夜、寝室でレイは思い出していた。

シンジの言葉を。

「生きてる…」そう呟き目を閉じるレイ。

 

 

 

僕は僕で僕

(6)

 

 

 


 

<朝、碇家マンション>

 

朝、シンジは起きると自分が寝てしまった事に気がついた。

しかし、辺りを見まわすと昨日寝ていた場所と違う事に気がつく。

シンジはベットに寝ていた。

 

「…父さん、帰ってきたのかな」

寝ぼけマナコでダイニングへと行ってみるシンジ。

 

そこには父がいた。

 

ゲンドウは、昨晩シンジの作った料理を食べていた。

 

「…父さん、帰ってたんだ」

「今帰ったところだ、シンジ」

そう言いながらもゲンドウは、食事をする手をゆるめない。

 

「僕を運んでくれたのも、父さんなの」

 

「ああ、重くなったなシンジ」

 

そうゲンドウが言った時、シンジは父が笑っている様な気がした。

 

 

<青葉のマンション>

 

レイは学校への支度を済まし家を出る所だった。

 

青葉は遅番だったので寝ていた。

が、朝食の用意を済ませてから寝ていた。

 

机の上には書置きのような物がある。

 

レイちゃんへ
朝食の用意はしてあるので食べていくように。
俺は、遅番だったので寝てます。
何か話したい事があったら遠慮無く起こしてくれ。
青葉より

 

食事はキチンと片ずけられていた。

レイは食事を済ませて家を出て行く所だった。

 

「いってきます…」

小さな声で、そう言うとレイは学校へ向かった。

 

「今…「いってきます」っていったよな…」

青葉は寝てはいなかった。

寝たふりをしながら綾波レイの行動を確認していた。

そして、青葉は気がついた。

レイが心を開きつつある事を。

 

 

<碇家のマンション>

 

シンジとゲンドウが玄関にいる。

 

「今日は来ないのか?」

ゲンドウはシンジの友達のトウジとケンスケの事を言っているようだ。

「うん、昨日一緒に行くって約束して無いからね」

「…そうか」

「じゃ行って来るよ」

「シンジ」

「なに?」

「…初号機に乗るのは嫌か?」

「……最初は嫌だった。でも今は嫌じゃない」

「そうか…」

 

「最近、乗ると暖かいんだ」

「………」

「その、何て言うんだろう。懐かしい感じがするんだ」

そう言ってシンジは微笑む。

「そうか…」

 

「じゃ、行ってきます」

 

そう言ってシンジは家を出た。

 

一人残ったゲンドウは呟く。

「………シンジは知っている…」

 

 

<登校中のシンジ>

 

シンジは下を向き考え事をしながら歩いていた。

 

(綾波にぶたれたときと初号機の中は同じ感じがした。

最初に綾波に会ったときも懐かしい感じがした。

でも、戦っている時の綾波は、すごく悲しそうな顔をしてる。

学校にいる時の綾波は……)

 

 

「おはよう…」

 

 

誰かと顔を見るシンジ。

綾波だった。

戸惑うシンジ。

 

「あ、あああ綾波!なんでココに!」

 

「昨日、ここで別れたから…」

「待っててくれたの?」

コクリと頷く綾波レイ。

「ありがとう綾波」

そう言って優しく微笑むシンジ。

 

(とにかく色々考えても仕方無いよね。

綾波は綾波だ、それでいいや。

そう思ったシンジは、綾波を見つめて再び優しく微笑んだ。)

 

 

<登校中の綾波レイの思考>

 

(なぜ、私は碇君を待ってたの。

私は碇君を待ったの。

でも、碇君の顔を見ると安心した。

なぜ……わからない。

私に教えてくれたから?

生きている事を…。

でも、それだけじゃ無い気がする…。

なぜ…なぜ…なぜ…わからない。

その答は……)

 

 

(……碇君)

 

 

レイはシンジの顔を見る。

そうするとシンジもレイの顔を見ていた。

見つめ会う二人。

 

 

(何この気持ち、心臓の音が聞こえてきそう。

顔が熱くなる。

この気持ちは…なに……)

 

 

碇シンジは綾波レイの顔を見つめ一言。

 

 

「綾波、ホッペに御飯粒ついてるよ」

 

 

 

つづく


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