きっと何度でも









秋のコンサートも終わり、私は蓮くんと付き合っていた。

放課後にこうして学校に残って練習するのが私たちの日課。

今日も例にならって練習室へとやってきた私に蓮くんがこう口にした。



「家に来ないか?」

その言葉に私は二つ返事でOKする。

だって蓮くんのお家ってとってもキレイだし、彼氏の家に行くのってちょっとドキドキする


「お邪魔します」


蓮くんの部屋に入るのは今日で二回目

相変わらず整理整頓されてる

私の部屋とは大違い…
もし蓮くんが、「やはり香穂子の部屋で」なんて言ったらこの世の終わりとばかりに猛反対する


「うーん、イマイチ上手く弾けないなぁ」

一連の練習を終えた後、私は蓮くんのベッドに腰を落とす


「焦ることはない…君のペースで進んで行けば良いと俺は思う」

隣に座った蓮くんが微笑む

こういう時、彼氏だと思うのに見惚れてしまう。

思わず目を逸らした私を蓮くんが振り向かせる


「……香穂子」


蓮くんに口付けされる 彼の体重がかかって私はそのままベッドに身体を沈めた

その私に覆いかぶさって蓮くんはまた口付けをする

何度も何度も重なる唇はとても甘い


こんなにキスされるのは初めて…


だんだん朦朧とする意識の中に私はいた



「れっ…蓮くんっ…」

私はびっくりして蓮くんを押し返す

だって、いきなり胸を触られたから


「……すまない…こうしたくて家に誘った」


言葉では強引なことを言いながらも私に触れる手はとても優しい…遠慮してるみたい…


そんな風にされたら嫌とか言えないよ…


どうしたら良いのかわからなくて押し返す手に力が入らなくなる


「香穂子……」


蓮くんの舌が私の首筋を伝う

やがてセーラー服の裾から蓮くんの手が入ってきた

冷たくて、まるで氷でも落とされたかのような感覚に一瞬ブルっとする


「っ…」

蓮くんの手がブラの中へと入ってきた

外されても困るけど、それも何だか苦しい…それに…

「っ…蓮くんっ…」

「柔らかいな…」


全体を掴むようにしてから、胸の先端を触りだす

「は…ぁっ…」

胸が締め付けられているのに…与えられる新しい感覚…

逃れたくて身をよじるとストラップが肩から落ちてきて、蓮くんのしたいことを促すような形になった

でも…もういっそのこと…


「………て」

「え?」

何回も言わせないでよ…そう思って私は起き上がると蓮くんの耳元で囁いた


「………外して」

「……えっ?」


――えっ?て


「後ろ…外してよ…」

っていうかもう帰りたい…何でこんなかっこいい人を目の前に何回も言ってるんだろう


「ここだろうか?」

蓮くんはホックに手を回すと私をギュッと抱きしめながら度々手元を確認して外していた

取りにくかったのかな…まさか…私、太った?

昨日なに食べたっけ?と思っている私を余所に蓮くんの手に私の胸がこぼれおちる


「この方が触れやすい…」

向いあって胸を触られてるのも何か変な感じ

でも蓮くんの頬が真っ赤になっているのを見られるのは幸せだった

私も同じくらい赤いハズだけど


「君の服を脱がせたい」

「え?」

今度は私が聞き返す番だった

「香穂子……脱いで」

そう話す琥珀色の瞳に見つめられて私はつい従ってしまう

セーラーのファスナーを降ろすとかかっていた下着と共に床に落とした

自分から脱ぐなんて本当に恥ずかしいけれど、蓮くんが好きだから構わない

「女性の服はわかりづらい」


蓮くんが恥ずかしそうに俯く

前にそんな経験したことあるのかな…?

