1-662氏

957 名前:662[sage忘れた…!] 投稿日:2008/03/20(木) 21:00:46 ID:4A9XwVap


これまでのあらすじ
チェス「チクショオオオオ!くらえゴリラ顔!」
ゴリラ顔「さあ来いチェスウウ!オレは実は一回喰われただけで死ぬぞオオ!」
(ザン)
ゴリラ顔「グアアアア!こ このザ・ゴリラと呼ばれる俺様が…こんな小僧に…バ…バカなアアアア」
(ドドドドド)
ゴリラ顔「グアアアア」
秘書A「ゴリラ顔がやられたようだな…」
秘書B「ククク…奴はできそこないの中でも最弱…」
秘書A「爺ショタごときに負けるとはSAMPLEの面汚しよ…」
チェス「くらえええ!」
(ズサ)
チェス「うわああああ!」
イルネス「チェスくん!いやああああ!」
チェス「大丈夫…僕は不死者だ!自分を囮にしてもなんてことないぜ!」
(ザン)
秘書's「グアアアア」
チェス「やった…ついに秘書たちを倒したぞ…これでラブロのいる本拠地の扉が開かれる!!」
ラブロ「よく来たな私の可愛いチェス…待っていたぞ…」
(ギイイイイイイ)
チェス「こ…ここが本拠地だったのか…!感じる…ロリショタの魔力を…」
ラブロ「チェスよ…戦う前に一つ言っておくことがある お前は私を倒すのに
  何か特別な策が必要だと思っているようだが…別になくても倒せる」
チェス「な 何だって!?」
ラブロ「そしてイルネスはやせてきたのでフィーロ家にひきとってもらうことにした
  あとは私を倒すだけだなクックック…」
(ゴゴゴゴ)
チェス「フ…上等だ…私も一つ言っておくことがある お前に攻撃すると
  トラウマが発動するような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ!」
ラブロ「そうか」
チェス「ウオオオいくぞオオオ!」
ラブロ「さあ来いチェス!」
  トラウマを胸に すべてを終わらせる時…! ご愛読ありがとうございました!

958 名前:662[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21:01:55 ID:4A9XwVap



 というわけで、帰国の前日。フィーロ一行が滞在していたホテルの一室、イルネスのために
借り足したツインルームである。ツインの内訳がイルネスとチェス、フィーロとエニスという
男女ペアになったのは単純に警護と金銭上の問題だ。チェスによる『お兄ちゃんたち二人が
一部屋でいいじゃない』と言う発言があったことは確かだが、それがどの程度影響したかは
さだかではない。誰がなんと言おうとさだかではないのである。


959 名前:662[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21:02:37 ID:4A9XwVap


「荷物、これで足りる?」
「あ、うん。ありがと、チェスくん」
「……異常に少ない気がするんだけど。忘れ物とか、ないよね?」
 ベッドに腰掛けたチェスは呆れて床上の鞄を眺める。自分の荷物をトランクに詰め終え、さて
イルネスはと振り返ってみれば、手伝う余地はもうほとんど存在しなかった。いくら持ち物が
少ないとはいえ物は女性の旅支度、そのうえ凝った衣装に日傘だ。さぞかさばるだろうと覚悟して
いたのだが、買い足したはずの荷物はまとめてみれば肩掛け一つに収まってしまった。イルネスは
いかにも一仕事終えた様子で、チェスの隣に腰掛けてうんと背伸びをする。
「だいじょぶだよー、荷造りだったら慣れてるもん。『仮面職人』でいろいろ習ったし。チェスくん、
知ってる? 荷物は旅先で買って、いらない物は捨てるんだよ?」
「……うん、僕も旅なら慣れてるけど……」
 伸びをしたまま背後に倒れ込んだうえ掛け布団を巻き込んで転がり始めたイルネスに、チェスは
溜息をついて布団を解きにかかる。
「ああもう、せっかくの服に皺がつくよ、お姉ちゃん。ほら、――」

