('A`)人('A`)氏
139 名前:('A`)人('A`)[sage] 投稿日:2006/01/15(日) 02:51:15 ID:q0HGblkh
彼は私を見ていない。
何度か体を交えて、繋がってきても彼は一度も私を見ようとはしてくれなかった。
――結局、彼が見ているのはいつも彼女だけだったのだ。
◎――――◎
西区画――グランドホテル『トキ』スイートルーム
「っは……ぁ」
甘い吐息が響く深夜、その部屋では淫らな行為が行なわれている。
広い部屋の一角の高級そうなダブルベッド上にて、年歯20前後の男女が入り乱れていた。
「……っ、イーリー……動くよ……」
「せ、い……ち……はや……」
正常位で繋がった体、誠一と呼ばれた男の方はまだ慣れていないのか何処かぎこちない対応でゆっくりと腰を動かし、揺らし始める。
それにあわせてイーリー……女のほうもくぐもったいつもより1トーン高い声をあげはじめた。
二人の結合部分からはシーツにしたたり染みを作るほどの淫液が溢れ流れ、その淫らな様を物語っているようだった。
「……ぉく……も、っ……ぁ」
140 名前:('A`)人('A`)[sage] 投稿日:2006/01/15(日) 02:53:43 ID:q0HGblkh
酒の勢いで書いてみる、小説なんざ普段かかない身分なんで誤字脱字あったら脳内変換頼む
誠一×イーリーベース+α
141 名前:('A`)人('A`)[sage] 投稿日:2006/01/15(日) 03:14:44 ID:q0HGblkh
じょじょに激しくなっていく腰の動きに、いつしか彼女もそれにあわすように腰を動かし始める。
快感を貪るかのような、二人。
誠一の方はあれから余裕が無いのか一言も喋ってはおらず、眉を寄せて目の前で気持ち良さそうによがっている彼女の顔を見つめている。
いや、見つめている方角は確かに目の前にいる彼女だったが見ているのは――違った。
一方イーリーといえば、下半身から頭にかけての電気のような快感に身を震わすだけだった。
頭がおかしくなるほどの気持ち良さに、目は虚空にいき、口から自然に媚声が漏れ溢れていく。
何処かすれ違っている二人のセックスは、そんな風に変わっていた。
「っあっ、あっ、っ、」
「そろそろ……出す、っ」 やっと彼の口から言葉が生まれた時には、もうラストスパートに突入していた。
激しく肉体がぶつかりあう音、次第に大きくなっていく声、はやまる思いなどが全て溶けるように交ざり――
イーリーは中で誠一をきつく締め付け、彼が彼女の腹に己を吐き出して、終わった。
142 名前:('A`)人('A`)[sage] 投稿日:2006/01/15(日) 03:29:29 ID:q0HGblkh
――◎◎
諸事後。
いつものように先にシャワーを浴びるイーリーはこの日もやはり、バスタブの中でシャワーを浴びていた。
オレンジ色の淡いライトに絹の様に美しい肌が照らしだされている。
その肌にシャワーの湯が当たり汗やらなんやらを全て流し始めた。
キラキラ、キラキラと光る水滴。
イーリーは頭からシャワーにかかると先程の事を思い出した。
行為の途中、ずっと彼は彼女ではない者を見ていた。
必死に彼は繕い、偽りを塗り固めていたようだが彼女の目は節穴ではなく全て見透かしていた。
彼が何故自分を見ていないのか。
彼が誰を見ているのか。
しかし、それを特に深く彼女は突き止める様なことは決してしない。
何故なら自分達は互いの立場を利用している、偽りの付き合いなのだから。
父に命令されて就いた彼の恋人という役柄、そうこれは父の命令なのだから。
143 名前:('A`)人('A`)[sage] 投稿日:2006/01/15(日) 03:41:28 ID:q0HGblkh
私情なんて無い、そんな、関係。
そう、そのはずだったのに。
「何……で……」
何故だか、涙が溢れてきた。
降り注ぐシャワーに紛れて解らないものの、彼女は確かに泣いていた。
割り切っていたはずなのに、最初からどうしようもない関係だったのに、表面上だけだったのに。
今はこんなにも、彼が自分じゃない誰かを想っている事が悲しく、切なく、そしてイラただしい。
「……誠一……せいい……」
止めようとしても一回蛇口をひねってしまった水道は我慢していた水を、壊れた様に吐き続ける。
彼女の涙は止まらない。
――きっと今も、彼は、こうしている間にも“彼女”を想っている。
胸に突き刺さる事実を飲み込み、イーリーはどうにもならない気持ちを抑えつけ奥歯を噛み締めた。
中途半端におわり
144 名前:('A`)人('A`)[sage] 投稿日:2006/01/15(日) 03:44:25 ID:q0HGblkh
おわり
欝設定すまん、かなり酔ってる
消えるノシ
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