不意にチクッとした感覚が心に芽生える

だけどそれも一瞬だった


蓮くんが再び胸を掴む

目の前で自分の胸がぷにぷにと上下する様…

それもかっこいい蓮くんが揉んでいるなんて…

そう思うとドキドキして止まらない


再び押し倒されると

スカートを脱がされて下着も下ろされる


最初はどうしようと思っていたけど、

蓮くんが私に気を遣ってゆっくりしてくれている間にだんだんと心が固まりだす

今まで雑誌とか友達の話とか…そういうものでしかなかったことが自分の身に起こってる

そう思うと恐怖と好奇心が心の中で混じり合った

蓮くんがスラックスを下ろして楔を取り出した

入れられるような入れられないような…そんな感覚が何回も続く


「どうしたら良い…?」

突然、蓮くんにそう聞かれる

「えっ?」

「君の身体は…わからない…」

――君の身体は?


「そんなこと…聞かれても…」

私はそう言うと瞳が潤み始めてきた


だって、私、一人で盛り上がってたんじゃないか…そんな気持ちにさせる


「香穂子…どこか痛むのだろうか?」

蓮くんが泣き始めた私を心配そうに見る

「大丈夫…大丈夫だから…服とって」


蓮くんに背を向けるようにして着替えると私は鞄とヴァイオリンを手にした


「ちょっと具合が悪いから帰るね」

「それなら送っていく」

「いい…一人で帰れるから」

「しかし…」

蓮くんが私の手を掴んだ


「触らないで!」


蓮くんの手を振り払うとそのまま家へと帰った











恥ずかしい…私、バカみたい…

部屋に入るとポロポロと涙がとめどなく流れる



――「………外して」

――「……えっ?」


蓮くんは別にそんな気じゃなかったんだ…

私にとっては蓮くんが初めての彼氏だから、
『こうしたくて家に誘った』って言われた時にすぐ勘違いしちゃって

勝手に覚悟とかしてバカみたい…



――「女性の服はわかりづらい」

――「君の身体は…わからない…」


誰かと比べられてる…それが辛かった…

きっともっと魅力的な子にならすぐにできたんだろうな…


私の中に芽生える大好きな蓮くんを他の女が知っていることへの妬み

私の中に芽生える大好きな蓮くんが他の女を知っていることへの嫌悪感


恥ずかしさと共鳴しあい私の中をぐちゃぐちゃにしていく



もっと恋愛に慣れた子になりたい…その日は涙のまま眠ることになった












「昨日はすまなかった」

朝、蓮くんにそう言われる

「私もごめんね。ほら、でもよくあることだよね」

「そうなのか?」

あれ?…蓮くん、少し不機嫌になった?