 びくり、とイルネスが強張ったのは、抱き起こそうと腰に手をかけたときだった。

「……SAMPLEで、何か――」
 されたのか、と聞きかけ、慎重に言葉を探す。
「――どこか、怪我でも?」
「あ、ううん、今じゃないの。ずっと昔、おとぎ話のころのこと」
 唐突な発言にチェスは混乱するが、ひょいと起き上がったイルネスは気にしたふうもない。
「いろいろあったの。痛かったり、いろいろ。……あ、でも大丈夫だよ? 今じゃないもん。
おとぎ話はもう終わったんだから!」
「――――――」


960 名前:662[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21:03:01 ID:4A9XwVap


 チェスは知っている。自分の中のおぞましい記憶が、彼女のセリフに驚こうとしない。
いろいろなことを味わわされたし、それ以上のことも聞かされた。不貞の妻を罰する
夫の話。男色の罪で内側から焼き殺された領主の話。効率よく痛みを与えるには感じやすい
部分を狙うのが一番だ。
 さほど斬新なアイディアでもない。彼はそのことを知っている。しかし。
「――イルネス」
 チェスは、彼女に向き直った。
「僕にもね、いろんなことがあったよ。……僕の傷が再生するとこ、見ただろ? この体、傷は
ふさがるけど中身はやっぱり痛いんだ。あいつはそれを知ってて……」
 チェスは僅かに目を逸らす。言いよどんだ彼はしかし、顔を上げ、覚悟を決めた目で
イルネスを見つめる。
「あいつと離れてからも、ずっと怖かった。でも、僕は、人と仲良くしてもいいんだって
思えるようになった。今の仲間のおかげだよ。本当に感謝してる。みんな、僕を仲間だって
思ってくれてる。それがすごく嬉しいし、僕もあの人たちを仲間って呼びたい。
――君にも、そうしてあげられないかな」
 自分を閉じ込めた200年の孤独が彼女を捕らえないように、彼女を守ってやれたら。
「今じゃなくてもいい。僕も、人に触られるのがずっと怖かった。だから、いつかでいい。
……5年でも10年でも、100年だって待てるからさ。僕を信じてもいいって時がきたら、
そのときは全力で頼ってくれないかな。僕はいつか、君の傷に触れるようになりたい。
君の中の痛みを、少しでも和らげられるように」
 目を見開いたイルネスは、チェスの真顔を見つめ、握られた手に目を下ろし、もう一度
チェスの顔を見て――薄く微笑んだ。
「……いいよ?」
「――え?」
「私、チェスくんなら信じられるよ? チェスくんはクローディアの友達で、私を助けに
きてくれて、それでも死なないでいてくれたチェスくんでしょ? ――だから、チェスくん
なら触ってもいいよ」
「……ええと」
 自分の言っていることの意味がわかっているのだろうか。そう思ってたじろぐチェスの
背に華奢な腕がまわる。
「私、チェスくんが好きだよ」
 引き寄せられた腕の中は、やわらかい彼女の匂いがした。
「私の中までさわっても、いいよ」


961 名前:662[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21:03:47 ID:4A9XwVap



