい声を出しているシーンを。
たまらなくなって、ズボンを押し上げる欲望をつい真の腰に押し当ててしまった。
「あ……プ、プロデューサー、そ、その、当たって……」
その存在に気付くのに何秒もかからず、真は腰を微かに揺らした。
「当ててるんだよ。真のエッチな声を聞いてたら、こんなになっちまった」
湿り気の増した真の声に、俺はわざと耳元で囁いた。今更変に隠すような関係でもない。
真の頭部にかあっと熱が集まるのを、なんとなく感じたような気がした。
「言わないでください、そんな事……あ、でも嬉しいかも…。ボ、ボクがそういう対象、ってことですよね」
「あぁ、そうだ。真がおっぱい揉まれて感じてる所を見て、俺は大いに興奮してるってことだ」
真を恥ずかしがらせる事が目的なのに、言っているこっちまで恥ずかしくなってくる。
「あうぅ……恥ずかしいよぉ……」
搾り出すような声と共に、真は両手で顔を覆ってしまった。
ちょっと過激すぎたかもしれない。それにしても、恥ずかしがる真も可愛いな。
「ごめんな」
身体を横抱きにして、真の顔を覗き込んだ。耳まで真っ赤になって、指の隙間から覗いた瞳は少し涙ぐんでいた。
「プロデューサー……」
顔を覆っていた手を外して、俺の瞳をじっと見つめた後、真はまぶたを閉じた。
そういえば、まだ今日はキスもしていなかった。
「ん……」
首をぐっと引き寄せて、唇同士を触れ合わせた。まずは、触れるだけのキス。
「え、えへへ……んむっ!」
はにかむ真に、追い討ちをかけるようにして唇を奪った。今度は、深く舌を割り込ませる。
自信無さげにゆっくりとだが、真も舌を差し出してきた。遠慮なく舌を絡めとリ歯茎をなぞった。
唇の端から唾液が垂れそうになったが、それも音を出さずにすすり、飲み下した。
「ふあ……」
合わせていた唇を離すと、ぼんやりとした焦点の合わない、蕩けた瞳があった。
ソファーの上に真を仰向けに寝かせ、敢えて何も言わずに下も脱がせてしまう事にする。
真は抵抗する素振りは見せず、黙々と脱がせる俺の姿をぼーっと眺めていた。
ショーツまで脱がせてしまうと、淡い茂み。真っ白な肌とのコントラストが美しい。
「あっ……」
茂みの根元に指を這わすと、そこは分かるぐらい湿り気を帯びていた。真に視線を送ると、気まずそうに目を逸らした。
真だって結構エッチなのに、変に隠そうとしているのがまた可愛い。
その表情から目を離さないようにして左右の大陰唇を指先で軽くなぞり、親指で内腿をくすぐるようにこすった。
「ひゃん!」
驚いたような声が上がった。もう少し同じ事を続けてみることにする。
「あっ、や、あっ……は、あっ、あ……」
真の右腕が、俺の左肘をはしっと掴んだ。右手の指先にぬるぬるした液体が付着したのを同時に感じた。
その粘液を親指に塗りこめ、包皮に覆われたクレバスのてっぺんへと伸ばしていった。
とても刺激の強い場所なので、そっと、そっと。焦りは禁物である。
「はぁん!い、あぁっ……」
瞬間、びくんと真の腰が跳ねた。それにしても、真の嬌声は破壊力抜群だ。
ズボンの中はもう窮屈で仕方が無い。一国も早く解放したい。肉同士ぶつかりあいたい欲望に駆り立てられる。
右手はそのままに左手でこっそりファスナーを下げて、血液の集まりきったペニスを外に出してやった。
目線を下ろしてみると、既に先走りがジワリとにじんできていた。
「あは……くぅん!はっ、あ、あぁ、うっ……」
愛液を塗りこめるようにして真の最も敏感な場所を親指で捏ねた。
人差し指と中指は、もう真の奥から滲み出てくる愛液でびっしょりと濡れてしまっている。
小指の爪よりも小さな場所なのに、真の反応は大袈裟と言っていいなほどに顕著だ。それだけ神経が集中しているのだろう。
そろそろ大丈夫かな、と思い、膣口に人差し指をぴたりとあて、ゆっくりと中へと押し込んでいった。
「んっ……んあぁ……」
さっきよりも若干薄い反応だが、性感の混じったしっとり湿った声が真の口から漏れた。
「あっ……あ、はぁ……」
膣内はもう分泌された愛液でぬかるんでいて、数度指を往復させるだけで更にぬかるみが増していった。
「真」
とろんと潤み、どこか期待を滲ませた真の瞳を見ながら、俺は言った。
「は、はい」
「もういいか?」
俺の問いに、真はゆっくりとうなずいた。その様が無性にいとおしくて、抱き寄せてまたキスをした。
財布からゴムを取り出して固くなりきったペニスに手早く嵌めた。男たるものの最低限のエチケットだ。
「じゃ、行くぞ」
ぴたり、と膣口にあてがい、先ほど指を挿入した時のように、ゆっくりと中へ入り込んでいった。
「あ、あはぁぁ……! プロデューサーが入ってくる……!」
仰向けの真が、両腕を俺の首筋に回してしがみついてきた。
「……うっ、く……」
苦しくなるような強さでは無いが、中はきつきつで、十分に潤っていても強烈な締め付けが容赦なく襲い掛かってくる。
一擦りするだけでも腰がじんと重たく痺れる。
下半身に意識を集中していないと、三擦り半で独りよがりに絶頂を迎えてしまうことにもなりかねない。