もう恥ずかしい思いなんてしたくない

もう勘違いしないようになりたい

もう蓮くんが初めてだって思わせないようにしたい


学校に行ってからも私は蓮くんにベタベタしないように努めた

今までは蓮くんしか目に入ってなくて、昼も放課後もずっと一緒にいた

だけど、そういうのってますます恋愛初心者だよね

余裕のある姿を見せなきゃ…

そう思った









「あれ?日野さん、練習?」

音楽科への通路で加地くんに話しかけられる

「うん、お昼は練習しながら屋上で食べようかなって」

「そうなの?月森と一緒に?」

「あ…えと…」

今日は一人で…そう思って言おうとした時だった


「香穂子?」

振り向くと蓮くんが他の女の子と一緒にこちらにやってきた

私の中がまたモヤモヤしてくる

「君の所に行きたかったのだが…委員会が入ってしまった…すまない」

「気にしないでよ…別にいつも一緒にいなきゃいけないわけじゃないし…」

「じゃあ月森は来られないんだよね?それなら僕が行っても良い?日野さんの音色聴きたいし」

加地くんがとろけるような笑顔で私に話しかける


「加地…」

蓮くんが加地くんを険しい目つきで見る

あれ…?加地くんと蓮くんって仲悪くなかったと思うんだけど…


「月森くん、遅れちゃうよ?」

音楽科の制服を身にまとった女の子が慣れなれしく蓮くんの手に腕を巻きつけた



――「君の身体は…わからない…」


途端に昨日の言葉と共に蓮くんの“相手”を彷彿させた

目の前の女の子なら今すぐ腕から引き離せる

だけど、思い出は引き離せない…

笑顔の女の子と過去の蓮くんの相手が重なって私の中で同化していく

まるで過去の女に目の前で笑われているような気になってくる


悔しい……穢い…

好きだから感じる思いが交差して心を侵していく




「日野さん?行こうよ?食後にとっておきのチョコレートを御馳走するよ」

加地くんのその声で現実へと引き戻された


「じゃあ…蓮くん、またね」

「あぁ…」

何だか気まずく蓮くんと別れた










「う~ん、屋上は気持ちいいね」

加地くんが伸びをするとこちらを振り返る

「何に悩んでるの?」


気づいてたんだ…

でも加地くんは機微に敏いからね…自己完結すると、力が抜けたようにベンチに腰掛ける


「蓮くんの相手が気になって…」

「月森の相手?」

「……過去の彼女のこと」

さっきまでは何のこと?という顔をしていた加地くんが納得という顔になる

「今じゃないから余計に辛いの…どうしようもなくて…蓮くんが悪いわけでもないし…
 私が付き合うのが蓮くんが初めてだから…」


さっきまで恥ずかしいと思っていたことも加地くんならすんなり話せる

加地くんには話してもバカにされない気がした

日野さんのファンだよっていう加地くんに付け込んでるなって思う


「そんなに過去の彼女が気になる?今は君だけだよ?」

加地くんが隣に腰掛けながら私を見た

「そうかもしれないけど…“君はわからない”って言われて…
 私が初めてだから、きっと手を出しづらいっていうか…」

聞いたことある

初めての子は面倒だってこと

蓮くんもきっとそう思ったのかもしれない


「そんなに不安?」

加地くんが私の髪をサラリと撫でた

「それなら日野さんも僕と経験してみる?」

「えっ?」

私は驚いて加地くんを見た

「初めてだから手を出しづらいんだったら…月森の初めてじゃないから嫉妬しちゃうんなら…
 僕と経験して初めてじゃなくしてみる?そしたら月森と同じになるよ」

加地くんの碧い瞳が私を捕らえて離さない

「僕はそんなことないな…初めての子…好きだよ?」

そっと手を重ねられて指の間をゆるゆると刺激される

何これ…それだけでドキドキする…

「ねぇ日野さん、僕が君のこと好きだって知ってるのにこんな話したの?
 ひどいね……だけど君を嫌いになれないよ…僕はどうしようもないくらい君に夢中みたい」

耳元でそう囁かれると、舌を入れられる

ペチャペチャという音が耳いっぱいに広がって私の頭をおかしくしていく

「は…加地くん…やめて…」

私の口調はとても弱かった

加地くんのブレザーを掴んで快感に耐えるので精一杯

流されそうになる思考を必死に押し戻す


「かわいい……できれば僕が穢したかったけど、君が好きなのは月森なんだよね…残念だな」

加地くんが私から離れると微笑む

「月森の前の彼女に嫉妬なんかすることないよ。今、愛されてるのは君なんだから…
 それに……これは本人から聞いた方がいいか…」

何だか自己完結すると加地くんが私の頬に口付けた

「君にチョコレートを御馳走するって言ったけど僕が御馳走になったよ
 もし不安で押しつぶされそうなら…僕なら君を不安になんかさせないよ。
 その時は…僕の所にきて?」

そういうと加地くんは笑顔で屋上から去って行った

私は頬の赤みが引かない

蓮くんもだけど、加地くんも十分私の心臓に悪い








しばらく経って屋上の扉が開く音がした

加地くんが忘れものでもしたのかな?

