果てしない闇をかすかに照らす頼りない月明かりと、終わりなき砂の砂漠。

時折気まぐれに吹く風に、くるくると砂塵が舞う。






繋ぎとめて





ここは虚圏。

自分がいる場所。

自分が望んで来た場所。



…かすかな溜息さえ、乾いた風に乗ってどこかへと消えてしまう。

こんなに暗くて寂しい夜、心の中に浮かぶのはたったひとつ。




乱菊。




あの時。

「ごめんな」と振り返った自分を呆気に取られたように見つめていた。

信じられないと。

そう蒼い瞳が告げていた。





無理やりにでも攫ってきた方が良かったのだろうか。

いや……

連れてきたところで、彼女は決して自分達に組することはないだろう。

だとすれば、今捕らえているあの少女と同じめにあわせることになる。

傍にいてほしいけれど。

自分が欲しいのは悲しい瞳をした彼女じゃない。

いつも太陽のように陽気に笑っている彼女だ。



皮肉なものだ。

太陽の光が強ければ強いほどその影は濃く深くなっていき、挙句の果てにまばゆいばかりの太陽の光よりも底の見えない暗き闇に心惹かれ、ついには囚われてしまった。

彼女といる世界よりも、心の奥底の欲望を満たすことを選んだ自分。

後悔などするわけがないと思っていたのに、どうしようもなく心が乾いていることに気付く。



乱菊。




もう一度君に会って。

思うがまま喰らいつくせばこの飢えは満たされるのだろうか。


…わからない。

わからないけれど、そのとき何かが変わる。そんな気がする。

今はただその日が来ることを夢見て、眠れない夜をこえていく。

君に会えるだろう冬を待つ。

それが、この世界に自分を繋ぎとめるただ一つの夢――――





ギン乱ssと言うよりもギン→乱菊な独白…みたいな(^^;)
なんつーか…ギンがロマンチストというかヘタレっぽくてすみませんm(_ _)m


20080125up


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[果てしない欲望の20題]より
お題提供サイト:scratch

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