 コルセットの中は酷い有様だった。皮膚の色をしている部分よりも下の組織が透けている
部分のほうが多い。エルマーの背中を垣間見たことはあったが、少女の体に残る暴力の痕は
また違う痛々しさがあった。幾重にも層をなす傷跡は酸鼻を極め、傷がない部分との落差と
あいまって人体と言うより奇妙なオブジェを見ているような現実感のなさすら覚える。
 リボンに手をかけたチェスをイルネスは止めた。きっと怖いと思うよ、仕事仲間も
みんな引くって言った、と。チェスは彼女にくちづけて言った。
 ――大丈夫、傷なら自分の体で見慣れた。
 いまさら既知に恐れることなどあるものか。
 染み一つ無い鎖骨の上に唇を落とし、いびつな縫い目の残る脇腹を撫であげる。いまだ
怯えの残る肢体から緊張を抜くための、触れるか触れないかギリギリの愛撫。できるだけ
大きな快楽を味わえるよう、できるだけ痛みの無いように。自分にはそうできるだけの
知識と技術がある。
 急いてはいけない、まずは十分に可愛がって女性の感覚を高めること。
 いつか聞いた忠告を思い出しチェスは苦笑する。10から時間の進まない体と裏稼業の渡世と
300年の年月とをありがたく思う日が来るとは思わなかった。とくに、色恋沙汰で。
「イルネス」
 そっと名を呼ぶとびくりと身を震わせる。首筋から耳の後ろをなぞる動きを繰り返すたび
彼女は息を吐いて身をよじる。背中に回した手は背骨をたどって腰椎へと下りる。指先で
軽く掻くようにすると、大きく腰が揺れた。深い痕が刻まれた少女の皮膚は、それでも
柔らかく温かく、丹念に愛された今ではしっとりと熱を帯びつつある。
「ん……ッ!」
「ここ、好き?」
「わかんない……ぞわって、ン、ぅん……!」
 再び腰周りを刺激され、震えたイルネスはチェスにしがみつく。すでに背筋の強張りは
ほぐれ、吐息にも熱いものが混じる。彼は腰まで下りた手をさらに進め、秘された部分に
触れる手前で手を止める。怖がるそぶりを見せたらやめようと思っていたが、イルネス
からの抵抗はない。
「だいじょぶ、だよ」
 囁かれた声にチェスは驚く。耳元、至近距離での響きが彼の興奮を掻きたてる。
「チェスくんなら、さわっても、いいよ」

「……ドキドキする。チェスくんも、ドキドキしてる」
「大好きだよ、イルネス。愛してる」



962 名前:662[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21:05:11 ID:4A9XwVap




「ふ、あぅ……!」
 自身のうちに彼を収めたイルネスは浅い息で喘ぐ。チェスは負担をかけまいと気遣うが、
彼女の中は身じろぐたびにぞろりと擦れる。時間をかけて慣らしたとはいえ、発育途上の
膣内は狭い。自分が成人であったなら引き裂いてしまった恐れもある。この体に感謝するのは
本日二度目だ。
「辛い?」
「ううん、でも、変……ッあ!」
 軽く揺らすときゅうと締まる。言葉では戸惑いながらも、返ってくる反応に苦痛の色はない。
未知の感覚におびえながらも、彼女の体は既に与えられる快楽を受け入れ――そして、緩やかな
愛撫に焦れつつあった。
「あ、あ……」
 少女の腰が揺れる。すがりつくように見上げる彼女を、チェスは精一杯安心させようとする。
「大丈夫、僕に任せて。痛いことなんてしないよ。――うんと気持ちよくしてあげる」
「ぁ、ひぁ……!」

 どうしてだろう、とイルネスは思う。
 引き裂かれるのは痛い。人の手や爪や歯やその他の肉体がどれだけの凶器になりうるか、
イルネスは経験として知っている。自分はそうされるためにあった。だから、自分は異常なのだ
――かつての同僚に言われたように。彼女にとってそれはただ単に受け入れるべき事実にすぎない。
自分が金髪であるのと同じように、自分はおかしいのだと――だからみんなのように気持ちよく
なったりしなかったのだと、ずっと思っていた。
 ――なのに。
「な……に、これ……なにこれ……ッ!」
 触れられるたびに電気が走る。
「ぁ、う、うそ、こんな……」
 動くたび、何もわからなくなる。
「や、や――ぁ、」
 軽くつねられ歯を立てられる、その刺激をも心待ちにしている。こんな感覚は知らない。
震えが来るのに、怖いのに、痛くない。嫌じゃない。
「は――ッ、チェ、チェスく、わたし、わたし――」
「……ここ?」
「ふぁ、ぁ、ああぁッ! やッ、あ、は……あッ、あ、あぁんッ!」
 ――私がおかしいのかな。
 ――それとも、チェスくんだから?
「んっ、やっ、あ、あぅ……ダメ、そ、や、や、そんな、そんな……やン――」