「加地く…って蓮くんどうしたの?」

振り返ると息を切らした蓮くんが立っていた

すごい怒った顔で私の前に立つ

「なぜ頬を染めている?加地と…何かあったのか?」

「えっ」

さっきの加地くんの感覚を思い出す

触れられるだけの指から耳に入れられた舌から恐ろしいくらいの快感を生んだことを


「べつに…なにもないよ…」

語尾が弱くなった

「彼の方が良いか?」

蓮くんに突然キスされる

唇を舐められて入れられる舌に私は命じられたように固まってしまう

裾から入ってくる手に、学校で…しかも誰が来るともわからない屋上なのに反抗できない

「加地は女性のことをよくわかってる。楽しくさせるのも得意だろう…俺とは違う」

「蓮くんっ…」

首筋に舌を這わせながら屋上で胸を触られる感覚に私の息があがる

だんだんと固くなる実を蓮くんに何度も捏ねられる


「彼なら言葉だけでも君の頬を染められるのか…俺にはできない
 俺は女性がどうしたら喜ぶかわからない…今まではそんなことどうでも良かった
 だけど、君を愛おしく想う度、わからない自分をもどかしく思う」

スカートを捲くられて下着の中に手を入れられる

「どうすれば良いのかわからない…君を手に入れたいと思うのに…
 俺には君が初めての女の子だから…どうしたら良いのかわからない…」

「え……」

その言葉に私は蓮くんをじっと見つめた

「私だってわからない…蓮くんが初めての男の子だから…」

蓮くんが驚いたように私の顔を見た

「そうなのか…俺は昨日なにか間違って君を怒らせたのかと思っていた…」

恥ずかしそうに頬を染める蓮くんはとってもかわいい

「違うよ…昨日は蓮くんが初めてじゃないと思ってそれが嫌だっただけだもん…」

そっと私を抱きしめると蓮くんが耳元でこう囁く

「そんなことない…君が初めてだ…そして君が最後だ…好きだよ香穂子」

「蓮くん…私、蓮くんになら何されても良いの。蓮くんが私を望んでくれるならそうしたい」





放課後、連れられるように蓮くんの部屋に入って行った


「好きだ…君が好きだ…俺だけのものにしたい」

蓮くんから与えられる口付けに私も応えるように舌を絡めた

制服を脱がされて下着も取られて蓮くんの前に誰にも見せたことがない姿で立つ

「このまま君に踏み込んでも良いのだろうか…?」

「蓮くんになら…。蓮くんの好きにして欲しい。」

蓮くんは私をベッドに押し倒すと自分も服を脱いで私の中に楔を入れ出す

「ここで良い?」

すごい圧迫感と苦痛…だけど構わない

「そこで…合ってるからゆっくりにして…少しづつに…っ」

最後まで言葉が紡ぎだせない

「香穂子…俺はすごく気持ちいい…君はそんなに苦しそうなのに」

「だ…大丈夫だからっ…ぁっ」


耐えられなくて蓮くんの背中に爪を立てた

痛い…苦しい…好きだから耐えられる苦痛だと思った


「だめだ…君を苦しめてしまうかもしれない…すまない…」

蓮くんは私にそう言うと私の脚を広げて腰を動き出した

「っ…ぁっ…いたっ…痛いっ」

私は涙を流しながらそれを受け入れる

蓮くんだから…蓮くんが私を求めてくれるなら…


腰を激しく打ち付けると蓮くんが私の中に欲望を吐き出した








「出血している…大丈夫か?」

蓮くんが私を心配そうに見る

「大丈夫…蓮くんが初めての人だっていう証だよ…」

「そうなのか?」

蓮くんが口元を押さえながら真っ赤になった

「蓮くん、大好き」

私は裸のまま蓮くんに抱きつく

「俺も香穂子を愛しく想う」

そう言うと私を再び押し倒した

「すまない…もう一度良いだろうか?」


ためらいがちに言う蓮くんを私は笑顔で受け入れる

きっと何度でも…












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<あとがき>
頑張った…俺、頑張った…と思いますが、いかがでしたか?ドキドキ;

月日ものなのに、魚月が最もときめいたのは加地葵にですw
マイラバー葵…今日もかっこいい…

ハッピーエンドでと言われていたのに、ついドロドロにしそうでした…危ないっ;
リクエストいただきましたリック様ありがとうございましたw
まだまだですが、今後も宜しくお願いいたします☆

桜藤魚月



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