慎重に、更に奥へと身体を進める。
「ふ、あぁ……くぅんっ!」
「お、奥まで入ったぞ、真」
一旦ペニスが入りきった所で、ひとまずストップ。早くも疼き出した射精感が静まるまで、こっそりと待つ。
「ここに……入ってるんですよね、プロデューサーが」
右手で下腹部をさすりながら、うっとりとした表情で真が言った。
「真、動くぞ」
「はい、来てくださ……はぁっ! あ、あ、あぁんっ!」
俺が腰を動かし始めると、それに呼応するように真の艶やかな声が上がった。
百万人以上のファンを抱える、超売れっ子アイドル。
自分が育ててきたそのアイドルを、今こうして組み敷いて、セックスしている。
猛烈な背徳感と、脳髄が焼けそうになるほどの興奮が押し寄せる。
「や、んんっ、い、あ、あはっ……」
ゴム越しにでも分かる、熱を持った膣の締め付け。
耳元にダイレクトに叩きつけられる、真の喘ぎ声。
シャンプーの匂いに混ざった、微かな甘さを含んだ女の匂い。
そのどれもが、俺にペース配分など考えさせなかった。本能が身体を突きうごかし、腰をグラインドさせた。
奥まで突き入れ、入り口近くまで引き戻し、また奥まで突き入れる。
単純なピストン運動が、どうしようも無いほどの快楽を生み出した。
「うあぁっ、あっ、あ、あ……プ、プロデューサぁ……!」
身体の下で、真が切なげに鳴いた。荒い息遣いの中、何かを求めるように真の指が俺の首筋を撫でた。
「き、きっ……気持ち……い、いいよぉ……」
既にキツキツだった真の中が、更にその窮屈さを増した。
ギュウギュウと締め付けられる中、俺の理性を揺さぶるように、襞が奥へ誘い込むように蠢いていた。
ペニスの裏側も表側も四方八方から締め付けられ、膣内でしごきあげられるのがたまらない。
俺はもう、無我夢中で腰を振っていた。
ぐちゅぐちゅ、と、粘液質な音が、誰もいないレッスンルームにやけに大きく響くように感じられた。
「はぁ、あぁっ! あん……んむ……ん……」
身体を屈めて、下で喘ぐ真にキスをした。
こちらが舌を絡める前に、向こうから舌を突き出し、逆にこちらの舌を積極的に舐めてくる。
ぬるぬるした舌からも叩きつけられる快楽に、急激に射精感が押し上げられる。ぶるっと腰が震えた。
「あっ……ぷは、あ、い、ボ、ボク、ボク……」
「なんだ真、言ってみろっ」
言いながらも、腰の動きは止めない。
「ボク、もう……きちゃう……!」
今にも泣き出しそうな細い声で、喘ぎ声混じりに真が言葉を搾り出した。
真の絶頂が近いらしいのと同様に、今にも押さえつけてきた射精感が爆発してしまいそうだ。
「俺もそろそろだ……だから、真」
「はぁ……あ、は、はいっ」
「一緒に…いっ……は、う、く……」
ギリギリまでこらえようとして、言葉が出てこなくなってしまった。
我慢しようという意識とは裏腹に、ますますグラインドのスピードは上がっていく。
「あ、あ、プ、プロデューサぁ、ボク、もうだめ、イ、イっちゃ……!」
「ま、待て、俺も……出るっ」
「い、いっ……うあ、あ……あああああぁぁぁっ!!」
視界が白くスパークした。全身を持っていかれそうな快楽が腰の中で大爆発を起こした。
勢い良く精液を噴き上げるペニスから全てを搾り取ろうと、凄い力であらゆる方向から襞が締め付けてくる。
真が絶頂を迎えたのと、俺がゴムの中にありったけの欲望をぶちまけたのは、ほぼ同時だった。
帰り道、俺の車の助手席に座った真は、まだ余韻の残る表情で、フロントガラスの向こう側を見つめていた。
一旦事務所へ寄り道をした後、真の家まであと数分といった所だ。
この空間、二人の間に言葉は無いが、不思議と居心地はいい。
真の家のすぐ近くの交差点を曲がり、家から100mぐらいの距離の場所に、車を止めた。
「着いたぞ、真」
「えっ、もうですか? 早いなぁ……」
別世界から呼び戻されたような顔で目を丸くして、真が返事をした。途端に残念そうな色が瞳の中に浮かぶ。
「明日はダンスのレッスンを予定してるから、寝る前にちゃんと風呂入って、ストレッチも忘れないようにな」
俺が急に仕事の話をしたからなのか、真は一瞬キョトンとした顔をして、二三度まばたきしてから、快活な返事をした。
「あ、送ってくれてありがとうございました!」
「夜は結構危ないからな。それに、俺、真とドライブするの結構好きだし」
「あははっ、ありがとうございます! ……んと、それじゃ、帰る前に……えっと」
そこまで言うと、真は目を閉じてキスをせがんだ。ご希望通りに、髪と頬を撫でてから、唇を重ねた。
「………」
唇を離すと、真は頬を赤くして俺の目をじっと見つめた。
「大好きです、プロデューサー」
淀みなく、堂々とすらしたたたずまいで真は言った。
「また明日……お休みなさい」
「ああ、お休み」
ドアを閉め、家に向かって小走りで駆けていく背中を、俺は見えなくなるまでじっと見続けていた。
終わり
―後書き―
真って結構スポーツ感覚でこういうの楽しみそうな希ガス