「倒す!倒す!倒す!」

叫ぶアスカ。

二号機は第七使徒(甲)の懐に飛びこんだ。

 

 

 

僕は僕で僕

(16)

 

 

 


 

「倒す!」

二号機の蹴りが使徒(甲)にヒットする。

蹴飛ばされる使徒(甲)。

 

<ネルフ作戦本部>

 

「やるぅ!ナイス、アスカ!」

アスカが使徒(甲)を蹴飛ばしたのを見たミサトは感嘆の声を上げた。

アスカの活躍に活気づく作戦本部。

 

だが、一人だけ浮かない顔をしている人物がいる。

その人物の名は、加持リョウジ。

加持はモニターを見ながら思う。

 

(アスカ、一人で倒して何になるんだ)

 

 

<パイロット待機室>

 

シンジは一人待機室にいた。

誰かが戦闘不能になったときの予備として…。

 

シンジが一人、掌を見て何かを考えている。

そこに歓声が聞こえてくる。

二号機が使徒を蹴倒した歓声が。

 

歓声に気づいたシンジは呟く。

「……倒したの?」

 

そして、寂しそうに言葉をつなぐ。

「だとしたら……僕はいらないな……」

 

 

<零号機・JAと使徒(乙)の戦闘>

 

レイは二号機の戦闘を一瞥すると使徒(乙)を確認する。

そして、マナに話しかける。

「バックアップ任せるわ…」

「え?チョ、チョット綾波さん!」

マナの言葉を無視し、プラグナイフを握り使徒(乙)に突進する零号機。

使徒(乙)は零号機が突進してくるのを見て動きを止める。

そして、跳んだ。

 

「跳んだ!」

驚くマナ。

 

だが、レイは落ち着いていた。

いや、いつもよりも冷静に使徒の動きに敏感になっていた。

なぜかはレイにも理解できない。

こんなことは第三使徒以来だった。

第三使徒との戦闘と同じこと…それは……。

 

それは、碇シンジが戦闘に参加していないことだった。

 

そして、レイは次に使徒(乙)が仕掛けてくる攻撃を冷静に予測した。

使徒(乙)は上空から蹴りをかましてきた。

攻撃を見切って紙一重で避けた零号機は、がら空きになった使徒(乙)の懐に飛び込む。

そして、使徒のコアへプラグナイフを突き立てる。

 

 

<作戦司令部>

 

「決まった!?」

ミサトはコアを直撃された使徒(乙)を見ながら叫ぶ。

「ダメです!使徒の細胞が急激に再生しています!」

マヤは驚きつつ報告する。

「分裂の兆候は?!」

リツコがマヤに確認する。

「ありません!細胞の再生だけです!」

「ヤレヤレね。これで分裂された日には対処の仕様がないわ」

リツコが緊張の糸が切れたように話す。

「今でも充分対処に困ってるわよ!」

リツコの言葉にいらついた様に話すミサト。

 

一人離れて様子を見ていた加持は呟く。

「対処の仕方ね…俺には少し見えてきたけどな」

 

そして思いだす。

(……そういえば…サードチルドレン)

 

そう思った後、加持は作戦司令部から姿を消した。

 

 

<使徒(甲)(乙)とエヴァ三機>

 

分散攻撃の不利を補うべく集結して使徒に向かうことにしたエヴァ三機。

しかし、幾度となく攻撃しても使徒は細胞を再生させ攻撃を仕掛けてくる。

パイロットもネルフも限界に近づきつつあった。

 

「チョット!どうなってんのよ!倒しても倒してもきりがないじゃない!」

アスカがモニターに向かって怒鳴る。

「……一時撤退します」

少し沈黙した後、ミサトは決断した。

このまま戦闘を持続しても被害が増すだけなら撤退も一つの手段だと考え。

 

「撤退?!使徒を倒さずに逃げろっていうの!」

アスカがミサトに問う。

「撤退と逃げることは意味が違うわ!」

アスカの言葉に答えるミサト。

「同じよ!」

アスカが怒鳴る。

 

「!……来る」

レイが使徒の動きに気がつく。

 

使徒(甲)(乙)はエヴァ三機に突進してきた。

使徒の動きに反応できたのは二号機と零号機だった。

「このっ!このっ!」

「………遅い」

二号機と零号機は同時に使徒の腹部に蹴りを入れた。

ニ体同時に弾き飛ばされた使徒は動きを一瞬止めた。

しかし、すぐに活動を再開する。

 

(!……一瞬…動きが止まった?)

マナは使徒を見て何かに気づいたようだった。

「ミサトさん、一つ試したいことがあるんですけど…」

マナはモニター越しにミサトに考えたことを話す。

 

マナの考えを聞いたミサトは笑みを浮かべ話す。

「面白いわね、それ。出来る?レイ、アスカ」

 

「……了解」

「当然!」

 

二人の答えに満足した表情のミサトは命令を下す。

「JAを残し零号機・二号機は一時後退!」

 

 

<パイロット待機室>

 

シンジは思考の中にいた。

 

(………僕はいらない。

だとすると、ココにいる理由もない。

でも、嬉しくない。

戦わなくてもいいのに……。

戦いたいと思ったことは一度もないのに…。

なのに、何で、何で、何で、ココにいるのが悔しいんだ!僕は!)

 

(僕は……クソッ!)

 

掌を力強く握り締めるシンジ。

 

そこへドアが開く。

「碇シンジ君だね」

加持がシンジを見て微笑んだ。

 

 

<零号機と二号機>

 

使徒と距離を保ち打ち合わせをするレイとアスカ。

「ネルフで戦闘訓練、やったことあるわよね?」

「ええ」

「3-Cからいくわよ」

「…了解」

 

レイの答えを聞いたアスカはモニターでJAと使徒(甲)(乙)の戦闘を見る。

必死に使徒の足を止めようとするJAがアスカの目に映る。

そしてアスカは思う。

(マナ…大丈夫…私が使徒を倒すから)

そして、深く息を吐き出すアスカ。

「いくわよレイ!足引っぱんないでよね!」

「あなたもね…」

「言ってくれるじゃない!」

レイの答えに微笑むアスカだった。

 

零号機と二号機は使徒へ向かって走り出した。

 

 

<パイロット待機室>

 

加持の訪問を驚いた顔で見るシンジ。

「碇シンジ君だね?」

「え、ええ、そうです」

少し緊張気味に答えるシンジ。

「俺は加持リョウジ。まあ、葛城の知り合いってとこだな」

シンジの緊張を解きほぐすように加持は微笑む。

「その…僕に何か?」

シンジは戸惑いつつも訊ねる。

「ぶしつけで悪いんだが、一つ頼みがあるんだ。聞いてくれるかな?」

「頼み…?」

 

「俺の頼みと言うのは……」

 

 

<JAと使徒>

 

JAは…マナは使徒(甲)(乙)の攻撃から耐えていた。

マナは戦闘は得意なほうではない。

もっとも、アスカやレイの戦闘レベルが高すぎるだけなのかもしれないが。

だが、マナは戦う。

今自分に出来ることをマナは知っているから。

 

使徒の攻撃が苛烈を極めてくる。

膝をつくJA。

「……もう、これ以上はもたない」

苦痛の表情で呟くマナ。

使徒(甲)の攻撃がJAの頭部にヒットする。

「アッ!……」

意識を無くすマナ。

 

JAは完全に沈黙した。

 

 

 

つづく


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あとがき

ども、MASAKIです。時間かかりましたね(16)まで。でも、なんとか公開出来たので良かったです。

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