エヴァ

■2ndステージ■

第1話「ルフラン」

作・専務さま


 

 

シンジは電車の中でボーっとしていた。

ただ、やる事が無いのではない。

いや・・・

彼はその世界が滅んでいる事を知っているのだ。

なぜ今自分が電車に乗っているのか?

なぜ、生きているのか・・・・肉体があるのか・・・

 

あの時綾波や、カヲル君と僕は一つになった。

大体の情報が頭の中に入ってきた・・・

補完計画の真相・・・

父さんの心・・・

綾波が僕の事を好きだった事・・・・・・

 

気が付くと電車は止まっていた。

不通になっていた・・・

自分の状況が把握できない・・・

 

外を歩いてみる。

VTOLが低空飛行していた。

巡航ミサイルも飛んでいる・・・

しかし、今のシンジには理解できない。

今、自分はどんな状況に陥っているのか・・・

 

凄まじいブレーキの音が自分の周りを駆け巡っている・・・

 

バタン!

 

「早く乗って!」

「・・・・・・・・・・」

 

僕は乗っかった。

ただ、夢だと思った。

前と同じ状況が今自分の周りにある。

 

「私の事はミサトでいいわ。君がシンジ君ね?」

「・・・・・・・・・・ハイ・・・」

「あら?状況のわりに落ち着いているわね」

「・・・・・・・・・・・・」

 

何も反応できなかった。

量産型と戦う前のおとなのキス・・・

ずっと家族と思ってきた生活・・・

シンちゃんと呼んでくれたミサトさん・・・

その人が・・・シンジ君と呼んだ・・・

今は・・・何時なのだろうか?

僕は・・・なんでここにいるのだろうか?

・・・・・・・・・・どうなっているんだろう?

 

ドォォーン!

ブオォォォ・・・

 

巡航ミサイルがこちらに飛んできた。

ルノーが転がる。

 

「いてててて・・・・あぁぁぁぁ!!!まだローンがあるのにぃぃぃぃ!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「この服も高かったのよぉぉぉぉぉ!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「まったく・・・・・・」

 

ビルの間から巨人が飛び出す。

化け物をふっとばし、ひっくり返っている車を直す。

 

ミサトはそれに手を振って合図する。

二人はまた車に乗り、走り出す。

 

「・・・・・シンジ君って口数少ないの?」

「・・・・・・・・・・」

上の空だ。

「シンジ君!」

「・・・・・・・・」

ぼーっとしている。

「・・・・・・ミサトさん・・・」

「え?なに?」

「・・・・・・何でもありません」

首を傾げるミサト。

その瞬間NN作戦の、N2地雷が作動した。

瞬間的に車が飛び、もう一度さっきのようにひっくり返る。

嘆いているミサト・・・

シンジはただボーっと見ていた。

 

 

 

 

 

「おっかしわねぇ〜・・・この道でいいはずなのに・・・」

エレベーターが止まった。

「葛城一尉、なにをしているの?早く来なさいよ。時間も人員も少ないのよ」

頭をポリポリ掻きながら弁解する。

「ごっみぃーん!まだ慣れて無いのよねぇ・・・ここって広くて」

「さぁ早く!あ・・・この子がサードね?碇シンジ君」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「まぁいいわ・・・付いて来て」

「・・・・・・今は・・・2015年の六月ですか?」

ちょっと驚いている。

「あら?ちゃんと喋れるわね。そうよ、六月よ」

 

そうなんだ・・・

戻ってきたんだ・・・

僕がやる事は・・・なんだろう?

みんなと一つになった時・・・カヲル君は僕に聞いた。

「君はこの時間が嫌いかい?」

僕は答えなかった。

でも・・・やりなおしたいと思った。

正直に、綾波を守りたいと思った。アスカも・・・トウジもケンスケも洞木さんも・・・み

んな・・・

 

僕はやりなおせるのか?

消えていく過去を修正できるのか?

綾波を・・・・助けられるのか?