「――あ……ッ!」
 びくん、と跳ねたイルネスにチェスは息を呑む。柔らかくほぐれ絡みつく器官は
主の快楽をダイレクトに伝えてくる。こちらもだいぶ焦らされているのだ。限界は近い。
 ――ここで負けたら年上の名折れだ。
「……イルネス」
「ぁ、ふぁ――?」
「好きだよ」
 聞き返しかけた声が言葉になることはなかった。ぐいと突き込まれた陽根にイルネスは
笛のような声を上げてのけぞる。荒々しい抽送に彼女の中は痙攣するように震え、びくびくと
締め付け引き絞るリズムにあわせるように声は高く高くピッチを上げてゆく。
「や、あぁあ! や、だ、なんか、なんか来ちゃ、や、ぁ、ぁ、……!」



963 名前:662[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21:06:37 ID:4A9XwVap



 ――翌朝。
「あれ、どうした?」
 パジャマ姿のチェスを廊下に見つけ、朝食へ向かうフィーロは声をかけた。
「中でイルネスが着替え中なんだ。向こうのほうが着替えに時間がかかるから、って」
 肩をすくめたチェスに、フィーロは素直な感想を告げる。
「……パジャマ姿でいなくても、先に着替えちゃえばよかったんじゃないか?」
「僕はいざとなったら手を抜けるから。それに、レディーファーストだし」
 さらりと言われ、フィーロは自分の発言を後悔した。さすがに十八世紀仕込みのマナーは
年季が違う。このあたりが年長に見えない理由だろうかと妙な敗北感を感じつつ、フィーロは
無理矢理に気を取り直して本題に入った。
「――イルネス、どうだ?」
「――うん。見た目は平気そうにしてるよ」
「見た目は……か」
 なにしろあれだけのことがあったのだ、軽々しく平気とも言えまい。そのことをわかって
いるからこそ、フィーロは考え込む。引き取ることは全員が同意済みだが、しかし――
「……大丈夫だよ、フィーロお兄ちゃん。ううん、きっと大丈夫にするよ。――うんと
大切にしてあげようと思ってる」
「へえ――」
 フィーロは目を見張る。
 ――意外だ。チェスからこんな言葉が出るとは思わなかった。
 これは微笑ましい恋心ではあるまいか。フィーロはにやにやと弟分を見やる。
この年上の弟には今まで肝心なところでやりこめられてばかりだった気がするが、しばらく
からかうネタには困らなさそうだ――
 ――と、背後のドアが開いた。

964 名前:662[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21:07:38 ID:4A9XwVap


「チェスくーん、終わったよー」
 ひょっこり顔を覗かせたイルネスはフィーロをみつけ、軽く会釈をしてから廊下に踊り出る。
「ね、チェスくん、ホントに待ってなくていい?」
「すぐ行くから平気だよ。先に食べてて」
「うん、フィーロもまたね!」
 駆け出しかけたイルネスは、ふと引き返してチェスの袖を引いた。
「あと、言い忘れてたこと」
「?」
 首をかしげるチェスに顔を寄せ、イルネスは囁く。
「昨日はありがと。セックスって、ほんとは気持ちいいんだね」
「――――!!」
 音を立てて離れた唇に、硬直したのはチェスだけではない。そっと横目でうかがうと、
フィーロは予想どおり真っ赤になって口を開閉している。
「……フィーロお兄ちゃん、聞こえた?」
「あ、いや、その……」
「……言いふらしたりしないよね?」
 じっとりとにらまれ、フィーロは慌てて手を振った。
「し、しないしない!」
 楽しげに笑いながら走り去るイルネスの背に目をやって、チェスは大げさに嘆息してみせる。
「僕の知ってる女の子ってのは、もっと慎み深いものだったんだけどなあ」
 妙に老成した――ある意味年相応なことを言うチェス。見た目ははるかに年下の『弟』の達観
した様子に、フィーロが思わず落ち込んだとか落ち込まないとか、一念発起して覚悟を決めた
とか――
 ――それは、エニスだけが知っている。







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