1-868氏
868 名前：クロチェス/エロ無し[sage] 投稿日：2008/02/17(日) 12:01:38 ID:eq8I/Tu7
街中。
エニスの買い物に付き合っていたチェスが、とある服屋の扉を開いた。
扉の金具に括り付けられたベルが客人の訪れを店員に知らせる。
先客の中にも、反射的に視線を向ける人間が居たがそれはあくまでも意図的に行った行為ではないためすぐに反らされた。
……が。
いつまで経ってもこちらを見据えている人物が二人。それだけならまだ良いが、その内の片方は一歩ずつ、確実にチェスたちと距離を詰めていた。
「……エ、エニスお姉ちゃん！やっぱりここは…」
「ほーらまたそうやって逃げようとする！」
チェスがエニスの袖に触れたときはもう手遅れだった。
二人の内のクローディアは、既にチェスの背後に居たのだ。
ホラー映画さながらの光景に、チェスは一目散に飛び出そうとするが…やはり時すでに遅し。腕を掴まれていた。
869 名前：クロチェス/エロ無し[sage] 投稿日：2008/02/17(日) 12:02:52 ID:eq8I/Tu7
「こんにちは、お買い物……ですか？」
エニスの幾分か間延びした言葉の最後には疑問符が付いている。
そりゃあ当然、ここにはクローディアの着るような雰囲気の服は一着も見当たらないからだ。
青ざめたチェスの腕を引き寄せながら、クローディアは緩慢と歩み寄ってくるシャーロンを促すように手招きをする。
「えぇ、曾お婆様にプレゼントをね。といっても今日はただの下見だけど……でもやっぱり人の服を選ぶのって楽しいわ！」
「そう…ですね。」
「エニスは何でいきなり？」
「あ、私は…これから、フィーロと……」
「……そう、叔父様とねぇ」
からかうように含み笑いをすると、暫し何かを考えるような表情をして視線を隣に繋がっている子供服の店へと移す。
そしてクローディアがチェスに耳打ちをした。
（チェス、何で気を利かせて二人きりにさせてあげないの？）
（……服を見たら帰るつもりだよ）
（…そ、じゃ、決まりね！）
（……へ？）
870 名前：クロチェス/エロ無し[sage] 投稿日：2008/02/17(日) 12:04:27 ID:eq8I/Tu7
「姉さん、何を………？」
「ほら、アンタも耳貸して！」
何を企んでいるのか、今度はシャーロンの耳たぶを強引に引き寄せる。
チェスは不審に思いながらも、エニスとフィーロの待ち合わせ時間が間近に迫っていたため急いでドレスを選び始めた。
何着か試着した結果、結局は一番に目を付けた白いドレスに決まり、二人は会計を済ますと扉を開いて外に出た。
早速チェスがエニスの横から遠ざかろうと足先を変える。
「……チェス？」
「エニスお姉ちゃん。僕は用事があるからこれで」
「え、あの、ちょ─────！」
チェスが背中を向け歩き出したその瞬間、突如建物の影からクローディアたちが飛び出してきた。
クローディアは倒れ寄るようにしてチェスに肉薄し、続いてシャーロンが申し訳ないという風にチェスに会釈する。
871 名前：クロチェス/エロ無し[sage] 投稿日：2008/02/17(日) 12:05:35 ID:eq8I/Tu7
「安心してエニス！チェスはこれから私たちとデートするから！」
「は─────？！」
当の本人の間抜けな声も聞こえぬ振りをして。
「じゃ、フィーロ叔父様と楽しんできてね」
「………で、こんな所に僕を連れてきて一体どうするっていうのさ」
その後無理矢理連れて行かれたのは先ほどの服屋の隣にある女の子向けの子供服の店。
「フフ……私、妹も欲しかったの！ね、シャーロン」
「………別に」
「こういうときは黙って頷くものでしょ！」
シャーロンの額を小突くクローディア。
数秒間クローディアの意図を理解できなかったチェスは今、これから自分が何をされるのかに気付いた。
「………ちょっと、冗談でしょ」
「…………」
「……ねぇ」
「言ったでしょ、人の服を選ぶのは楽しいって…！」
「ひ、うわあああああああ！」
顔に影を付けたクローディアは顔面蒼白になるチェスの両腕を封じ、半ば引き摺るようにして店内を回りだす。
シャーロンはそんな二人の後ろ姿を見つめながら、ポリポリと頬を指で掻いた。
そして、試着室でワンピースやスカートなどを着回しさせられるチェスを見つめながら、
（止めた方が、良いのかな……？）
と、当然のことにいちいち疑問の色を浮かべた。
872 名前：クロチェス/エロ無し[sage] 投稿日：2008/02/17(日) 12:06:43 ID:eq8I/Tu7
終わり
すまん、女装させる気なんて無かったがクローディアの強引さが好きすぎて。
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