 

 

 

 

「シンジ、三年振りだな」

父さんだ・・・ムカツク。

「・・・・・・・」

「お前がこれに乗って使徒と戦うのだ」

「・・・・・・」

「お前が適任だ。いや、お前じゃ無いと無理だ」

「・・・・・・・・・・いいよ」

この素っ気無い言葉にそこにいた人はみんな硬直した。

命をかけろと言う事なのに、何の抵抗も無く了承しているからだ。

「そうか、乗り方を教えてもらえ」

「シンジ君、簡単にレクチァーするわ」

 

 

 

 

 

「シンクロ率・・・・・・0%・・・」

「やっぱり・・・オーナインだったから当然ね・・・」

「シンジ君!集中して!」

僕は、ボーっとしていた。

「シンジ君!ちゃんと集中しなさい!」

「あ、すみません・・・」

僕は集中した。

下手に怪しまれても困る・・・

80%くらいでいいかな?

100%超えるわけには行けない物な。

「シンクロ率上昇・・・・・・え!?・・・・・83,5%で安定!」

「嘘・・・レイでさえ7ヶ月かかったのに・・・80%ですって?」

「作戦部長として・・・どうする?」

ミサトはゲンドウを見上げた。

「やりたまえ。あいつを倒さないと人類に未来はない」

「わかりました。エヴァンゲリオン初号機発進!」

 

Gが掛かる・・・

もう慣れていて心地いいかな?

できるだけ前と同じように倒さないと・・・

 

「シンジ君!歩く事だけ考えて!」

「・・・・・・・・・・・・」

歩き出した。

そのまま止まる気配はない・・・

 

使徒はATフィールドを展開した。

僕も同時に展開する。

僕は使徒のコアを叩き潰そうとした。

でも、使徒の光の矢で顔を貫かれる。

同時に激痛が走った。

 

「フィードバック下げて!」

「信号拒絶!」

「そんな・・・パロットは?」

「反応あります!生きています!」

「怪我は?」

「・・・・・・外傷は・・・無いようです!」

 

僕は暴走した振りをしてみることにした。

どうせあまり解明されていないからわからないだろう・・・

 

「初号機!使徒に走っていきます!」

 

僕は使徒を攻撃を避けながらコアを殴り壊す。

自爆する寸前まで待ち、自爆させる。

 

「・・・・・・初号機の反応を確認!」

「パイロットは健在です!」

「そんな・・・無理よあんな動き・・・始めて乗ったにしては無理!レイもあんな動き出来

ないわよ!」

 

 

 

 

「よくやったわ、病院で検査を受けてきてくれる?」

「・・・・・ハイ・・・・・・」

 

僕は、検査を受けた。

問題は無し。

終わって廊下に出ると、ミサトさんが待っていた。

 

「あなたの住む家・・・ネルフが個室を用意したけど?」

「・・・・・・」

「申請すればお父さんとも住めるわよ?」

「いいえ、いいです・・・・・」

 

急に怖い顔をしだしたミサト。

 

「私・・・・暗い子見ていると許せないの・・・・・決まり!」

 

携帯を取りだし、かける。

 

「あ、リツコ?シンジ君は家で預かることにしたから!後はよろしく!」

(ミサト!なに言っているの!)

「大丈夫だって!中学生に手ぇ出すほど飢えていないわよ!」

(残業を押しつけるんじゃ)

 

プツッと一方的に切った。

 

「さ、行きましょうか?」

「・・・・・勝手になにやっているんですか?減給されても文句言えませんよ?」

「子供がそんな事心配しないの!」

「・・・・・・」

 

上司の命令と言う事で、引きずられていった。

綾波には会わなかったな・・・・・

 

途中、展望台へ寄り道した。

 

「ここがあなたの守った町よ」

「町ね・・・どう考えても使徒迎撃用の兵器の塊ですね」

「鋭いわね、まぁ・・・・細かい事は言わない!帰るわよ!」

「そっちから寄り道したのに・・・・・」

 

睨まれた・・・・・・

 

ミサトさんの運転は、プロ級だ。

酔わせる方のプロとしてだが・・・

 

 


(update 2000/10/22)

 

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